2014年07月31日

公正な研究を行う仕組み及び倫理・法令・指針遵守のための環境の整備

今週は当初の予定から急きょ、変更して国が考えている下記の2つを見ます。


●医療分野研究開発推進計画(案)
    ↓
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/suisin/suisin_dai2/siryou2.pdf


●健康・医療戦略について(閣議決定)
    ↓
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/suisin/ketteisiryou/dai2/siryou1.pdf


所謂「日本版NIH」の続きです。(所々、割愛していますので、是非、ご自分でも一読ください。)


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今日はまず「医療分野研究開発推進計画(案)」を見ていきます。
    ↓
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/suisin/suisin_dai2/siryou2.pdf


(7)人材の育成

医療分野の研究開発ポテンシャルの向上には、関係するあらゆる分野における人材の育成、確保が重要である。

人材育成に関しては、臨床研究及び治験の観点からも大学の果たすべき役割が鍵である。

特に、卒前教育に臨床研究及び治験に係る方法論、臨床疫学、生物統計学を組み込み、学生にも臨床研究及び治験に関する教育を実施することが期待される。

また、医学系及び生命科学系の若手研究者を持続的に支援することで、基礎研究から臨床研究及び治験まで精通し、かつ、世界をリードする学術的な実績があり、強力な指導力を発揮できる人材を育成することが重要である。

さらに、研究者等の人材の流動性向上のための取組も推進する。

加えて、専門家のみならず国民全体の健康や病気に関する理解力(リテラシー)の底上げも重要な課題となっている。

また、リーダーとなる研究者の育成のみならず、必要な専門人材、具体的には、生物統計家、CRC(臨床研究コーディネーター)、データマネージャー、知的財産、有効性・安全性の評価、規制、倫理、広報等の専門人材及びレギュラトリーサイエンスの専門家を育成・確保、適正な評価をするとともに、キャリアトラックを確立する必要がある。

こうして育成された人材を橋渡し研究支援拠点や臨床研究中核病院、早期・探索的臨床試験拠点に複数配置するよう配慮する必要がある。

さらに、革新的な医薬品、医療機器等及び医療技術をより早く医療現場に届けるため分野横断的な研究を推進し、イノベーションの創出を行いうる人材の育成が重要である。




(8)公正な研究を行う仕組み及び倫理・法令・指針遵守のための環境の整備

公正な研究を行う仕組みを整備するには、効率的な臨床研究及び治験を実施するためのデータベースの構築や、臨床研究の監査やモニタリングの確立を図る必要がある。

具体的には、研究計画書(プロトコール)の策定、研究の進捗状況の把握、研究データの管理(データ入力・集計・解析)、研究成果や知的財産の管理等の研究開発マネジメントを効率的に実施することが求められる。

また、現在検討されている「臨床研究に関する倫理指針」の見直しを着実に進めるとともに、倫理審査委員会の認定制度を導入することで倫理委員会の質の向上を図る必要がある。

また、倫理指針の見直しと並行して、我が国の臨床研究の信頼回復に向け、2014年秋を目途に法制度を含めた臨床研究に係る制度の在り方について検討を進める。

その際、臨床研究の質の確保と被験者保護と研究機関及び製薬企業の利益相反管理等を目的として、倫理教育の強化、不正事案の公開、不正を抑止する環境の整備、組織としての責任体制の確立、不正事案に関する管理責任の追及、国の監視機能の強化と充実、国による組織の不正防止の取組の推進を行う。

基礎研究及び臨床研究における不正防止の取組を推進するため、機構は、業務を通じた医療分野の研究開発に関する研究不正の防止に関するノウハウの蓄積及び専門的な人材の育成に努める。





●研究に関する不正への対応

・研究不正に対して、研究現場の実態を十分に踏まえつつ、個別事案を超えた大きな観点から検討を行い、これらを研究者、組織(予防)及び組織(事後)として対応すべき事項について取りまとめるとともに関係府省に周知し、取組を促す。


・研究機関の不正行為及び研究機関における公的研究費の管理・監査に関するガイドラインの見直し内容等に関する周知徹底や着実な履行を求めること等の取組を推進する。


・我が国の臨床研究の信頼回復に向け、「高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会」の報告書等を踏まえ、「臨床研究に関する倫理指針」の見直しを進めるとともに、2014年秋を目途に法制度を含めた臨床研究に係る制度の在り方について検討を進める。



●倫理審査委員会の認定制度の導入

・臨床研究を国際水準で行う必要性が高まるとともに、その高度化かつ複雑化する状況を鑑みると、倫理性・科学性を適切に判断する倫理審査委員会の役割の重要性が一層高まってきている。

現在、全国に設置されている約1300の倫理審査委員会のうち、国が定めた基準を満たしている倫理審査委員会を認定する制度を2014年度から導入し、当該倫理審査委員会における審査の質を確保するとともに全体的な質の向上を図る。




(9)研究基盤の整備

創薬、医療機器開発につながる基盤技術については、継続的かつ確実に支援することが重要であるとともに、様々な専門分野を融合し、イノベーションを起こすことが必要である。

このため、革新的医療技術創出拠点プロジェクトにおいて推進している拠点を一体化することによりアカデミア等における画期的な基礎研究成果を一貫して実用化につなぐ体制の構築が必要である。


さらに、知識の共有は研究開発推進の源であり、ライフサイエンスに関するデータベース、全国規模の難病データベース、ビッグデータベースシステムをはじめとした良質な情報・試料は可能な限り広く収集・保存し共有されることを目指す必要がある。

各省等が個々に推進してきたデータベースについてもその連携を進めることが必須である。

また、地道な疾患研究や疫学的な調査研究がおろそかにならないよう適切な目標を設定し、長期支援が必要な研究開発の安定的継続に対しては配慮が必要である。

さらに、研究基盤(患者由来の試料、モデル動物等のバイオリソース、先進的解析技術・機器等)の開発推進及び研究者が円滑に利活用可能な最新の基盤(ライブ・分子イメージング、次世代シークエンサー等)の整備を行い、既存の大規模先端研究基盤(放射光施設、スーパーコンピュータ等)や先端的な計測分析機器等を備えた小規模施設と連携を取りつつ、科学技術共通の基盤施設をより使いやすくし、医療分野の研究開発の更なる促進に活用することが重要である。

