2014年10月17日

意見を受けて指針 案を見直すもの を「◎」で示す

●意見を受けて指針 案を見直すもの を「◎」で示す

今日は「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(案) のパブリックコメントの結果について」を見ます。
     ↓
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000060613.pdf

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e-Govを通じて意見募集行ったところ、 130名 の意見があった。

御意見を受けて指針 案を見直すもの を「◎」で示す。

◎「学問・研究の自由は憲法上保障されており、〜」の記載は適当でない。

◎ 「また、研究者等が研究機関の長の許可を受けた研究計画に基づき研究を適正に実施することを、研究機関の長が研究実施前に研究責任者が作成した研究計画の適否を倫理審査委員会の意見を聴いて判断することを求められる。」という文章が分かりにくい。

◎ 研究計画書の記載事項は、@から㉕まで全て必要か。

◎ 研究の登録は、「侵襲(軽微を除く)を伴う研究であって介入を伴うもの」を対象にしているが、ヘルシンキ宣言で登録しなければならないとしている範囲より狭い。

◎ 研究結果の公表について、人権・知財の観点から例外規定(非公開)を設けるべき。

◎「次に掲げる手続に従って、あらかじめインフォームド・コンセントを受けなければならない」とあるが、当該手続の中に「必ずしもインフォームド・コンセントを要しない」との表現があり、整合していない。

◎ 軽微な研究計画の変更は、ICを受け直す必要はないのではないか。

◎ 説明事項は、@から㉑まで全て必要か。

◎モニタリング及び監査の実施は、現在の国内の臨床試験実施体制においては困難であり、この方向性が正しいが、各施設の体制を整えるまでの猶予期間を設けておくべきではないか。





その他、僕が気になった点。

第 20 モニタリング及び監査

○ICH-GCPではモニタリングは必須であるが、監査はオプションであり行わなくても良い行為と規定されている。

当指針における「監査」は、試験ごとに第三者監査を必須としているのは、厳しすぎないか。

ICH-GCPよりも厳しい要件を適用することとなり、日本の臨床研究を衰退させることにならないか。


○ 医師主導の臨床試験に、膨大な人的パワーとそのための費用を要するモニタリングと監査を義務付けても、実際にはきちんと行える可能性は低く、形骸化する。

ある程度研究ごとに柔軟な対応のできるようすべきでないか。


○「モニタリング」や「監査」という言葉だけが記載されているが、研究に関連するリスクに応じて、中央モニタリングやサンプリングSDV(Sourse Data Verification: 原資料との照合・検証)、全例のSDV等、実施レベルについて一定の基準を示すべき。

○「モニタリングに従事する者」「監査に従事する者」を具体的に示してほしい。

○ 指針でなく法的な規制を行う必要がある。



以上


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2014年10月16日

(CRC)を配置する場合の倫理性保持(確保)について言及してはどうか

今週も先々週に続き、下記のパブリックコメントのQ&Aを見ていきます。

●「臨床研究に関する倫理指針」の改正案に関する意見募集の結果について

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495080030&Mode=2


いつものとおり気になる点だけピックアップしています。

是非、全文を読まれることをお勧めします。

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Clinical Research Coordinator (CRC)を配置する場合の倫理性保持(確保)について言及してはどうか







GCPにおいてもCRCの配置に関する御指摘の規定はありません。

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現在は、私が所属している大学病院ですら、研究環境は必ずしも十分とはいえない。

診療、研究、教育の3つを同時にこなす使命を全うするために、努力しているが、それでも現状では診療に最も多くの人員と時間をかけざるを得ず、しかも診療への偏重は、前述の3つの機能のバランスを欠いてしまっているといわざるを得ない。

このことは、研究機関でもある国立大学病院長会議常置委員会の調査結果(「今後の地域医療における国立大学病院の役割に関する調査」http://www.univhosp.net/guide_cat_03_4.pdf)で、診療や教育に比べ研究についてはあまり取り組まれていないとする回答が多いこと、診療、教育、研究のうち最優先で取り組むのは診療とする回答が最も多く、研究は優先度が低くなっていること、が客観的に示している。

