2012年04月06日

治験活性化に関する検討:今後、私たちが考えないといけないこと

治験活性化に関する検討:今後、私たちが考えないといけないこと



昨日まで「臨床研究・治験活性化5か年計画2012(案)」について見てきましたが、それに対するパブリックコメントと回答も今後の参考になります。

●「「臨床研究・治験活性化5か年計画2012(案)」に対するパブリックコメント

とても参考になるので、ほぼ全文を下記にコピペします。



■■■ パブリックコメント ■■■


●●●<お寄せいただいた主な御意見のうち、すでに計画案の項目としては記載があり、今後、アクションプランを策定する際の参考にさせていただくもの>


●症例集積性の向上、医師等の人材育成及び確保、国民・患者への普及啓発については厚労省(PMDA)、製薬会社だけでは不十分で、アカデミック(学会等)といかに連携していくが、不明瞭であるため、より具体的な施策が必要。


● 医師主導治験において、基盤研の支援などをもっと有効的に活用してもらうようなアナウンスや、薬事戦略相談など国が新たに取り入れた取り組みについてもっと周知し活用してもらうようアナウンスが必要なのではないか。


● これまでの活性化の取組をベースに、単に延長で終わることなく、さらなる飛躍となるような計画とその実行にしてもらいたい。

そのためにも今回の臨床研究・治験活性化5 か年計画2012 が実施された5 年後の姿を明確にすべきである。

5 年後に医療機関がどのようになっているか、具体的な数値目標(臨床研究をどれだけ実施しているか、臨床研究の論文がいくつ掲載されているかなど)を設ける必要があると思われる。また、今回の計画の進捗の管理、評価を毎年行うなど、

成果を評価する仕組みとそれを行う外部機関等を設置し、評価は公表されるべきだと考える。



● 共同IRB等の活用において、各医療機関ごとに作成されるIC等の取り扱いについてどのように考えていくか。

また、統一書式を活用するなどし、申請書類は一元化が望ましいのではないか。


●モニタリング業務の効率化とあるが、国がサンプリングSDV の基準等を示すなど、具体的に方策を示すべきと思われる。


● 治験を活性化させるためには、例えばPMDAのサイトに患者が検索しやすい語句「例えば卵巣がん、胃がんなど」で現在進行形の治験を探せるようなWEBデータベースを作る必要があるのではないか。

企業が患者会に未承認の薬品についてプロモーションできないこともあり、患者会が患者に情報を届けたくても入手する手段はデータベースしかないが、既存のものはがん種の語句などが極めて難しい。

患者目線のデータベースを作り、それを患者会にリンクするなどの取り組みが必要。


●「臨床研究(試験)ポータルサイト」は一般の患者には使いづらい。

国民・患者が求めている情報を調査するだけではなく、「患者会との意見交換の場を設ける」など、患者の視点を積極的に取り入れる具体的な仕組みを明記する。


● 治験資料の電子化を推進し、医療機関、依頼者の作業の合理化を図る。

例として安全性情報の提供や治験薬概要書、CRF の見本等の変更がある場合、責任医師に試験毎に設けたネット上のサイトにアクセスしてもらい、承認あるいは非承認理由記載)の確認を行う(各資料の確認期限が近づくと自動的に確認依頼メールが配信される)。

その結果を基に、IRB へはネットを介して必要書類を自動提出したり、依頼者においてはモニタリング報告書として、もしくはその一部として利用できるようにする。


● サンプリングSDV の導入には、「治験等の効率化に関する報告書について」にもあるように、実施医療機関での品質管理が実施され、データの信頼性が確保されると判断できる場合に限り、実施できるものであることから、実施医療機関における品質管理のあり方について、検討することが重要であり、そのことを周知する意味で記載をお願いしたい。


● サンプリングSDV 実施にむけた調査・研究について、技術的なことだけではなく、治験実施施設におけるQuality System の構築状況も調査し、是正する必要があると思います。


● 倫理性及び質の向上を図るためには、ICH-GCP を十分に理解した人材が必要になるが、現状医療機関と人材が不足している。

医学教育、施設での教育を実施し、早急に人材を育成することを望む。

企業研修なども教育の一環として有用と考える。


●希少・難治性疾患などの治験情報に関しては、国立保健医療科学院の臨床試験情報ポータルサイトにおいて、様々なウェブサイトの提供情報を集約し、「希少がん」「希少疾患」「難治性疾患」というキーワードを用いても検索できる体制を構築することが望ましい。



