2012年05月25日

臨床研究・治験活性化5か年計画2012に対する意見(5)

今週は「『臨床研究・治験活性化5か年計画2012(案)』に関する意見の募集について寄せられた御意見について」ということで、治験の活性化5ヶ年計画に対するパブリックコメントうについて見ていきます。
   ↓
臨床研究・治験活性化5か年計画2012(案)」に関する意見の募集について寄せられた御意見について


そもそもこれは、「臨床研究・治験活性化5か年計画2012案に関する意見の募集について」によせられたパブリックコメントです。。


治験の情報をいかにして患者に届けるか、という意見もあります。
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●●●【 意見11 】●●●

疾患に応じた治験のネットワークがあると、治験も早く進むと思います。

窓口等の設置をどこにおくかが難しい問題ではあるが、医療機関に受診する患者様に治験が選べたら良いのではないでしょうか。

症例の確保にもつながると思います。

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  (回答)

貴重な御意見をありがとうございます。

ご意見の通り、計画では、疾患に応じたネットワークの構築を目指していきますので、それにより症例の確保につながるよう取り組んでいきます。

また患者に対する情報提供についても、計画には「臨床研究・治験の情報提供については、国立保健医療科学院の「臨床研究(試験)情報検索ポータルサイト」で実施しているが、さらに、国民・患者が求めている情報を調査・検討し、我が国からのイノベーション発信の観点も踏まえて、利用しやすいものとする。」と記載しており、計画に基づき、取り組んでいきます。

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治験の情報(どんな治験薬を、どこの病院で、いつからいつまでやっているか等)は全て「治験届」として総合機構に治験依頼者から提出しますね。

その治験届の情報を公開すればいいのです。

患者の立場で使いやすい治験情報検索システムを作るべきです。


国立保健医療科学院の「臨床研究(試験)情報検索ポータルサイト」は臨床研究の情報は充実していますが、治験の情報がほとんどありません。
  ↓
国立保健医療科学院の「臨床研究(試験)情報検索ポータルサイト」


製薬協のサイトにも開発中の治験薬を紹介するサイトがありますが、情報量が決定的に不足しています。
  ↓
開発中の新薬

製薬会社がそもそもこの(↑)サイトに自社の治験情報を登録すらしていない会社もありますしね。


まだまだ患者に苦労かけることに何も感じない日本の製薬業界なのでした。




●●●【 意見12 】●●●

・未だに依頼者が病院中のさまざまな課に一つずつ交渉して、治験依頼しなければならない施設がある。

病院内の治験センターの整備に関する勉強会等を開催してほしい。


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  (回答)

貴重な御意見をありがとうございます。

計画には、「治験手続の効率化」について記載しており、今後、計画に基づき、取り組んでいきます。


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上記の(↑)「本来は病院側でやるべきことをモニターがやっているけれど、そろそろ、それ、やめましょうよ。病院のことは病院側でやりましょうよ」という姿勢は最近、見られるようになってきましたね。

そのきっかけはこれ(↓)です。治験等の効率化に関する報告書について
  ↓
治験等の効率化に関する報告書について


上の通知の31ページ「4-3-2 .実施医療機関における治験実施体制の整備と役割分担の適正化」〜33ページ「4-3-3 .事前ヒアリング等の必要性とあり方」に、こうあります。
  ↓
●実施医療機関の長及び治験責任医師が作成すべき文書の作成や治験依頼者から提供を受けた資材のカスタマイズ(当該医療機関用に改変)を今なおモニターに要請している実施医療機関がある

●治験責任医師又は治験責任医師の指示に基づき治験分担医師や CRC などが主体となって、院内調整や関連部署への連絡・情報伝達を行う。

●実施医療機関が治験依頼者から症例ファイルやワークシート、併用禁止薬一覧、治験薬管理表、治験薬使用説明書及び外注検査キットなどの各種治験資材の提供を受ける場合は、治験依頼者が治験実施に際し事前に準備した標準版のみとし、実施医療機関がそれらのカスタマイズを必要と判断した場合は、医療機関側で行う。

●実施医療機関が事前ヒアリングの議事要旨やIRBへの提出資料等の作成を必要と判断する場合は、実施医療機関側で作成する。

・・・・・・など等。

そろそろ病院側と治験依頼者側のヒエラルキーが消えてもいいころですね。

そのためには、治験依頼者側の意識改革も必要だとは思いますが。




治験を実施する人たちの人材教育についての意見もあります。
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●●●【 意見13 】●●●

