2014年05月10日

『日本版NIH(その4)』のうちの『臨床研究・治験実施環境の抜本的向上の必要性』

●医学研究の新しい展開について

今週も『日本版NIH(その4)』です。

久々ですね、日本版NIH(とは呼ばないそうですが。)

詳細は下記のサイトをご覧ください。
   ↓
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/



上記のページの平成26年 3月31日 「第6回 健康・医療戦略参与会合」を見ます。
   ↓
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/sanyokaigou/dai6/gijisidai.html

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さて、次の資料を読んでみましょう。
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医療分野の研究開発に関する専門調査会報告書
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医療分野の研究開発に関する総合戦略(報告書)平成26年1月22日
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/sanyokaigou/dai6/siryou5.pdf

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U.課題解決に向けて求められる取組

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(1)臨床研究・治験実施環境の抜本的向上の必要性

諸外国においては、臨床研究のために数千床規模の一か所集中型の臨床研究拠点を創設する例も見られる。

一方、我が国においては、複数拠点のネットワークの構築を推進してきたところであり、ナショナルセンターや大学病院を中心とした橋渡し研究拠点、臨床研究中核病院及び早期・探索型臨床試験拠点等の分散型の拠点を活用し、それらを中心としたARO(Academic Research Organization)機能の構築による臨床研究が推進されている。

臨床研究及び治験を進めるため、各施設で症例の集約化を図るとともに、今後も、これらの資源を有効に活用しつつ、以下のような更なる機能の向上を図り、国際水準の質の高い臨床研究・治験実施が確実に実施される仕組みの構築が求められる。

なお、我が国の医療研究開発におけるナショナルセンターのあり方の検討を更に深めてゆくべきである。




@ 臨床研究の質の向上等

症例集積性の向上とコストの適正化、スピードの向上、ICH−GCP(Good Clinical Practice)基準の推進など、臨床研究の質の向上を図ることが必要である。

このためには、ALCOA原則に基づいた原資料作成、モニタリング、監査の実施等による品質管理と品質保証が求められる(注:ALCOA原則とは、研究における原資料の質に関してFDAのガイダンスの中で求められているAttributable (帰属/責任の所在が明確である)、Legible (判読/理解できる)、Contemporaneous (同時である)、Original (原本である)及び Accurate (正確である)5つの基本要素のこと。)。

その対応には各ネットワーク拠点となる臨床研究中核病院等のAROや中央倫理・治験審査委員会等の機能を活用するとともに、研究計画書(プロトコール)の策定、研究の進捗状況の把握、研究データの管理(データ入力・集計・解析)、研究成果や知的財産の管理等の研究開発マネジメントを効率的に実施する等、個別臨床研究に対する一貫したマネジメントが有効である。

これにより、治験や臨床研究の手続きの効率化も期待される。

また、研究成果を効率的に薬事承認につなげられるように、大学、研究機関、医療機関、企業等とPMDA(注:Pharmaceutical and Medical Devices Agency:独立行政法人医薬品医療機器総合機構)との連携を強化すべく、薬事戦略相談制度の拡充や優先的な治験相談制度の運用を改善すべきである。




A 研究者・専門家の育成・人材確保

我が国の医学分野においては基礎研究論文が比較的高く評価される傾向があり、そのため基礎研究論文における我が国の国際的存在感は高い。

一方、臨床研究論文に関する我が国の国際的存在感は、基礎研究論文のそれと比して低く、かつ低下傾向にある。

臨床研究や治験を重要な医科学と位置付け、臨床研究の質と量を向上させることが必要である。

そのためには、まず臨床研究に従事する人材の魅力的なキャリアパスを確立する必要がある。

とくに、医学部、薬学部生等に対し、臨床研究に関する教育を充実するとともに、臨床研究や治験のためのポストの整備など、若手研究者の育成が求められる。

また、生物統計、バイオインフォマティクス、ビッグデータ解析等にかかる生物医学系の情報科学分野の人材育成や確保は、今後の遺伝子情報や医療情報等を活用した臨床研究の推進にとっても必須である。