また、創薬支援業務等に関する独立行政法人医薬基盤研究所から機構への業務移管、特に創薬支援ネットワークの本部機能の円滑な移行に向け万全を期す。

さらに、医療機器の開発を進めるため、大学、研究開発法人、その他の研究機関及び企業等から成るネットワークを構築する。



2.新たな医療分野の研究開発体制が担うべき役割

本年5月、健康・医療戦略推進法及び独立行政法人日本医療研究開発機構法が成立し、機構の設立をはじめ、我が国の医療分野の研究開発体制が新たに構築された。

具体的には、医療分野の研究開発の司令塔本部として、内閣に内閣総理大臣を本部長とし、全ての閣僚が本部員となる健康・医療戦略推進本部が設置され、政治のリーダーシップにより、@政府が総合的かつ長期的に講ずべき健康・医療に関する先端的研究開発及び新産業創出に関する施策の大綱等である健康・医療戦略及び当該戦略に即した医療分野研究開発推進計画を定め、A同戦略及び同計画の実施のために必要な、各省に計上されている医療分野の研究開発関連予算を集約することにより、司令塔機能の発揮に必要な予算を確保し、戦略的・重点的な予算配分を行い、B機構においては、基礎研究、臨床研究及び治験、創薬開発等の豊富な経験を有するプログラム・ディレクター(以下「PD」という。)、プログラム・オフィサー(以下「PO」という。)等の適切な配置を行い、実用化のための研究を基礎段階から一貫して一体的な管理を行うこととなっている。


このような新たな医療分野の研究開発体制において、具体的に以下の取組を行う。

(1)機構に期待される機能

@ 医療に関する研究開発のマネジメント

各省連携プロジェクトなど、機構において実施される研究開発の成否は、プロジェクトマネジメントにかかっている。

このため、患者や医療現場、産業界等からのニーズの把握や技術的可能性を評価し、現実的なビジョンの下に計画を常に見直すことのできるマネジメントを実現する。

そのためには、優れたシーズを見出す目利き機能、臨床研究及び治験への橋渡しや産業界への導出に向けての企画力、規制対応等の周到な準備と研究者を支援・指導する牽引力が求められる。


具体的には、患者や医療現場、研究者、産業界等からのニーズの把握等のためのアドバイザリーボードを理事長の下に置くとともに、国内外の動向を把握、評価し、テーマを抽出するための専門家によるシンクタンク機能を備える。

また、個別研究課題の選定にピア・レビュー方式を導入する。

PD、PO等がこれを活用して専門調査会報告書を踏まえた研究の実施、研究動向の把握・調査、シーズの探査・育成研究の強化(スクリーニングや最適化研究)や優れた基礎研究成果を臨床研究及び治験、産業化へつなげる一貫したマネジメント(研究の進捗管理・助言、規制対応等)及び適切な研究実施のための監視・管理機能など、研究開発の開始、推進、監視・管理、さらには、方針の転換に至るまで一元的かつ一貫したプロジェクトマネジメント機能を果たすことが必要である。


基礎研究及び臨床研究における不正防止の取組を推進するため、機構は、業務を通じた医療分野の研究開発に関する研究不正の防止に関するノウハウの蓄積及び専門的な人材の育成に努めることが必要である。




A 臨床研究及び治験データマネジメント

機構が推進する研究については、臨床研究及び治験に係る計画書(プロトコール)の策定、研究の進捗状況の把握、研究データの管理(データ入力、集計、解析)、研究成果や知的財産の管理等の研究マネジメントを効率的に実施する方策を検討し、できる限り早期にその実行に向けた取組を行うことが必要である。



B 実用化へ向けた支援

機構には、知的財産管理・相談窓口、知的財産取得戦略の立案支援等の知的財産取得に向けた研究機関への支援機能や、PMDAと連携した有望シーズの出口戦略の策定・助言や企業への情報提供・マッチング及びワンストップサービスの提供等といった実用化に向けた企業連携を支援する機能の具備が必要である。

また、医療機器開発に関して、関係機関が連携して支援できるようなネットワークを構築し、その中核的役割を果たす医工連携並びに産学連携のハブとして機能を整備することが必要である。

医薬品の実用化支援については、創薬支援コーディネーターチームの目利き評価により大学等で生み出された研究成果から有望シーズを選抜し、創薬支援ネットワークが保有する創薬支援資源を集中的に投下することにより、応用ステージ(スクリーニング、最適化研究、非臨床試験)を中心に、革新的新薬の創出を目指したオールジャパンでの強力な支援を行うことが必要である。




C 研究開発の基盤整備に対する支援

新たなバイオマーカーを探索・解明することで実現する革新的な診断技術・機器、既知のマーカーを取り扱いやすく、非侵襲、低侵襲で、正確かつ低コストで測定できる診断技術や機器をシームレスに開発するための体制整備、革新的医療技術創出拠点の強化・体制整備やエビデンスに基づいた予防医療・サービス手法を開発するためのバイオバンク等の強化及びモデル動物等のバイオリソースの整備等を行うことが必要である。



D 国際戦略の推進

国際的な研究開発動向を踏まえ、我が国にとって真に価値のある国際共同研究を推進するとともに、我が国の医療に係る研究能力を活用して国際的にも貢献することが必要である。





●オールジャパンでの医薬品創出

・創薬支援ネットワークの構築により、大学や産業界と連携しながら、新薬創出に向けた研究開発を支援するとともに、創薬支援のための基盤強化を図る。

また、創薬ターゲットの同定に係る研究、創薬の基盤となる技術開発、医療技術の実用化に係る研究を推進し、革新的医薬品及び希少疾患治療薬等の開発を支援する。






(4)臨床研究中核病院の医療法上の位置付け

日本発の革新的な医薬品、医療機器の開発等に必要となる質の高い臨床研究や治験を推進するため、医療法上に位置付けられた国際水準の臨床研究や医師主導治験の中心的役割を担う臨床研究中核病院の要件について、以下の観点等から速やかに検討を進め、その実現を図る。