★★★医療現場ではナースが臨床試験、治験の必要性を理解しておらず「仕事の負担が増える」という認識であることが多く、それが患者さんにも伝わることも少なくない。看護師や薬剤師といった医療スタッフに対しての教育、また学生時代から臨床試験、治験の持つ意味についてしっかり教育していくことが必要ではないか。
   ↓
  (回答)
貴重な御意見をありがとうございます。

計画には、「臨床研究・治験に携わる医療関係職種の育成」について記載しており、今後、計画に基づき、取り組んでいきます。



★★★ナースが夜勤をしたくないからCRCになったという話を聞くことがある。

理由はどうあれCRCが増えることはいいことだとは思うが、一方でそういった職員のモチベーションが低いと感じることがある。

CRCについては臨床試験においてさまざまな要素を調整する必要な立場であることから意識を持って職務にあたれるような研修体制が必要ではないか。

   ↓
  (回答)

貴重な御意見をありがとうございます。

計画には、「臨床研究・治験に関する教育・研修」について記載しており、今後、計画に基づき、取り組んでいきます。



★★★治験中核病院などの医療機関には長期間・安定的な予算配分をして、CRCやDMだけでなく治験事務局やIRB事務局担当者についても増員・配置についても明記すべき

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  (回答)

貴重な御意見をありがとうございます。




★★★国立大学法人をはじめとする公的医療機関の大部分はCRC等支援スタッフを看護師、薬剤師などの従来の身分でのみ区分しており、看護部や薬剤部の人事体系の中に組み込んでいる。必ずしも医療職の資格を有しないCRC、データマネージャー、プロトコールアシスタント、統計専門家をスタッフとして医療機関内で雇用できる体制も必要であり、「資金」としてのみの支援だけでなく「人事枠」としての支援を認識し、ある程度強制力のある通知や通達という形で考慮してほしい。

   ↓
  (回答)

貴重な御意見をありがとうございます。

計画には、「国及び医療機関は、臨床研究・治験の実施に必要な医師や研究を支援する人材の安定雇用と適正な配置、キャリアアップの取組を積極的に行う。」と記載しており、今後、計画にもとづき、取り組んでいきます。




★★★医育機関における臨床研究・治験に関する教育機能を強化することは重要である。

しかし現実の医学教育において、臨床薬理学、臨床疫学、薬剤疫学に関する教育の実施は必須ではなく、関連する講座の設置さえなされていない大学が多数存在する。

多くの場合外部資金による講座設置などで対処されているが、このような講座には運営の公正性にやや問題があることに加えて、講座自体の存続が不安定な状況となり、継続的な教育や医学研究への貢献ができないという問題がある。

したがって、教育機能の充実のためには、医育機関の固有講座としての当該講座設置を義務化し、継続的な教育研修の実施体制を担保するべきと考える。

   ↓
  (回答)

貴重な御意見をありがとうございます。

計画には、「臨床研究・治験に精通する医師の育成」について記載しており、今後、計画に基づき、取り組んでいきます。




★★★医師等の人材育成について、SMO、CROが関与している施設においては、教育が難しい。


   ↓
  (回答)

貴重な御意見をありがとうございます。

計画には、「臨床研究・治験に精通する医師の育成」,「臨床研究・治験に携わる医療関係職種の育成」について記載しており、今後、計画に基づいて、医師会等の職能団体や医学会ともより一層連携し、人材育成を行っていく予定です。


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治験の人材育成は国をあげてやっていた時期もありましたが、そろそろ民営や学会で考えていきましょうよ。

ということで、まだまだコメントが続きますので、これは来週も続けます。


ところで、このパブリックコメントに対する「回答」を読んでがっかりした人もいるのではないでしょうか。

だいたい、決まり文句のように「貴重な御意見をありがとうございます。計画には、「治験手続の効率化」について記載しており、今後、計画に基づき、取り組んでいきます。」というようなとおりいっぺんとうの答えしかしてくれていません。

でも、それはそうですよね、具体的なことを回答したら、厚生労働省はそれを責任を持ってやらざるをえなくなりますからね。

どういう立場の人がパブリックコメントに対する「回答」を作成しているのか分かりませんが、もっと具体的に答えて欲しいところですけれどね。

そうは言っても、私たちも形式的な回答にがっかりすることなく、意見を出していくことは重要です。

そうやって少しずつでもいいので、治験環境を変えていきましょう。


<< 来週に続く >>






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posted by ホーライ at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 治験の活性化 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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