2012年06月27日

医療イノベーション5か年戦略(3)

今週は「医療イノベーション5か年戦略」を見ていきます。
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「医療イノベーション5か年戦略」(2012年版)

医療イノベーション会議(平成24年6月6日)のものです。



ところで、「創薬支援ネットワーク協議会の設置について」というのもあります。
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「創薬支援ネットワーク協議会の設置について」



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1.オールジャパンの医薬品・医療機器開発支援体制の整備

(1)アカデミア等における我が国の優れた研究成果を確実に医薬品の実用化につなげることができるように、基礎研究等から医薬品の実用化まで切れ目なく支援するためのオールジャパンでの創薬支援体制として、関係府省の協力により、独立行政法人医薬基盤研究所を中心に関係府省・創薬関連研究機関等による創薬支援ネットワークを構築する。

内閣官房医療イノベーション推進室は、このネットワークの構築・円滑な運用に向けて、関係府省・創薬関連研究機関等で構成する「創薬支援ネットワーク協議会」を開催し、必要な協議・調整を行いつつ、強固な連携を図る。

このような体制の下、創薬支援ネットワークにおいては、少なくとも有望なシーズの情報収集・調査や評価・選定をはじめ、研究に対する出口戦略の策定・助言、応用研究から非臨床試験を中心とした技術的助言や支援、企業連携支援等を行うとともに、これに関連する重点的な研究開発費の助成等を行うことを通じて実用化を支援する。

医薬品開発に係る厚生労働科学研究費補助金等による支援についても、高い専門性の下での研究の評価や助言を行いつつ、一体的な実施を図る。

これらの業務を確実に実施するためには、創薬に関する高度な専門家の確保やネットワークの本部を含めた体制の構築が必要である。

独立行政法人医薬基盤研究所にこの本部機能を担わせるため、同研究所に、産学官の連携により「創薬支援戦略室(仮称)」を設置するなど必要な体制強化を行うとともに、これらの機能を効率的・効果的に担うことができるよう、適切に同研究所の業務運営ルールを定める。

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まぁ、どこが「旗振り役」をやって頂いてもいいのですが、強力なリーダーシップの発揮をお願いしたいところです。



そして、ベンチャー企業の育成ですが・・・・・・・

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V−1−2 中小・ベンチャー企業の育成等


○ 産業界がリスクマネーを投入できない、いわゆる死の谷を埋めるアカデミアと産業界を結ぶベンチャーの育成やアカデミアのノウハウをそのまま産業へ結びつけることが期待される大学等発ベンチャーの育成を推進する。



1.中小・ベンチャー企業の育成

(1)オープンイノベーションの推進を通じた次世代産業の育成を目指して、各種ファンドを通じて必要な資金供給や中小・ベンチャー企業への支援を行う。(毎年度実施する。:厚生労働省、経済産業省)


(2)これまで製薬企業等に眠っていた創薬シーズを、製薬企業内外のベンチャー企業を活用して製品化を図る方策を検討する。(平成24年度から実施する。:厚生労働省、経済産業省)


(3)PMDA の薬事戦略相談事業を拡充(出張相談を含む)し、主としてアカデミアや中小・ベンチャー企業等による革新的医薬品・医療機器開発に見通しを与え、迅速な実用化を図る。(毎年度実施する。:厚生労働省)


(4)中小・ベンチャー企業から生み出される革新的な医薬品・医療機器の実用化を促進すべく、今後の審査手数料のあり方について検討を行い、必要な措置を講ずる。(平成24年度から検討を開始する。:厚生労働省)


(5)地域の創薬系・機器系の中小・ベンチャー企業からの特許等に関する様々な相談に対する対応を全国9か所にある独立行政法人中小企業基盤整備機構の地域本部を中心に、引き続き実施する。(毎年度実施する。:経済産業省)


(6)日本の優れた技術を有する中小・ベンチャー企業の事業連携を促進するため、国内外の大手企業等とのビジネスマッチングの場の支援や国際展開支援を実施する。

併せて、世界の企業、大学等の研究開発機関が集まり、セミナー、展示会等を行う「バイオジャパン」や「メドテック」等を活用し、中小・ベンチャー企業と国内外の製薬企業や医療機器メーカー等とのアライアンスを促進する。(毎年度実施する。:経済産業省)


(7)産学官連携などにより、優れたシーズを実用化につなげ、イノベーションを創出する研究開発等を独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によるイノベーション実用化助成事業等を活用して支援する。(毎年度実施する。:経済産業省)


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ここでは、何と言っても「起業家(アントレプレナー)」としての「人材」の出現を待たないといけません。

どんなリスクも受け入れらる「大きな器」の「起業家(アントレプレナー)」が必要です。

「出る杭は打たれる」日本では難しいところですが・・・・・・。

ちなみに、東大に対して武田薬品が開発した新薬のシーズを移譲した、というニュースが最近ありましたね。

「アルツハイマー型認知症治療候補物質TAK-070の東京大学への譲渡契約締結について」
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「アルツハイマー型認知症治療候補物質TAK-070の東京大学への譲渡契約締結について」

今後は、こういう民間企業と大学との交流がどんどん増えるといいと思います。


さて、ところで私たちと関係が深い「治験環境」はどうなるのでしょうか?