したがって、今ほど、臨床研究の推進と規制のバランスが、臨床研究の現実を踏まえたものとして議論されることが望まれる時はなかったものと考えている。

具体的に言えば、規制に少しでもバランスが傾きすぎると、臨床研究を推進する意欲がそがれ、研究者は診療のみに従事する傾向が強まり、わが国の臨床研究能力が低下することを、懸念するものである。







臨床研究の基盤整備に引き続き努めてまいります。


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最近では、医師の過重労働の実態が社会に認識されるに至っている。

単純計算では常に増加しつつある医師数ではあるが、診療科の偏在や地域の偏在の問題を超えた、実数の不足という問題としてとらえられるように、社会はもとより政府も認識が変化しつつある。そのため、経済財政改革の基本方針2008、いわゆる骨太の方針2008においても、医師不足や勤務医の就労環境の改善を重要課題として位置づけているところである。

このような、診療に多くの人員や時間を必要とする状況は、大学病院とて例外ではない。

前述の調査結果は、その現実を、忠実に物語っている。

産科や小児科の医師不足は、すでによく知られる事実となり、崩壊というような形容詞が使われるまでにいたっている。

私の診療分野ではないものの、現在の産科や小児科において、高い臨床研究能力を獲得していくことは容易なことではないと考えられる。

そこで、改めて、臨床研究の推進と規制のバランスに関しては、慎重な対応が必要であることを社会には是非ご理解いただきたいとともに、行政府には慎重な判断をお願いしたい。







法制化に関する意見については、様々な意見を検討して慎重に対応します。

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今回の意見募集においては、(1)改正指針案の全文が公表されない、(2)専門委員会最終回の資料・議事録が意見募集開始時に公表されない(本意見の案を提出前に公表した直後に議事録は公開された)、という二点において公正性を欠く。

他の意見募集においても同様であるが、概要のみが公表され、審議記録が未公表の段階で意見募集開始する慣習は改めるべきである。

このため、今般の意見募集を経て改正された指針の全文および審議記録を公表した上、再度意見募集を行うべきである。







(1)改正の内容は概要で網羅しています。

(2)資料・議事録も意見募集中に公表されており、公正性を欠くとは考えていません。


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1.臨床研究に関する倫理指針の改正の方向性について

・ 本改正案では,「臨床研究は,研究者及び研究機関の長の責任の下で実施するべき」とありますが,ICH-GCPで規定する「Sponsor」に関する記述を考慮すべきであろうと考えます.

一般論として,臨床研究が適切に実施されるためには,「Sponsor」を明確に規定し,その役割と責務を適切に果たさす必要があると考えます.

治験では,Sponsorは明確ですが,市販後の臨床研究では,このSponsorの位置付けやその役割並びに責任等が余りに不明確であります.

今回の改正案には,「簡潔な手順書を作成」とありますが,臨床研究に関係する全ての関係者(Sponsor, Investigator, CRC, Biostatistician等)がそれぞれの標準業務手順書(SOP)の下で業務を遂行することが肝要だと考えます.







「臨床研究に関する倫理指針」においては、臨床研究は各臨床研究機関の責務の下で行われることとなっております。

外国での「sponsor」の語意は、臨床研究の責任を有する者であり、必ずしも資金提供者ではありません。

したがって、本指針においては、そのようなsponsorの定義を考慮すると、臨床研究機関の長及び研究責任者が、それに相当する機能のものと考えられます。



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最後に,Q&Aとして検討して頂きたいと考えますが,

Q1) 医師主導型臨床研究を計画する際に,限られた製薬企業から経済的支援を受けることは問題ありませんか?

Q2)医師主導型臨床研究を計画する際に,研究グループや施設への寄付金を受けて実施することは問題があるでしょうか?

Q3) 再審査期間中に,製薬企業が製造販売後臨床試験以外の臨床試験を実施することは問題ありますか?