さらに、疫学専門家、生命倫理、研究倫理等の専門家の果たす役割がきわめて多大である。現在これらの人材が不足しているため、早急な人材の育成・確保が重要である。





B 臨床研究のための共通的な基盤の共用

臨床研究のため大量に細胞培養を行うために用いるCPC(Cell Processing Center)等の構造設備及びGMP(Good Manufacturing Practice)基準準拠の製造管理・品質管理が可能な設備を全国の拠点で共用する。

さらに、ナノテクノロジー、遺伝情報の解析、その他の最先端の計測分析技術など特殊・高度な研究基盤についても共用を進めることが求められる。




C 研究不正・研究費不正使用等防止への対応

近年、特定の高血圧症治療薬に関する研究論文のデータ不正操作・利益相反行為の問題が明らかになったが、このようなことが二度と起こらないよう臨床研究に関する情報公開、監査、モニタリング、利益相反管理、医師・薬剤師・研究者等への卒前・卒後の研究倫理の教育など、行政のみならず、研究開発現場におけるコンプライアンス遵守への取組の徹底が必須である。




D 患者との連携及び国民への啓発活動等への取組

臨床研究の実施に当たっては、被験者や患者との連携を図るとともに、患者・国民への臨床研究の意義やそれが国民にもたらすメリットなどについての啓発活動を積極的に推進すべきである。

特に、教育・研究を旨とする大学病院やナショナルセンターにおける取組の検討が必要である。


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ナショナルセンター = 国立高度専門医療研究センター

posted by ホーライ at 07:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本版NIH | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月09日

『日本版NIH(その4)』のうちの『臨床研究の抱える課題』

●医学研究の新しい展開について

今週も来週も『日本版NIH(その4)』その2です。

久々ですね、日本版NIH(とは呼ばないそうですが。)

詳細は下記のサイトをご覧ください。
   ↓
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/



上記のページの平成26年 3月31日 「第6回 健康・医療戦略参与会合」を見ます。
   ↓
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/sanyokaigou/dai6/gijisidai.html

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次の資料を読んでみましょう。
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医療分野の研究開発に関する専門調査会報告書
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医療分野の研究開発に関する総合戦略(報告書)平成26年1月22日
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/sanyokaigou/dai6/siryou5.pdf

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●●● 4.総合戦略の位置づけ ●●

本戦略の役割は、前述の日本再興戦略における重点化すべき研究分野とその目標を策定するとともに、新たな研究開発体制を構築することである。

また、各省に計上されている本戦略の実施のために必要な医療分野の研究開発関連予算を一元化することにより、研究支援と司令塔機能に必要な予算を確保し、戦略的・重点的な予算配分を行うものである。

さらに、本戦略に基づき、「研究テーマの策定」、「研究の進捗管理」、「事後評価」「新たな研究目標の策定」など、国として戦略的に行うべき実用化のための研究を基礎段階から応用段階まで一貫して支援するものとする。

そのために基礎・臨床研究・創薬及び医療機器開発などの豊富な経験を有し、各研究制度や運用について総括するプログラムディレクター(PD)、各制度の個々のプログラムや研究分野で課題の選定、評価、フォローアップ等の実務を行う研究開発の経験のあるプログラムオフィサー(PO)等の適切な配置をするなど、本戦略を実行するための中核機能を果たす独立行政法人を設置する。

このことから本戦略は、今後の医療分野の研究開発に関する設計図ともいうべき大きな方向性を示すものである。



本戦略は、近年の科学技術の急速な進展や、医療現場と医療産業のニーズの変化にも機動的に対応できるものとする。

すなわち今後5年、10年乃至20年後における医療現場と医療研究開発及び関連産業等に関して期待される具体的将来像を描き、当面、今後5年間に国として研究開発において取り組むべき課題に関する戦略を策定する。

