メタルナイト「今度開発することになったHORAI001について説明します。」
秘密研究員「このHORAI001は神経毒と言われているグルタミン酸から神経を守るとされています。」
メタルナイト「それで?」
秘密研究員「適応疾患として考えられているのがALS(amyotrophic lateral sclerosis:筋萎縮性側索硬化症)と「てんかん」を想定しています。」(フィクションです。)
メタルナイト「今回はオーファンドラッグ指定を受けるためにまずはALSの治療薬として開発を進め、その効能が取れたら、次に「てんかん」に適応させていく予定です。」
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●オーファンドラッグ(Orphan Drug)
医療上の必要性は高いが、 薬を必要とする患者数が少ない病気に使う医薬品のこと。
訳して「希少疾病用医薬品」と言います。
法的には(薬事法では) 対象患者が5万人以下の、稀な疾患に用いる医薬品のことを言います。
●オーファンドラッグ指定を受ける基準
▼日本において対象患者数5万人未満の疾患に用いる医薬品
▼ 医療上、特にその必要性が高い医薬品(代替医薬品や治療方法がない、既存の医薬品と比べ、著しく有効性・安全性が高い)
▼開発の可能性が高い医薬品(使用する理論的根拠および開発計画の妥当性がある)
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秘密研究員「オーファンドラッグ指定を受けると、どんなメリットが製薬会社にはあるの?」
【支援措置】
▼助成金の支給(開発費の2分の1まで)
▼医薬品医療機器総合機構による指導・助言
▼税制上の優遇(開発の経費負担軽減に、法人税額の14%を限度として、助成金を除く試験研究費の15%の税額を控除)
▼優先審査
▼再審査期間の延長(最長10年まで)
メタルナイト「でも、功罪があり、罪のほうはこんなことが言われている。」
↓
http://www.nikkei-science.com/page/magazine/0309/drug.html
秘密研究員「アメリカでは1983年に「オーファンドラッグ法」が制定され、アメリカ食品医薬品局は対象患者が20万人以下の医薬品をオーファンドラッグとし、税制上の優遇にくわえ7年間の市場独占権を認めているが、他の一般的な病気にも有効で製薬企業やバイオテクノロジー企業が大きな利益を得るケースが相次ぎ、過剰保護との指摘もある。」
メタルナイト「当社も同じ批判を受けるかもしれません。つまり、ALSでオーファン指定を受けて、早期に市場に出し優遇措置を受け、、その後、ゆっくりと「てんかん」に対する効能を取るのではないのか、と。」
秘密研究員「そういう面も否めない。」
メタルナイト「でも、やはり治療薬が少ない疾患に対して早く治療薬を提供したい、というのが製薬会社の使命だと思う。」
秘密研究員「ALSと「てんかん」を同時開発すればいいんじゃないの?」
メタルナイト「そりゃそうだ。」
秘密研究員「次はデーモン製薬会社と共同開発する「HODE001です。対象疾患は大腸がんです。」
メタルナイト「製薬業界って、他の業種に比べて他社との『共同開発』が多いよね。」
秘密研究員「そうね。研究費が膨大だし、ベンチャー企業が出やすい業種ということもある。」
メタルナイト「この論文が面白いよ。」
↓
http://www.tku.ac.jp/kiyou/contents/economics/262/262_nakamura.pdf
秘密研究員「日本の製薬業界を眺めてみると、『顔ぶれ』が変わらないというのが特徴だよね。」
メタルナイト「そうだね。上記の論文によると(よらなくてもすぐに分かるが)、1990年の製薬会社売上トップ10と1998年代のトップ10に入っている製薬会社は8社が重なっている。」
秘密研究員「アメリカでは10社中6社が入れ替わった。」
メタルナイト「上位の製薬会社への集中度もそんなに高くない、というのも日本の製薬産業の特徴だ。」
秘密研究員「ところで、デーモン製薬会社との提携は今後も強く持っていき、場合によってはM&A(mergers and acquisitions(合併と買収))も視野に入れることにしました。」
メタルナイト「どうしてデーモン製薬なの?」
秘密研究員「デーモン製薬は「がん」領域に強く、開発パイプラインも充実しています。いっぽう、当社の今後5年の企業戦略としてアンメット・メディカル・ニーズを補うとして、「がん」を最重点領域と定めました。」
メタルナイト「そうだね。自社だけではいけない?」
秘密研究員「当社の「がん」領域の現在のパイプラインとしては非臨床試験にあるものも含めても5プロダクツしかありません。」
メタルナイト「しかも抗体薬品が無い。その点、デーモン製薬は抗体薬品が8プロダクツあります。他の作用機序も含めると抗がん剤としてのパイプラインは20です。これは非常に魅力的です。」
秘密研究員「今後もプロダクツの成否を精密に分析していき、デーモン製薬をM&Aする費用を考えても、効果が大と判断されたらM&Aしていきたいと思います。」
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