2014年04月23日

ヘルシンキ宣言を読む。「倫理委員会の透明性の問題を追加」

今週は「ヘルシンキ宣言」(2013年版:フォルタレザ総会(ブラジル)で修正)を見ていきます。
   ↓
http://dl.med.or.jp/dl-med/wma/helsinki2013j.pdf


2013年改訂版の焦点は、以下とおり。
   ↓
http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20131030_21.pdf


なお、「フォルタレザ総会でのヘルシンキ宣言の見直しについて(パブリックコメントのための改訂草案)」は以下のところにあります。
   ↓
http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=145967&name=2r98520000032v61_1.pdf


ちなみに1つ前の「ソウル版」は下記のページの下のほうに保存してあります。
   ↓
https://sites.google.com/site/zhiyanniguansurutongzhiji/herushinki


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


今日は「研究倫理委員会」、「プライバシーと秘密保持」、「インフォームド・コンセント」を見ます。

なお、条文の数字のあとに「旧1項」等とあるのはソウル版の時のヘルシンキ宣言の項目番号を示しています。

ヘルシンキ宣言のソウル版とどこが違うのかが分かると思います。

ヘルシンキ宣言(ソウル版)と比較ができます。

旧項目番号の次にヘルシンキ宣言の改訂箇所も簡単に記載しています。



■■■ 研究倫理委員会 ■■■

23. (旧15項。研究倫理委員会の透明性の問題を追加。)

研究計画書は、検討、意見、指導および承認を得るため研究開始前に関連する研究倫理委員会に提出されなければならない。

この委員会は、その機能において透明性がなければならず、研究者、スポンサーおよびその他いかなる不適切な影響も受けず適切に運営されなければならない。

委員会は、適用される国際的規範および基準はもとより、研究が実施される国または複数の国の法律と規制も考慮しなければならない。

しかし、そのために本宣言が示す被験者に対する保護を減じあるいは排除することを許してはならない。

研究倫理委員会は、進行中の研究をモニターする権利を持たなければならない。

研究者は、委員会に対してモニタリング情報とくに重篤な有害事象に関する情報を提供しなければならない。

委員会の審議と承認を得ずに計画書を修正してはならない。

研究終了後、研究者は研究知見と結論の要約を含む最終報告書を委員会に提出しなければならない。




■■■ プライバシーと秘密保持 ■■■

24. (旧23項。修正なし。)

被験者のプライバシーおよび個人情報の秘密保持を厳守するためあらゆる予防策を講じなければならない。




■■■ インフォームド・コンセント ■■■

25. (旧22項。修正なし。)

医学研究の被験者としてインフォームド・コンセントを与える能力がある個人の参加は自発的でなければならない。

家族または地域社会のリーダーに助言を求めることが適切な場合もあるが、インフォームド・コンセントを与える能力がある個人を本人の自主的な承諾なしに研究に参加させてはならない。



26. (旧24項。「研究終了後条項」(研究後のアクセス)を追加。)

インフォームド・コンセントを与える能力がある人間を対象とする医学研究において、それぞれの被験者候補は、目的、方法、資金源、起こり得る利益相反、研究者の施設内での所属、研究から期待される利益と予測されるリスクならびに起こり得る不快感、研究終了後条項、その他研究に関するすべての面について十分に説明されなければならない。

被験者候補は、いつでも不利益を受けることなしに研究参加を拒否する権利または参加の同意を撤回する権利があることを知らされなければならない。

個々の被験者候補の具体的情報の必要性のみならずその情報の伝達方法についても特別な配慮をしなければならない。

被験者候補がその情報を理解したことを確認したうえで、医師またはその他ふさわしい有資格者は被験者候補の自主的なインフォームド・コンセントをできれば書面で求めなければならない。

同意が書面で表明されない場合、その書面によらない同意は立会人のもとで正式に文書化されなければならない。

医学研究のすべての被験者は、研究の全体的成果について報告を受ける権利を与えられるべきである。



27. (旧26項。修正なし。)

研究参加へのインフォームド・コンセントを求める場合、医師は、被験者候補が医師に依存した関係にあるかまたは同意を強要されているおそれがあるかについて特別な注意を払わなければならない。

そのような状況下では、インフォームド・コンセントはこうした関係とは完全に独立したふさわしい有資格者によって求められなければならない。



28. (旧27項。修正なし。)

