2012年07月31日

リモートSDV・・・静岡がんセンターの場合

今週は「リモートSDV」についてです。


今日は静岡県立静岡がんセンターの「電子カルテの遠隔閲覧に関する業務手順書」を見ていきましょう。


電子カルテの遠隔閲覧に関する業務手順書(静岡県立がんセンター)
  ↓
「電子カルテの遠隔閲覧に関する業務手順書(静岡県立がんセンター)」




ちなみにSOPの表紙には「経営戦略会議」の文字が見えますね。

すごいですね。

病院でもこういう「経営戦略会議」が必要なんですね。そりゃそうだ。

それとリモートSDVの呼び方も様々です。

静岡がんセンターでは「遠隔閲覧」と呼んでいますね。

ですので、リモートSDVの情報を集める場合には「電子カルテ 遠隔閲覧」というフレーズも必要です。



さてと、まずは以下のようなキモが書かれています。(PDF3ページ目)
  ↓
(1) 被験者からその診療情報が電子カルテの遠隔閲覧の対象となることに同意を得ている。



なるほど、直接閲覧の項目として「遠隔閲覧」の対象になることを患者から同意を貰っているのですね。

ちなみに(3)依頼者と被験者の面接は認めない、という項目もありますね。

何故、認めていないのでしょうか。

これは静岡がんセンターに限ったことではありませんが、その理由を考えてみましょう。




さらに手順に入りますが、ここでも近大と同じように「遠隔閲覧」(リモートSDV)を希望する治験依頼者は、「電子カルテ遠隔閲覧申請書」を提出しなければいけないことが分かります。

そして、治験事務局は以下のことを確認することになっています。
  ↓
****************

●次の要件に関して審査を行い、適合すると認めるときは、電子カルテの遠隔閲覧の利用を許可し、電子カルテ遠隔閲覧許可書(様式第3号)を発行する。

ア 社内に、入退者及び入退時間のログ管理がなされ、かつ、正当な権限を有する者以外の者が窃視できない個室の閲覧室(以下、「社内閲覧室」という。)が整備されていること。

なお、正当な権限を有する者とは次の者をいう。

(ア)診療情報管理委員会の審議により診療記録等の直接閲覧が認められ、かつ、情報セキュリティ部会により電子カルテの遠隔閲覧システムの利用が認められた者

(イ)(ア)で利用が認められた者による操作の元で、 診療情報管理委員会の審議により診療記録等を直接閲覧すること認められた者

イ 社員に対してセキュリティや個人情報に関する研修等を実施していること。


****************


ここで、まず注目すべきは「社内に、入退者及び入退時間のログ管理がなされ、かつ、正当な権限を有する者以外の者が窃視できない個室の閲覧室」が必要ということです。

ですので、治験依頼者(CRO)は社内に、このような環境を作ることが今後はどんどん要求されるようになるでしょうね。

今から、用意をしておきましょう!


さらに治験依頼者には、次のことが要求されています。

「社員に対してセキュリティや個人情報に関する研修等を実施していること」

いかがですか?

社内で「情報セキュリティ」や「個人情報保護法」等の研修を実施していますか?



とりあえず、ネットで「情報セキュリティ」と「個人情報保護法」について検索し、それらを研修として提供していきましょう。

静岡がんセンターでは「研修の実施状況を申請書に記載する」ことになっています。

また、近大と同様に静岡がんセンターでも「電子カルテの遠隔閲覧に関する契約」が必須になっていますね。

このあたり、通常の治験の契約書に盛り込んで、いっきに終わらせたいところですが・・・・・・・。


それはさておき、静岡がんセンターでは以下のような方法を取っています。
  ↓
*****************

5.USBメモリーの貸与

1)臨床研究・企業治験事務局は、遠隔閲覧の利用を許可した依頼者に対して、遠隔閲覧システムを利用することのできる設定をしたUSBメモリー(以下、「遠隔閲覧利用USBキー」という。)を貸与する。

2)貸与の期間は、電子カルテの遠隔閲覧の利用に関する契約で定めた契約期間とする。

*****************




USBを使ってリモートSDVができる環境を取っているようです。

USBを紛失しないように注意しましょう!


少し難しそうなのが、以下のことですね。
  ↓
4)管理責任者は、電子カルテの遠隔閲覧を行う者が本業務手順書及び当センターの情報システム利用者規程を遵守するよう監督する。

どうやって監督するのでしょうか。

SOPを読むと、たとえば、こんなことをやられることが分かります。
  ↓
11.立入調査の実施

当センターは、電子カルテの遠隔閲覧が本業務手順書に基づき適正に行われているかを確認するため、必要に応じて、依頼者の施設に対し、立入調査を実施するものとする。



さらに読み進めますと、次のことも要求されています。(PDFの5ページ目)
  ↓
・社内閲覧室のログデータ


治験依頼者の(CROの)社内の閲覧室では、ログデータが取れるようにシステムを作っておく必要があります。

まぁ、今では普通の居室(オフィス)に入るのもICカードを使って入退出のログを取っていますから、問題無いですね。





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posted by ホーライ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 治験の効率化 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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