@当該臨床研究中核病院に必要な機能を病院管理者等の下、病院全体で確保できること

A出口戦略を見据えた適切な研究計画を企画・立案し、ICH−GCPに準拠して臨床研究を実施できること

※医療機器については、ISO14155:2010に準拠する。以下同じ。


B倫理性、科学性、安全性、信頼性の観点から適切かつ透明性の高い倫理審査ができること

CICH−GCPに準拠したデータの信頼性保証を行うことができること

Dシーズに関して知的財産の管理や技術移転ができること

E質の高い多施設共同での臨床研究や治験を企画・立案し、他の医療機関と共同で実施できること。

また、中核病院として、他の医療機関が実施する臨床研究及び治験を支援できること

F関係者の教育、国民・患者への普及、啓発、広報を行えること




●臨床研究中核病院の医療法上の位置付けの検討状況

・2014年6月18日に医療介護総合確保推進法案が国会で可決・成立し、新たに医療法上に臨床研究中核病院が位置付けられることとなった。

現在、革新的医療技術創出拠点プロジェクトにおいて整備を進めている早期・探索的臨床試験拠点、臨床研究中核病院をはじめとする病院のうち、一定の要件に該当するものは、厚生労働大臣の承認を得て、医療法に基づく臨床研究中核病院と称することができる。


・この医療法に基づく臨床研究中核病院は、質の高い臨床研究や治験を自ら実施するとともに、他施設で実施する臨床研究及び治験の計画立案や実施について支援するARO機能をもつことを想定していることから、これを活用し、橋渡し研究支援拠点のシーズや医療上の必要性が高いものの企業による開発が進まない研究を実施して、エビデンスを構築することで、革新的な医薬品、医療機器等及び医療技術の創出を推進する。

更に、未承認薬等を用いた臨床研究及び治験の実施に際し生じる有害事象等に十分対応できる体制の確保を目指す。


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2014年07月30日

医薬品、医療機器開発の新たな仕組みの構築

今週は当初の予定から急きょ、変更して国が考えている下記の2つを見ます。


●医療分野研究開発推進計画(案)
    ↓
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/suisin/suisin_dai2/siryou2.pdf


●健康・医療戦略について(閣議決定)
    ↓
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/suisin/ketteisiryou/dai2/siryou1.pdf


所謂「日本版NIH」の続きです。(所々、割愛していますので、是非、ご自分でも一読ください。)


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今日はまず「医療分野研究開発推進計画(案)」を見ていきます。
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http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/suisin/suisin_dai2/siryou2.pdf



(2)医薬品、医療機器開発の新たな仕組みの構築

国内に埋もれている有望なシーズをくみ上げるシステムを構築し、それを実用化に結び付けるため、最終的なビジネスとしての発展も視野に入れつつ、基礎から臨床研究及び治験、実用化までの一貫した研究開発の推進、さらに、臨床現場における検証と新たな課題を抽出できる体制の整備が必要である。


その際には、研究開発の出口を見据えた知的財産戦略と、基礎研究の成果の中から実用化に向けた可能性の高いニーズを見極め、臨床研究及び治験に係るデータの集積・活用を図り、しっかりと基礎研究から応用研究、臨床研究及び治験、実用化へと橋渡しがなされることが重要である。

また、日本発の革新的医薬品、医療機器の実用化促進に向け、幅広い分野につき高度の知識・技術を有する人材の育成、医薬品、医療機器開発の基盤整備による効率化、迅速化、レギュラトリーサイエンスを推進する必要がある。

さらに、日常の臨床症例を登録するレジストリー研究のためのデータベース構築、ビッグデータ分析等のICT(Information and Communication Technology)の活用による研究開発の迅速化とコストダウンを図る必要がある。



新薬開発のためのFirst in Human 試験(医薬品の第I相試験において人に初めて投与すること)をはじめ、あらゆる臨床研究及び治験の迅速な実施に向け、短期間で効率的な臨床研究及び治験を行うため、革新的医療技術創出拠点及びナショナルセンターのネットワークを強化し、世界に通用する臨床研究及び治験を遂行するため、症例を集積しやすい環境を整備する必要がある。


医薬品、医療機器の開発においては、大学発ベンチャーなどのベンチャー企業も重要な役割を果たすことが重要である。

なお、実用化へ向けた支援として、薬事戦略相談等に関するPMDAの体制強化と、PMDAと連携した有望シーズの出口戦略の策定・助言、企業への情報提供・マッチング等、企業連携・連携支援機能の強化が必要である。

こうした認識の下、医薬品分野及び医療機器分野それぞれにおいて、以下の取組を行う。



@ 医薬品分野

我が国発の革新的医薬品開発を加速するためには、患者ニーズの把握等に努め戦略的なテーマを設定する必要がある。

また、対象となる技術として、従来からの創薬資源である低分子化合物や天然物に加え、核酸、抗体、ワクチン、幹細胞といった新しい創薬資源に着目する必要がある。

さらに、たんぱく質を中心にした生体高分子の分子機能を、その分子構造からの理解を目指すことを目的とした構造生物学の発展により、薬剤の分子設計が大きく進歩していることも念頭に置く必要がある。

創薬に向けては、アカデミアの研究成果からシーズを探索し、様々な分野の研究者が創薬関連研究支援基盤を活用しやすい環境を整備する必要がある。

そのためには、創薬支援ネットワーク等を活用し、シーズの探索、知的財産管理、そして実用化に必要な応用研究等の支援を進める。

また、既存の薬剤や開発途上で中断した新規な薬理作用を示す化合物について、網羅的薬効プロファイリングや新たな標的分子の同定を行うことにより、新しい適応症を探索し、新たな効果を持つ医薬品として開発するドラッグ・リポジショニングに向けた研究体制の構築等も視野に入れる必要がある。

さらに、体内の薬物分布を量的・空間的・時間的に制御し、コントロールする薬物伝達システム(ドラッグ・デリバリー・システム:DDS)についても、ナノテクノロジーとの融合も視野に入れた取組が必要である。

また、当初からGLP(Good Laboratory Practice)及びGMP等の国際基準並びに品質、有効性、安全性を確保するレギュラトリーサイエンスを念頭に置いた研究の推進が必要である。