インフォームド・コンセントを与える能力がない被験者候補のために、医師は、法的代理人からインフォームド・コンセントを求めなければならない。

これらの人々は、被験者候補に代表されるグループの健康増進を試みるための研究、インフォームド・コンセントを与える能力がある人々では代替して行うことができない研究、そして最小限のリスクと負担のみ伴う研究以外には、被験者候補の利益になる可能性のないような研究対象に含まれてはならない。


29. (旧28項。修正なし。)

インフォームド・コンセントを与える能力がないと思われる被験者候補が研究参加についての決定に賛意を表することができる場合、医師は法的代理人からの同意に加えて本人の賛意を求めなければならない。被験者候補の不賛意は、尊重されるべきである。



30. (旧29項。修正なし。

例えば、意識不明の患者のように、肉体的、精神的にインフォームド・コンセントを与える能力がない被験者を対象とした研究は、インフォームド・コンセントを与えることを妨げる肉体的・精神的状態がその研究対象グループに固有の症状となっている場合に限って行うことができる。

このような状況では、医師は法的代理人からインフォームド・コンセントを求めなければならない。

そのような代理人が得られず研究延期もできない場合、この研究はインフォームド・コンセントを与えられない状態にある被験者を対象とする特別な理由が研究計画書で述べられ、研究倫理委員会で承認されていることを条件として、インフォームド・コンセントなしに開始することができる。

研究に引き続き留まる同意はできるかぎり早く被験者または法的代理人から取得しなければならない。



31. (旧34項。修正なし。)

医師は、治療のどの部分が研究に関連しているかを患者に十分に説明しなければならない。

患者の研究への参加拒否または研究離脱の決定が患者・医師関係に決して悪影響を及ぼしてはならない。



32. (旧25項。「バイオバンク」を追記。)

バイオバンクまたは類似の貯蔵場所に保管されている試料やデータに関する研究など、個人の特定が可能な人間由来の試料またはデータを使用する医学研究のためには、医師は収集・保存および/または再利用に対するインフォームド・コンセントを求めなければならない。

このような研究に関しては、同意を得ることが不可能か実行できない例外的な場合があり得る。

このような状況では研究倫理委員会の審議と承認を得た後に限り研究が行われ得る。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


上記の中で大事なことは以下のとおりです。

二重かっこ(『』)で囲ったところが、特に重要です。

●23. この委員会は、その機能において『透明性』がなければならず、研究者、スポンサーおよびその他『いかなる不適切な影響も受けず』適切に運営されなければならない。

●23. 『研究終了後』、研究者は研究知見と結論の要約を含む最終報告書を委員会に提出しなければならない。

●26. インフォームド・コンセントを(中略)起こり得る不快感、『研究終了後条項』、その他研究に関するすべての面について十分に説明されなければならない。

●26. 医学研究のすべての被験者は、研究の『全体的成果について報告を受ける』権利を与えられるべきである。

●32. 『バイオバンク』または類似の貯蔵場所に保管されている試料やデータに関する研究など、個人の特定が可能な人間由来の試料またはデータを使用する医学研究のためには、医師は収集・保存および/または再利用に対するインフォームド・コンセントを求めなければならない。




posted by ホーライ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ヘルシンキ宣言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月22日

ヘルシンキ宣言を読む。「社会的弱者グループおよび個人」に対する補強。

今週は「ヘルシンキ宣言」(2013年版:フォルタレザ総会(ブラジル)で修正)を見ていきます。
   ↓
http://dl.med.or.jp/dl-med/wma/helsinki2013j.pdf


2013年改訂版の焦点は、以下とおり。
   ↓
http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20131030_21.pdf

なお、「フォルタレザ総会でのヘルシンキ宣言の見直しについて(パブリックコメントのための改訂草案)」は以下のところにあります。
   ↓
http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=145967&name=2r98520000032v61_1.pdf


ちなみに1つ前の「ソウル版」は下記のページの下のほうに保存してあります。
   ↓
https://sites.google.com/site/zhiyanniguansurutongzhiji/herushinki


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


今日は「リスク、負担、利益」、「社会的弱者グループおよび個人」、「科学的要件と研究計画書」を見ます。

なお、条文の数字のあとに「旧1項」等とあるのはソウル版の時のヘルシンキ宣言の項目番号を示しています。

ヘルシンキ宣言のソウル版とどこが違うのかが分かると思います。

ヘルシンキ宣言(ソウル版)と比較ができます。

旧項目番号の次にヘルシンキ宣言の改訂箇所も簡単に記載しています。



■■■ リスク、負担、利益 ■■■

16. (旧8項と21項を組み合わせている。修正なし。)

