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W.総合評価
提出された資料から、本剤の関節リウマチに対する有効性は示されており、本剤はDMARDの一つとして新たな治療の選択肢になり得ると考える。
一方、高用量(125 mg/日)ではあるものの本剤単独投与で汎血球減尐症による死亡例が発現しており、肝機能障害、胃腸障害等も高頻度に発現していること、また、本剤の主な投与対象の一つと想定されるMTX効果不十分例に対するMTX併用投与時の安全性については、MTX併用試験の結果から単独投与と比較し顕著なリスクの増大は認められなかったものの、当該試験は、40 kg未満の低体重患者、70歳以上の高齢者等のよりリスクが高いと考えられる患者が除外されるなど、実際の医療現場で想定される患者層が必ずしも反映されていないこと等を踏まえると、本剤の臨床使用に当たっては十分な安全対策を講じる必要があり、製造販売後調査において本剤の安全性を引き続き慎重に検討する必要があると考える。
専門協議での検討を踏まえて特に問題がないと判断できる場合には、本剤を承認して差し支えないものと考える。
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以上の総合機構の報告を踏まえて、専門協議及びその後の医薬品医療機器総合機構(以下、「機構」)における審査の概略は、以下のとおりである。となります。
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(1)本剤の臨床的意義について
専門協議において、機構は、本剤の臨床試験では重要な有害事象として、125 mg/日での死亡例も含む汎血球減尐症をはじめ、肝機能障害、胃腸障害等が比較的高頻度に発現しているが、用量の遵守を徹底すること、定期的な血液検査を義務付けること、本剤の使用を専門医に限定すること等の安全対策を講じることにより、本剤のリスクは管理可能と考えること、また、関節リウマチ(RA)の治療において、現時点では、標準的薬剤としてメトトレキサート(MTX)を投与し、MTXで効果不十分なRA患者に対しては、生物製剤等の使用を考慮するという標準的治療法が確立していると考えられるが、主にMTXの使用が困難な患者に対して、本剤は新たな治療の選択肢となり得ると考えることについて、意見を求めた。
上記の機構の判断は専門委員よりおおむね支持され、本剤の安全性については十分な留意が必要であるものの、適切な安全対策が講じられ、専門医が使用する場合には対処可能と考えるとの意見が提出された。
また、一部の専門委員からは、抗リウマチ薬としてMTX及び生物製剤が普及している現在、本剤のようなDMARDを開発する意義は尐ないとの意見が提出されたが、臨床担当の専門委員からは、MTXや生物製剤を用いることが困難な患者も尐なからず認められることから、新たな作用機序に基づくDMARDにより、治療の選択肢を増やすことの意義はあるとの意見、また本剤とMTXとの併用効果が示された意義は大きく、治療の選択肢として期待し得るとの意見等が提出された。
機構は、提出された臨床試験成績に基づき、本剤のRAに対する有効性は示されていると考えることから、審査報告(1)に示した安全対策に加え、後述のとおり、製造販売後に投与症例全例を対象とした調査等を実施し、安全対策を徹底することにより、本剤のベネフィットはリスクを上回ると判断した
(中略)
V.総合評価
以上の審査を踏まえ、機構は、下記の承認条件を付した上で、効能・効果及び用法・用量を以下のように整備し、承認して差し支えないと判断する。
本剤の再審査期間は8年、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断する。
[効能・効果] 関節リウマチ
[用法・用量] 通常、成人にはイグラチモドとして1回25 mgを1日1回(朝食後)から開始し、4週間後をめどに1回25 mgを1日2回(朝食後、夕食後)に増量し、経口投与する。
[承認条件] 製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。
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