さらに、分子標的薬等の効果あるいは副作用を予測するコンパニオン診断薬等の同時開発及び臨床研究及び治験のデザインの最適化を推進することも必要である。





●ドラッグ・リポジショニングによる希少疾病用医薬品の開発を推進

・既存薬の新たな治療効果のエビデンス構築(ドラッグ・リポジショニング)に係る研究を推進することにより、難病・希少疾病等の克服に資する日本発の医薬品の創出を推進し、2020年までに企業への導出を目指す。



●薬物伝達システム等とナノテクノロジーとの融合

・ナノテクノロジーの活用も視野に入れた、組織特異的な薬物伝達システム等に係る革新的な技術開発を実施する。



●個別化医療等におけるコンパニオン診断薬等の同時開発並びに臨床研究及び治験のデザインの最適化

・医薬品審査と連携したコンパニオン診断薬の評価手法に関する研究を推進する。

特に新薬については、原則として、コンパニオン診断薬との同時審査の体制を整える。

これらの取組にて、2020年までに企業への導出を目指す。



●官民共同による医薬品開発促進プログラムの推進

・日本の医薬品開発のボトルネックを解消するための課題を抽出し、その課題ごとに、アカデミア、製薬企業、ナショナルセンター等の関係者が参画する「技術研究組合」を形成し、集中的に研究を推進する体制構築をし、5年以内に成果を上げることを目指す。

・製薬企業と国立医薬品食品衛生研究所等が共同で革新的な抗体医薬品の開発を加速させるための品質リスク評価・製造品質管理に関する研究や、副作用の早期診断・事前診断に利用可能なバイオマーカー開発に関する研究を推進し、5年以内に成果を上げることを目指す。





(5)世界最先端の医療の実現に向けた取組

再生医療やゲノム医療の実現といった世界最先端の医療の実現に向けた研究開発も、科学技術先進国である我が国が重点的に取り組むべき重要な課題である。

このような最先端医療の開発に当たっても、基礎研究の果たす役割は重要である。

我が国の基礎研究力はいまだ国際的にも競争力を保っているものの、革新的かつ医療ニーズに応える上で優れたシーズを将来にわたって創出し続けるためには、基礎研究への投資を怠ることなく、分野横断的な研究を推進することが必要である。

加えて、基礎から臨床への流れだけではなく、両者間の緊密なフィードバックが不可欠であり、両者に対する同時支援が必要である。

また、アカデミア創薬からの医薬品実用化においては、化合物ライブラリーなどのリソースや技術を有する製薬企業との協働・協力が不可欠であり、産学連携への継続的な支援が必要である。

また、このような取組に当たっては、研究開発の着実な推進に加え、最先端が故に生じる課題やリスクに対し、その解決のための検討や社会の受け入れ態勢をも同時に整備する必要がある。

さらに、基礎研究の成果を出口につなげていく際には、その研究の当初から、患者をはじめとする国民のニーズに基づき出口戦略を明確にした工程表等に基づいた知的財産権を含む計画的、戦略的な取組や、研究の進捗に伴う客観的な評価を行いつつ推進することが求められる。



@ 再生医療の実現

国民への再生医療の迅速かつ安全な提供等を図るため、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(昭和35年法律第145号)において、医薬品、医療機器とは異なる再生医療等製品の特性を踏まえた承認制度が設けられるとともに、医療として提供される再生医療等についても、細胞の採取等の実施の手続き、再生医療等を提供する医療機関の基準、細胞を培養・加工する施設の基準等を規定し、安全性を確保する「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」(平成25年法律第85号)が成立した。

このような中、iPS細胞等を含む幹細胞を用いた再生医療や創薬研究において、我が国の優位性を維持するためには、疾患の病態解明に加え、iPS細胞等の基礎研究から応用研究、臨床研究及び治験、実用化について引き続き重点的に推進するとともに、我が国が得意とする技術を生かし、世界に先駆けて自動大量培養装置や周辺装置等を開発するための産学連携が必要である。


また、基礎研究から次のフェーズへ進めるためにも、再生医療に用いる材料の大量かつ安定的な国内生産及び供給体制が不可欠であり、国際的に整合性がとれた基準での製造・品質管理体制を構築する事業を産学連携の下で推進する必要がある。

また、iPS細胞等のバンク化及び他家細胞移植治療の推進のため、他家細胞移植治療の基礎研究から応用研究、臨床研究及び治験、実用化を加速させる必要がある。


再生医療等製品は、非臨床試験から製造販売承認まで長期間を要することに加えて、製造プロセスも多く、衛生管理も極めて高度であり、かつ試験検査にも多額の費用を要するため、PMDAの薬事戦略相談による助言の積極的活用も含め、切れ目ない長期支援と一貫したサポート体制が必要である。

このため、各省一体となり、基礎研究、応用研究、臨床研究及び治験、実用化へとそれぞれの成果をつなぎながらの一貫性のある支援が必要である。

一方、信頼性や国際競争力を維持するためには、製品の生産及び供給体制に応じた規制も必要であり、高い品質を確保するための試験検査実施体制を構築することが必要である。

また、開発費用・開発に費やした時間が無駄にならないよう、ストック用iPS細胞等の再生医療等製品の原料等の基準、iPS細胞由来分化細胞を用いた医薬品評価法並びに臨床研究及び治験の基準を策定することが必要である。

日本発のiPS細胞・分化細胞を海外にも普及させるため、医薬品評価法の国際標準化につき、国際的な調整・交渉を行うとともに、整合化を図る必要がある。


ヒトiPS細胞の臨床応用には、倫理的、法的及び社会的課題があるため、研究者のみならず、社会全体で議論を行い、丁寧に合意を形成することが必要である。

また、iPS細胞については、再生医療のみならず、それを活用した創薬研究を強化することが重要である。

難病をはじめとした疾患特異的iPS細胞の樹立とストック、解析方法などの技術開発及びそれを用いた疾患研究および創薬研究を、産学官が連携し、基礎研究から応用研究、臨床研究及び治験、実用化へと、一貫性を持って推進することが必要である。




●新たな画期的シーズの育成

・革新的な医薬品、医療機器等及び医療技術を創出することを目的に、客観的根拠に基づき定めた研究開発目標の下、画期的シーズの創出・育成に向けた先端研究開発を推進するとともに、有望な成果について研究を加速・深化する。

