2012年10月25日

治験の問題点、治験の課題

●今週は治験にまつわる「あれこれ」です。

今日は(4)治験の問題点、治験の課題 です。

問題点や課題をシステマチックに考える方法として「MECEで考える」という方法があります。

MECEは「ミーシーもしくはミッシー、Mutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの略」です。

「重複なく・漏れなく」という意味です。

どういうことかと言うと、例えば、今の日本の治験の問題点を考える、という時に、闇雲に考えるのではなく、ある一定の枠にはめて考える、というもの。

どう考えるかというと、次の3つの観点で考える、とします。

(1)能力

(2)しくみ

(3)風土

この3つの観点で治験の問題点を考えます。

ほかにもMECEで考える方法として、次の定番があります。MECEのフレームワーク(定番)。

●3C/4C : 顧客・市場(Customer),競合(Competitor),自社(Company),そしてチャネル(Channel)の観点で考える。

●マーケティングの4P : 商品(Product),価格(Price),チャネル(Place),訴求方法(Promotion)の4つの観点で考える。

●7S : 戦略(Strategy)、人材(Staff)、制度・システム(System)、経営風土(Style)、組織の構造(Structure)、スキル(Skill)、ビジョン・価値(Shared Value)

●「質」と「量」の2つの観点で考える。

●QCD(Quality, Cost, Delivery):プロジェクト管理のフレームワーク の3観点で考える。

●ライフサイクル(企画、設計、製造、運用、廃棄):製品ライフサイクルのフレームワークの5つの観点で考える。

●ハード3S:戦略(Strategy)、組織構造(Structure)、組織運営(Systems)

●ソフト4S:企業文化(Style)、価値観(Shared value)、人材(Staff)、スキル(Skill)

●Political(政治・法律)、Economic(経済)、Social(社会)、Technological(科学技術)

●SWOT:Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)

●ヒト、モノ、カネ、情報、時間

●ERRC:Eliminate(取り除く)、Reduce(減らす)、Raise(増やす)、Create(付け加える)

●短期、中期、長期

などなど。

もともとはマッキンゼーが考案した論理思考のための概念。


ロジカルシンキングの2本柱として、「MECE」と「ロジックツリー」があります。

興味のある方は、下記をお読みください。

「ロジカル・シンキング―論理的な思考と構成のスキル」



さて、では、今の日本の治験の問題点を上記の(1)能力 (2)しくみ (3)風土 で考えてみましょう。

まず、能力について。

ここで、すぐに思いつくのは「モニターの能力」とか「CRCの能力」あるいは「治験責任医師の能力」等。

モニターの能力で言うと、医学的知識が低い、GCPをきちんと知らない、とか、SDVを効率に行う能力が低い(これには複数の要因がある)というようなことが考えられます。

これは製薬会社やCROの中で検討して、教育担当部署が、きちんと、その能力をつけるように教育する、という解決方法があります。



次に(2)しくみ という観点で考えると「IRB」という仕組みがある。

あるいは「治験ネットワーク」という仕組みがある。

それ以外にも「治験依頼者、CRO、医療機関、SMO」という仕組みがある。

これらの仕組みにそれぞれ、どのような問題、課題があるかを考える。

たとえば「IRB」で考えると「審査するプロトコル数に対して慢性的に人手不足」とか「専門的な審査に耐えられない」とかね。

ほかにも「必ず医療機関の長」が関わってくる。



では、今度は(3)風土 で考えてみよう。

すると、「製薬業界の風土」というのがあり、「日本人は細かすぎる」とか「当局頼り」だとか「マニュアル・チェックリストを尊重しすぎる」とか「保守的」とかね。

あるいは「臭いものにはフタをしろ的な解決策を取る傾向にある」、「責任をあやふやにする」などなど。


というように、「(1)能力(2)しくみ(3)風土」といフレームワークで考えると上記のようにとなるが、この観点(フレームワーク)を、今度は「QCD(Quality, Cost, Delivery):プロジェクト管理のフレームワーク の3観点」で考えると、これまた、別の問題点、課題が見つかる。

面白いよね、こういうの。

こういう感じで「治験の問題点」を考えたら、次に「何故?」を5回、繰り返し、問題の解決策を考え、実行に移します。

何が、何でも「なぜ?」を5回、繰り返すのがコツです。

「モニターはSDVの能力が低い」→なぜ?(1)→「SDVのための知識が低いから」→なぜ?(2)→「知識を植えつける仕組みがないから」→なぜ?(3)→「教える講師がいないから」→なぜ?(4)→「今まで、必要性を感じていないから講師が気づいていないから」→なぜ?(5)→「講師がSDVの現場をしらないから」となったとしましょう。

だったら、解決策として「講師をSDVにつき合わせる」となる。


こういう手法を自分たちの組織で使って考えると参考になるよ。



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