策定後は、新たな医療分野の研究開発の進捗等を踏まえ、必要に応じ適宜見直すとともに、新たな重要課題に取り組むこととする。







(1)基礎研究の抱える課題

近年、中国や韓国等の新興国においても基礎研究への取組が強化され、日米欧を急速に追い上げてきているなど、基礎生命科学や臨床医学分野での日本の論文の国際競争力は相対的に低下傾向にあるものの、我が国の基礎研究力は国際的にも依然高い競争力を保っている(*3)。

*3:基礎生命科学、臨床医学分野の国・地域別論文数比較
(科学技術政策研究所 調査資料204 科学研究のベンチマーキング2011)

基礎生命科学分野   論文数   トップ10%補正論文数
1998年-2000年   世界第2位    世界第4位
2008年-2010年   世界第5位    世界第7位

臨床医学分野     論文数    トップ10%補正論文数
1998年-2000年   世界第4位    世界第4位
2008年-2010年   世界第4位    世界第9位




従来は基礎研究に携わる研究者自身の開発への興味や、製薬会社における研究開発過程で見出された知見に基づいて、製品開発に至ったケースが多く、個人の見識に強く依存していた。

本戦略はこうした基礎研究力を更に充実強化し、その結果を展開する研究を促進するものであるが、この点、これまで、多くの基礎研究が論文発表で留まり、疾患の病態解明や病態に基づく創薬あるいは医療機器の開発・実用化に展開する研究は、一部先駆的な事業が実施されてはいたが、全体としては必ずしも活発ではなかった。

これは研究者の社会還元の志向性が強くなかったことに加え、これを推進する研究費や支援体制が十分ではなかったこと、さらには、成果の中から実用化につながる有望シーズを見出し、これを育成する体制や目利きが不足していたことなど、組織的なマネジメントがなされていなかったことによると考量される。





(2)臨床研究の抱える課題

我が国の臨床研究については、国際的にみていまだに課題が多く、そのため、製薬企業の治験を海外機関で実施する傾向のあることは否めない。

これは、治験や臨床研究における倫理規定、データマネージメント、安全性、品質保証などに関する国際基準がより厳格化されるなかで、我が国の対応が遅れたことが一因となっている。

治験や臨床研究においては厳密なデータ管理や各種規制への対応を行わなければならないこと、さらに、医薬品や医療機器の有効性が生命予後や心臓発作、脳卒中などの低い頻度ながらも重大な事象を指標とされるようになったことが、臨床研究の大規模化と長期化に拍車をかけた。

その結果、多くの研究費と強力な研究支援体制なしに治験や臨床研究を行うことがきわめて困難となった。



大学病院では疾患の病態研究については多くの国際的実績を挙げてきたが、研究体制の不備や人材不足等により、臨床研究や臨床試験等は十分に行われてこなかった。

国立高度専門医療研究センター(以下、「ナショナルセンター」と記載)においては、特定の疾患群の治療を対象とした病院と治療技術の実用化に軸足をおいた研究所を併設しているという特長を活かして治験・臨床研究を実施し、一定の成果を挙げてきたが、企業との連携による創薬及び医療機器開発において貢献してきたとは必ずしもいえない。



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(参考)

国立高度専門医療研究センターは、6法人(独立行政法人国立がん研究センター、独立行政法人国立循環器病研究センター、独立行政法人国立精神・神経医療研究センター、独立行政法人国立国際医療研究センター、独立行政法人国立成育医療研究センター、独立行政法人国立長寿医療研究センター)の総称である。

各法人は、国民の健康に重大な影響のある特定の疾患等に係る医療に関して、調査、研究及び技術の開発並びにこれらの業務に密接に関連する医療の提供、技術者の研修等を行うことを目的とする。

2010年4月施行の「高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律」により、厚生労働省の施設等機関であった国立高度専門医療センター(略称:ナショナルセンター、NC)の各組織が独立行政法人に移行したものである。

