2012年10月12日

チームワークと最後に組織人が求められるもの

今週は「組織の活性化方法」です。


今日は●(5)「チームワークを強化する」です。


チームとは、共通の目的、達成すべき目標、そのためのアプローチを共有し、連帯責任を果たせる補完的なスキルを備えた少人数の集合体である。

メンバーのタスクは現実には、複雑な依存関係になる場合が多いが、これらを典型的な関係に分類し、それぞれの特徴や、重要なポイントを知っておくことは、よいチームワークを維持するために役に立つと考えられる。


以下、代表的なものについて紹介する。


(1)加算型

メンバーは各々独立して仕事をし、その合計はチームの仕事量になる関係。テレアポをとるチームは、アポインター一人一人のアポイント量の合計が、チームの仕事量になる。大型店舗の販売員チームなどもこれに近い。


(2)分離型

メンバーは各々独立して同じ仕事をし、一人でも正しい結果が出たら、チームの目的が達成できる関係。トラブルの原因究明や、問題の解決などをチームで行う場合がこれに近い。


(3)結合型

グループのメンバー全員が自分の責任を果たして、はじめてチームの目的が達成される関係。

何人かで山登りをし、全員が登頂することがチームの目的達成というような場合であるが、実際の仕事では、このように全員が同じ仕事をするのではなく、分業していることがほとんどである。

その場合には、メンバー全員が、各々に与えられた分担を完遂することで、チームの目的が達成される。

結合型はさらに、メンバーのタスクの関係性に応じて次のように2つに分けることができる。

ここでは、結合I型と、結合II型ということにする。


結合I型は、自動車の製造ラインのように、前の工程の組み立てが終わったら、次の工程のメンバーに引き継いでいく、といったシーケンシャルな関係である。


結合II型は、あるメンバーの役割、仕事の内容や量が、他のメンバーの仕事の遂行によって、変わってくるという関係だ。

この型は、メンバーのタスクの関係性が、これまでで最も強いものになる。

もちろん、実際の仕事では、このよう型にきれい分類することはできない。

しかし、チームのタスクは、このような依存関係からなるサブタスクが組み合さってできており、それらをメンバーに割り当てることで、メンバーのタスクの依存関係に違いが生じる。

また、チームのタスクが全体として、これらの依存関係のひとつに近いと見ることができる場合がある。



次に、チームのパフォーマンスというものを考えてみよう。

チームのインプットは、メンバーの能力と努力量であり、アウトプットはチームに課せられた課題の達成度と考えることができる。

「チームワークがよくなると、1+1が2にも3にもなる」と耳にすることも多いが、これを言い換えると・・・・・・

チームのパフォーマンス>メンバーのパフォーマンスの合計

ということになる。


しかし、期待とは違い、このようなことにはならないのである。

たとえば綱引きを数人のメンバーからなるチームで行う、こんな実験がある。

事前に一人ひとりのメンバーの引く力を測っておき、それを100%とする。

これを2人で引かせて、その力を測ると、2人の合計の93%になってしまうのだ。

3人では85%になり、8人で引くとなんと48%と半分以下になってしまうのである。

 
すなわち、チームのパフォーマンス<メンバーのパフォーマンスの合計となってしまうのだ。

 
このような実験は、運動能力だけではなく、問題解決など知的な能力についても数多くされていて、同様の結果となっている。

この例は、前出のチームタスクの分類でいうと加算型だが、分離型のタスクについても同様なパフォーマンスの低下が明らかになっている。

分離型の場合には、メンバーの一人でも解決できればチームとして目的の達成ができるはずである。


つまり・・・・・・

 チームのパフォーマンス=最もすぐれたメンバーのパフォーマンス

・・・・・・ということになる。

 
しかしこれについても、期待を裏切る結果が出ている。

その実験では、被験者にまず個人でパズル問題を解き、回答を提出してもらう。

次に、5人のチームとなってチームとしての解を出す。

すると、最初に5人とも正解だったチームと、4人が正解で1人が間違っていたチームは、100%のチームが正解を出した。

しかし、正解者が3名いたチームが正解を出した割合は、100%には至らず96%であった。

さらに、正解者が2名のチームは92%、1名のチームは73%しか正解が出せなかったのである。

つまり、チームの中に正解者が1人いるにもかかわらず、正解を出せなかったチームが4つに1つあったわけである。

この現象は上記の式に反している。


『チームワークと仲良しとは関係がない』

目的意識を共有した時からチームワークがスタートする。




●チームワークを良くするために

チームの責任者になると、チームの状態が気になります。

集まりが悪い、話が活発化しない、仕事が進まない、仲が悪い−−など。
 

大抵の場合、まずコミュニケーションを良くしようと考えて、会食をしたり、レクリエーションをやったりしませんか?

