●「臨床研究に関する倫理指針」の改正案に関する意見募集の結果について
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http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495080030&Mode=2
いつものとおり気になる点だけピックアップしています。
是非、全文を読まれることをお勧めします。
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Q
被験者に対する説明文書に記載しなければならない事項を、「介入を伴う研究」「観察研究」ごとに明示すべきである。
「介入を伴う研究」「観察研究」のいずれにおいても、「当該研究が試験を目的とするものであること」を、説明同意文書に記載すべき項目として加えるべきである。
臨床研究は患者の治療を研究対象とすることから、研究と治療の区別が曖昧になる危険性がある。
患者は医師が「常に患者の最善の利益のために行動」することを期待するものであるから、そこに「試験」という意図が持ち込まれる場合は、それを知らされ納得の上で研究に参加しなければならない。
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A
インフォームドコンセントは、御指摘の趣旨です。
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Q
人体より採取された試料を用いない観察研究についてはインフォームド・コンセントを受けることを必ずしも必要としない、とされるようである。
しかし、個人情報保護法の実質的な規定が除外される学術研究機関における学術研究以外については、同意のない個人情報の目的外利用は同法の違反となる。
従って、研究実施についての情報公開のみでは目的外利用は正当化されないことを、指針に細則として明確に注記すべきである。
これを明記しない限り、法令違反を行政が意図せず推奨する結果となるおそれがある。
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A
個人情報の保護に関する法律(最終改正・平成15年7月16日法律第119号)により、「大学その他の学術研究を目的とする機関若しくは団体又はそれらに属する者 学術研究の用に供する目的」は、同法の適用が除外されていますが、これに当たらない機関については、同法の対象となります。
本指針前文においても入念的に同法の遵守を求めているところから、そのような臨床研究機関に対して、あえて重複する細則を追加する必要はないものと考えます。
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Q
インフォームド・コンセントで観察研究の場合、研究が侵襲性を有しないとは、一般臨床で採取された組織や血液の余剰分や、採血時に余分に採血する場合もはいるのか。
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A
採血は侵襲にあたると解されます。
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Q
侵襲性を有しない観察研究には文書同意を必要としないとするのは、現行の指針より後退することを意味しないでしょうか。
「被験者への説明の内容及び被験者が同意したことに係る記録を作成しなければならない」ということは、文書同意を取ることが不可能な状況ではないわけですから、原則として文書同意は必要とするべきです。
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A
疫学研究に関する倫理指針との整合性を考慮しています。
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Q
16歳以上の場合であっても倫理審査委員会が承認し、臨床研究機関の長が許可した場合には、当該被験者本人からインフォームド・コンセントが可能とあるが、今後GCPにおいても同様の改訂を期待する。
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A
被験者が未成年者の場合のインフォームド・コンセントの取扱いについて、基本的に現行の指針の取扱いを変更しないこととしました。
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Q
「研究開始前に人体から採取された試料の利用については、原則、被験者の同意を得ることとするが、同意の取得ができない場合であっても、以下のいずれかに該当する場合には、倫理審査委員会の承認及び臨床研究機関の長の許可を得たときに限り、利用することができる。」とあるが、「同意の取得が出来ない場合」とはどのような場面を想定しているのか解説が必要と考えます。
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A
被験者が過去に血液などを提供し、被験者本人の所在が不明な場合などが例としてあげられます。
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Q
2-「「第5 試料等及び他の機関での利用について」(2)他の機関の試料等の利用について
他の機関の試料等の利用について、倫理審査委員会の承認に加えて、法人の代表者、行政機関の長等の許可を得なければならないとしたら、不必要に長大な時間と多大な労力を費やすことになる。
倫理審査委員会と当該研究機関の長の承認で十分ではないのか。
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A
本改定においては、様々な研究機関の形態を考慮して、「組織の代表者等の許可を得なければならない。」としていますが、意味としてはご指摘のような倫理審査委員会と臨床研究機関の長の承認ということになります。
ご指摘踏まえまして、「組織の代表者等」の役割につきましては、臨床研究機関の長等に委任できるよう修正を行っています。
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Q
2-「「第5 試料等及び他の機関での利用について」(2)他の機関の試料等の利用Aの(ア)について
試料等は患者のものであることから、臨床研究機関の長への報告のみでは不十分であると考える。
少なくとも倫理審査委員会の承認が必要ではないか?
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A
疫学研究に関する倫理指針第4の3の(1)の@の規定を取り入れたものであり、疫学研究に関する倫理指針で採用されたものと同様の基準としてあります。
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Q
「個人の尊厳」は全て「人間の尊厳」に変更した理由を説明願いたい。
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A
個人個人に対する尊厳のみならず、医学研究は人間としての尊厳に配慮するものである趣旨の記載としています。
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「個人の尊厳」と「人間の尊厳」の違いがいまいち、よく分かりません。(ホーライ)