2014年09月16日

告発に対する調査体制・方法

先週と今週は「文部科学省」が出した次のガイドラインを見ます。


研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン
   ↓
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/26/08/__icsFiles/afieldfile/2014/08/26/1351568_02_1.pdf


平成26年8月26日

文部科学大臣決定


研究活動における不正行為への対応等に関するガイドラインを次のとおり決定し、これを公表する。

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4−2 告発に対する調査体制・方法

(1)予備調査

@ 「4−1 調査を行う機関」により調査を行う機関(以下「調査機関」という。)は、告発を受け付けた後速やかに、告発された特定不正行為が行われた可能性、告発の際示された科学的な合理性のある理由の論理性、告発された事案に係る研究活動の公表から告発までの期間が、生データ、実験・観察ノート、実験試料・試薬など研究成果の事後の検証を可能とするものについての各研究分野の特性に応じた合理的な保存期間、又は被告発者が所属する研究機関が定める保存期間を超えるか否かなど告発内容の合理性、調査可能性等について予備調査を行う。

調査機関は、下記(2)Aの調査委員会を設置して予備調査に当たらせることができる。


A 告発がなされる前に取り下げられた論文等に対する告発に係る予備調査を行う場合は、取下げに至った経緯・事情を含め、特定不正行為の問題として調査すべきものか否か調査し、判断するものとする。



B 調査機関は、予備調査の結果、告発がなされた事案が本格的な調査をすべきものと判断した場合、本調査を行う。

調査機関は、告発を受け付けた後、本調査を行うか否か決定するまでの期間の目安(例えば、目安として30日以内)を当該調査機関の規程にあらかじめ定めておく。


C 本調査を行わないことを決定した場合、その旨を理由とともに告発者に通知するものとする。この場合、調査機関は予備調査に係る資料等を保存し、その事案に係る配分機関等及び告発者の求めに応じ開示するものとする。





(2)本調査

@ 通知・報告

(ア)本調査を行うことを決定した場合、調査機関は、告発者及び被告発者に対し、本調査を行うことを通知し、調査への協力を求める。

被告発者が調査機関以外の機関に所属している場合は、その所属機関にも通知する。

告発された事案の調査に当たっては、告発者が了承したときを除き、調査関係者以外の者や被告発者に告発者が特定されないよう周到に配慮する。


(イ)調査機関は、当該事案に係る配分機関等及び文部科学省に本調査を行う旨報告する。


(ウ)調査機関は、本調査の実施の決定後、実際に本調査が開始されるまでの期間の目安(例えば、目安として30日以内)を当該調査機関の規程にあらかじめ定めておく。




A 調査体制

(ア)調査機関は、本調査に当たっては、当該調査機関に属さない外部有識者を含む調査委員会を設置する。

この調査委員会は、調査委員の半数以上が外部有識者で構成され、全ての調査委員は、告発者及び被告発者と直接の利害関係(例えば、特定不正行為を指摘された研究活動が論文のとおりの成果を得ることにより特許や技術移転等に利害があるなど)を有しない者でなければならない。



(イ)調査機関は、調査委員会を設置したときは、調査委員の氏名や所属を告発者及び被告発者に示すものとする。

これに対し、告発者及び被告発者は、あらかじめ調査機関が定めた期間内に異議申立てをすることができる。

異議申立てがあった場合、調査機関は内容を審査し、その内容が妥当であると判断したときは、当該異議申立てに係る調査委員を交代させるとともに、その旨を告発者及び被告発者に通知する。



(ウ)調査委員会の調査機関内における位置付けについては、調査機関において定める。






B 調査方法・権限

(ア)本調査は、告発された事案に係る研究活動に関する論文や実験・観察ノート、生データ等の各種資料の精査や、関係者のヒアリング、再実験の要請などにより行われる。この際、被告発者の弁明の聴取が行われなければならない。


(イ)告発された特定不正行為が行われた可能性を調査するために、調査委員会が再実験などにより再現性を示すことを被告発者に求める場合、又は被告発者自らの意思によりそれを申し出て調査委員会がその必要性を認める場合は、それに要する期間及び機会(機器、経費等を含む。)に関し調査機関により合理的に必要と判断される範囲内において、これを行う。その際、調査委員会の指導・監督の下に行うこととする。


