2011年08月08日

高血圧の治験の薬物動態試験及び薬力学的試験

かぐや姫「降圧剤の薬物動態試験はどうなの?」

カルシファー「薬剤の吸収・分布・代謝・排泄は薬剤により異なるので、健康成人における薬物動態試験は必須である。」

かぐや姫「そりゃそうよね。」

カルシファー「また、高血圧患者についての薬物動態に関する検討も必要である。」

かぐや姫「そうか、患者さんを使っての薬物動態試験も必要なのか。」

カルシファー「さらに、腎障害を合併している高血圧患者での薬物動態試験は必須だからね。」

かぐや姫「了解!」


カルシファー「医薬品の臨床薬物動態試験についても参考にする必要がある。」
     ↓
http://www.nihs.go.jp/phar/material/material2/ClPkQa.pdf




かぐや姫「薬力学的な試験はどうなの?」

カルシファー「降圧薬の薬力学的な特徴を明らかにするために、血行力学的作用、腎機能に及ぼす作用、神経体液性因子に対する作用等について評価する試験が必要ね。」

かぐや姫「う〜〜〜ん、検討することがたくさんあるんだ!」

カルシファー「一般的には、その作用の強さ、用量反応関係、これらの作用の時間経過等を明らかにしておくことが有用よ。」

かぐや姫「そうね。それは他の治験でも同じね。」

カルシファー「これらの試験は、原則として、プラセボを対照として実施して。」



●高血圧の治験の降圧効果評価の基本


かぐや姫「降圧剤の治験では、その降圧降下はどう評価するの?」

カルシファー「降圧効果を評価するための試験における主要評価項目(プライマリーエンドポイント)は、対照薬群と比較した場合における被験薬群のトラフ時(次回の服薬直前)の血圧の治療前値からの変化値とします。」

かぐや姫「なるほど。トラフ値が重要となるわけか。」



★★★★★★★★★★

トラフ値とは薬物を反復投与したときの定常状態における最低血中薬物濃度。

★★★★★★★★★★



カルシファー「一般的には、試験終了時の血圧に及ぼす影響が主要評価項目であるが、効果の発現する時間的経過もまた重要である。」

かぐや姫「なるほど。継時的な変化にも注目と。」

カルシファー「この点は、1週又は2週ごとにトラフ時の血圧変化を調べることによって明らかにすることができるわね。」

かぐや姫「これらの降下はどれぐらいの期間で調べればいいの?」

カルシファー「降圧効果及び用量反応関係は、4ないし12週間の短期間の試験で検討し、またこれらの短期間の試験においては、プラセボを対照として使用します。」

かぐや姫「じゃ、4週間でもいいわけか。プラセボ対照は必須なの?」

カルシファー「血圧測定は、次の理由から降圧効果を厳密に評価するための試験においては、プラセボを対照とした二重盲検比較試験が必須よ。」


■無拘束下血圧測定(ABPM)による測定を除き系統的な偏り(バイアス)を生じやすいこと

■血圧の自然変動が大きい場合があること

■また、被験薬の効果がしばしば小さいことがあること(収縮期あるいは拡張期血圧の変化がプラセボに比べて4ないし5 mmHg程度の差しかないこともある)




●血圧日内変動測定

かぐや姫「血圧の日内変動を測定したいんだけれど、これはどうすればいい?」

カルシファー「血圧日内変動測定には、自動血圧測定装置による家庭血圧測定を利用できる場合があるが、その場合には測定装置の精度検定が必要である。」

かぐや姫「そっか。装置の精度を検定しておくことね。」

カルシファー「さらに、ピーク時とトラフ時の血圧が著しく異なる場合には、投与回数を増やした試験において降圧効果のトラフ/ピーク比(T/P比)を評価します。」

かぐや姫「無拘束下血圧測定(ABPM)を採用するときの注意点は?」

カルシファー「ABPMを実施する際には、血圧の測定間隔、患者の状態等の測定法を詳しく記載し、標準化しておく必要があるわね。」




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posted by ホーライ at 17:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 降圧剤の治験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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