医療および医学研究においてはほとんどの治療にリスクと負担が伴う。

人間を対象とする医学研究は、その目的の重要性が被験者のリスクおよび負担を上まわる場合に限り行うことができる。


17. (旧18項:修正なし。)

人間を対象とするすべての医学研究は、研究の対象となる個人とグループに対する予想し得るリスクおよび負担と被験者およびその研究によって影響を受けるその他の個人またはグループに対する予見可能な利益とを比較して、慎重な評価を先行させなければならない。

リスクを最小化させるための措置が講じられなければならない。

リスクは研究者によって継続的に監視、評価、文書化されるべきである。



18. (旧20項:修正なし。)

リスクが適切に評価されかつそのリスクを十分に管理できるとの確信を持てない限り、医師は人間を対象とする研究に関与してはならない。

潜在的な利益よりもリスクが高いと判断される場合または明確な成果の確証が得られた場合、医師は研究を継続、変更あるいは直ちに中止すべきかを判断しなければならない。





■■■ 社会的弱者グループおよび個人 ■■■

19. (旧9項の第2文。旧9項の第1文は新7項となる。)

あるグループおよび個人は特に社会的な弱者であり不適切な扱いを受けたり副次的な被害を受けやすい。

すべての社会的弱者グループおよび個人は個別の状況を考慮したうえで保護を受けるべきである。


20. (旧17項。わずかな利益と合理的な利益に対する取り組みが組み合わせられている。社会的弱者については様々な重要原則を取り込んでいる。)

研究がそのグループの健康上の必要性または優先事項に応えるものであり、かつその研究が社会的弱者でないグループを対象として実施できない場合に限り、社会的弱者グループを対象とする医学研究は正当化される。

さらに、そのグループは研究から得られた知識、実践または治療からの恩恵を受けるべきである。





■■■ 科学的要件と研究計画書 ■■■

21. (旧12項。修正なし。)

人間を対象とする医学研究は、科学的文献の十分な知識、その他関連する情報源および適切な研究室での実験ならびに必要に応じた動物実験に基づき、一般に認知された科学的諸原則に従わなければならない。

研究に使用される動物の福祉は尊重されなければならない。



22. (旧14項。研究計画書の中に、この情報を含むよう義務付けることを明確化。)

人間を対象とする各研究の計画と実施内容は、研究計画書に明示され正当化されていなければならない。

研究計画書には関連する倫理的配慮について明記され、また本宣言の原則がどのように取り入れられてきたかを示すべきである。

計画書は、資金提供、スポンサー、研究組織との関わり、起こり得る利益相反、被験者に対する報奨ならびに研究参加の結果として損害を受けた被験者の治療および/または補償の条項に関する情報を含むべきである。

臨床試験の場合、この計画書には研究終了後条項についての必要な取り決めも記載されなければならない。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■



上記の中で大事なことは以下のとおりです。

二重かっこ(『』)で囲ったところが、特に重要です。


●17. リスクは研究者によって『継続的に』監視、評価、文書化されるべきである。

●20. 研究がそのグループの健康上の必要性または優先事項に応えるものであり、かつその研究が『社会的弱者でないグループを対象として実施できない場合に限り』、社会的弱者グループを対象とする医学研究は正当化される。

●22. 研究計画書には関連する『倫理的配慮』について明記され、また本宣言の原則がどのように取り入れられてきたかを示すべきである。

posted by ホーライ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ヘルシンキ宣言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月19日

最新のヘルシンキ宣言を読む。

今週は「ヘルシンキ宣言」(2013年版:フォルタレザ総会(ブラジル)で修正)を見ていきます。
   ↓
http://dl.med.or.jp/dl-med/wma/helsinki2013j.pdf


2013年改訂版の焦点は、以下のとおり。
   ↓
http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20131030_21.pdf


●研究に関与した弱者集団の保護を一層高めること

●研究に参加した結果とて、損害を受けた被験者が適切な補償と治療を受けられるようにすること

●バイオバンクなどにおける研究試料の再利用に関するインフォームド・コンセントについての言及

●被験者に対する研究結果の通知、試験中に有益であると証明された医学的措置へのアクセスを保証する条項を事前に策定するよう、研究後の取り決めの拡大

●研究倫理委員会の権限強化(監視情報、有害事象報告、研究資金・研究結果の概要のレポート提出等)



