2012年06月26日

医療イノベーション5か年戦略(2)

今週は「医療イノベーション5か年戦略」を見ていきます。
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「医療イノベーション5か年戦略」(2012年版)

医療イノベーション会議(平成24年6月6日)のものです。


さて、今年度から、どうなるの? という話ですが、以下のようです。


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V 分野別戦略と推進方策

V−1 革新的医薬品・医療機器の創出

○ この5年間で、医薬品や医療機器の研究から上市に至る各ステージ(研究資金の集中投入、ベンチャー企業の育成等、臨床研究・治験環境の整備、アジアとの連携、審査の迅速化・質の向上、イノベーションの適切な評価)において、更なる施策を展開する。

○ 創薬支援ネットワークの構築、医療機器の特性に鑑みた規制のあり方の検討、グローバル市場の獲得等の施策についても新たに取り組む。

○ これらの取組により、国際競争力を有し、かつ、国民の保健衛生の向上に寄与する革新的医薬品・医療機器を創出する。

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上記の中で最も重要なのは「ベンチャー企業の育成」でしょうね。

「開発の初期段階から世界展開を見据えた戦略(特許戦略や標準化戦略等)を立案、実践するための人材の育成も行い、我が国の産業の国際展開基盤を強固にする必要がある」わけです。



■■■ 「日本ではなぜ、ベンチャー企業が育たないのか」を検索してみよう。■■■



****** 医療イノベーションの今後の取り組み  *******

1.研究開発の予算の重点化と推進

(1)ライフサイエンス関連予算について、国民の健康増進だけでなく、先進諸国に対する優位性を確保する目的からも、医薬品・医療機器開分野へ重点化する。(平成24年度から実施する。:内閣官房、内閣府、文部科学省、厚生労働省、経済産業省)


(2)米国NIH(National Institutes of Health USA)の取組を参考にして、文部科学省、厚生労働省、経済産業省の創薬関連の研究開発予算の効率的、一体的な確保及び執行について、内閣官房医療イノベーション推進室及び内閣府を中心に関係府省において検討を行う。(平成24年度から検討を開始し、必要な措置を遅くても平成26年度に実施する。:内閣官房、内閣府、文部科学省、厚生労働省、経済産業省)



2.研究開発推進に当たっての横断的視点

研究開発を推進するに当たっては、分野横断的に以下に該当するものを重視するとともに、研究を実用化に結びつけるための指導・助言及び進捗管理を強化する。


(1)対象疾患の本態解明の進歩に基づく革新的、かつ医療ニーズに応える上で優れているシーズを創出する研究開発(毎年度実施する。:文部科学省、厚生労働省、経済産業省)

(2)アカデミア(大学、研究機関等)発等のシーズを用いた研究開発であって独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の薬事戦略相談の活用等出口戦略を明確にした研究開発(毎年度実施する。:厚生労働省)

(3)産学官連携や橋渡し研究などにより、医療ニーズに応える優れたシーズを実用化につなげ、イノベーションを創出するシステム整備及び研究開発(毎年度実施する。:文部科学省、厚生労働省、経済産業省)

(4)医師主導治験及び臨床研究(臨床研究については、国際水準の臨床研究や先進医療として実施することが認められる質の高い臨床研究を特に重視する)(毎年度実施する。:厚生労働省)

なお、医師主導治験や臨床研究の実施に係る研究課題の採択は、治験実施計画書や臨床研究実施計画書の内容を評価した上で行う。(平成24年度から実施する。:厚生労働省)

(5)高度なものづくり技術を有する大学・研究機関、中小企業・異業種企業と医療機関との連携を促進し、医療現場のニーズに応える医療機器の研究開発(毎年度実施する。:厚生労働省、経済産業省)

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ここで、最も期待したいのが、「産学官連携や橋渡し研究などにより、医療ニーズに応える優れたシーズを実用化につなげ、イノベーションを創出するシステム整備及び研究開発」です。

新薬創出の促進策は「オープンイノベーション」にかかっています。

大学での基礎研究による新薬シーズを企業が育薬し、新薬創出に繋げる(産・学連携)ことが重要。

「オープンイノベーションとは・・・・外部の開発力を活用したり、知的財産権を他社に使用させたりすることで革新的なビジネスモデルなどを生み出し利益を得る考え方をオープンイノベーションといいます。ハーバード・ビジネス・スクールのヘンリー・チェスブロウ助教授が提唱しました。社内だけで研究開発を完結するクローズドEイノベーションの対義語としています。」


ちなみに「オープンイノベーション」は3つの型に分類されます。

(1)拠点型:特定の大学を拠点としての連携方法

(2)大学内共同研究型:大学内の研究室単位での連携方法。

(3)研究公募型:大学からのアプローチによる連携方法。

今後の課題は、大学、企業における価値観のミスマッチの解消ですね。


医薬品開発を活性化するためには、医薬品開発の上流となる早期探索的臨床試験を積極的に推進することが望まれます。

現状では(基礎研究から臨床試験へ)橋渡しをする人材の不足から、基礎研究から臨床への連携が不足しているわけです。

今後は、もっと、もっと、ずっと、橋渡しの役割を担う人材育成に注力すべきでしょう。


前にも書きましたが、日本の基礎研究論文の数は世界で第3位なのに、日本の臨床研究論文の数は世界で第30位以下。

つまり、基礎研究の活発さを臨床研究へ活かせていないという現実があります。

その原因は橋渡しする人材が不足しているためです。

「出でよ、人材!」と言えば優秀な人材がポッと出てくる、そんな魔法の言葉があればいいのですが・・・・・・。






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「臨床開発モニター、治験モニターへの道」(優秀なモニターになる方法、モニターの教育方法)


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posted by ホーライ at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 治験の活性化 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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