ちゃちゃ 「なんだって?」
黒丸「患者さんの田中さん(被験者識別コード:A-001)が今朝、入院したって。」
ちゃちゃ 「それは大変だ。電話してみるよ。」
ちゃちゃ「もしもし、山田先生ですか?ホーライ製薬のちゃちゃです。」
山田医師「あ、さっき、電話した件?」
ちゃちゃ「そうです。患者の田中さんが入院されたそうで?」
山田医師「そうなんだよ。」
ちゃちゃ「その田中さんとは被験者識別コードがA-001番の田中さんですか?」
山田医師「そう。その田中さん。」
ちゃちゃ「入院されたというのは、どのような理由ですか?」(電話をしながら、必ずメモを取る。このメモをもとに「重篤な有害事象報告」の第1報を作成しよう。)
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重篤な有害事象(SAE:Serious Adverse Event)
投与量にかかわらず、医薬品(治験薬を含む)が投与された際に生じたあらゆる好ましくない医療上のできごと(有害事象)のうち、以下のものを言います。
●死亡に至るもの
●生命を脅かすもの
●治療のため入院又は入院/加療機関の延長が必要なもの
●永続的又は重大な障害/機能不能に陥るもの
●先天異常を来すもの。
(「治験中に得られる安全性情報の取扱いについて」に関するICHガイドラインによる定義より)
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山田医師「田中さんね、昨日から風邪気味らしかったんだ。それで近所のクリニックに行って、抗生剤を出されて、それを飲んだ直後からショック症状が出て、救急車で運びこまれたんだよ。」
ちゃちゃ「ショック症状ですか。今のご容体はどうなんでしょう?」(まずは、患者さんの容体を確認しよう。あたりまえだけど。)
山田医師「エピネフリン投与で症状は軽快しているよ。明日には退院できるんじゃないかな。」
ちゃちゃ「分かりました。それでは先生、本日、お時間がありますでしょうか?これからお伺いしたいのですが・・・・・・・。」
山田医師「え〜とね、今日は午後5時以降ならいいけれど、何かご用かな?」
ちゃちゃ「はい。重篤な有害事象が発生した場合、『重篤な有害事象報告書』というものを作成頂き、病院長と治験依頼者に提出する必要があります。」
山田医師「そうなの?なんで?」
ちゃちゃ「治験中のことですので、その有害事象が副作用なのか、そうではないのか、という判断が重要になってきます。」
山田医師「うん。でも、今回のショック症状は明らかに抗生剤のせいで、治験薬とは全く因果関係が無いんだけど、それでも?」
ちゃちゃ「はい。治験中のこのような安全性情報はのちのちにも重要な情報となりますので、報告書の作成をお願い致します。それに、実は、GCPでも、そのように決められているんです。」
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GCP省令の第48条
2 治験依頼者が治験を依頼する場合にあっては、治験責任医師は、治験薬の副作用によると疑われる死亡その他の重篤な有害事象の発生を認めたときは、直ちに実施医療機関の長に報告するとともに、治験依頼者に通知しなければならない。
この場合において、治験依頼者、実施医療機関の長又は治験審査委員会から更に必要な情報の提供を求められたときは、当該治験責任医師はこれに応じなければならない。
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山田医師「う〜〜ん、忙しいんだけどな・・・・」
ちゃちゃ「あ、お手間はかかりません。多分、10分程度で終わると思います。」(相手の気持ちの負担を軽くしてあげること。)
山田医師「そう。じゃ、5時に医局に来て。」
ちゃちゃ「はい。承知致しました。」
黒丸「どうだった?」
ちゃちゃ「抗生剤のアナフィラキシーショックで緊急入院したみたい。これから山田医師を訪問するけれどね。その前に、この第一報をファーマコビジュランス部に届けていくわ。」
黒丸「大変だね。」
ちゃちゃ「まぁ、いつものことだから。」
●●●明日は・・・「モニタリング報告書はいつ書くの?」●●●
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