2011年08月15日

治験(臨床試験)の一般指針・・・科学的な臨床試験のデザインと解析

さくら「臨床試験は、その目的を達成するために、適切な科学的原則に従ってデザインされ、実施され、解析されるべきよね。」

博多小町「ポイントは事前にデザインされた科学的な方法で治験を実施し、解析しなさい、ってことね。」

さくら「そのとおり。その試験結果は試験終了後適切に報告されなければならない。」

博多小町「治験の総括報告書を作成する、ってことね。」

さくら「そう。その総括報告書についてもガイドラインがあるから、それを参照して作成するのよ。」
     ↓
●治験の総括報告書の構成と内容に関するガイドライン(ICH−E3)
     ↓
http://www.pmda.go.jp/ich/e/e3_96_5_1.pdf




博多小町「統計解析のためのガイドラインもあったわね。」


さくら「そう。これね。」
   ↓
●臨床試験のための統計的原則(ICH−E9)
   ↓
http://www.pmda.go.jp/ich/e/e9_98_11_30.pdf




さくら「臨床試験の一般指針に戻るけれど、こんなこともしっかり書かれている。」


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■合理的な医薬品開発の本質は、重要な問題を提起し、適切な試験によってその問題に答えることである。いずれの試験においても主要な目的は明確でなければならず、予めはっきりと記述されていなければならない。


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博多小町「ん?つまり、治験をやる時は、その目的を明確にしておけって、ことね。」

さくら「そう。でも、その目的があやふやな治験ってものが、時にはあるんだな。信じられないことに。」

博多小町「なるほど。」

さくら「臨床試験(治験)のおおまかな実施時期と目的も、このガイドラインの中には提示されているから、覚えておくといい。」




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■試験の種類と時期と目的


●『臨床薬理試験』としては、目的は次のとおり。

*忍容性評価

*薬物動態、薬力学的検討

*薬物代謝と薬物相互作用の探索

*薬理活性の推測


試験の種類としては次のようなもの。

・忍容性試験

・単回及び反復投与の薬物動態、薬力学試験

・薬物相互作用試験



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博多小町「臨床薬理試験って、いわゆるフェーズ1ね。」

さくら「まぁ、そうね。」


博多小町「で、忍容性って何?」

さくら「治験(臨床試験)の忍容性とは、治験薬の副作用がどの程度、被験者に耐えられるか、ということだ。つまり、まぁ、安全性だと思っていいよ。」


博多小町「了解。で、次は?」




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●『探索的試験』としては、目的は次のとおり。

*目標効能に対する探索的使用

*次の試験のための用法用量の推測

*検証的試験のデザイン、エンド ポイント、方法論の根拠を得ること



試験の種類としては次のようなもの。

*比較的短期間の、明確に定義された限られた患者集団を対象にした代用もしくは薬理学的エンドポイント又は臨床上の指標を用いた初期の試験

*用量反応探索試験



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博多小町「なるほど。『探索的試験』とは、従来の言い方で言うと、いわゆるフェーズ2だわね。」

さくら「まぁ、そうね。」

博多小町「あのさ、なんぜ、今までフェーズ1、フェーズ2と呼んでいたのに、ここでは、臨床薬理試験と言ったり、探索的試験って言うの?」

さくら「フェーズ、というのは、どちかと言うと、継時的に治験を呼んでいたんだ。だけど、その継時的に治験を表すのが適切とは言えない、場合もあるのよ。」

博多小町「たとえば?」

さくら「たとえば、フェーズ2まで治験が進んだけれど、安全性や薬物動態に疑問が出てきたら、もう一度、フェーズ1をやり直すこともあるわよね?」

博多小町「あるでしょうね。」

さくら「そんな時に、そのやり直すフェーズ1をどう呼んだらいいのか、とか、あるいは、従来のフェーズ2とフェーズ3を兼ね合わせたような試験というのも考えられるわけ。
そうなると、継時的な呼び方よりも、試験の目的で分類したほうが適切、っていう場合もあるのよね。」




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「医薬品の臨床開発は四つの逐次的な相(第T相-第W相)から成り立つ」と言われることがある。

しかし、ある種の臨床試験は複数の相において実施されることもあることから、開発の相という概念が臨床試験の分類の基礎としてふさわしくないことを認識するのは重要である。

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博多小町「あら?それだけ?」

さくら「うん。それだけ、と言えば、それだけ。でも、このちょっとした発想の転換で、治験が柔軟的に進められるようになったんだけどね。」


博多小町「なるほど。で、次は?」




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●『検証的試験』としては、目的は次のとおり。

*有効性の証明/確認

*安全性プロフィールの確立

*承認取得を支持するリスク・ベネフィット関係評価のための十分な根拠を得ること

*用量反応関係の確立


試験の種類としては次のようなもの。

*有効性確立のための適切でよく管理された比較試験

*無作為化並行用量反応試験

*安全性試験

*死亡率/罹病率をエンドポイントにする試験

*大規模臨床試験

*比較試験


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博多小町「で、これがいわゆるフェーズ3ね。」


さくら「そういうわけ。一口で言うと、『承認取得を支持するリスク・ベネフィット関係評価のための十分な根拠を得ること』ってことね。」

博多小町「ふ〜〜ん、こういうことが『臨床試験の一般指針』に書かれているわけね。」



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posted by ホーライ at 20:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 臨床試験の一般的原則 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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