2012年09月28日

僕に必要なのは「カンフル剤」

今週は『製薬会社』らしく医薬品に関わる話題です。

特に「植物由来」の薬について見ていきたいと思います。


「エフェドリン」

エフェドリン (英: ephedrine) は、鬱血除去薬(特に気管支拡張剤)、または局部麻酔時の低血圧に対処するために使われる交感神経興奮剤で、漢方医学で生薬として用いられる裸子植物のマオウ(麻黄)に由来するアルカロイドである。

1885年(明治18年)、長井長義がマオウから単離抽出した。

ちなみに、この「長井長義」さんは薬学者で日本薬学会初代会頭。

日本の近代薬学の開祖とも呼ばれている。

無茶苦茶、偉い人で、詳細は「こちら(長井長義)」をどうぞ。


で、そのエフェドリンですが、現在では、主に感冒薬(風邪薬)を中心として、薬効をよりマイルドとした誘導体である dl-塩酸メチルエフェドリンが、気管支拡張剤として使用されている。

エフェドリンはカフェインよりも勉強の効率を高めるということが示唆された。

一部の学生とホワイトカラーはこの効果を期待し、また一部のプロスポーツ選手や重量挙げ選手と同様にエフェドリン(または麻黄を含むハーブ補助食品)を使った。

アメリカの水泳選手・リック・デモントは、1972年のミュンヘンオリンピック400メートル自由形で金メダルを獲得したが、ドーピング検査でエフェドリンが検出され、メダルを剥奪された。

デモントのチームドクターらは「デモントは幼少期から喘息を患っており、その対処にエフェドリンは必須」と訴えたが、IOCは例外を認めなかった。


フェニルエチルアミンとして、エフェドリンはアンフェタミンに類似した化学構造を持つ。

違法ドラッグ製造者がメタンフェタミンを生成する際には、エフェドリンを前駆物質として使用する。




「ニコチン」

ニコチン (nicotine) はアルカロイドの一種であり毒物および劇物取締法に毒物として指定された物質である。

主にタバコの葉に含まれる。

天然由来の物質であり、即効性の非常に強い神経毒性を持つ。

半数致死量は人で0.5mg〜1.0mg/kgと猛毒で、その毒性は青酸カリの倍以上に匹敵する。

人体に対して神経毒としての有害性は持つが、ニコチン自体に発癌性はない。

ほぼ全ての生物に対して毒性を発揮する為、殺虫などの用途で使用されている。

「ニコチン」の名前は1550年にタバコ種をパリに持ち帰ったフランスの駐ポルトガル大使ジャン・ニコ(Jean Nicot, 1530年 – 1600年)に由来する。


ニコチンは主に中枢神経および末梢に存在するニコチン性アセチルコリン受容体 (nAChR) に作用することで薬理作用を表すと考えられている。

中枢神経において nAChR は広範囲に分布しているため、ニコチンは脳の広い範囲に影響を与える。

そのうち、特に依存性の形成に関与する部位として中脳辺縁系のドーパミン神経系が挙げられる。

中脳の腹側被蓋野、側座核などの nAChR にニコチンが結合すると、直接的あるいはグルタミン酸の放出を介してドーパミン系神経の脱抑制を起こす。

このドーパミン神経系は「報酬系回路」として知られており、快の感覚を個体に与えるため、強化行動をひき起こす。

この中脳辺縁系のドーパミン神経の興奮を介した依存性の形成メカニズムは他の依存性薬物(コカイン、ヘロイン、アンフェタミンなど)と同じとされるが半数致死量の低さと他細胞系への薬理作用の点から、麻薬とはされておらず、毒物に指定されている。

僕はニコチン依存症・・・・・・。




「カフェイン」

カフェインは、アルカロイドの一種。

プリン環を持つプリンアルカロイドの一種で、コーヒー類に含まれることからこの名がある。

また、安息香酸ナトリウムカフェイン剤などは強心・興奮作用を期待して使われる。

OTCのいわゆる「滋養強壮剤」には無水カフェインが欠かせない。

1819年(一説には1820年)にドイツのフリードリープ・フェルディナント・ルンゲによってコーヒーから世界で初めて単離された。

分析化学者であったルンゲに、コーヒーの薬理活性成分の分離を勧めたのはゲーテであったと伝えられている。

主な作用は覚醒作用、脳細動脈収縮作用、利尿作用。

医薬品にも使われ、眠気、倦怠感に効果があるが、副作用として不眠、めまいがあらわれることもある。

カフェインを習慣的に摂取する人が半日から1日カフェインを摂取しなかった時に現れる症状として最も顕著であるものは頭痛であり、その他、不安、疲労感、集中力の欠如、抑うつが現れることがある

カフェインはアデノシン受容体に拮抗することによって、覚醒作用を示す。

また、メチルキサンチン誘導体に共通の活性として、ホスホジエステラーゼの非選択的な阻害作用があり、細胞内cAMP濃度の上昇を引き起こす。

これにより、心筋収縮力の増大、気管支平滑筋の弛緩、脳細動脈の収縮のような交感神経興奮様作用を示す。

これらの作用の結果、腎血管拡張により糸球体濾過量(GFR)が増大し、さらに尿細管での水分の再吸収の抑制により利尿作用を現わす。


僕はカフェイン依存症・・・・・・。



「カンフル」樟脳(しょうのう)

クスノキの葉や枝などのチップを水蒸気蒸留すると結晶として得ることができる。

二環性モノテルペンケトンの一種。

他の植物の精油から得られた結晶性テルペノイド化合物を植物名+camphorで命名することもしばしば行われた(この場合の camphor は「脳」と訳される)。

代表的なものにmint camphor 薄荷脳(メントール)やborneo camphor 龍脳(ボルネオール)などがある。


血行促進作用や鎮痛作用、消炎作用などがあるために主に外用医薬品の成分として使用されている。

かつては強心剤としても使用されていたため、それらの用途としてはほとんど用いられなくなった現在でも、「駄目になりかけた物事を復活させるために使用される手段」を比喩的に"カンフル剤"と例えて呼ぶことがある。

ちなみに瀕死状態の人にカンフルを打つと効果があるのは「あまりにも痛いため」という説もある。(僕にはカンフルが必要かも・・・・・。)


また人形や衣服の防虫剤、また防腐剤、花火の添加剤としても使用されている。

樟脳を小さくカットして船尾に付けた木製もしくはセルロイド製の小船を水面に浮かべると、後方の水面に樟脳の成分が拡がり、表面張力の差によって前方に引っ張られ船が進む。

時としてカオス的な予測できない動きをする。

1960年代位までは縁日の露店等でよく売られていたシンプルで安価な玩具であった。

僕も小さい頃、お祭りに行くと必ず、この「樟脳舟」を買ってもらった。

でも、家でやると、なかなかうまく走らないんだよね。何かコツがあったのかな?



・・・・・・ということで、今週は「植物由来の薬」の話でした。

これからも、まだまだ植物から新薬が出てくることでしょう。

それはそれとして、植物はそばに置いておくだけで、人間の心に安らぎを与えてくれます。

そういう意味では「植物」というだけで、人間には薬かも。



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posted by ホーライ at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 新薬の開発という仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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