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V−1−4 臨床研究・治験環境の整備


○ 「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」に基づき、より良い臨床研究・治験環境の整備と臨床研究・治験実施体制の構築を行う。

○ 臨床研究中核病院をはじめとする質の高い臨床研究の実施体制の整備と臨床研究の適正な実施ルールを推進するとともに、治験の効率化を推進する。

○ 臨床研究・治験の効率的・効果的な推進のため、人材の育成・確保と国民・患者への普及啓発を図る。



1.質の高い臨床研究の実施体制の整備(臨床研究中核病院など)と臨床研究の適正な実施ルールの推進

(1)国際水準の臨床研究や難病、小児領域等の医師主導治験の実施体制を有するとともに、複数病院からなる大規模ネットワークの中核として、窓口の一元化等を図り、多施設共同研究の支援を含めたいわゆるARO(Academic
Research Organization)機能を併せ持ち、高度かつ先進的な臨床研究を中心となって行う臨床研究中核病院を整備する。

併せて、新規医薬品・医療機器について、世界に先駆けてヒトに初めて投与・使用する試験や開発早期に安全性、有効性を少数の対象で確認する試験等を行う早期・探索的臨床試験拠点を整備するため、5か所の医療機関に対して引き続き助成を行う。(平成25年度までに15か所程度整備する。:厚生労働省)


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上記のうち、「世界に先駆けてヒトに初めて投与・使用する」というところが「ミソ」なのですが、それはもう、今に始まった訳ではなく、「国内製薬会社」にとっては当たり前のことですね。

ただ、最近は海外先行という開発が多かったので、それをなんとか食い止めたいというところでしょうか。

あるいは、もっと大胆に外資系の(世界中の)製薬会社がたとえばアメリカで非臨床試験まで終わり、ヒトに初めて使う場合、「日本でフェーズ1をどうぞ」という具合に持ってくることもあり得ますね。

是非、そんな事態になって欲しいものです。



それで、人材育成はどうなるのでしょうか?



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3.人材の育成・確保

(1)臨床研究・治験の効率的・効果的な推進のため以下の人材を育成・確保するとともに、特に以下の@については、キャリアトラック(キャリアパス)の整備も行い、育成した人材が実働できる環境を整備する。


@ 臨床研究を支援する人材(臨床研究コーディネーター(CRC)、データマネージャー(DM)、生物統計家、プロジェクトマネージャー等)(毎年度実施する。:厚生労働省)


A 大学病院において治験・臨床研究関連業務に従事する職員向けの研修により養成するCRC 人材(毎年度実施する。:文部科学省)


B 臨床研究において主導的な役割を果たす専門的な医師(大学病院において養成)(毎年度実施する。:文部科学省)


C がんに関する新たな診断・治療法や看護法、医薬品・医療機器の開発研究等を担う、高度な研究能力を有する医療人材(毎年度実施する。:文部科学省)


D e-learning の更なる整備等、医師に対して、臨床研究・治験に係る教育の機会の確保・増大を図る。(毎年度実施する。:厚生労働省)


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上記のうち、特に「キャリアトラック(キャリアパス)」が重要・キモだと思います。

CRCになったはいいけれど、このまま行って、私はどんな立場になれるの? という疑問を感じさせないことです。

しっかりと、キャリアパスができていれば、モチベーションも上がります。

ところで、キャリアパスとは自分の仕事において、過去の職歴から現在の職務を通して今後の希望や予想による職歴まで一貫して俯瞰するためのキャリアプランです。

キャリアパスは仕事の経験やスキルを積みながら自らの能力を高くしていくための順序を系統立て、将来の目的や昇進プラン、キャリアアッププランを具体化、明確化するものである。

キャリアパスを設定することにより目標意識が高まり、仕事に対するスキルも効率良く高めていくことができる。キャリアパスは個人の自己啓発で自らのキャリアを磨いていくために活用するものであると同時に企業の人事部門などが大勢の雇用者の適性を的確に把握し各雇用者に最適な職務を与えるための判断材料として活用されるものでもある。

まぁ、ざっくり言うと、新人CRC⇒中堅CRC⇒シニアCRC⇒CRC部長、とういう道筋をつけてやる、というわけです。



それにしても、私が経験している限りにおいて、人材の開発で難しいのは、実はテクニカル的なところではなく、マインド的なところなのですね。

たとえばGCPを暗記して行動に移せる、というのは、まだ簡単に(と言っても相当難しいのですが)できますが、「燃えるような情熱を持って治験に関わる」という意識を持ってもらうのは、極めて至難の業です。

至難の業ですが、必須です。

では、どのようにして、そんな「燃えるような情熱」を若手に持ってもらうかというと、ひとつの方法として「感染させる」という手があります。

つまり、既に「燃えるような情熱」を持っている人に、新人の教育を任せ、24時間、OJTを受けさせることで情熱を新人に感染させる、というわけです。

こうすると、1年位で、新人の気持ちが「燃え続ける」ようになります。

ただし、前述したとおり、せっかく「燃えている若者」が「燃え尽きないように」キャリアパスを作ってあげることが肝要です。


■■■ 医薬品ができるまで(治験に関する話題) ■■■
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医薬品ができるまで(治験に関する話題)


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「臨床開発モニター、治験モニターへの道」(優秀なモニターになる方法、モニターの教育方法)


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posted by ホーライ at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 治験の活性化 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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