なお、「フォルタレザ総会でのヘルシンキ宣言の見直しについて(パブリックコメントのための改訂草案)」は以下のところにあります。
   ↓
http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=145967&name=2r98520000032v61_1.pdf


ちなみに1つ前の「ソウル版」は下記のページの下のほうに保存してあります。
   ↓
https://sites.google.com/site/zhiyanniguansurutongzhiji/herushinki


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


今週はほとんど、ヘルシンキ宣言のコピペだけですので、自分で読む!という方は今週はスキップしてくださいね。


今日は「序文」と「一般原則」を見ます。

なお、条文の数字のあとに「旧1項」とあるのはソウル版の時のヘルシンキ宣言の項目番号を示しています。

ヘルシンキ宣言のソウル版とどこが違うのかが分かると思います。

ヘルシンキ宣言(ソウル版)と比較ができます。

旧項目番号の次にヘルシンキ宣言の改訂箇所も簡単に記載しています。



■■■ 序文 ■■■

1. (旧1項:修正なし)

世界医師会(WMA)は、特定できる人間由来の試料およびデータの研究を含む、人間を対象とする医学研究の倫理的原則の文書としてヘルシンキ宣言を改訂してきた。

本宣言は全体として解釈されることを意図したものであり、各項目は他のすべての関連項目を考慮に入れて適用されるべきである。



2. (旧2項:本宣言が主として医師に対して表明されたものである理由を明確に説明)

WMA の使命の一環として、本宣言は主に医師に対して表明されたものである。

WMA は人間を対象とする医学研究に関与する医師以外の人々に対してもこれらの諸原則の採用を推奨する。



 
■■■ 一般原則 ■■■

3. (旧4項:修正なし)

WMA ジュネーブ宣言は、「私の患者の健康を私の第一の関心事とする」ことを医師に義務づけ、また医の国際倫理綱領は、「医師は、医療の提供に際して、患者の最善の利益のために行動すべきである」と宣言している。



4. (旧3項:医師の責務を拡大)

医学研究の対象とされる人々を含め、患者の健康、福利、権利を向上させ守ることは医師の責務である。

医師の知識と良心はこの責務達成のために捧げられる。



5. (旧5項は2つに分割。新5項は旧5項の最初の文であり、第2文は新13項となる。)

医学の進歩は人間を対象とする諸試験を要する研究に根本的に基づくものである。



6. (旧7項)

人間を対象とする医学研究の第一の目的は、疾病の原因、発症および影響を理解し、予防、診断ならびに治療(手法、手順、処置)を改善することである。

最善と証明された治療であっても、安全性、有効性、効率性、利用可能性および質に関する研究を通じて継続的に評価されなければならない。



7. (旧9項は2つに分割され、新7項は旧9項の最初の1文であり、第2文は新19項となる。)

医学研究はすべての被験者に対する配慮を推進かつ保証し、その健康と権利を擁護するための倫理基準に従わなければならない。



8. (旧6項)

医学研究の主な目的は新しい知識を得ることであるが、この目標は個々の被験者の権利および利益に優先することがあってはならない。



9. (旧11項の最初の1文。新9項の最後の1文は、旧16項の最後の1文から移動。旧16項の最初の1文は新12項となる。)

被験者の生命、健康、尊厳、全体性、自己決定権、プライバシーおよび個人情報の秘密を守ることは医学研究に関与する医師の責務である。被験者の保護責任は常に医師またはその他の医療専門職にあり、被験者が同意を与えた場合でも、決してその被験者に移ることはない。



10. (旧10項:文言を強化)

医師は、適用される国際的規範および基準はもとより人間を対象とする研究に関する自国の倫理、法律、規制上の規範ならびに基準を考慮しなければならない。国内的または国際的倫理、法律、規制上の要請がこの宣言に示されている被験者の保護を減じあるいは排除してはならない。



11. (旧13項:修正なし)

医学研究は、環境に害を及ぼす可能性を最小限にするよう実施されなければならない。



12. (旧第16項の第1文に「教育」を追加。旧16項の第2文は新9項へ移動。)