● <短期的にめざすこと>に「医療機関自体が機能しなくなった場合を想定し、緊急搬送先での診療フォロー」等を加えてはどうか。



***********

●●●<お寄せいただいた主な御意見のうち、すでに計画案の項目としては記載があるもの、又は今後の取組の参考とさせていただくもの>



●IRB、および倫理審査委員会は機能不全となっており、やはりIRB に対する教育の強化は必要だと感じている。


● エビデンスに繋がる質の高いデータを求める事は必要不可欠であるが、参加する患者さんがあって初めて成り立つ「臨床試験や治験」である。

被験者保護の観点から、医療機関が組織として、どのように責任を果たしていくのかを是非、明確にしていただきたい。


●本当に必要な臨床試験に対するサポート体制がまったく構築されていない。


●橋渡し研究支援推進プログラムにおいて、対象と考えられる疾患が希少であってもバックアップされるような支援を希望。


●臨床試験に関しては「補償」の問題についても研究者に委ねられているが、被験者保護の観点から考えれば国からの補助も考慮すべきである。


●研究資金を様々なところから集めるのに研究者は苦労しています。

各研究資金の使用できる範囲および期間の拡大および複数の資金での雇用など、柔軟な運用体制を整備することは極めて重要とおもいますので、こうした検討を短期的に行うことを明言化していただきたいと思います。


● 企業治験においても、例えば血液がんなどは4 剤併用などという場合があり、その場合、A 薬 B 薬は既承認であり、C 薬 D 薬が未承認の場合、C 薬を開発しようとしたら、その企業がD 薬(他社)の開発費も持たないといけないという場合もあると聞いている。

そういったことの調整する機関(例えば医療上必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議)をもち、開発が進むよう支援する必要があるのではないか。


● 奨学寄付金制度を見直して、基礎研究等も一般的な寄付金制度(寄附要望者が趣意書・詳細な活動計画・予算計画・結果報告・法人活動実績等を提出して企業が審査)に集約すべきである。


● 「被験者の権利の確立」が臨床研究・治験の活性化の不可欠の前提であることを明示したうえで、臨床研究・治験の企画立案の段階から患者が参画することの必要性を指摘し、全体の構成において、被験者の権利や倫理にかかわる項目を「2.日本発の革新的な医薬品、医療機器等創出に向けた取組(イノベーション)」から独立させ、2012 案の1 本の柱と位置づけるべきである。


● 医療現場ではナースが臨床試験、治験の必要性を理解しておらず「仕事の負担が増える」という認識であることが多く、それが患者さんにも伝わることも少なくない。

看護師や薬剤師といった医療スタッフに対しての教育、また学生時代から臨床試験、治験の持つ意味についてしっかり教育していくことが必要ではないか。


●「臨床研究に関する倫理指針」の改正にあたっては、指針として改正するのではなく、法制化を図ることが積極的に検討されるべきことを明記すべきである。

また、法制化の検討は、他の指針やGCPとの関係など、日本の被験者保護全般に関わる事項を整理する場を設けて行うべきことを明記すべきである。


■■■ パブリックコメントは以上 ■■■


なかには耳が痛いコメントもある。

たとえば・・・・・・・

● 倫理性及び質の向上を図るためには、ICH-GCP を十分に理解した人材が必要になるが、現状医療機関と人材が不足している。

医学教育、施設での教育を実施し、早急に人材を育成することを望む。

企業研修なども教育の一環として有用と考える


●IRB、および倫理審査委員会は機能不全となっており、やはりIRB に対する教育の強化は必要だと感じている。



● エビデンスに繋がる質の高いデータを求める事は必要不可欠であるが、参加する患者さんがあって初めて成り立つ「臨床試験や治験」である。

被験者保護の観点から、医療機関が組織として、どのように責任を果たしていくのかを是非、明確にしていただきたい。


●本当に必要な臨床試験に対するサポート体制がまったく構築されていない。


● 医療現場ではナースが臨床試験、治験の必要性を理解しておらず「仕事の負担が増える」という認識であることが多く、それが患者さんにも伝わることも少なくない。

看護師や薬剤師といった医療スタッフに対しての教育、また学生時代から臨床試験、治験の持つ意味についてしっかり教育していくことが必要ではないか。




こういう意見を規制当局も、医療機関も治験依頼者やCRO,SMOも真摯に受け止めて、今後の活動の参考にしていこう!



ついでに、たとえば、こんなこと(↓)は治験依頼者が考えればいいと僕は思う。
 ↓
●モニタリング業務の効率化とあるが、国がサンプリングSDV の基準等を示すなど、具体的に方策を示すべきと思われる。



ちなみに「臨床研究・治験活性化5か年計画2012(案)」の初版に対して以下のような訂正が加えられている。

これはこれで、「何故、文言が変えられたのか」考えながら読むと、非常に、興味深い。
  ↓
「臨床研究・治験活性化5か年計画2012(案)見え消し版



・・・・・・ということで、新入社員も入ってきたことだし、年度も変わり、ここらで心機一転して、みんなで頑張って、より良い治験環境を作っていきましょう。





■■■ 医薬品ができるまで(治験に関する話題) ■■■
   ↓
医薬品ができるまで(治験に関する話題)


■■■ モニターへの道(一人前のモニターになる方法、モニターの教育方法) ■■■
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posted by ホーライ at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 治験の活性化 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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