 
ノミニケーションだけではチームワークは良くならない。

目的をもって集まったグループ(チーム)は、その目的にそった形で引張らなければ、決して活性化しない。

目的が難しいほどチームワークがうまくできる。

 
チームワークは目的が明確で、難しい方がうまく回ります。

メンバーが勝手に動いていても簡単にできてしまうような仕事ではチームワークを必要としないのです。



例えば、二人で荷物を運ぶ仕事を考えて見ましょう。

二人が上司に呼ばれて「このテーブルを物置に運んでくれ」と頼まれたとしましょう。

見ると一人で簡単に持てるような軽い小さなテーブルです。

こんな場合はチームワークを発揮する余地はほとんどありません。

どちらかが「俺がやっとくわ」と言ったら、「そんなら宜しく」で仕事が済んで終うのです。

「この机を物置に運んでくれ」と重そうな机を示されたら、二人で力を合せなければ運ぶことはできません。

どちらかがリーダーとなり、合図を出して気を合せなければ、持ち上げることもできません。

これがチームワークの基本です。



もっと重かったら、二人で相談して、手押し車など簡単な道具をつかうことも考える筈です。

ところが、とても処理できそうにもない大きな機械を「今すぐ倉庫に片付けろ」と言われた二人は、「今すぐと言われても、とても無理です」とことわってくるに違いありません。

目的の達成が不可能だと思ったら、人はあきらめてしまい動こうとしないものです。

目標は高い方がチームワークを発揮しやすいのですが、高すぎて目標の達成がとても不可能だとメンバーが感じたときから、逆にチームワークはがたがたになってしまうものです。

こんな場合は、チーム内の論議が、どうやって解決していくかの議論でなく、できない理由探し、責任逃れの悪者探しになってしまいます。

こうなったら、もうチームワークはどこかへ行ってしまい、仕事の成果は何も期待できなくなってしまうのです。



どんな状態がチームワークのいい状態なのでしょうか?


●ひとりひとりが、自分の役割を完全に果たしている状態

●自分の役割をこなせない人のために他の人がサポートしなくてもすむ状態


以上が、チームワークの良い状態です。



チームワークはサッカーや野球のチームと同じく目的を達成するのが前提です。

スポーツ でも企業活動でも、共通の目標である勝利を勝ち得るためには、各人のスタイルやものの考え方、立場や生活の背景がどうであれ、互いに尊重し合い、きっちり自分の仕事をすることが、正しいチームワークの姿です。


自立した個性のぶつかり合いがあるからこそチームワークですし、チームワークのダイナミックさです。


あなたの会社やお店では 、人と違うことや目立つことを恐れ、右へならえ的に同一行動をとり、仲良しサークルのように振る舞うことが、チームワークとされていませんか?

ところが仲良しサークルのように振る舞っているのも、実はそうしたいからではなく、互いの不勉強をフタをして隠すため、無意識に出来た陰湿な秘密結社の場合が多いのです。

ですからある種の人々にとっては、心地よいものにもなります。

それならそれでいいからそれでいいじゃないという考えもありますが、長い目で見ると百害あって一利なしです。働く人が不幸になるような仕組みには断固ノーを言いましょう。


チームワークは、みんなでやっていこうではなく、みんなが自分の役割を果たせることです。

そこには自ずから行動を起こす文化、卓越することを求める文化を賞賛する良識と良心が働いています。

つまり自由の概念と同じです。

自由とは勝手気ままなことをするのではなく、良識と良心を自ら働かせることなのです。

大リーグなんか観ていると選手も観客もそうだということがよくわかります。


チームワークは自己研鑽を基本にした、意見を意見として交わせる集団でなければなりません。

チームワークは、チームワークを意識して作っていこうという「モラル」「マナー」、つまり自ら自分の役割を果たせるように自己研鑽していく姿勢が大切なのです。


良いチームワークが創造できる管理者なら、現在の2倍以上の利益を生み出します。





●●● 今週のまとめです。 ●●●

組織を活性化させるには次の6項目を考える必要があります。


●(1)そもそも「組織力」とは何によって左右されるかを考える

●(2)組織の目標達成方法を考える

●(3)メンバーの能力を引き出す

●(4)メンバーのモチベーションをあげる

●(5)チームワークを強化する

●(6)マネジメントを考える


今日まで、上記の(1)〜(5)を見てきました。

そして、それらを組み合わせたのが「マネジメント」です。

マネジメントは組織の基礎です。

マネジメントする人が、いかにマネジメントするかによって組織の目標が達成されるか否かが決まります。

組織は一定の規模と複雑さに達するや、マネジメントを必要とします。

複数の人間が協力して、意志を疎通させつつ多様な課題を同時に遂行する必要が出てきたとき、組織はマネジメントを必要とします。


マネジメントを欠くとき、組織は管理不能となり、計画は実行に移されなくなります。

最悪の場合、計画の各部分が、それぞれ勝手なときに、勝手な速度で、勝手な目的と目標のもとに遂行されるようになってしまいます。

そして、ボスに気に入れられることのほうが、成果をあげることよりも重要になります。


たとえ、アイデアや製品、サービスが優れ、メンバーが有能かつ献身的であっても、また、リーダーがいかに偉大な力と魅力と権力を持っていても、組織は、マネジメントという骨格を持つように変身しない限り、失敗を重ね、停滞し、坂を転げ落ちていきます。



誰がマネジャーか?

マネジャーを見分ける基準は命令する権限ではありません。

「貢献する責任」です。

権限ではなく、責任がマネジャーを見分ける基準です。



マネジャーには2つの役割があります。

(1)部分の和よりも大きな全体を生み出す生産する組織を創造すること

(2)あらゆる決定と行動において、ただちに必要とされているものと遠い将来に必要とされるものを調和させていくこと



あらゆるマネジャーには5つの仕事があります。

(1)目標を設定する

(2)組織する

(3)動機づけとコミュニケーションを図る

(4)評価する

(5)人材を開発する



そして、最後に。

マネジャーに、そして全ての組織人に必要な根本的な資質は「真摯さ」です。




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