(ウ)上記(ア)、(イ)に関して、調査機関は調査委員会の調査権限について定め、関係者に周知する。この調査権限に基づく調査委員会の調査に対し、告発者及び被告発者などの関係者は誠実に協力しなければならない。

また、調査機関以外の機関において調査がなされる場合、調査機関は当該機関に協力を要請する。協力を要請された当該機関は誠実に協力しなければならない。





C 調査の対象となる研究活動

調査の対象には、告発された事案に係る研究活動のほか、調査委員会の判断により調査に関連した被告発者の他の研究活動も含めることができる。



D 証拠の保全措置

調査機関は本調査に当たって、告発された事案に係る研究活動に関して、証拠となるような資料等を保全する措置をとる。

この場合、告発された事案に係る研究活動が行われた研究機関が調査機関となっていないときは、当該研究機関は調査機関の要請に応じ、告発された事案に係る研究活動に関して、証拠となるような資料等を保全する措置をとる。

これらの措置に影響しない範囲内であれば、被告発者の研究活動を制限しない。



E 調査の中間報告

調査機関が研究機関であるときは、告発された事案に係る研究活動の予算の配分又は措置をした配分機関等の求めに応じ、調査の終了前であっても、調査の中間報告を当該配分機関等に提出するものとする。



F 調査における研究又は技術上の情報の保護

調査に当たっては、調査対象における公表前のデータ、論文等の研究又は技術上秘密とすべき情報が、調査の遂行上必要な範囲外に漏えいすることのないよう十分配慮する。


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2014年09月15日

特定不正行為の告発に係る事案の調査

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4 特定不正行為の告発に係る事案の調査

4−1 調査を行う機関

@ 研究機関に所属する(どの研究機関にも所属していないが専ら特定の研究機関の施設・設備を使用して研究する場合を含む。以下同じ。)研究者に係る特定不正行為の告発があった場合、原則として、当該研究機関が告発された事案の調査を行う。



A 被告発者が複数の研究機関に所属する場合、原則として被告発者が告発された事案に係る研究活動を主に行っていた研究機関を中心に、所属する複数の研究機関が合同で調査を行うものとする。

ただし、中心となる研究機関や調査に参加する研究機関については、関係研究機関間において、事案の内容等を考慮して別の定めをすることができる。



B 被告発者が現に所属する研究機関と異なる研究機関で行った研究活動に係る告発があった場合、現に所属する研究機関と当該研究活動が行われた研究機関とが合同で、告発された事案の調査を行う。



C 被告発者が、告発された事案に係る研究活動を行っていた際に所属していた研究機関を既に離職している場合、現に所属する研究機関が、離職した研究機関と合同で、告発された事案の調査を行う。

被告発者が離職後、どの研究機関にも所属していないときは、告発された事案に係る研究活動を行っていた際に所属していた研究機関が、告発された事案の調査を行う。



D 上記@からCまでによって、告発された事案の調査を行うこととなった研究機関は、被告発者が当該研究機関に現に所属しているかどうかにかかわらず、誠実に調査を行わなければならない。



E 被告発者が、調査開始のとき及び告発された事案に係る研究活動を行っていたときの双方の時点でいかなる研究機関にも所属していなかった場合や、調査を行うべき研究機関による調査の実施が極めて困難であると、告発された事案に係る研究活動の予算を配分した配分機関が特に認めた場合は、当該配分機関が調査を行う。

この場合、本来調査を行うべき研究機関は当該配分機関から協力を求められたときは、誠実に協力しなければならない。



F 研究機関は他の機関や学協会等の科学コミュニティに、また、配分機関は告発された事案に係る研究活動の分野に関連がある機関や学協会等の科学コミュニティに、調査を委託すること又は調査を実施する上での協力を求めることができる。

このとき、「3−3 告発者・被告発者の取扱い」@からBまで及び「4 特定不正行為の告発に係る事案の調査」は委託された機関等又は調査に協力する機関等に準用されるものとする。