Q1、Q2につきましては、実施する際は、適切な利益相反管理を行ってください。

利益相反管理については、本指針「第4の1(1)細則」に記載されている文部科学省及び厚生労働省の利益相反管理についての報告や指針に留意してください。

Q3薬事法のもとで実施される治験や製造販売後臨床試験は本指針の対象とはなりません。

また、再審査期間中であっても臨床研究を実施することは可能です。


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2014年10月15日

本指針は、プラセボの使用を制限するものではありません

今週も先々週に続き、下記のパブリックコメントのQ&Aを見ていきます。


●「臨床研究に関する倫理指針」の改正案に関する意見募集の結果について

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495080030&Mode=2


いつものとおり気になる点だけピックアップしています。

是非、全文を読まれることをお勧めします。

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再審査、再評価を目的としない医薬品の承認範囲内でのエビデンス集積を目的とした並行群間比較試験は、臨床研究の扱いと考えられるが、この場合、試験の質を考慮するとDBTデザインの利用と、それに必要なプラセボが必要になる。

海外ではDBTでの臨床研究は一般的に行われているが、日本ではUMIN-CTRを確認してもまだわずかである。

一方で、従来プラセボの扱いはあいまいなままになっており、「未承認、無許可医薬品」として解釈してしまうと、治験以外での利用は困難と考えざるをえない。

本倫理指針を遵守することを前提に、プラセボを使用したDBTデザインの臨床研究が実施可能となるようプラセボの利用を明記いただきたい。







本指針は、プラセボの使用を制限するものではありません。

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これからは一定の要件を満たしたデータセンターやデータモニタリングといったインフラを完備したグループでないと、本倫理指針に沿った臨床試験はなかなか困難になるように感じました。

小臨床試験グループでの介入試験実施はますます難しくなることから、観察研究に終始しなければならないのでしょうか。







研究のインフラの整備に関しても一層努めてまいります。

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看護研究・リハビリ研究・精神療法研究のように、いわゆる「治験」のように十分なお金がなくても行える臨床試験が存在するのも事実。

こうした「非治験」の臨床研究を推進するためには、公的資金による研究支援の充実が不可欠である。

指針の改定に伴い、競争的研究費制度の弾力的な運用を進める必要がある。







公的研究資金の運用の弾力化を推進します。

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「・・・研究者等が加入できる補償保険が望まれる」とありますが、これが十分に準備された環境が整った後に、指針内のことを適用するようにしていただけるとよいと思いました。

「保険料を研究費から支払うことを研究費の取り扱いにおいて認める」と記されていますが、公的研究費などがカバーする短い期間(3年前後)で「非治験」の臨床研究が終了することは困難だと思います。

研究費から支払うのも一つの方法ですが、介入研究の申請書が採択された機関には、介入が終わるまで研究費と別枠で助成金を出していただくか、研究費の期間を長くしていただければよいと思いました。







保険が提供可能な時期を踏まえた施行期日を検討します。

公的研究資金を臨床研究の性格に合わせて運用できるよう努力します。

今後の課題とさせていただきます。

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臨床研究により、未来の患者さんを診(み)、療(なお)し、癒すための思いを、いかにして「臨床研究」という科学にするか、そしてそれをエビデンスとして未来に伝えていくか、それが肝要であるが、医学研究者、特に直に患者さんと向き合っている医師は不得手としがちである。

また、透明性の担保という観点から、医師が「当然」と考えても多くの国民には「自明でない」ことも多いかもしれず、いわば「通訳」が必要である。

そのため、臨床研究に入るまでの間に、多くの相で相談業務を行なっていただければ、臨床研究の速やかな推進により将来にわたって国民福祉に資するものと信じるものである。







相談事業を支援できるよう検討しているところです。

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臨床研究に関する補償保険が、実効性あるものとでいるようお願いしたい。