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このため、症例集積性の向上、治験・臨床研究手続きの効率化、研究者・専門家の育成・確保、治験・臨床研究の情報公開、治験にかかるコスト・スピード・質の適正化に関して、より一層の強化が求められる。


(次週へ続く)

posted by ホーライ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本版NIH | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月08日

今週と来週も『日本版NIH(その4の2)』です。『新たな医療分野の研究開発体制の全体像』

●医学研究の新しい展開について

今週と来週も『日本版NIH(その4の2)』です。

久々ですね、日本版NIH(とは呼ばないそうですが。)

詳細は下記のサイトをご覧ください。
   ↓
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/



上記のページの平成26年 3月31日 「第6回 健康・医療戦略参与会合」を見ます。
   ↓
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/sanyokaigou/dai6/gijisidai.html

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3.一元的な研究管理を行う独立行政法人「日本医療研究開発機構」の業務(←ここが『日本版NIH』の中核になるんでしょうね。)

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・総合戦略に基づき、国として戦略的に行うべき実用化のための研究を基礎段階から一気通貫で管理するため、現に各省でそれぞれ行われている、競争的資金など研究者・研究機関に配分される研究費及び当該研究に係るファンディング機能について、新独法に集約し、一元的に管理する。

(注)科学研究費助成事業(文部科学省)については、(参考1)を参照


・加えて、研究開発をより効果的・効率的に推進するため、研究開発の基盤整備に係る予算(臨床研究中核病院に対する補助事業等)についても新独法に集約し、医療分野の研究開発関連予算を一元的に執行する。



さて、次の資料を読んでみましょう。
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医療分野の研究開発に関する専門調査会報告書
    ↓
医療分野の研究開発に関する総合戦略(報告書)平成26年1月22日
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/sanyokaigou/dai6/siryou5.pdf

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T.はじめに

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●●● 1.医学研究の新しい展開について ●●●

生命科学や情報通信技術など近年の科学技術の進歩により、世界的に革新的な医療技術が相次いで開発され、我が国でも医療におけるイノベーションが期待されるようになった。

特に、疾病の制圧と健康な社会の構築を目標とする医学研究においては、臨床現場で活用される医療技術の開発が研究の目標となるが、そのためには乗り越えなければならない多くの課題がある。

基礎科学の成果を疾患の克服に向けて具体的に生かすためには、何よりも研究者の自由な発想に基づく幅広い基礎研究の重要性を認識し、基盤を構築していかなければならず、これは、今後も推進しなければならない。

特に、疾患の基礎研究、すなわち、疾患の病態生理を解明し、生体の恒常性の維持と破綻のメカニズムを明らかにする研究を推進する必要がある。

これらの基礎研究により構築された概念は、人間の疾患について検証され、治療・診断用の薬剤や医療機器開発の基盤となる。

しかし新しい薬剤や医療機器が臨床現場で利用されるためには、安全性を確認したうえで、規制やガイドラインに対応しつつ臨床試験を行わなければならない。

さらに、医療技術が臨床現場に実装されたとしても、多数の症例を対象とする臨床疫学研究によって、その有効性、特に、予後に対する効果を他の技術と比較検証することが求められる。



また、検証の過程において臨床現場からは新たな課題が抽出され、基礎研究に還元される必要がある。

このように医療分野の開発研究には基礎研究と臨床現場の間の循環(「循環型研究開発」)(一種のPDCAサイクル)を構築しなければならない。

重要なことは、人間を対象とする医療分野の開発研究は社会との協働、特に研究倫理の順守と透明性の確保が求められる点である。

したがって研究に当たっては、目的と目標を明確にし、十分な体制で実施しなければならない。

さらに、研究開発をイノベーションに結びつけるためには研究費だけでなく、多彩な人材の育成、情報システムやデータ管理などの基盤整備、規制当局との連携などが必須であり、そのための社会システムの確立が欠かせない。