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2014年09月12日

特定不正行為の告発の受付等

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文部科学大臣決定


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3 特定不正行為の告発の受付等

3−1 告発の受付体制

@ 研究・配分機関は、特定不正行為に関する告発(当該研究・配分機関の職員による告発のみならず、外部の者によるものを含む。以下同じ。)を受け付け、又は告発の意思を明示しない相談を受ける窓口(以下「受付窓口」という。)を設置しておくものとする。

なお、このことは必ずしも新たに部署を設けることを意味しない。

また、受付窓口について、客観性や透明性を向上する観点から、外部の機関に業務委託することも可能とする。


A 研究・配分機関は、設置する受付窓口について、その名称、場所、連絡先、受付の方法などを定め、当該研究・配分機関内外に周知する。


B 研究・配分機関は、告発者が告発の方法を書面、電話、FAX、電子メール、面談など自由に選択できるように受付窓口の体制を整える。


C 研究・配分機関は、告発の受付や調査・事実確認(以下単に「調査」という。)を行う者が自己との利害関係を持つ事案に関与しないよう取り計らう。


D 告発の受付から調査に至るまでの体制について、研究・配分機関はその責任者として例えば理事、副学長等適切な地位にある者を指定し、必要な組織を構築して企画・整備・運営する。







3−2 告発の取扱い

@ 告発は、受付窓口に対する書面、電話、FAX、電子メール、面談などを通じて、研究・配分機関に直接行われるべきものとする。



A 原則として、告発は顕名により行われ、特定不正行為を行ったとする研究者・グループ、特定不正行為の態様等、事案の内容が明示され、かつ不正とする科学的な合理性のある理由が示されているもののみを受け付ける。



B Aにかかわらず、匿名による告発があった場合、研究・配分機関は告発の内容に応じ、顕名の告発があった場合に準じた取扱いをすることができる。



C 告発があった研究・配分機関が調査を行うべき機関に該当しないときは、「4−1 調査を行う機関」により調査機関に該当する研究・配分機関に当該告発を回付する。

回付された研究・配分機関は当該研究・配分機関に告発があったものとして当該告発を取り扱う。

また、「4−1 調査を行う機関」により、告発があった研究・配分機関に加え、ほかにも調査を行う研究・配分機関が想定される場合は、告発を受けた研究・配分機関は該当する研究・配分機関に当該告発について通知する。



D 書面による告発など、受付窓口が受け付けたか否かを告発者が知り得ない方法による告発がなされた場合は、研究・配分機関は告発者(匿名の告発者を除く。

ただし、調査結果が出る前に告発者の氏名が判明した後は顕名による告発者として取り扱う。以下同じ。)に、告発を受け付けたことを通知する。



E 告発の意思を明示しない相談については、相談を受けた機関はその内容に応じ、告発に準じてその内容を確認・精査し、相当の理由があると認めた場合は、相談者に対して告発の意思があるか否か確認するものとする。



F 特定不正行為が行われようとしている、又は特定不正行為を求められているという告発・相談については、告発・相談を受けた機関はその内容を確認・精査し、相当の理由があると認めたときは、被告発者に警告を行うものとする。

ただし、告発・相談を受けた機関は、当該機関が被告発者の所属する研究機関でないときは、被告発者の所属する研究機関に事案を回付することができる。

被告発者の所属する研究機関でない機関が警告を行った場合は、当該機関は被告発者の所属する研究機関に警告の内容等について通知する。





3−3 告発者・被告発者の取扱い

@ 告発を受け付ける場合、個室で面談したり、電話や電子メールなどを窓口の担当職員以外は見聞できないようにしたりするなど、告発内容や告発者(「3−2 告発の取扱い」E及びFにおける相談者を含む。以下「3−3告発者・被告発者の取扱い」において同じ。)の秘密を守るため適切な方法を講じなければならない。



A 研究・配分機関は、受付窓口に寄せられた告発の告発者、被告発者、告発内容及び調査内容について、調査結果の公表まで、告発者及び被告発者の意に反して調査関係者以外に漏えいしないよう、関係者の秘密保持を徹底する。



