2012年08月29日

ゲノム創薬の現状はどうなのか?

では、ゲノム創薬の現状はどうなのか?

ここに興味深い小文がある。
   ↓
「ゲノム創薬の現状と今後の展望」

以下、引用です。

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医薬品開発のあらゆるステージにおいてトランスクリプトームやゲノミクス手法を積極的に取り入れる,いわゆるゲノム創薬が国内外の製薬企業において潮流となっている.

当初トランスクリプトームは,“High- throughput”な創薬標的探索の方法論と考えられていたが,現実にはこれに研究シーズをもとめたもので臨床開発まで至った事例は今だ少ない.

トランスクリプトームによる疾患や生命現象の解明は,個々の遺伝子に還元して解析する手法に加えて,数十から数百個の遺伝子を巨視的な視点で解析する新たな手法を生み出した.

またヒトゲノムプロジェクトにより明らかになった染色体上に点在する564 万件以上のSNP(一塩基多型)情報は,生活習慣病などの多因子疾患の病因や薬物の有効性に関わる個体差をヒトで解析することを可能にしつつある.これらの情報の活用により,今後の医薬品開発の成功確率が高まると期待している.

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トランスクリプトームとは・・・・・・

トランスクリプトーム(transcriptome)とは、特定の状況下において細胞中に存在する全てのmRNA(ないしは一次転写産物、 transcripts)の総体を指す呼称である。ゲノムは原則として同一個体内のすべての細胞で同一だが、トランスクリプトームでは状況が異なり、同一の個体にあっても組織ごとに、あるいは細胞外からの影響に呼応して固有の構成をとる。



さらに、上記の小文にはゲノム解析から、すぐには創薬には結びつかないことがかるく、述べられている。

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現在もっとも大きな課題となっているのは,罹患率の高い生活習慣病(高脂血症,高血圧,糖尿病)に関する疾患関連遺伝子の同定である.

これらの疾患は,遺伝的素因も多因子であり,これまでのような,1 つだけの疾患関連遺伝子では,病態発現への相対的危険度は低く,複数の関連遺伝子を同時に解析することが求められている.

膨大なSNP データに基づくゲノムサイズのSNP 解析が,臨床研究における,多因子疾患解明を加速すると考えられる.

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筆者は、まだ、希望的観測を述べているが、高脂血症,高血圧,糖尿病などは、単純にゲノム解析から、新薬に結びつかない。

ここが、行き詰まりの原因になっている。




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posted by ホーライ at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 新薬の開発という仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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