・理化学研究所などの研究開発法人においてこれまでの多用な研究で培われたポテンシャルを生かし、革新的シーズの創出等に貢献する基礎・基盤研究を実施する。




●将来の市場規模の拡大が期待されるバイオ医薬品への取組の推進

・我が国のバイオ医薬品の国際競争力強化に向け、我が国の強みであるケミカルバイオロジーや計算化学等を融合し、細胞内標的をターゲットとする技術、核酸医薬の機能向上等の世界初の次世代バイオ医薬品創出基盤技術開発を実施し、5年以内に企業等へ移転することを目指す。

・我が国発の革新的なバイオ医薬品の創出に向けて、人材育成を含めた基盤・環境整備への支援の検討を2015年から行う。

・次世代治療・診断の実現のため、患者に負担をかけずに早期診断を行うための生体指標の探索技術、次世代創薬に必要なIT技術、天然化合物ライブラリの整備技術、高品質なバイオ医薬品製造技術の開発等を実施し、5年以内に実用化を目指す。

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2014年07月29日

「臨床研究(試験)情報検索ポータルサイト」のリニューアルなど等

今週は当初の予定から急きょ、変更して国が考えている下記の2つを見ます。


●医療分野研究開発推進計画(案)
    ↓
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/suisin/suisin_dai2/siryou2.pdf


●健康・医療戦略について(閣議決定)
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http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/suisin/ketteisiryou/dai2/siryou1.pdf


所謂「日本版NIH」の続きです。(所々、割愛していますので、是非、ご自分でも一読ください。)


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今日はまず「医療分野研究開発推進計画(案)」を見ていきます。
    ↓
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/suisin/suisin_dai2/siryou2.pdf


●研究成果の効率的な活用に向けた薬事戦略相談の充実

・PMDAにおいて、開発工程(ロードマップ)への助言や検証的試験プロトコルへの助言を行う相談を実施することにより薬事戦略相談の拡充を図る。

さらに、薬事戦略相談を含む治験相談等の対象となる分野や相談の種類等について、相談者のニーズを反映し、信頼性基準に関するものも含め、拡充を図る。



●若手研究者の育成

・世界の最先端医療の研究・開発等をリードし、将来的にその成果を国内外に普及できる実行力を備えたメディカルイノベーション推進人材を養成するための大学における取組を支援する。

・医学教育・薬学教育における教育内容の指針であるモデル・コア・カリキュラムに、臨床研究及び治験等に関する教育を位置付け、全ての大学における取組を促進する。



●生物医学系の情報科学分野の人材育成や確保

・若手研究者や学生等の先進的な発想を対象とした研究開発を推進することで生物医学系の情報科学分野における研究者のキャリア確保を図るとともに、大学等における研究・教育支援を行う。



●臨床研究における統計解析、モニタリングの適正な実施の推進

・現在、見直しを進めている「臨床研究に関する倫理指針」において、今後は研究責任者にモニタリング及び監査の実施を求めるとともに、2015年度から臨床研究を実施する機関においてモニタリングの実施等に必要な体制整備を進めることを目指す。



●法的措置に係る検討

・我が国の臨床研究の信頼回復に向け、「高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会」の報告書等を踏まえ、「臨床研究に関する倫理指針」の見直しを進めるとともに、2014年秋を目途に法制度を含めた臨床研究に係る制度の在り方について検討を進める。



●啓発活動の推進

・国立保健医療科学院の「臨床研究(試験)情報検索ポータルサイト」に臨床研究及び治験に関する情報提供を実施しているが、さらに、2014年度にこのポータルサイトを改修し、検索機能を向上させるなど、国民・患者の視点から利用しやすいものとするとともに、より利用が進むように周知を図る。

・がん、循環器疾患などの特定の疾患群のうち、症例が集積しづらい疾患の臨床研究及び治験をより進めるために、ナショナルセンターを拠点とした当該疾患ごとの施設間ネットワークや患者登録システムの構築をより推進し、2017年度までに6つのセンターで運用を開始することを目指す。




A 「循環型研究開発」の推進とオープンイノベーションの実現

(@) トランスレーショナル・リサーチ(TR)に関しては、基礎研究の成果を臨床につなぐ方向に加え、臨床で見出した課題を基礎研究に戻すリバースTRが重要である。

これは多数の症例を対象とした疫学・臨床疫学により可能となる。

こうした循環型の対処法は新規の診断・治療技術のみでなく、既存の技術についても同様であり、医療分野の研究開発の基本である。


(A) 近年、開発費が高騰し、一企業のみで医療分野に関する研究開発を実施することは困難になりつつあることから、大学、研究機関、病院、企業等がネットワークを形成し、連携することの重要性が増している。

限られた予算をいかに有効に医療・医療産業に応用するかを考慮し、テーマを設定するとともに、知的財産を確保しつつ、オープンイノベーションを実現する取組が必要である。


(B) 産学官の連携を強化し、実用化研究と技術開発を推進するため、コンソーシアムを形成し、産学官連携によるオープンイノベーション等の推進により次世代産業の育成を図るとともに、各種ファンドを通じた必要な資金の供給、中小・ベンチャー企業への支援等も重要である。

また、医療分野の産業化の促進向上が必要である。


(C) 大学、研究機関、医療機関、企業等とPMDAとの連携を強化し、薬事戦略相談制度の拡充、審査ガイドラインの整備、審査員の専門的知識の向上等を通じて、研究開発におけるレギュラトリーサイエンス(有効性・安全性の評価、開発・審査に関するガイドラインの整備等に関する研究の基となる科学)を普及・充実させる。

また、研究開発における出口戦略を見据え、開発プロセスの早い段階からPMDAが関与することにより、相談・承認審査・市販後安全対策を通じて革新的な医薬品、医療機器の実用化に向け適切な対応を行うなど創薬、医療機器開発支援の充実強化を図ることが必要である。