B 調査事案が漏えいした場合、研究・配分機関は告発者及び被告発者の了解を得て、調査中にかかわらず調査事案について公に説明することができる。

ただし、告発者又は被告発者の責により漏えいした場合は、当人の了解は不要とする。



C 研究・配分機関は、悪意(被告発者を陥れるため、又は被告発者が行う研究を妨害するためなど、専ら被告発者に何らかの損害を与えることや被告発者が所属する機関・組織等に不利益を与えることを目的とする意思。以下同じ。)に基づく告発を防止するため、告発は原則として顕名によるもののみ受け付けることや、告発には不正とする科学的な合理性のある理由を示すことが必要であること、告発者に調査に協力を求める場合があること、調査の結果、悪意に基づく告発であったことが判明した場合は、氏名の公表や懲戒処分、刑事告発があり得ることなどを当該研究・配分機関内外にあらかじめ周知する。



D 研究・配分機関は、悪意に基づく告発であることが判明しない限り、単に告発したことを理由に、告発者に対し、解雇、降格、減給その他不利益な取扱いをしてはならない。



E 研究・配分機関は、相当な理由なしに、単に告発がなされたことのみをもって、被告発者の研究活動を部分的又は全面的に禁止したり、解雇、降格、減給その他不利益な取扱いをしたりしてはならない。





3−4 告発の受付によらないものの取扱い

@ 「3−2 告発の取扱い」Eによる告発の意思を明示しない相談について、告発の意思表示がなされない場合にも、研究・配分機関の判断でその事案の調査を開始することができる。



A 学会等の科学コミュニティや報道により特定不正行為の疑いが指摘された場合は、当該特定不正行為を指摘された者が所属する研究機関に告発があった場合に準じた取扱いをすることができる。



B 特定不正行為の疑いがインターネット上に掲載されている(特定不正行為を行ったとする研究者・グループ、特定不正行為の態様等、事案の内容が明示され、かつ不正とする科学的な合理性のある理由が示されている場合に限る。)ことを、当該特定不正行為を指摘された者が所属する研究機関が確認した場合、当該研究機関に告発があった場合に準じた取扱いをすることができる。


(次週へ続く)



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2014年09月11日

研究活動における特定不正行為への対応

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第3節 研究活動における特定不正行為への対応



1 対象とする研究活動及び不正行為等

本節で対象とする研究活動、研究者及び不正行為は、以下のとおりとする。



(1)対象とする研究活動

本節で対象とする研究活動は、競争的資金等、国立大学法人や文部科学省所管の独立行政法人に対する運営費交付金、私学助成等の基盤的経費その他の文部科学省の予算の配分又は措置により行われる全ての研究活動である。



(2)対象とする研究者

本節で対象とする研究者は、上記(1)の研究活動を行っている研究者である。



(3)対象とする不正行為(特定不正行為)

本節で対象とする不正行為は、故意又は研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったことによる、投稿論文など発表された研究成果の中に示されたデータや調査結果等の捏造、改ざん及び盗用である(以下「特定不正行為」という。)※ 6。


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※ 6「競争的資金の適正な執行に関する指針」(平成17 年9月9日競争的資金に関する関係府省連絡会申し合わせ。平成24 年10 月17 日改正)では、研究上の不正行為への対応に関して、競争的資金による研究論文・報告書等に「捏造、改ざん及び盗用」があったと認定された場合、競争的資金の返還及び応募資格の制限等の措置を講ずることとしている。

このことから、本節で対象とする不正行為(特定不正行為)は、特別委員会報告書と同様に「捏造、改ざん及び盗用」に限定している。

***********************



@ 捏造

存在しないデータ、研究結果等を作成すること。


A 改ざん

研究資料・機器・過程を変更する操作を行い、データ、研究活動によって得られた結果等を真正でないものに加工すること。


B 盗用

他の研究者のアイディア、分析・解析方法、データ、研究結果、論文又は用語を当該研究者の了解又は適切な表示なく流用すること。



なお、研究機関における研究活動の不正行為への対応に関するルールづくりは、上記(1)から(3)までの対象に限定するものではない。

例えば、研究活動に関しては他府省又は企業からの受託研究等による研究活動など研究費のいかんを問わず対象にすべきである。





2 研究・配分機関における規程・体制の整備及び公表

研究・配分機関においては、本節を踏まえて、研究活動における特定不正行為の疑惑が生じたときの調査手続や方法等に関する規程や仕組み・体制等を適切に整備することが求められる。