実効性あるものとするために、補償のための保険への研究費(科学研究費補助金あるいは委託費等)から支出可能となるようにすべきと考えており、これが直接経費において支出可能とすべく研究費取り扱い規定を改定していただくか、あるいは間接経費において支出されるべきであるなら、そのように規定は改定されるべきである。

1つ提案がある。臨床研究が開始される場合に備えて、別立てで保険料を予算立てし、追加交付という形がとれないだろうか。

厚生労働省科学研究費補助金事業等において、臨床研究が開始される直前に保険料が算出されると考えられ、当初予算でそれを予測することは難しい。

また、臨床研究を開始する予定でありながら、不可となった際に、保険料とされるべきものが研究の消耗品等に利用されることは、国民に対する欺罔といわれてもいたしかたない。

そこで、厚生労働科学研究費補助金などで臨床研究が開始される場合に備えて、別立てで保険料を予算立てし、追加交付という形がとれればと考えたところである。







間接経費からの支出等につきましては関係省にも働きかけてまいります。

保険料の支出については研究開始時にご相談をお願いします。


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介入型臨床試験の品質保証や品質管理を行うには、研究者自らが単独で今回の改正事項のすべてを行うには無理があると考えています。

臨床試験の事務局の強化や臨床試験コーディネーター(CRC)の関与が必要と考えられますが、今回改正の倫理指針概要には何も記載されておりません。

臨床試験コーディネーターの関与の有用性を盛り込むべきではないでしょうか。







臨床研究に対するコーディネーター確保は重要な課題です。

「関係者への要請」として、行政通知等により、試験の実施を支援するコーディネーターの確保について言及することとします。



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2014年10月14日

臨床研究に対するコーディネーター確保は重要な課題です。

今週も先々週に続き、下記のパブリックコメントのQ&Aを見ていきます。


●「臨床研究に関する倫理指針」の改正案に関する意見募集の結果について

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495080030&Mode=2


いつものとおり気になる点だけピックアップしています。

是非、全文を読まれることをお勧めします。

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平成20年6月5日、研究開発力強化法(正式名称「研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律」)が成立した。

わが国で実施される臨床研究の国際競争力を高めるため、まずは、「臨床研究の理念」や「ICHGCPとの整合性確保」を目標とした将来的な改正の方向性を示していただきたいと希望する。







今後の検討課題とさせていただきます。

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良質な臨床試験を実施するためには、優秀で良識ある研究者、臨床試験に賛同・参加する研究者、データセンター(データマネージャー、データセンター医学専門家、生物統計学者)、モニター、独立した効果安全性評価委員会など多くの人材とそれを支える研究資金が必要。

そしてこれらの人材を用いた健全な臨床試験の基盤を作るためには多くの継続的な資金投入による機能的な臨床研究組織の形成が必要。

日本には複数の臨床研究組織が必要のため、これらの基盤形成には、莫大で継続的な公的資金や公的機関による審査機構の設立も必要になる。

しっかりとした臨床試験基盤を整備することなしに、こうあるべきとの規制だけを強化してしまうことの無いよう、バランスの取れた行政施策をお願いしたい。







臨床研究が円滑に行えるよう研究費等により行政も引き続き、支援をしていきます。

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「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」において、第2条14にて定義される「治験協力者:実施医療機関において、治験責任医師又は治験分担医師の指導の下にこれらの者の治験に係る業務に協力する薬剤師、看護師その他の医療関係者」に相当する職を、臨床研究実施においても配置するよう指針に明記されることを要望する。







臨床研究に対するコーディネーター確保は重要な課題です。

「関係者への要請」として、行政通知等により、試験の実施を支援するコーディネーターの確保について言及することとします。


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臨床研究機関の長および研究責任者に求められる文書類の管理が臨床研究の推進を阻害しないよう、IT活用による電子化を最初から考慮した規定にしてはどうか。

