●「臨床研究に関する倫理指針」の改正案に関する意見募集の結果について
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http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495080030&Mode=2
いつものとおり気になる点だけピックアップしています。
是非、全文を読まれることをお勧めします。
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Q
1.「臨床研究に関する倫理指針」の改正案の概要(案)において、『「介入を伴う研究」における「介入」とは、「予防、診断、治療、看護ケア、リハビリテーション等について、(ア)通常の診療を超えた医療行為を研究として実施するもの』とある。
ここでいう「通常の診療を超えた医療行為を研究として実施するもの」とは、医療法第1条の2「医療は、生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とし、医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係に基づき、及び医療を受ける者の心身の状況に応じて行われるとともに、その内容は、単に治療のみならず、疾病の予防のための措置及びリハビリテーションを含む良質かつ適切なものでなければならない。」にいう「医療」の範囲内で行われるものと解してよいのか、あるいは、同条にいう「医療」の範囲を超えた行為を研究として実施する、という意味であるのか、明確でない。
細則またはQ&A等で、法理論的根拠とともに明確に示していただきたい。
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A
QA等で対応を検討させていただきます。
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Q
2.医療法第1条の4では、「医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手は、第1条の2に規定する理念に基づき、医療を受ける者に対し、良質かつ適切な医療を行うよう努めなければならない。」とある。
「介入研究」において、例えば、効果・安全性が全く未確認の製造物を世界で初めて患者に投与する行為(first-in-human試験)は、医療法第1条の4に違反することにならないのかどうか、明確でない。細則またはQ&A等で、法理論的根拠とともに明確に示していただきたい。
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A
医療法には抵触しないものと考えますが、御指摘の点について今後の検討課題とさせていただきます。
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Q
3.健康人を対象として研究目的で医薬品・未承認の製造物を人体に投与する行為が、臨床研究として行われている実情があるが、このような行為についても、医療法第1条の2、医療法第1条の4に照らし適法と言えるのか否か。細則またはQ&A等で、法理論的根拠とともに明確に示していただきたい。
医療法以外の法令に照らし適法と言える場合には、その法的根拠をお示しいただきたい。
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A
医療法には抵触しないものと考えますが、御指摘の点について今後の検討課題とさせていただきます。
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Q
【倫理指針外】として、「疫学研究に関する倫理指針」との一体化の検討が示されておりますが、現在発令されている種々の指針類ではカバーできない「人を対象とする研究」があると思われます。
それは、社会科学分野における研究などです。
この領域の研究は、採血や試料採取といった人体に対する直接的な侵襲を伴うものではありませんが、例えばインタビュー調査の質問内容や聞き方によっては、被験者の精神面への悪影響を及ぼす可能性は十分に想定できるものです。
このような研究も含めた倫理審査ができるよう、将来的には、「人を対象とする研究」を一元的に扱う指針、又は法律の策定が必要ではないかと考えます。
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A
2つの指針の一体化等は次の改正時の検討課題です。
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Q
現在、製薬企業から依頼される使用成績調査・特定使用成績調査には、「薬事法第14条の4及び第14条の6に規定されている再審査・再評価の際に提出すべき資料の収集のために実施する調査」以外に、下記の調査があります。
(1) 再審査・再評価に係わらない調査(総合機構に調査基本計画書及び調査実施計画書等が提出されていないもの)
(2) 薬事法第14条の4及び第14条の6に規定されている再審査・再評価の際に提出すべき資料の収集のために実施する調査であるが、
@ 再審査・再評価期間が終了している。
A 介入や実験的項目が実施要綱に定められている。(日常診療では行なわれない評価方法や検査項目等が実施要綱に定められている)
B 患者情報や生体資料或いは画像情報等が調査依頼者、総合機構及び厚生労働省以外の第三者へ提供されることが実施要綱に定められている。
C 製薬企業以外の研究者等により調査結果が学会発表や論文として公表される。
D 保険診療以外の費用が発生する。
上記(1)及び(2)の調査についても、調査を依頼する製薬企業としては、省令GPSPに従い、調査実施医療機関との契約締結は必須だが、本臨床研究に関する倫理指針の適用対象(範囲)となるのか、あるいは、どこまで適用されるか等、本倫理指針における位置付けを明確にする必要があるのではないか。
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A
本指針は薬事法における規制等の他の規制の対象となる研究調査は対象としていません。
薬事法の下で実施される研究かどうか、研究の実施時点で依頼者等とよく相談をいただき、対象とならないものであれば、本指針又は疫学研究に関する倫理指針等の関連指針を遵守してください。
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Q
未承認の医薬品・医療機器を使う研究に公的健康保険を併用できるよう臨床研究を法制化すべきとの研究者からの要望があったのに対し、これが退けられ、公的健康保険の併用が可能な「高度医療評価制度」について追加記載されている。
行政指導により医薬品・医療機器を使う介入研究につき登録公開を義務づけるのであれば、登録公開されている研究であって高度医療評価制度に申請されていない未承認の医薬品・医療機器を使用する臨床研究について、行政的にいかなる対応をするのかを検討の上、指針に明記すべきである。
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A
医療保険を併用したい者は高度医療評価制度に申請することとされています。
医療保険の対応は指針本文とは独立したものです。
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Q
現在、本邦における臨床試験で最も不明確なのは適応外使用の問題であると考える。
特に髄芽腫等の小児悪性腫瘍の大量化学療法に使用されているブズルファン、サイオテパ、メルファランに関しては投与環境の整備もなく、効果的であるという海外のデータを引用する形で、公に臨床試験が進んでいる事実が厳然として存在している。
「臨床試験に関する治療指針」を改正する際に、臨床試験における薬剤の適応外使用に関する指針を細目の形で示せないか。
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A
適応外使用の問題については、医学薬学上公知のデータによる承認申請等、様々な対策を行っています。
厚生労働省医政局研究開発振興課にお問い合わせ下さい。
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Q
「臨床研究の倫理指針に関する専門医委員会において、関係者に対して要請する事項」の(6) 厚生労働省は倫理審査委員会の委員について研修・教育の機会を提供する。
(7) 厚生労働省は、現在利用可能なe-learningに係る情報の普及・啓発に努めるについて、治験についても同様の扱いとされることを望む。
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A
治験・臨床研究と共通の事業として行っています。
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Q
臨床研究倫理指針を遵守した研究においては、高度医療評価制度の適用対象となる研究だけでなく、全ての臨床研究において保険診療との併用を可としていただきたい。
またGCP同様、被験者協力費、被験者募集広告についても可としていただきたい。
臨床研究基盤の整備のためには治験同様の環境が必要と考える。
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A
保険併用については高度医療評価制度により現行制度に基づいて対応をお願いしています。
臨床研究基盤の整備に努めてまいります。
なお、医療機関が臨床研究の被験者募集を行うことは可能と解されます。
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Q
「臨床研究の倫理指針に関する専門委員会において、関係者に対して要請する事項について」の「(8) 被験者の補償に関する保険について」のBに関して、補償を行うための健康被害と臨床研究の因果関係については、第三者の判断が行われるべき旨が記載されているが、倫理審査委員会の責務として規定すべきと考える。
一方で、これは「補償を行うための健康被害と臨床研究の因果関係」であって、その他の有害事象(重篤を含む)には適用されないことを確認したい。
因果関係判断をすべて倫理審査委員会が行うことは、実務的にも困難であり、またGCPとの不整合も問題となる。
また、健康被害と臨床研究との因果関係の判断を、倫理審査委員会が行うのが困難であるのなら、厚生労働省からの委託機関にてその機能を有する仕組みを設け、利用可能とすることが望ましいと考える。
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A
貴見のとおりです。厚労省からの委託機関については今後の検討課題といたします。
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Q
現在、臨床研究で用いる有効成分含有物(以下、臨床研究薬)および対象薬については、薬事法上での取扱いの規定がないため、
1.臨床研究薬として、どの程度の非臨床のデータがあればよいか
2.どの程度の施設での製造であれば認められるのか
3.国内製造及び国外製造の臨床研究薬の授受はどの様に行えば合法的であるか
等についての基準がありません。
倫理委員会での審議においても、判断基準がまったくない状態であり、今回の改正で、倫理委員会が改正の内容に従って、厳密に解釈をして、臨床研究薬についても治験薬と同等のレベルまで求める事になりかねず、臨床研究の進行に大きなブレーキをかける可能性があります。
そのような事態に陥らないようにする配慮が必要と考えます。
(要望)
上記、1,2,3についてのガイドラインを出していただきたい。
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A
医薬品等の提供については、個々の事例毎の対応を検討することになります。
倫理審査委員会の機能については、今後の検討課題とさせていただきます。
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Q
ヘルシンキ宣言には「利益相反」情報をIRBに報告することになっています。
臨床研究を行う際にも必須にすべき。
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A
倫理審査委員会の資料として利益相反に関するものが規定されています。
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●ヘルシンキ宣言
22.人間を対象とする各研究の計画と実施内容は、研究計画書に明示され正当化されていなければならない。
研究計画書には関連する倫理的配慮について明記され、また本宣言の原則がどのように取り入れられてきたかを示すべきである。
計画書は、資金提供、スポンサー、研究組織との関わり、起こり得る利益相反、被験者に対する報奨ならびに研究参加の結果として損害を受けた被験者の治療および/または補償の条項に関する情報を含むべきである。
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Q
臨床研究を実施するにおいて、データの信頼性に着目した場合、「臨床研究に関する倫理指針」第2章研究者等の責務等の1条2項細則臨床研究計画書の記載すべき事項中に、GCP上に記載のある「原資料の閲覧に関する事項」、「記録(データを含む。)の保存に関する事項」等がない。
また、モニタリングの実施、監査等、データをモニタリングする業務に関する記載がない。
以上のことから、これらを規定していない状態で実施されたものについて、データの信頼性が治験と同等であるとは言いがたい。
よって、これらの記載を加えることを考えます。
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A
今後の検討課題といたします。
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Q
薬事法上の「治験」については、必要な動物実験が厳しく定められていますが、「臨床研究」では、全く新しい製剤を、トランスレーショナル・リサーチと称して患者に投与する場合に、どのような動物実験が必要なのか、まったく検討されていません。
TGN1412の後、イギリスでは特別な作用機序を持った新規の製剤については特別な管理体制を設けました。
日本でも、せめてそのような新規の製剤だけは、当局が管理する体制にすべきだと思います。
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A
今後の検討課題といたします。
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「今後の検討課題」が山積みです。(ホーライ)