基礎生命科学の成果を医療技術の開発へ展開する研究は、近年、トランスレーショナルリサーチ(TR)と呼ばれている。

研究の展開にはいくつかの重要なステップが存在する。

すなわち・・・・・

1)生命科学の技術や知見をもとに疾患細胞やモデル動物等の生体試料において病態を解析し治療法を検討する、

2)実験動物における病態や治療効果が人間の病態にも適応できるか検討する、

3)新しい診断・治療技術を開発し医療現場に実装するなどである。


TRにおいては臨床研究や治験の実施とともに、倫理的・法的・社会的な観点等における規制対応も重要である。

臨床医学におけるこうした研究に対して、医療イノベーションを推進する立場からは大きな期待が寄せられている。

そして、これはむしろ社会と科学者が協働して行う新しい分野横断的な学術活動であり、国の科学技術政策において特に重要な課題の一つとして位置づけられるべきである。




本戦略が対象とする研究は、産学官連携研究とも密接な関係にある。

大学においては必ずしも産学連携が十分に行える体制になっていなかった経緯もあり、我が国では、近年、そのための体制整備を急速に進めている。

今後は、ビジネス創出やイノベーションの実現に直結するような実用化を念頭において整備を進める必要がある。

したがって、本戦略は、我が国の基礎医学・臨床医学における透明性の高い産学官連携研究を推進する上でも重要である。

なお、研究開発の方針の策定やプロジェクトの選択に当たっては、専門家が医療上のニーズと実現可能性等について詳細な調査を行い、科学的合理性と透明性に基づく判断が尊重されるべきである。

(明日へ続く)

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2014年05月03日

今週と来週も『日本版NIH(その4の2)』です。『新たな医療分野の研究開発体制の全体像』

●医学研究の新しい展開について

今週と来週も『日本版NIH(その4の2)』です。

久々ですね、日本版NIH(とは呼ばないそうですが。)

詳細は下記のサイトをご覧ください。
   ↓
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/



上記のページの平成26年 3月31日 「第6回 健康・医療戦略参与会合」を見ます。
   ↓
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/sanyokaigou/dai6/gijisidai.html

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今週も来週も、資料のコピペだけですので(ところどころで、僕が「チャチャ」を入れていますが)、上記にある資料を自分で読む! という方はスキップしてくださいね。

さて、いきますか。


という前に、所謂、日本版NIHは結局、『日本医療研究開発機構』と呼ばれる法人がなるんですかね。

この理解で、正しい?


まぁ、いっか。そんなこと^^;



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新たな医療分野の研究開発体制の全体像

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●健康・医療戦略推進本部の役割

○ 医療分野研究開発推進計画を策定

○ 医療分野の研究開発の司令塔として総合的な予算要求配分調整を実施

○ 調整費の使途を戦略的・重点的な予算配分を行う観点から決定

   ↓

総合的な予算要求配分調整

◎国が定めた戦略に基づくトップダウンの研究(約1400億円)

・ 日本医療研究開発機構に約1,200億円を集約化。

この他、調整費(500億円)のうち175億円を活用

・ PD、POによるマネジメント

*********************

POとは?

PDとは?

プログラムオフィサー(PO)、プログラムディレクター(PD)

*********************

   ↓

臨床研究中核病院等(研究を臨床につなげるため、国際水準の質の高い臨床研究・治験の確実な実施)←←←■■■ 期待したいぞ!! ■■■

   &

◎インハウス研究(国の研究機関)(約750億円)


   &

◎研究者の発意によるボトムアップの基礎研究:科学研究費助成事業(約650億円)



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独立行政法人改革等に関する基本的な方針(抄)

(平成25年12月24日閣議決定)

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●文部科学省所管【科学技術振興機構】

○ 研究開発型の法人とする。

○ 学術研究の成果を科学技術イノベーションに資する研究につなげていくため、日本学術振興会との連携を強化する。

○ 本法人がこれまで実施してきた医療分野の研究開発に係るファンディング機能は、所要の人員も含め日本医療研究開発機構(仮称)に移管する。

○ ファンディング機能を有する代表的機関として、国からの運営費交付金や民間からの資金等を用いて大学等機関への委託を行う研究開発業務について、不正防止策を強化するとともに、委託先機関のガバナンス強化に対する支援を行う。