規程や体制の整備の際、特に、研究活動における不正行為に対応するための責任者を明確にし、責任者の役割や責任の範囲を定めること、告発者を含む関係者の秘密保持の徹底や告発後の具体的な手続を明確にすること、研究活動における特定不正行為の疑惑が生じた事案について本調査の実施の決定その他の報告を当該事案に係る配分機関等及び文部科学省に行うよう規定すること、特定不正行為の疑惑に関し公表する調査結果の内容(項目等)を定めることが求められる。


規程や体制の整備の状況については、当該研究・配分機関の内外に公表するものとする。


研究機関においては、不正行為に対応するための体制整備の一環として、一定の権限を有する「研究倫理教育責任者」を部局単位で設置し、組織を挙げて、広く研究活動に関わる者を対象として研究倫理教育を定期的に行うことが求められる。




<<研究・配分機関が実施する事項>>

○研究・配分機関は、特定不正行為の疑惑が生じたときの調査手続や方法等に関する規程等を適切に整備し、これを公表すること

○その際、

・研究・配分機関は、研究活動における不正行為に対応するための責任者を明確にし責任者の役割や責任の範囲を定めること

・研究・配分機関は、告発者を含む関係者の秘密保持の徹底や告発後の具体的な手続を明確にすること

・研究・配分機関は、特定不正行為の疑惑が生じた事案について本調査の実施の決定その他の報告を当該事案に係る配分機関等及び文部科学省に行うよう規定すること

・研究・配分機関は、特定不正行為の疑惑に関し公表する調査結果の内容(項目等)を定めること

・研究機関は、「研究倫理教育責任者」の設置などの必要な体制整備を図り、広く研究活動に関わる者を対象に定期的に研究倫理教育を実施すること【再掲】



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2014年09月10日

不正行為の事前防止のための取組

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平成26年8月26日

文部科学大臣決定


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第2節 不正行為の事前防止のための取組

1 不正行為を抑止する環境整備

(1)研究倫理教育の実施による研究者倫理の向上

不正行為を事前に防止し、公正な研究活動を推進するためには、研究機関において、研究者等に求められる倫理規範を修得等させるための教育(以下「研究倫理教育」という。)を確実に実施することなどにより、研究者倫理を向上させることがまず重要である。

研究倫理教育の実施に当たっては、研究者の基本的責任、研究活動に対する姿勢などの研究者の行動規範のみならず、研究分野の特性に応じ、例えば、研究データとなる実験・観察ノート等の記録媒体の作成(作成方法等を含む。)・保管や実験試料・試薬の保存、論文作成の際の各研究者間における役割分担・責任関係の明確化など、研究活動に関して守るべき作法についての知識や技術を研究者等に修得・習熟させることが必要である。


研究倫理教育の実施に当たっては、各研究機関では、それぞれ所属する研究者に加え、将来研究者を目指す人材や研究支援人材など、広く研究活動に関わる者を対象に実施する必要がある。

例えば、諸外国や民間企業からの研究者や留学生などが研究機関において一時的に共同研究を行う場合であっても、当該研究機関において研究倫理教育を受講できるよう配慮する必要がある。

さらに、近年、産学官連携の深化に伴い、学生等が共同研究や技術移転活動に参画する機会も増えてきていることから、大学の教職員や研究者のみならず、研究活動に関わる学生等が、実際に起こり得る課題に対応できるような判断力を養うために、利益相反の考え方や守秘義務についても知識として修得することが重要である。





このため、研究機関においては、「研究倫理教育責任者」の設置※ 5などの必要な体制整備を図り、所属する研究者、研究支援人材など、広く研究活動に関わる者を対象に定期的に研究倫理教育を実施することにより、研究者等に研究者倫理に関する知識を定着、更新させることが求められる。