(D) レギュラトリーサイエンスに基づいた研究開発支援を行うため、PMDAや国立医薬品食品衛生研究所と大学等との人材交流を積極的に進める必要がある。





●創薬支援ネットワークによる新薬創出に向けた研究開発支援

・創薬支援ネットワークにより、大学や産業界と連携しながら、新薬創出に向けた研究開発を支援する。

・創薬支援ネットワークの強化に向け、革新的な研究基盤の整備を進める。



●医療機器開発支援ネットワークの構築

・医工連携による医療機器開発を促進するため、複数の専門支援機関による開発支援体制(医療機器開発支援ネットワーク(仮称))を構築する。


●各種ファンド等を通じた資金の供給、中小・ベンチャー企業への支援

・健康・医療分野における産業の育成を図るため、官民ファンドによる資金供給の他、関係機関からの資金供給とも連携してベンチャー企業や中小企業等への事業拡大等の支援を行う。


●医療分野の産業化の促進


・大学等の研究成果の実用化に向け、有望なシーズの発掘から企業主体での事業化開発や、優れた基礎研究成果や産業界が抱える技術課題の解決に資するテーマを基にした産学協同研究等の支援を行う。


●レギュラトリーサイエンスの推進

・日本が世界に先駆けて開発する核酸医薬の副作用評価法に関する研究、最先端技術に対応した新たな品質公定試験法や動物代替試験法等の新たな安全性試験法の開発等を行う。



●PMDAや国立医薬品食品衛生研究所と大学、研究機関等との連携強化

・最先端の研究を実施している大学等とPMDAや国立医薬品食品衛生研究所との人材交流を通じて、レギュラトリーサイエンス研究に精通した人材の育成を行うとともに、革新的な医薬品、医療機器及び再生医療等製品について、開発及び評価するためのガイドライン等を作成する。



●相談・承認審査・市販後安全対策等による創薬、医療機器開発の支援

・PMDA自らが治験に係るデータ等を活用した研究、解析を行い、審査・相談の質の高度化を図る。

また、医療情報データベースの安全対策等への利活用に向けた環境整備を行う。

また、PMDAの業務について、2020年までに審査ラグ「0」の実現を目指すとともに、審査の質の向上、安全対策の強化等を図るため必要な体制強化を図る。

・革新的な医薬品、医療機器及び再生医療等製品の実用化を加速するため、PMDA関西支部(PMDA−WEST)における薬事戦略相談、GMP調査等の実施、医薬品、医療機器等について承認の予見性向上に取り組む。

・PMDAへの新薬等申請に当たって、申請添付資料について、英語資料の受け入れ範囲の更なる拡大について検討する。

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2014年07月26日

国が考えている「医療分野研究開発推進計画(案)」(日本版NIH)等

今週は当初の予定から急きょ、変更して国が考えている下記の2つを見ます。


●医療分野研究開発推進計画(案)
    ↓
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/suisin/suisin_dai2/siryou2.pdf


●健康・医療戦略について(閣議決定)
    ↓
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/suisin/ketteisiryou/dai2/siryou1.pdf


所謂「日本版NIH」の続きです。(所々、割愛していますので、是非、ご自分でも一読ください。)


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今日はまず「医療分野研究開発推進計画(案)」を見ていきます。



2.我が国の課題

基礎研究の成果が創薬や医療機器等の実用的診断・治療技術に必ずしもつながっていないことは、以前より再三にわたり指摘されてきた。

その要因は、「基礎研究」、「臨床研究及び治験」、「産業界」及び「国等の研究支援体制」それぞれの段階に見出すことができる。



(1)基礎研究の抱える課題

近年、中国や韓国等の新興国においても基礎研究への取組が強化され、日米欧を急速に追い上げてきているなど、基礎生命科学や臨床医学分野での我が国の論文の国際競争力は相対的に低下傾向にあるものの、我が国の基礎研究力は国際的にも依然高い競争力を保っている。

従来は基礎研究に携わる研究者自身の開発への興味や、製薬会社における研究開発過程で見出された知見に基づいて、製品開発に至ったケースが多く、製品開発の可否は個人の見識に強く依存していた。

本計画はこうした基礎研究力を更に充実強化し、その結果を展開する研究を促進するものである。

これまで、多くの基礎研究が論文発表で留まり、疾患の病態解明や病態に基づく創薬あるいは医療機器の開発・実用化に展開する研究は、一部先駆的な事業が実施されてはいたが、全体としては必ずしも活発ではなかった。これは研究者の社会還元の志向性が強くなかったことに加え、推進するための研究費や支援体制が十分ではなかったこと、さらには、成果の中から実用化につながる有望シーズを見出し、育成する体制や目利きが不足していたことなど、組織的なマネジメントがなされていなかったことによると考えられる。




(2)臨床研究及び治験の抱える課題

我が国の臨床研究及び治験については、国際的に見ていまだに課題が多く、そのため、製薬企業の治験を海外機関で実施する傾向のあることは否めない。

これは、臨床研究及び治験における倫理規定、データマネージメント、安全性、品質保証等に関する国際基準がより厳格化される中で、我が国の対応が遅れたことが一因となっている。

臨床研究及び治験においては厳密なデータ管理や各種規制への対応を行わなければならないこと、さらに、医薬品や医療機器の有効性が生命予後や心臓発作、脳卒中などの低い頻度ながらも重大な事象を指標とされるようになったことが、臨床研究及び治験の大規模化と長期化に拍車をかけた。

その結果、多くの研究費と強力な研究支援体制なしに臨床研究及び治験を行うことが極めて困難となった。



大学病院では疾患の病態研究については多くの国際的実績を挙げてきたが、研究体制の不備や人材不足等により、臨床研究及び治験は十分に行われてこなかった。

国立高度専門医療研究センター(以下「ナショナルセンター」という。)においては、特定の疾患群の治療を対象とした病院と治療技術の実用化に軸足をおいた研究所を併設しているという特長を生かして臨床研究及び治験を実施し、一定の成果を上げてきたが、企業との連携による創薬及び医療機器開発において貢献してきたとは必ずしもいえない。

このため、症例集積性の向上、臨床研究及び治験手続の効率化、研究者・専門家の育成・確保、臨床研究及び治験の情報公開、治験に要するコスト・スピード・質の適正化に関して、より一層の強化が求められる。




(3)産業界の抱える課題

我が国は、世界第3位の医薬品開発実績を上げているが、革新的な新薬の開発実績における存在感が低下していること、世界で売上高ランキングの高い医薬品の多くに日本人研究者が関与しているものの製品化に際して日本企業参画が非常に少ないこと等の指摘がある。

