2012年04月17日

人間に初めて治験薬を投与する場合

では、動物実験からヒトを対象とした臨床薬理試験に入る場合、最初の投与量はどう決めるのでしょうか?

「医薬品開発におけるヒト初回投与試験の安全性を確保するためのガイダンス」ではこう記述しています。
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非臨床試験結果から予期できない有害作用が発現し得るリスクを考慮して,初回投与量の設定において推定最小薬理作用量(MABEL:Minimal Anticipated Biological Effect Level)を用いることがある。

なおMABELの設定の根拠とされる薬力学(PD)試験は,必ずしもGLPに準じて行わなくても良いが,信頼性の高いものであるべきである。

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うむ。

なかなか、怖いことですよね、新規化合物をヒトに初めて投与する時は。

ヒト初回投与量を慎重に設定することは,被験者の安全性を確保するために重要な入手可能な全ての情報を考慮して,初回投与量を設定すべきですね。

ただし、どのような情報をどのように利用するかは,ケース・バイ・ケースで判断すべきです.

さて、推定最小薬理作用量とは?
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『推定最小薬理作用量とは』

一般にヒト初回投与量は,最も感度の高い動物種を用いた非臨床毒性試験における無毒性量(NOAEL:No Observed Adverse Effect Level)をもとに,アロメトリック補正,あるいは,薬物動態(PK)情報に基づいてヒト等価用量(HED:Human Equivalent Dose)を算出し,さらに被験薬の特性や臨床試験デザインを踏まえた安全係数を考慮し設定される.

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・・・・・・ということで、動物実験で分かった最大無作用量からヒトに対する初回投与量を決めていきます。


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無毒性量『無毒性量』とは 

複数の用量群を用いた反復投与毒性試験,生殖・発生毒性試験などの動物実験において,毒性学的なすべての有害な影響が認められなかった最高の暴露量のこと.最大無作用量 (NOEL)と同義語として用いられることもある.

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無毒性量ということは、おおまかに言って、『この投与量までは、副作用が出ませんでした』ということですね。

さらに、さらにガイダンスは続きます。



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特定のリスク要因に影響される被験薬については,さらに付加的手法を用いて用量を設定すべきであり,薬力学(PD)に関する情報が有用な場合がある.

つまり,MABELを用いて初回投与量を設定する場合には,ヒトと動物との間で被験薬に対する生物学的活性に差異がないか検討し,以下に示す情報を含めin vitro及びin vivo試験から得られた薬物動態(PK)/薬力学(PD)に関する全ての情報(例えば薬物動態(PK)/薬力学(PD)モデルも含む)を利用すべきである.


@ ヒト及び適切な動物種由来の標的細胞を用いた受容体/標的への結合親和性及び占有率についての試験

A ヒト及び適切な動物種由来の標的細胞を用いた用量−反応曲線

B 適切な動物種を用いた薬理学的用量における推定曝露量


ヒトにおける有害作用の発現を回避するために,安全係数を適用して,MABELから初回投与量を設定する場合には,被験薬の新規性,生物学的活性,作用機序,被験薬の種特異性,用量作用曲線の型等を踏まえ,適切な安全係数を設定すべきである.

ヒトへの初回投与量を設定する上で,NOAEL,MABEL等の設定根拠の違いにより異なる値が得られた場合は,科学的根拠に基づいて初回投与量を決定する.

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どひゃ〜〜! 難しい言葉が羅列されている!!と、思った、そこのあなた!そう、あなたです。

難しい言葉が出てきたら、ネットで検索するなり、社内の適切な人に質問して、今すぐ、疑問を解決してくださいね。


以下の内容も確認してください。
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日本における初回投与量の設定

▼非臨床試験で最も感受性の高かった動物の50%致死量(50%lethaldose:LD50)の1/600以下

▼最大無毒性量(no observed adverse effect level: NOAEL)の1/60*

▼最も感受性の高かった動物の50%有効量(50%effectivedose:ED50)の1/60

▼推定臨床用量の1/20〜1/10

▼最小有効量の1/5以下

▼類似同種同効薬の場合は、その治療量の1/10〜1/5

*安全係数:動物とヒトでのサイズ、組織感受性の差、代謝の差から想定される

*NOAEL:有害作用が検出されなかったもっとも高い量である。
統計的に有意、あるいは統計的に有意でなくとも、臨床的に有意であるかもしれない。
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「日本における初回投与量の設定」



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posted by ホーライ at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 治験の課題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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