2011年05月28日

治験責任医師を訪問する(その1)治験の打診・内諾を得る

アカギ「こんにちわ。ホーライ製薬のアカギです。本日は更年期障害の治験の件で参りました。2時からアポイントを頂いておりましたが、今、お時間よろしいでしょうか?」

築地先生「はい。いいよ。どうぞお座りください。」

アカギ「ありがとうございます。失礼します。(名刺を出して)改めまして、ホーライ製薬の●●です。よろしくお願い致します。」

築地先生「ああ。これ、僕の名刺。」

アカギ「ありがとうございます。(両手で名刺を頂き)頂戴致します。」

築地先生「まぁ、座ってよ。」

アカギ「はい。それでは早速ではございますが、今回、ホーライ製薬では更年期障害の治験を予定しております。つきましては先生に治験をお願いしたいと思っております。」

築地先生「ふ〜ん、更年期障害の治験ね。」

アカギ「はい。2、3、お聞きしたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」

築地先生「うん。いいよ。なんだい?」

アカギ「先生は、今までの治験のご経験はございますか?」

築地先生「うん。あるよ。」

アカギ「いくつぐらい、ご経験されていらっしゃいますか?」

築地先生「う〜〜とね、治験責任医師としては1つだけど、治験分担医師としては5つぐらいあるな。」

アカギ「更年期障害の治験のご経験はございますか?」

築地先生「うん。1回、やったことがあるな。」(GCP省令第42条:「治験責任医師の要件」のクリアをチェック。あとで履歴書でも確認する。)

アカギ「失礼ですが、その時は、何人ぐらいの患者さんを登録されましたでしょうか?」

築地先生「え〜と、多分、5人ぐらいだったと思う。」

アカギ「そうですか。実は今回の更年期障害の治験は今年の6月から来年の3月までお願いしたいところですが、可能でしょうか?」

築地先生「そうね・・・今、治験を何もやっていないから、大丈夫だと思うけれどね。」

アカギ「はい。ありがとうがざいます。」



***************

(GCP省令第42条:「治験責任医師の要件」の運用について)

5 治験責任医師は、

  合意された期間内に治験を適正に実施し、
  終了するに足る時間を有していなければならない。


6 治験責任医師は、

  合意された募集期間内に
  必要数の適格な被験者を集めること
  が可能であること

  を過去の実績等により
  示すことができなければならない。

******************


アカギ「これから、少し、今回の治験の概略をご説明したいのですが、まだ、お時間よろしいでしょうか?」

築地先生「ああ。いいよ。どんな治験なの?」

アカギ「はい。今回の更年期障害の治験は女性ホルモンのエストロゲンを皮膚から吸収させるパッチ剤を考えております。」

築地先生「なるほど。そう言えば、市販薬にもパッチ剤のエストロゲンがあるな。」

アカギ「今回のパッチ剤の特徴は、とても薄く、また、かぶれにくいもので、1枚で3日間、エストロゲンを持続的に一定の量を吸収させることができます。」

築地先生「うん。今の市販薬のやつは、少し、かぶれる人がいるんだよね。」

アカギ「治験のデザインとしては、後期第2相臨床試験、というもので、至適用量検索試験です。」

築地先生「用量の検索、ということか?」

アカギ「はい、そうです。プラセボ、5mg、10mg、20mgの4群で検討致します。各群90例で全体としては360例が目標症例数です。」

築地先生「なるほどね。プラセボが入っているのか・・・・・やっかいだな。プラセボが入る治験てさ、患者さんが嫌がるんだよね。」

アカギ「はい、そのとおりだと思います。ですので、治験の説明の際には、いつでも治験をやめて、通常の治療に移行できることを強調して頂きたく、お願い致します。」

築地先生「で、僕は何例なのかな?」

アカギ「はい。8症例をお願いしたいと思っておりますが、いかがでしょうか?」

築地先生「そうね。ちょっとプロトコルを読んでみないと何とも言えないな。」

アカギ「では、少しプロトコルの概略をご説明いたします。今回の治験の『選択基準』ですが、閉経後1年以上で更年期障害の方、または卵巣摘出手術をされたかたです。」

築地先生「うん。普通だな。」

アカギ「はい。『除外基準』としては乳がんの既往のある方などとなります。」



******(中略)******



アカギ「ご説明は、以上となります。いかがでしょうか?3月までに8例なのですが・・・・・。更年期障害の方はどれくらいいらっしゃいますか?」

築地先生「だいたい、1日に20人ぐらいはくらから、8症例なら、大丈夫だと思うよう。」

アカギ「では、治験をお請け頂けるとということでよろしいでしょうか?」

築地先生「うん。いいよ。」(治験の内諾を得る。)

アカギ「ありがとうございまう。では、こちらが今回のプロトコルと症例報告書、同意説明文書の案、治験薬概要書になります。これらをご検討頂きまして、先生より合意をお願いしたいと思いますが、ご検討にはどれくらいかかりますでしょうか?」

築地先生「そうね・・・・1週間もあれば、検討できるかな。」

アカギ「そうしましたら、来週、まらお伺いしたいと思いますが、何曜日がよろしいでしょうか?」(その場で、アポを取ることを忘れない。)

築地先生「水曜日の6時に医局に来て。」

アカギ「承知致しました。その時ですが、先生の履歴書もお願いしたいのですが、よろしいでしょうか?」

築地先生「ああ。わかった。」

アカギ「先生、また、今回は治験分担医師の方やCRCの方もいらっしゃいますでしょうか?」

築地先生「うん。いるよ。その予定。」

アカギ「では、それでしたら、治験協力者リストの作成もよろしいでしょうか?」

築地先生「ああ。来週までに作っておくよ。」

アカギ「ありがとうございます。」


*********************

GCP省令第43条:

 1 治験責任医師は、当該治験に係る治験分担医師又は治験協力者が存する場合には、分担する業務の一覧表を作成しなければならない。

*********************


アカギ「では、来週の水曜日、午後6時に医局に参ります。本日は、ありがとうございました。」




■明日へ続く


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posted by ホーライ at 15:03| Comment(0) | TrackBack(1) | 治験の方法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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