2012年06月28日

医療イノベーション5か年戦略(4)

今週は「医療イノベーション5か年戦略」を見ていきます。
   ↓
「医療イノベーション5か年戦略」(2012年版)

医療イノベーション会議(平成24年6月6日)のものです。



さて、民間企業においても「イノベーション」の必要性が強調され、社内に「イノベーション委員会」なんていうのがよく立ちあがったりします。

そこで最も難しいのは「本当にイノベーションが進んだのか?」という評価方法です。

たとえば、製薬会社なら「以前に比べて治験に移行する新薬の卵が2倍になった」とか「フェーズ1から承認申請まで30%の時間短縮を達成した」というような数値に反映されればいいのですが、そう簡単にはいきません。

そこで、「医療イノベーション5か年戦略」(2012年版)の報告の中には具体的な数値として、次の項目があります。


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@ 「がん対策推進基本計画」に基づき、がん対策を総合的かつ計画的に推進することにより、がんによる死亡率を20%減少させる。(平成17年の75歳未満の年齢調整死亡率に比べて平成27年に20%減少)(毎年度実施する。:内閣官房、内閣府、文部科学省、厚生労働省、経済産業省)


C 日本発の革新的な医薬品を創出するため、難治性がんや希少がん等を中心にがんペプチドワクチンをはじめとしたがん免疫療法や抗体医薬等の分子標的薬、核酸医薬等の創薬研究に関し、GLP準拠の非臨床試験、国際水準の臨床研究・医師主導治験を推進し、5年以内に日本発の革新的ながん治療薬の創出に向けて10種類程度の治験への導出を図る。(毎年度実施する。:厚生労働省)


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注目すべきは「5年以内に日本発の革新的ながん治療薬の創出に向けて10種類程度の治験への導出を図る」という点です。

どうですか?

かなり「イノベーティブ」ですね。

さらに、こんなことも記載されています。


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W 実行の枠組み

1 モニタリング、啓発、コンセンサス形成を含む好循環形成

医療イノベーションはグローバルに進展していく。

5か年戦略の進捗状況についての「工程表」等に基づく数値目標の達成状況の把握などのほか、重要な医療技術や疾病分野別の取り組みが、グローバルな視点からどのような位置づけにあるのかについても「モニタリング」を行い、それらの情報を公開し、新しい技術が生み出す可能性と課題を広く啓発するとともに社会で共有する施策を行ない、メディア・市民の医療リテラシーの向上を目指す。

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この報告書に何回も出てくる「医療リテラシー」とは何でしょう?

ネットで検索すると次のように解説されていました。

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●医療リテラシーとは医療情報を理解し、それを使って、自身の健康とケアの良い意志決定をするための能力のことです。

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分かったような分からないような・・・・・・。


さて、医療イノベーションの実行についての続きです。
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2 目標の達成を目指した「工程表」の策定によるPDCA の実践

医療イノベーションのビジョンの実現に向けて、あらかじめ具体的かつ明確な目標を設定し、医療技術の主な分野別に立てられる戦略や個別のプログラム、重要課題・疾病別の個別重点戦略とそのプログラムをもとにした、ビジョン実現のための工程表を策定する。

各プログラムの進捗状況や目標達成状況を把握できる計測可能な指標を個別に設定し、計画推進の段階での達成目標値を定める。

計画の進行管理に当たっては、これらの指標を計測し、内閣官房医療イノベーション推進室に報告するとともに、指標の計画と実績に差異がある場合には、その情勢の変化や進捗状況を把握し、更なる加速や中断、中止を含めた計画変更の要否を判断の上、医療イノベーションビジョンの実現に向けて、必要な施策の見直しを行うこととする。

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「PDCA」とは?

新入社員の皆さん、「PDCA」について、もう学びましたか?

PDCAとは「事業活動における生産管理や品質管理などの管理業務を円滑に進める手法の一つ。

Plan(計画)→ Do(実行)→Check(評価)→ Act(改善)の 4 段階を繰り返すことによって、業務を継続的に改善する。」ということです。

仕事をやり放し、評価もしないし、次への改善も検討していない、というのは、このPDCAサイクルに合致していません。

どんな業務もプロジェクトもタスクもこのPDCAを回転させることで、次へと結びつきます。



ちなみに、「目標を設定する」ときのコツは「SMART(スマート)」に目標を設定することです。

「SMART」とは下記の全ての要素を含んだ目標設定の指標です。

◆要素1:Specific(具体的に)

誰が読んでもわかる、明確で具体的な表現や言葉で書き表す


◆要素2:Measurable(測定可能な)

目標の達成度合いが本人にも上司にも判断できるよう、その内容を定量化して表す


◆要素3:Achievable(達成可能な)

希望や願望ではなく、その目標が達成可能な現実的内容かどうかを確認する


◆要素4:Related(経営目標に関連した)

設定した目標が職務記述書に基づくものであるかどうか。と同時に自分が属する部署の目標、さらには会社の目標に関連する内容になっているかどうかを確認する


◆要素5:Time-bound(時間制約がある)

いつまでに目標を達成するか、その期限を設定する

日本企業では曖昧なことが多く、その為のトラブルが多く発生しています。

目標を掲げても単なるお題目に終ってしまい、うやむやにさせないためには、目標と具体的アクションをしっかり組み合わせることが重要です。


「スマートの原則とは」他にもいろんな定義があります・・・・・・

■Specific=テーマ・表現は具体的か?

■Measurable=第三者が定量的に測定可能か?

■Achievable=現実的に達成可能か?

■Result-oriented=「成果」に基づいているか?

■Time-bound=期限がついているか?


いずれにしても、医療イノベーションをやるなら、何をいつまでにどうするのか、を明確にしないと予算の無駄ですからね。


さらに「医療イノベーション5か年戦略」(2012年版)の54ページにこんな記載があります。
   ↓
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V−4 戦略期間に新たに議論する必要のある医療イノベーション推進方策

(1)臨床研究中核病院については、その整備状況を見つつ、その機関の特性に応じて、革新的な医薬品・医療機器の創出、ドラッグラグ・デバイスラグの解消等を図る観点から、治験等に係る特例を持たせる等の機能を検討する。


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上記に「治験等に係る特例を持たせる」という言葉がありますね?

これって何でしょう?

どんな特例が出されるのでしょうか?

ちょっと興味深いです。

どんな「治験に係る特例」が出てくるのか、待ちましょう。(ほんとに、何だろう?)




■■■ 医薬品ができるまで(治験に関する話題) ■■■
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医薬品ができるまで(治験に関する話題)


■■■ モニターへの道(一人前のモニターになる方法、モニターの教育方法) ■■■
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「臨床開発モニター、治験モニターへの道」(優秀なモニターになる方法、モニターの教育方法)


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posted by ホーライ at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 治験の活性化 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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