●科学技術振興機構
  ↓
http://www.jst.go.jp/


●厚生労働省所管【国立健康・栄養研究所、医薬基盤研究所】

○ 上記2法人を統合し、研究開発型の法人とする。

○ 医療分野の研究開発に係るファンディング機能を集約して一元的な研究管理を行う独立行政法人日本医療研究開発機構(仮称)の設立に当たっては、日本再興戦略(平成25 年6 月14 日閣議決定)において、「スクラップアンドビルド原則に基づき行うこととし、公的部門の肥大化は行わない」とされていることを踏まえ、当該法人の設立に伴う法人数1の増は、上記2法人の統合による法人数1の減をもって充てる。

○ 医薬基盤研究所がこれまで実施してきた医療分野の研究開発に係るファンディング機能及び創薬支援業務は、所要の人員も含め日本医療研究開発機構(仮称)に移管する。

○ 希少疾病用医薬品等開発振興事業については、健康・医療戦略(平成25年6月14日関係大臣申合せ)において、「希少疾病用医薬品・医療機器の指定制度・助成金や専門的な指導・助言体制の充実・強化を行う」とされたことを踏まえ、上記2法人の統合後の法人において、その充実・強化を図る。

○ 国立健康・栄養研究所による栄養表示に関する収去試験の実施は、今後、食品表示法に基づく民間の登録検査機関による実施状況に応じて、縮小する。



●国立健康・栄養研究所
   ↓
http://www0.nih.go.jp/eiken/

●医薬基盤研究所
   ↓
http://www.nibio.go.jp/index.html


●経済産業省所管【新エネルギー・産業技術総合開発機構】

○ 研究開発型の法人とする。

○ 本法人がこれまで実施してきた医療分野の研究開発に係るファンディング機能は、所要の人員も含め日本医療研究開発機構(仮称)に移管する。

○ ファンディング機能を有する代表的機関として、国からの運営費交付金及び補助金等を用いて行う研究開発業務や助成業務について、不正防止策を強化するとともに、受給先のガバナンス強化に対する支援を行う。


●新エネルギー・産業技術総合開発機構
   ↓
http://www.nedo.go.jp/

(5月8日の木曜日へ続く)
posted by ホーライ at 05:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本版NIH | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月02日

独立行政法人『日本医療研究開発機構』だぞ!!

●独立行政法人『日本医療研究開発機構』だぞ!!

今週は『日本版NIH(その4)』です。

詳細は下記のサイトをご覧ください。
   ↓
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/



上記のページの平成26年 3月31日 「第6回 健康・医療戦略参与会合」を見ます。
   ↓
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/sanyokaigou/dai6/gijisidai.html

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今週も、資料のコピペだけですので、上記にある資料を自分で読む! という方はスキップしてくださいね。

さて、いきますか。



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●健康・医療戦略推進法案及び独立行政法人「日本医療研究開発機構」法案の概要
    ↓
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/sanyokaigou/dai6/siryou6.pdf

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●健康・医療戦略推進法案の概要の骨格

【法の目的】世界最高水準の医療の提供に資する研究開発等により、健康長寿社会の形成に資することを目的とする。(第1条)


●健康・医療戦略推進本部(第20条〜第29条)

【第21条】

@健康・医療戦略の案の作成及び実施の推進

A医療分野研究開発推進計画の作成及び実施の推進

B医療分野の研究開発等の資源配分方針

C新独法の理事長・監事の任命及び中期目標の策定に当たっての主務大臣への意見 等


【第17条】

健康・医療戦略(閣議決定)

