下記のことを今週は考えます。
(1)ALCOA(アルコア)について、もう一度考える
(2)未来のモニター
(3)治験責任医師が突然、治験を止めると言ったら?
(4)治験の問題点、治験の課題
(5)治験に貢献する方法
今日は、ALCOAについて。あるいは、ALCOA(アルコア)の問題点について。
ALCOAは以前も記事にしている。
↓
●「データの信頼性をどのように確保するか?・・・ALCOAとは?」
あらためて、ALCOA(アルコア)について考えてみます。
ALCOAとは次の言葉の頭文字をとったものだ。
Attributable(帰属/責任の所在が明瞭である)
Legible(判読/理解できる)
Contemporaneous (同時である)
Original (原本である)
Accurate (正確である)
この概念はかなり浸透してきた。
これはもちろん、治験のデータの正確さと信頼性を確保、担保、向上させるために提言されているものだ。
FDAから提言されてね。
詳しくはこちらを見て。
↓
http://firstclinical.com/fda-gcp/?show=2005/r_RE%20ALCOA&format=fulllist
あるいは直接、FDAのサイトで「ALCOA」で検索してみよう。
↓
http://www.fda.gov/default.htm
2012/10/19現在、264の記事がヒットする。
ただ、このALCOAって、考え出すとキリがなくなり、「一体、どこまでを原資料というの?」とか「ポストイットに書いたメモも原資料?」とかなる。
ALCOAの問題点は、明確な定義が無い、ということだ。
あるいは、感熱紙で取得したデータを色があせなくなって見えなくなるといけないから、コピーを取る場合、「あれ?感熱紙にデータ確認者のサインがいるの?それともコピーをしたほうにサインするの? ひょっとして、両方にいるの?」とか。
もともと、日本人は真面目だからね。
こういう「思考の迷路」にはまりこんだら、「原則」「基本」にもどるとスッキリします。
何故、僕たちはALCOAが必要なのか?
何故、アルコアの原則に基づこうとしているのだろう?
それはひとえにCRF(症例報告書)のデータが正確で信頼できるかを確認するためだ。
この一点に尽きる。
たとえば、CRFの「併用薬の使用無し」がチェックされていたとする。
ところがモニターが(或いは監査が、或いは総合機構が)原資料を色々と調べたら、カルテ(診療録)に「2012/09/12:花粉症のため次回来院より●●●を処方予定」と書かれていた。
すると、当然、それを見た人は●●●は処方されたのか、されないのか、が気になる。
もし、●●●が処方されていたならば、CRFに記載が必要だからね。
この場合、「CRFに記載が無いのだから、当然、併用薬の使用は無かったのだ」と考える人もいる。
そうかもしれない。
でも、投与が無かったのならば、「処方予定だった●●●は、治験実施計画書で「併用禁止薬」であることが判明したため、治験が終わるまで処方を延期する」の一文が、どこかに書かれていると助かる。
この一文をどこに書くべきか? という議論も起こりそうだが(何しろ、日本人は、几帳面だから)、僕は分かりやすい場所に記載されているなら、どこに記載があっても構わないと考える(何しろ、僕は、大雑把だから)。
たとえば、「処方延期」されたことがカルテにはなくて、看護師からCRCが聞いたとしよう。
それをCRCがカルテに記載することは普通できないから、CRCから治験担当医師にカルテに、その一文を記載するようお願いするのが一番、いいかなとは思う。
さて、ここで「今回の治験では併用薬については『カルテシール』(或いはワークシート)を原資料とする」なんていう規定が治験実施計画書なり、契約書なり、覚書なりで規定されていたとしよう。
するとカルテ(診療録)に「処方予定」と書かれていても、「カルテシール」の併用薬欄に記載が無いのだから、別に「処方延期」の一文は不要じゃないの?という考えもある。
この考えはカルテシールの「併用薬」の記載欄とCRFの「併用薬」の記載欄が一致しているのだから、「処方延期」の一文は不要でしょ、という考え方だ。
はい、それもあながち間違ってもいません。
でも、総合機構の担当官が実地調査した時に「覚書」でカルテシールが「原資料」ですから、カルテに「処方予定」と書かれていても、問題ありません、と言っても、多分、通じない。
誰だって、カルテに「処方予定」と書かれていたら、「どうなりましたか?」と聞きたくなる。(あなたが総合機構の立ち場ならどう? 僕なら絶対に知りたい。)
だから、こういう場合は律義に覚書でそうなっているからなどと考えずに、どこかにたとえば「カルテシール」でもいいし、「CRC手帳」(名称は何でもいいが)とかでもいいから、「投与延期になった旨、看護師のAさんより確認した。2012/9/15 サイン」と一文、あればいいのです。(もし「CRC手帳」に書いたならば、その手帳は保存をお願い致します。)
これをまた律義に「原資料との矛盾の記録用紙」に書いてくださいとモニターが頼むとなると、おおごとになって、書く、書かない、ということになりかねない。
ここはさ、協力しあっていきましょうよ。
たった一文でいいので、経緯が分かるようにどこかに(分かりやすところに)記載しておきましょう。
それだけでいいのです。
そうすることで、治験関係者全員(審査当局も含め)の貴重な時間が助かります、ということは、治験のスピードもあがり、ひいては患者に新薬を届けるのが速くなります。
そこを考えていきましょう。
ALCOAで大事なことは「これは新薬を待っている患者のためになるか?」という考え方です。
ALCOAで大事なことは「これでデータの信頼性は担保できるか?」という考え方です。
ALCOAで大事なことは「これでデータが正確であることが誰の目にも明らかとなるか?」という考え方です。
ただし、治験依頼者もやたらにカルテシール等を作るのはやめましょうね。
カルテシールは無くす方向で検討しましょう。
カルテに記載されていることを、また、カルテシールやワークシートに書くのは無駄ですし、転記が1回増えれば、それだけ転記ミスも増えます。
カルテシールを作ると、モニターはCRFとカルテシールの間の整合性を確認し、さらに、カルテシールと他の原資料との間の整合性を確認する、となって、何が何やら分かりません。
なんのためにやってるの? となります。
もし、カルテシールが無駄だと思ったら、医療機関側からも治験依頼者に言ってみましょう。
「このデータも、あのデータも、カルテや、こちらの原資料に記載されるので、このカルテシール、無駄ですよね?」と。
「既往歴はカルテの最初に書いてあるので、それをわざわざ、カルテシールの既往歴一覧に書き並べる必要はないですよね?」と。
ただ、こういうことができるために、まずは、治験依頼者も医療機関側もCRFのどのデータはどの原資料から拾ってくるのか、ということを事前に十分、検討しておきましょう。
要はCRFのもとになったデータがどこから来たのか、その原データは誰が書いたのか、それが分かるようにしておけばいいと思います。
治験をやっていて、一番、最悪なのは原資料、原データが無いということ(直接、CRFに記載するデータは別として)。
原資料、原データが無いということはデータの信頼性が無い、ということなので、これは一発でアウト!です。
原資料、原データが有るならば、それが感熱紙にサインがあろうが、コピーのほうにサインがなかろうが、まぁ、大丈夫です。
治験依頼者も総合機構の人が言ったひと言ひと言に過敏に反応しないことです。
総合機構の担当官だって同じ人間なのですから、興味本位で聞くことだってあります。
それが、あっという間に業界広がって、やみくもに、これも必要、あれも必要とか。
本当に、そうなの? という本質を考えるようにしましょう。
ALCOA(アルコア)の原則の基本は、データの正確さと信頼性を確実にするということ。
思考の迷路にはまったら、この基本に戻りましょう。
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