医療機器については、今後、特に診断・治療機器の分野において市場の伸びが期待されている。

しかしながら、我が国の企業の参入は限定的であり、市場における日本企業の存在感も欧米企業に比べて小さいのが実情である。

我が国が誇る高度なものづくり技術や大学等の工学的な基礎研究シーズが生かせる分野も多いが、こうした技術と医療現場の要請との適合が必ずしも十分でなかったことも課題として挙げられる。

また、日本の製薬・医療機器メーカーは企業規模から見て欧米に比べてリスクを許容できる経営資源が少ない。

さらに、近年、企業の医薬品研究開発投資が巨額化しており、企業規模の違いから1社当たりの研究開発費の日米間の格差が拡大している。



欧米諸国等においては、創薬、医療機器開発におけるベンチャー企業の果たす役割が大きい。

これに対し、我が国においてはリスクマネーを供給するベンチャーキャピタルや目利き人材の不足をはじめ、ベンチャー企業の育つ環境は十分に整っていない。

積極的にリスクを取って管理していこうとする者が少ない構造も相まって、ベンチャーの果たす役割は小さい状況にとどまっている。

さらに、企業によっては医療の実態やアンメットメディカルニーズへの認識が必ずしも高くない。

これは我が国では研究開発の基盤となる医療と疾病の実態を示すデータが十分でないこと、また企業に限らないものの、創薬を志向する研究者と臨床現場との間でのコミュニケーションや人材の交流が十分でないことも一因と考えられる。





(4)研究支援体制の抱える課題

従来、医療分野の研究開発については、基礎研究から非臨床試験までに軸足を置いた文部科学省、臨床研究及び治験から実用化に軸足を置いた厚生労働省、および産業活性化の視点で推進している経済産業省により個別に実施されており、各省間の連携が不十分であったことは否めない。

このため、限られた予算と人材を活用し、基礎研究から実用化までを切れ目なく実施できる体制の構築が喫緊の課題である。

また、公的研究費の柔軟な使用について検討するとともに、民間からの資金を活用するために改正された寄附税制の活用を図るべきである。





U.集中的かつ計画的に講ずべき医療分野研究開発等施策

1.課題解決に向けて求められる取組

長期的視野及び短期的成果を目指す両面から、アカデミア、医療機関、産業界、国、地方公共団体が連携しつつ、以下の取組を行うことが必要である。


(1)基礎研究成果を実用化につなぐ体制の構築

医療の研究開発を持続的に進めるためには、基礎研究を強化し、画期的なシーズが常に産み出されることが必要である。

基礎研究の成果を実用化に展開するためには、臨床研究及び治験実施環境の抜本的な向上及び我が国発の医薬品、医療機器の創出に向けたイノベーションの実現が鍵となる。


@ 臨床研究及び治験実施環境の抜本的向上の必要性

諸外国においては、臨床研究及び治験のために数千床規模の一か所集中型の臨床研究及び治験を行う拠点を創設する例も見られる。

一方、我が国においては、複数拠点のネットワークの構築を推進してきたところであり、革新的医療技術創出拠点プロジェクトにおいて推進している橋渡し研究支援拠点、早期・探索的臨床試験拠点、臨床研究中核病院及び日本主導型グローバル臨床研究拠点(以下「革新的医療技術創出拠点」という。)並びにナショナルセンターといった拠点を活用し、それらを中心としたARO(Academic Research Organization)機能の構築による臨床研究及び治験が推進されている。


臨床研究及び治験を進めるため、各施設で症例の集約化を図るとともに、今後も、これらの資源を有効に活用しつつ、以下の更なる機能の向上を図り、国際水準の質の高い臨床研究や治験が確実に実施される仕組みの構築が必要である。

なお、我が国の医療研究開発におけるナショナルセンターの在り方については、検討を更に深める必要がある。



(@) 臨床研究の質の向上

症例集積性の向上とコストの適正化、スピードの向上、ICH−GCP(International Conference on Harmonization of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use − Good Clinical Practice)基準の推進など、臨床研究の質の向上を図ることが必要である。

このためには、ALCOA原則に基づいた原資料作成、モニタリング、監査の実施等による品質管理と品質保証が求められる。

その対応には各ネットワーク拠点となる革新的医療技術創出拠点のAROや中央倫理・治験審査委員会等の機能を活用するとともに、研究計画書(プロトコール)の策定、研究の進捗状況の把握、研究データの管理(データ入力・集計・解析)、研究成果や知的財産の管理等の研究開発マネジメントを効率的に実施するなど、個別の臨床研究及び治験に対する一貫したマネジメントが有効である。

これにより、臨床研究及び治験の手続の効率化も期待される。

また、研究成果を効率的に薬事承認につなげられるように、大学、研究機関、医療機関、企業等とPMDA(Pharmaceuticals and Medical Devices Agency:独立行政法人医薬品医療機器総合機構)との連携を強化するため、薬事戦略相談制度の拡充や優先的な治験相談制度の必要な運用改善を行う必要がある。



(A) 研究者・専門家の育成・人材確保

我が国の医学分野においては基礎研究論文が比較的高く評価される傾向があり、そのため基礎研究論文における我が国の国際的存在感は高い。

一方、臨床研究及び治験に係る論文に関する我が国の国際的存在感は、基礎研究論文と比較して低く、かつ低下傾向にある。

臨床研究及び治験を重要な医科学と位置付け、臨床研究及び治験の質と量を向上させることが必要である。

そのためには、まず臨床研究及び治験に従事する人材の魅力的なキャリアパスを確立する必要がある。

特に、医学部、薬学部生等に対し、臨床研究及び治験に関する教育を充実するとともに、臨床研究及び治験のためのポストの整備など、若手研究者の育成が必要である。


また、生物統計、バイオインフォマティクス、ビッグデータ解析等にかかる生物医学系の情報科学分野の人材育成や確保は、今後の遺伝子情報や医療情報等を活用した臨床研究及び治験の推進にとっても必須である。