・政府が総合的かつ長期的に講ずべき(1)及び(2)に関する施策の大綱

(1)医療分野の研究開発とその環境整備・成果の普及

(2)健康長寿社会形成に資する新たな産業活動の創出・活性化(海外展開等)とその環境整備

・その他、 (1)及び(2)に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

・省庁横断的な総合調整

  ↓

健康・医療戦略に即して、 医療分野の研究開発等について具体的な計画を本部で決定



【第18条】

医療分野研究開発推進計画(本部決定)

・医療分野の研究開発等に関する施策についての基本的な方針

・医療分野の研究開発等について政府が集中的かつ計画的に講ずべき施策

※新独法が医療分野の研究開発等の実施・助成において中核的な役割を担うよう作成
   ↓
医療分野の研究開発とその環境整備・成果の普及

予算を始めとした総合調整

   ↓

推進計画に基づき、 新独法の業務運営の基本方針(本部決定)を提示

   ↓

独立行政法人「日本医療研究開発機構」
   ↑
推進計画及び毎年度の予算の基本方針に基づき、新独法への財源措置
(文科・厚労・経産)





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医療分野の研究開発等における司令塔機能について

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●法の目的【推進法1条】

医療分野の研究開発及び健康長寿産業の創出・活性化等について、健康・医療戦略を定め、それを推進する健康・医療戦略推進本部を設置する等により健康長寿社会の形成に資することを目的とする。


●基本理念【推進法2条】

基礎から実用化までの一貫した研究開発の推進とその成果の実用化により世界最高水準の医療の提供に資するとともに、健康長寿産業の創出・活性化により我が国経済の成長に資するものとなることを旨とする

   ↓

●健康・医療戦略(閣議決定)

・政府が講ずべき医療分野の研究開発及び健康長寿産業の創出・活性化等に関する施策の大綱

・上記施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

   ↓

●医療分野研究開発推進計画(本部決定)

・政府が講ずべき医療分野の研究開発並びにその環境の整備及び成果の普及に関する施策(医療分野研究開発等施策)についての基本方針

・集中的かつ計画的に講ずべき医療分野研究開発等施策

・その他医療分野研究開発等施策を集中的かつ計画的に推進するために必要な事項

   ↓

●独立行政法人日本医療研究開発機構の業務 <<<<====注目!!■■■

@ 医療分野の研究開発及び環境整備(委託事業)

A @の業務に係る成果の普及・活用の促進

B 医療分野の研究開発及び環境整備に対する助成(補助)

C @〜Bの業務に附帯する業務

「トップダウン型の実用化を視野に入れた研究開発を基礎から実用化まで一貫した研究管理」



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独立行政法人日本医療研究開発機構法案

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●医療分野の研究開発及びその環境の整備の実施・助成等の業務を行うことを目的とする独立行政法人日本医療研究開発機構を設立することとし、その名称、目的、業務の範囲等について定める。

1.(独)日本医療研究開発機構の設立(第1条〜第3条)

○ 医療分野の研究開発における基礎から実用化までの一貫した研究開発の推進・成果の円滑な実用化及び医療分野の研究開発の ための環境の整備を総合的かつ効果的に行うため、健康・医療戦略推進本部が作成する医療分野研究開発推進計画に基づき、医療 分野の研究開発及びその環境の整備の実施、助成等の業務を行うことを目的とする、独立行政法人日本医療研究開発機構を設立し、 その名称、目的、業務の範囲等に関する事項について定める。


2.(独)日本医療研究開発機構の業務(第16条)

@ 医療分野の研究開発及びその環境の整備を行うこと (例:委託事業として、京都大学におけるiPS細胞を使った再生医療の研究及びその研究に必要な研究機器の整備を行うなど)

A @の業務に係る成果を普及し、及びその活用を促進すること (例:医薬品開発における基礎的な研究の成果を製薬企業等に紹介し、実用化開発を促進するなど)

B 医療分野の研究開発及びその環境の整備に対する助成を行うこと (例:バイオ医薬品の製造技術の開発に対する補助、臨床研究を実施する上での体制の整備のための補助を行うなど)