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※ 5「研究倫理教育責任者」の設置については「第3節 2 研究・配分機関における規程・体制の整備及び公表」を参照のこと。


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このような自律性を高める取組は、学生や若手研究者の研究活動を指導する立場の研究者が自ら積極的に取り組むべきである。

研究機関全体として、研究倫理教育を徹底し研究者としての規範意識を向上していくため、このような指導的立場の研究者に対しても、一定期間ごとに研究倫理教育に関するプログラムを履修させることが適切である。



特に、大学においては、研究者のみならず、学生の研究者倫理に関する規範意識を徹底していくため、各大学の教育研究上の目的及び専攻分野の特性に応じて、学生に対する研究倫理教育の実施を推進していくことが求められる。

具体的には、大学院生に対しては、専攻分野の特性に応じて、研究者倫理に関する知識及び技術を身に付けられるよう、教育課程内外を問わず、適切な機会を設けていくことが求められる。

また、学部段階からも、専攻分野の特性に応じて、学生が研究者倫理に関する基礎的素養を修得できるよう、研究倫理教育を受けることができるように配慮することが求められる。



配分機関においては、所管する競争的資金等の配分により行われる研究活動に参画する全ての研究者に研究倫理教育に関するプログラムを履修させ、例えば履修証明などを提出させることで研究倫理教育の受講を確実に確認していくこと、研究倫理教育責任者の知識・能力の向上のための支援その他の研究倫理教育の普及・定着や高度化に関する取組が求められる。



<<研究機関が実施する事項>>

○「研究倫理教育責任者」の設置などの必要な体制整備を図り、広く研究活動に関わる者を対象に定期的に研究倫理教育を実施すること



<<大学が実施する事項>>

○学生の研究者倫理に関する規範意識を徹底していくため、各大学の教育研究上の目的及び専攻分野の特性に応じて、学生に対する研究倫理教育の実施を推進すること



<<配分機関が実施する事項>>

○所管する競争的資金等の配分により行われる研究活動に参画する全ての研究者に研究倫理教育に関するプログラムを履修させ、研究倫理教育責任者の知識・能力の向上のための支援その他の研究倫理教育の普及・定着や高度化に関する取組を実施すること






(2)研究機関における一定期間の研究データの保存・開示

「第1節 2 研究成果の発表」のとおり、研究成果の発表とは、研究活動によって得られた成果を、客観的で検証可能なデータ・資料を提示しつつ、科学コミュニティに向かって公開し、その内容について吟味・批判を受けることである。

したがって、故意による研究データの破棄や不適切な管理による紛失は、責任ある研究行為とは言えず、決して許されない。

研究データを一定期間保存し、適切に管理、開示することにより、研究成果の第三者による検証可能性を確保することは、不正行為の抑止や、研究者が万一不正行為の疑いを受けた場合にその自己防衛に資することのみならず、研究成果を広く科学コミュニティの間で共有する上でも有益である。

このことから、研究機関において、研究者に対して一定期間研究データを保存し、必要な場合に開示することを義務付ける旨の規程を設け、その適切かつ実効的な運用を行うことが必要である。

なお、保存又は開示するべき研究データの具体的な内容やその期間、方法、開示する相手先については、データの性質や研究分野の特性等を踏まえることが適切である。




<<研究機関が実施する事項>>

○研究者に対して一定期間研究データを保存し、必要な場合に開示することを義務付ける規程を整備し、その適切かつ実効的な運用を行うこと



2 不正事案の一覧化公開

「第3節 4 特定不正行為の告発に係る事案の調査」のとおり、特定不正行為(次節で規定する「特定不正行為」をいう。

以下「2 不正事案の一覧化公開」において同じ。)が行われたとの認定があった場合は、速やかに調査結果が公表されることになる。

文部科学省では、特定不正行為が行われたと確認された事案について、その概要及び研究・配分機関における対応などを一覧化して公開する。

これにより、閲覧した者が不正行為の抑止や不正行為が発覚した場合の対応にいかすことが期待できる。



<<文部科学省が実施する事項>>

○特定不正行為が行われたと確認された事案について、その概要及び研究・配分機関における対応などを一覧化して公開すること


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