↓
●「うちの会社は外用剤が専門だからモニターとして視野が狭くなっていないか心配」
●「我が社はこの5年間新薬の承認が無いので、勉強不足かもしれない」
・・・・・・と思われている方に、こんなものでも勉強できますよ、という紹介です。
自己啓発に使ってください。
今週ご紹介するのは「新薬の審査報告書」と「申請資料」を勉強のツールとして使う方法です。
まずは、下記のサイトを訪問してください。
総合機構(PMDA)の下記参照
●総合機構(PMDA)
↓
●承認情報(医薬品)
↓
●検索ページ
↓
●販売名等を入れずに検索を実行
↓
●気になる新薬の「審査報告書」と「申請資料」をクリックして表示する。
「審査報告書」とは独立行政法人医薬品医療機器総合機構がデータの信頼性やGXPの基準を守って新薬を開発したかどうかなどを審査し、その結果を厚生労働省の医薬食品局審査管理課に提出して、その課が作成した新薬の製造販売承認申請に対する審査結果と概要を述べたものです。
いっぽう、「申請資料」とは製薬会社(新薬の製造販売承認申請者)が作成した資料です。
どちらもご覧になっても勉強になります。
今週は下記の医薬品の「審査報告書」を見ていきます。
[販売名] @コルベット錠25 mg、Aケアラム錠25 mg
[一般名] イグラチモド
[申請者] @富山化学工業株式会社、Aエーザイ株式会社
[申請年月日] 平成23年8月31日
平成24年4月27日
医薬食品局審査管理課
↓
■ ■ ■ ■ ■ ■
[審議結果]
平成24年4月19日に開催された医薬品第二部会において、本品目を承認して差し支えないとされ、薬事・食品衛生審議会薬事分科会に報告す
ることとされた。
なお、本品目は生物由来製品及び特定生物由来製品に該当せず、再審査期間は8年とし、原体及び製剤ともに劇薬に該当するとされた。
[承認条件]
製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背
景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。
■ ■ ■ ■ ■ ■
上記を見ると、まずは「承認しますよ」という結果が出ていますね。
メデタシ、メデタシです。
で、「ケアラム錠(コルベット錠)」とは何の薬かというと・・・・・・[効能・効果] 関節リウマチということが審査報告書を見ると分かります。
さて、もっと詳しく見ていきましょう。
↓
■ ■ ■ ■ ■ ■
「審査報告書」の3ページより
[審査結果]
提出された資料から、本剤の関節リウマチ(RA)に対する有効性は示されており、本剤は新規の疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)として、新たな治療の選択肢になり得ると考える。
一方、安全性については、重要な有害事象として、高用量(125 mg/日)での死亡例も含む汎血球減少症をはじめ、肝機能障害、胃腸障害等が比較的高頻度に発現していることなどから、本剤の臨床使用に当たっては十分な安全対策を講じる必要があり、製造販売後調査において本剤の安全性を引き続き慎重に検討する必要があると考える。
■ ■ ■ ■ ■ ■
ほうほう「新たな治療の選択肢になり得る」とありますね、いいですね。
ただし治験の最中に死亡例も出ているということで要注意です。
ここで「疾患修飾性抗リウマチ薬」とありますが、これは何のことでしょうか?
分からない言葉が出てきたら、すかさずネットで検索する。
すると下記のことが分かります。
↓
●関節リウマチ(RA)治療における抗リウマチ薬の位置づけ
なるほど、「疾患修飾性抗リウマチ薬とは」・・・抗リウマチ薬は疾患修飾性抗リウマチ薬(disease modifying anti─rheumatic drugs:DMARDs)ともよばれ,炎症自体を抑える作用はもたないがRAの免疫異常を修飾することによって,RAの活動性をコントロールする薬剤である。
「ほうほう、リウマチの薬って、こんなふうになっているのね」ということが、まず、勉強になりますね。
「リウマチの薬なんて、私には関係ないね」という人は、自分で自分の可能性を狭めていることに気づいてください。
分からない言葉が出てきたら、その都度、丁寧にネット検索します。
それはさておき、審査報告書の続きを見ましょう。
ちなみにさ、審査報告書に載っている化学構造式を見ると、ワクワクしない? しないか・・・・・。(僕は有機合成を専攻していたもんで)
審査報告書には安全性についても触れていますね。
↓
「死亡例も含む汎血球減少症をはじめ、肝機能障害、胃腸障害等が比較的高頻度に発現していることなどから、本剤の臨床使用に当たっては十分な安全対策を講じる必要があり、製造販売後調査において本剤の安全性を引き続き慎重に検討する必要がある」
さらに審査報告書に「MTX」という単語(略語)が出ています。
これは何だろう? ということで「MTXとは」というフレーズでネット検索してみると・・・・・
ウィキペディアで以下のように説明されています。
↓
■ ■ ■ ■ ■ ■
メトトレキサート(Methotrexate : MTX)とは、葉酸代謝拮抗剤に分類される抗悪性腫瘍薬(抗がん剤)、抗リウマチ薬である。 商品名は、抗がん剤としては、メソトレキセート (販売 : ワイス/武田)、抗リウマチ薬としては、リウマトレックス(同左)、メトトレキサート(沢井ほか)など。
■ ■ ■ ■ ■ ■
「ほうほう、MTXとはメトトレキサートのことで、しかもMTXは抗がん剤としても抗リウマチ薬としても使えるんだ!」って感じですね。
そこで、報告書を見直すと・・・・
↓
■ ■ ■ ■ ■ ■
また、8mg/週超のMTX併用時の安全性、MTX以外のDMARDや生物製剤併用時の安全性、MTX併用時の40 kg未満の低体重患者、70歳以上の高齢者における安全性等について、臨床試験ではデータが得られていないが、これらの情報は実臨床において重要な情報と考えられることから、可能な限り速やかに情報を収集できるよう、本剤が投与された症例のデータが一定数集積されるまでの間は、投与症例全例を対象とした製造販売後調査を実施し、得られた情報を臨床現場に逐次提供する必要があると考える。
■ ■ ■ ■ ■ ■
まぁ、どうでもいいのですが、なんでこんなに一文(句読点まで)が長いんだろう?
「ビジネス文書の書き方研修」を受けていないのかな? などと思いながら、さらに報告書を見ます。(明日に続く・・・秘密のベールが・・・・)
●週刊「モニターとCRCのためのGCPメルマガ」
●日刊「モニターとCRCのためのGCPメルマガ」
●医薬品ができるまで(治験に関する話題)