C @〜Bの業務に附帯する業務を行うこと (例:国内外における研究開発・技術開発の動向調査、研究成果の広報、研究を通じた国際協力など)





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医療分野の研究開発体制の課題と独立行政法人日本医療研究開発機構法等による効果

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【 課 題 】

○ 文部科学省、厚生労働省、経済産業省がバラバラに研究開発を支援しているため、実用化のための研究を基礎段階から切れ目なく支援する体制の構築が十分でない。

○ 臨床研究・治験の実施に当たり、臨床データの収集や治験を進めるための体制が十分でないため、基礎研究の成果が新薬等につながるまで、時間がかかる。

○ 医薬品・医療機器関連分野の市場は、国内外ともに成長しているが、我が国の医薬品・医療機器の貿易赤字額(平成23年は約2兆円)は拡大傾向にある。

   ↓

医療分野の研究開発を総合的に推進する司令塔機能が必要
(健康・医療戦略推進本部、日本医療研究開発機構の創設)

⇒ 研究者は、基礎段階から実用化まで切れ目なく、研究開発の進捗に応じた最適の研究費等を確保できる。

⇒ 研究開発に係る設備・機器整備での重複投資を避け、国全体を俯瞰した最適な配置が可能となり、研究の効率化が図られる。

⇒ 研究者にとって、情報提供や申請の窓口・手続きが一本化され、研究以外の事務負担が減り、これまで以上に研究開発に専念できる。




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日本医療研究開発機構に求められる機能

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●医療分野研究開発推進計画に基づくトップダウンの研究

○ 医療に関する研究開発の実施

・プログラムディレクター(PD)、プログラムオフィサー(PO)等を活用したマネジメント機能

- 医療分野研究開発推進計画に沿った研究の実施、研究動向の把握・調査

- 優れた基礎研究の成果を臨床研究・産業化につなげる一貫したマネジメント
(個別の研究課題の選定、研究の進捗管理・助言)

・PDCAの徹底

・ファンディング機能の集約化(下記参照)

・適正な研究実施のための監視・管理機能

- 研究不正(研究費の不正使用、研究における不正行為)<<<<<=====注目!!■■■
防止、倫理・法令・指針遵守のための環境整備、監査機能



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(参考)

●ファンディング

ファンドという言葉には、資金を供給する・調達するなどの意味がありますが、ファンディングという場合は、株式や債券の発行などによる事業資金の調達や、債務の期限前の借り換え、短期債務の長期債務への借り換えなどのことをいいます。

また、一定のプロジェクトにかかわる資金調達、財政的な資金援助やその財源、年金など将来の給付のための積立てなどについてもファンディング(またはファイナンシング)という言葉が使われます。

なお、ファンディング・コストとは、こうした資金の調達や積立てなどに係る金利をはじめ負担すべき諸々の費用のことをいいます。

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○ 臨床研究等の基盤整備

・臨床研究中核病院、早期・探索的臨床試験拠点、橋渡し研究支援拠点の強化・体制整備

- 専門人材(臨床研究コーディネーター(CRC)、データマネージャー(DM)、生物統計家、プロジェクトマネージャー等)の配置支援


・ EBM※(エビデンス)に基づいた予防医療・サービス手法を開発するためのバイオバンク 等の整備

※ EBM:evidence-based medicine



○ 産業化へ向けた支援

・知的財産取得に向けた研究機関への支援機能

- 知財管理・相談窓口、知財取得戦略の立案支援

・実用化に向けた企業連携・連携支援機能

- (独)医薬品医療機器総合機構(PMDA)と連携した有望シーズの出口戦略の策定・助言

- 企業への情報提供・マッチング



○ 国際戦略の推進

・国際共同研究の支援機能

- 国際動向を踏まえた共同研究の推進

- 医療分野に係る研究開発を行う海外機関との連携日本医療研究開発機構に求められる機能



(この話、まだまだ、続くので、来週へ)


posted by ホーライ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本版NIH | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする