2012年05月03日

日本の治験が進まない理由

再び、■臨床医学分野 科学技術・研究開発の国際比較(2011年版)について見ています。
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臨床医学分野 科学技術・研究開発の国際比較(2011年版)


「国際共同治験」の日本のトレンドはどうでしょうか?
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【実施基盤】

●2009 年度は国際共同治験の治験届けが113 件提出されており、中核拠点病院を中心に施設の受け入れ体制は改善している。

EDC(Electrical Data Capturing、治験データの電子化システム)による治験も増加している。

スタッフの英語力は課題として残されているものの、中核拠点病院ではEDC や症例報告の英語での対応が提言されている。

中核拠点病院であっても欧米等の医療機関と比較すると規模が小さいため、1 施設あたりの症例数が少なく、症例集積性が課題である。


また、医師数も少なく日常業務に追われ、臨床研究を行う時間が限られている。

PMDA の審査部門の職員数は2010 年4月現在で389 名となっており、2006 年4月時点と比較すると倍増している。

日中韓で、臨床試験データの人種的要因や臨床試験に関する情報交換に向けた検討が進められている。




【場の競争力】

●新たな治験活性化5 ヵ年計画のもと、インフラ整備が進んでいる。

中核拠点病院40 施設のほか、グローバル臨床研究拠点2施設(北里研究所、慶應義塾大学病院)が新たに選定された。

2009 年の治験届出数は、初回治験届で119 件、n 回届で553 件となっており2005 年より増加している。

国際共同治験は2007 年が37 件であったのに対し、2009 年では113 件と急激に増加している。

2009 年にclinicaltrials.gov に登録された臨床試験数は344 件だった。

治験コストには改善が見られるものの、さらなる改善が期待されている。



【国際共同治験の現状】

●医薬品開発のグローバル化に伴い、非ICH 地域においても多くの臨床試験が行われるようになった。

韓国は東アジアにおける国際共同治験の主要な国となっている。

日本においては、世界同時開発、同時承認という観点から、規制当局が国際共同治験への参加を強く推奨した。

それに伴って2008 年9 月に「国際共同治験に関する基本的考え方について」というガイドラインがPMDA より示された。

これらによって具体的な要件が明確になったこともあり、日本での国際共同治験が急激に増加した。


グローバル企業を中心として実施され、2009 年は2007 年と比較するとおよそ3 倍の113 件だった。

治験コストや人種的要因の類似性もあり、その7 割にアジアの国々が含まれている。


アジアの国だけで行うアジア治験は日本が企画・マネジメントを行うケースが多い。


●人種的要因について

グローバル開発が推し進められる中で、圏外からのデータが増えたことにより、欧米で人種的要因に関する議論が高まってきている。

EU では人種的要因に関するガイダンスが2009 年に策定された。

東アジア地域では疾患の特性や薬の効果についての人種的要因の類似性があると考えられているため、日本、中国および韓国でそのことに関する研究が実際の薬剤を用いて進められている。

アジア地域での臨床データの人種的要因が明らかになれば、さらにアジア治験が増加することが予想される。



●今後解決すべき課題

1、症例集積性

日本の医療機関の規模の問題もあるが、モニタリングの効率化に寄与し治験コストの改善も期待されるネットワークの構築などの、症例集積に向けた対応が急がれる。


2、英語でのコミュニケーション

EDC やCRF(Case Report Form、症例報告書)など英語の受け入れ環境が整いつつあるが、今後の国際共同治験の増加が予想されるなかで日本が国際共同治験において主導的役割を担っていくにはこれまで以上の向上が望まれる。


3、治験コスト

日本の治験コストは改善が認められるものの、国際競争力を有するためにはこれまで以上の改善が望まれる。

費用算定の透明化、支払い方法の見直しや症例集積性の向上などが必要とされる。


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日本、韓国、中国で、相互に治験データが利用できるとなれば、今後、ますます韓国や中国でアジアンスタディが進み、日本は治験の空洞化が懸念されますが、患者さんにとっては、そんなこと、どうでもいい話です。

日本で治験をやろうが、韓国だろうが、中国だろうが、とにかくに日本国内で新薬が1日でも患者さんに届けばいい話ですからね。

日本の治験関連企業に勤めている私が言うのもなんですが、このままでは治験関連企業は衰退の一歩を免れません。。

重箱の隅を突くようなGCPの「お勉強」ばかりやっていないで、どうしたら、日本で治験が革新的に進むかを考えようではありませんか。

ちなみに「重箱の隅を突くような」とは、以下のような質問が製薬協に来る、ということです。
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(治験119:質問番号:2011-35 公表用治験審査委員会の会議記録概要を議事録で代用することの可否について)

治験119


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治験審査委員会の会議記録概要等の公表につきましては、平成20年の改正GCP省令により規定されているところだと思いますが、この中で、「実施医療機関等のホームページで公表することが望ましいが、体制が整っていない場合には事務所に備えておくこと等により一般の閲覧に供している事で差し支えない」とあります。

当院はホームページはありますが、会議録概要等を公表できる体制が整っていない(定期的にホームページを更新できる職員が院内にいない)ため、書面で治験事務局に備え置いています。

ホームページで公表できないため、GCP上定められている会議記録概要等の作成の必要性をとある製薬会社様に質問したところ、「議事録内に公表に当たって必要とされている項目が網羅されていれば、別に会議記録概要を作成しておく必要はなく、議事録をこれに読み替える事で問題ない」と判断頂き現在に至っています。

閲覧の希望があった場合には、他の治験依頼者の治験はマスキングなど必要な措置は施した状態で、議事録を公表しています。

しかし、最近開始された治験の治験依頼者より「議事録は議事録、概要は概要なので、たとえ議事録上に必要事項が全て網羅されていても、会議記録概要は作成の必要がある。議事録と一緒に会議記録の概要もファイルに保管してほしい」とお話がありました。

ホームページ上で公表できる体制が整っていないため、また、議事録で読み替える事で問題ないとお話もいただいていたため概要を作成していないと説明したのですが、「GCPで定められていますので必要です」との事で、今回の要求に関しては理解に苦しんでいます。

「議事録は議事録、概要は概要」なのか、「内容が網羅されていれば、公表体制が整っていないので議事録に必要事項があれば読み替えて問題ない」なのか、この様な場合、どのように対応したらよいのでしょうか。

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上記の質問をされた方は病院の方(この方は被害者ですね)だと思うのですが、問題は依頼者側の「たとえ議事録上に必要事項が全て網羅されていても、会議記録概要は作成の必要がある。議事録と一緒に会議記録の概要もファイルに保管してほしい」「GCPで定められていますので必要です」という発言です。

こんな発言(依頼者側の)をするのは、そろそろやめませんか?

笑っちゃいました。(本当はこんなアホな質問をした治験依頼者に怒り心頭なのですが。)





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posted by ホーライ at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 治験の活性化 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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