例えば院内イントラシステムで各種文書手続きが関与する方法を推奨してはどうか。

更に、今後の改定でその改善を検討し、GCPへの導入も可能となれば治験推進にもつながると考えるがどうか。







今後の検討課題とさせていただきます。



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2014年10月11日

「臨床研究に関する倫理指針」の改正案に関する意見募集の結果について(3)

今週も先々週に続き、下記のパブリックコメントのQ&Aを見ていきます。


●「臨床研究に関する倫理指針」の改正案に関する意見募集の結果について

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495080030&Mode=2


ただし、パブリックコメントを反映させた「臨床研究に関する倫理指針」の(案)が出ているのですが、変更履歴が残っているし、まだまだ、紆余曲折しそうなので、正式に出たら、またみます。
    ↓
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000060614.pdf



それと、検討されている先生方の間では「監査」は不要なんじゃないか、という意見がありますね。(ICH-GCPでは監査は必須でないためもあるし、人材確保の問題もあるし、作業が過剰だという意見もある。)
    ↓
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000060615.pdf


「『人を対象とした医学系研究に関する倫理指針』に対するパブリック・コメント等への対応」
    ↓
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000060691.pdf



「監査に関する規定の削除の必要性について」
    ↓
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000060692.pdf


ということで、先々週の続きのパブリックコメントの続きです。


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生体臓器移植で、標準的とはいえない方法の場合、生きている人から臓器を摘出する行為は、「介入」の定義のうち「ア」の、「通常の診療を超えた医療行為を研究として実施するもの」といえるのでしょうか。

生きている人からの研究目的の臓器摘出は、摘出される人にとって「医療行為」といえるのかどうか、法的根拠とともに解説を示していただきたいと思います。







個別に具体的な検討が必要と考えています。

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臨床研究と疫学研究の差異が不明瞭である。

これまでの議事録、QA集を読んでもどちらに該当するのか判断に迷うことがある。

そもそも疫学的な方法を用いない臨床研究はありえないし、「臨床」の定義もあいまいである。

学際的な研究が増加するにつれ混乱が広がることが予想される。

米国のcommon ruleの対象は、「医学研究」「臨床研究」に限定されず「人を対象とした研究」である。

わが国でも「臨床研究」「疫学研究」「ヒトゲノム・遺伝子解析研究」等に関する倫理指針を別個にさだめずに、人を対象とする研究全体を包括する倫理指針を作成し、細則のなかで個々に特有な運用指針を定めるようにしていただきたい







2つの指針の一体化等は次の改正時の検討課題です。

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薬物の適応外使用、適応外の手術を行う研究は、臨床研究に関する倫理指針の対象となるのか、薬事法の対象となるのか。

この場合の検査・治療の費用は保険診療としてよいのか、あるいは研究目的なので療担規則からは保険請求の範囲外となるのか。

例として、IgA腎症に対するステロイドパルス療法、扁桃腺摘除術の有用性を評価するため無作為対照試験を計画した場合はどうなるだろうか。

IgA腎症に対するステロイドパルス療法は保険適応外である。

IgA腎症に対する扁桃腺摘除術も保険適応外である。

この研究を実施するにあたって参照すべき倫理指針は臨床研究に関する倫理指針でよいか。

薬事法にも準拠すべきか。

研究ではあるが、clinical equiposeが成立しており、患者に対する治療効果を期待して実施している行為であるため費用は保険診療の範囲で請求してよいと考えるがどうか。

一方、IgA腎症の患者を対象にレジストリーを作成、治療選択は担当医の判断に任せるとし、その後の予後を追跡調査する場合、「当該方法の有効性・安全性を評価するため、診療録等診療情報を収集・集計して行う観察研究(「疫学研究に関する倫理指針」についてのQ&A:Q1-7)」に該当し、疫学研究に関する倫理指針の対象になると考えられ、臨床研究に関する倫理指針の対象外となるのか。







薬事法上の適応拡大を目的とした臨床試験以外は本指針の対象であると考えられます。

適応外での医薬品等の保険との併用については高度医療その他適切な手続きなどによるものです。

対象については疫学指針のQAの通りです。



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