さらに、疫学専門家、生命倫理、研究倫理等の専門家の果たす役割がきわめて重要である。現在これらの人材が不足しているため、早急な人材の育成・確保が重要である。



(B) 臨床研究及び治験のための共通的な基盤の共用

臨床研究及び治験のため大量に細胞培養を行うために用いるCPC(Cell Processing Center)等の構造設備及びGMP(Good Manufacturing Practice)基準準拠の製造管理・品質管理が可能な設備を全国の拠点で共用する。

さらに、ナノテクノロジー、遺伝情報の解析、その他の最先端の計測分析技術など、特殊・高度な研究基盤についても共用を進めることが必要である。



(C) 研究不正・研究費不正使用等防止への対応

近年、特定の高血圧症治療薬に関する研究論文のデータ不正操作・利益相反行為の問題等が明らかになったが、このようなことが二度と起こらないよう、臨床研究に関する情報公開、監査、モニタリング、利益相反管理、医師・薬剤師・研究者等への卒前・卒後の研究倫理の教育など、行政のみならず、研究開発現場におけるコンプライアンス遵守への取組の徹底が必須である。



(D) 患者との連携及び国民への啓発活動等への取組

臨床研究及び治験の実施に当たっては、被験者や患者との連携を図るとともに、患者・国民への臨床研究及び治験の意義やそれが国民にもたらすメリット等についての啓発活動を積極的に推進する必要がある。

特に、教育・研究を旨とする大学病院やナショナルセンターにおける取組の検討が必要である。


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2014年07月25日

組織移行及び体内分布における薬物相互作用

今週は「医薬品開発と適正な情報提供のための薬物相互作用ガイドライン(最終案)」
平成26年7月8日 事務連絡  厚生労働省医薬食品局審査管理課 について見ていきます。
   ↓
https://sites.google.com/site/zhiyanniguansurutongzhiji/sogosayo


いつものようにコピペしているだけ(さらに途中、割愛しているところもあります)ですので、自分で全部読む!という方はスキップしてください。

これまた、いつものように、途中でチャチャは入れています。

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3. 組織移行及び体内分布における薬物相互作用

薬物の多くは血漿中で血漿蛋白質と結合して存在し,また,組織内では蛋白質やある種の組織成分と結合している.

血漿と組織の間の薬物の移行は非結合形(型)によることから,蛋白結合の置換による非結合率の変動が薬物相互作用の原因となることがある.

また,薬物によってはその組織分布にトランスポーターが関与する.



3.1 血漿蛋白結合

薬物が血漿中において結合する蛋白質は主にアルブミンであるが,一部の薬物はα1−酸性糖蛋白質,リポ蛋白質,あるいはその他の蛋白質に結合する.

In vitroで血漿蛋白質との結合率が高い被験薬については,結合蛋白質の種類と結合の程度を明らかにしておくことが薬物相互作用の検討に必要である.


薬物相互作用により分布が変化する最も一般的な原因は,血漿蛋白質と結合した薬物の置換によるものである.

血漿蛋白質と強く結合する併用薬により,被験薬が結合蛋白質から遊離し,血漿中非結合形濃度が上昇する.

しかしほとんどの場合,置換は臨床上の重要な変化をもたらさない.

但し,被験薬の血漿蛋白結合率が約90%以上で,治療域が狭く,かつ,以下の条件のいずれかを満たす場合には,血漿蛋白質と強く結合することが知られる薬物との併用により重要な相互作用を受ける可能性があることを考慮する必要がある.


1) 分布容積が小さい薬物.この場合は薬物のクリアランスの大きさ及び被験薬の投与経路の違いは問わない.

2) 主に肝における除去により体内から消失し,しかもその肝クリアランスが大きい被験薬を静脈内に投与する場合.

3) 主に腎からの除去により体内から消失し,しかもその腎クリアランスが大きい被験薬の場合.この場合は投与経路を問わない.




一方で,血漿蛋白結合の置換を介して併用薬の体内動態に影響を及ぼす薬物は,結合対象の蛋白質濃度と少なくとも同程度の血漿中濃度を示す薬物に限られることにも注意が必要である.

なお,臨床上問題となる副作用の発現や薬効の変化は非結合形の濃度に依存するので,血漿蛋白結合率の変動が予想される臨床薬物相互作用試験では,非結合形濃度の測定も考慮すべきである.

実際にヒトでの分布容積が大きく,かつ肝クリアランスが小さい被験薬においては,併用薬による血漿蛋白結合の置換は血漿中の被験薬の総濃度を低下させるが,非結合形濃度にはほとんど影響を与えないので,臨床上の重要な結果をもたらさない.

この事例として,定常状態にあるフェニトインは,バルプロ酸を併用投与したとき血漿中総濃度は低下するが,非結合形濃度には変化が認められないことが報告されている.






3.2 組織移行及び体内分布

組織中の特定の成分との結合の変動による薬物相互作用に加えて,各組織に発現する取り込み・排出トランスポーターの阻害や誘導が生じることにより被験薬の組織分布が変化する可能性にも留意すべきである.


3.2.1 特定の組織成分との結合

薬物によっては,組織の受容体,蛋白質,脂質などと特異的に結合し,結合における競合により組織内の非結合形の薬物濃度が変化し薬物相互作用が生じることがある.



3.2.2 組織への取り込み及び排出におけるトランスポーターの関与

肝臓,腎臓,脳,胎盤や網膜などに存在する血液と組織を隔てる関門組織にはトランスポーターが発現しており,各組織への薬物の分布(取り込み及び排出)に関与する.

トランスポーターを介した能動輸送過程において薬物相互作用が生じる場合には,当該組織中の非結合形薬物濃度に影響を与え(取り込みの阻害により減少,排出の阻害により増加する),その組織での作用や副作用発現に影響を与える可能性がある.




組織分布における薬物相互作用は,必ずしも血漿中の薬物濃度の変化に反映されるとは限らない.

特に,全身の分布容積に比して分布容積が小さい組織のみにおいて能動輸送過程に相互作用が生じる場合は,当該組織中の薬物濃度が変動しても,血漿中の薬物濃度の変動に反映されないため注意が必要である.

一方で,肝臓,腎臓などの主要な分布,排泄臓器において薬物相互作用の生じる場合には,薬物の分布容積,全身クリアランスにも影響し,血漿中の薬物濃度が変動することもある(5.1項, 5.2項参照).



(次週へ続く)


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