人間を対象とする医学研究は、適切な倫理的および科学的な教育と訓練を受けた有資格者によってのみ行われなければならない。

患者あるいは健康なボランティアを対象とする研究は、能力と十分な資格を有する医師またはその他の医療専門職の監督を必要とする。



13. (旧5項の第2文から移動。修正なし。旧5項の第1文は、新5項となる。)

医学研究から除外されたグループには研究参加への機会が適切に提供されるべきである。



14. (旧31項:修正なし。)

臨床研究を行う医師は、研究が予防、診断または治療する価値があるとして正当化できる範囲内にあり、かつその研究への参加が被験者としての患者の健康に悪影響を及ぼさないことを確信する十分な理由がある場合に限り、その患者を研究に参加させるべきである。



15. (新規項目。被害を受けた被験者が、補償と治療を確実に受けとれるようにする取り決めを反映している。)

研究参加の結果として損害を受けた被験者に対する適切な補償と治療が保証されなければならない。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


今回のヘルシンキ宣言では、小見出しを多くつけてくれたので、見やすくなりましたね。

で、上記の中で大事なことは以下のとおりです。

二重かっこ(『』)で囲ったところが、特に重要です。


●4. 医学研究の対象とされる人々を含め、患者の『健康、福利、権利』を向上させ守ることは医師の責務である。

●5. 医学の進歩は『人間を対象とする諸試験』を要する研究に根本的に基づくものである。

●6. 最善と証明された治療であっても、安全性、有効性、効率性、利用可能性および質に関する研究を通じて『継続的に』評価されなければならない。

●8. 医学研究の主な目的は新しい知識を得ることであるが、この目標は『個々の被験者の権利および利益に優先することがあってはならない』。

●12. 人間を対象とする医学研究は、適切な倫理的および科学的な『教育と訓練』を受けた有資格者によってのみ行われなければならない。

●15. 研究参加の結果として損害を受けた被験者に対する適切な『補償と治療』が保証されなければならない。


posted by ホーライ at 00:39| Comment(0) | TrackBack(0) | ヘルシンキ宣言 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月18日

臨床研究のデータ改ざん防止策は?

今週はディオバン問題・ディオバン事件に対する報告書を見ていきます。

この報告書の中から、特に皆さんにお読み頂きたいところを抽出しました。

ほとんど、報告書をコピペしているだけですので、「これぐらいの報告書なら自分で読むよ」という方は、今週はスキップしてください。

なお、下記の抽出部分は報告書のほんの一部ですので、正しく理解するためには、全文をお読みくださいね。


ディオバン問題・ディオバン事件に対する報告書
   ↓
●高血圧症治療薬の臨床研究事案を踏まえた対応及び再発防止策について(報告書)
平成26 年4月11 日高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会
   ↓
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000043426.pdf


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■







臨床研究のデータ改ざん防止策は?
   ↓
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

B データ改ざん防止体制の構築

臨床研究の質の確保の観点から、臨床研究の実施機関の長又は研究責任者は以下の諸事項についての対応を十分検討すべきである。


ア. 担当者が内部・外部の者であるかにかかわらず、特定の者に統計解析等の重要業務が偏在することのないよう配慮すること。また、研究チーム内で十分な議論やチェックができるような透明性確保に配慮すること。

イ. データ管理センターなど、研究チームとは別途の第三者的組織でデータマネージメントを専属で行う組織を設けるなど、データ管理を適切に行うこと 。

ウ. 倫理審査委員会等における審査に際しては、臨床研究開始前に、個々の臨床研究の実施体制についても十分確認させ、利益相反上の問題だけでなく、臨床研究の質の確保の観点からも、実施体制の妥当性について検討すること。


臨床研究の実施機関の長においては、臨床研究の開始前にデータ管理が適切に行えるよう、医師や臨床研究コーディネーター、生物統計の専門家などの必要な人材確保・組織体制整備に努める必要がある。

国は、臨床研究の実施機関が必要な人材を確保できるよう、臨床研究にかかる人材の育成に一層努めるべきである。

特に、臨床研究中核病院など、臨床研究の実施基盤整備・拠点化を適切に進め、当該病院を中心とした関連医療機関との連携を通じ、臨床研究の質の向上や人材育成を推進すべきである。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


大事なことはデータ改ざん防止策としてのシステムとそこにいる人材の育成、人材の確保ですね。




臨床研究関連資料の保存は?
   ↓
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

C 臨床研究関連資料の保管義務

今回の事案を通じ、臨床研究関連資料の保管責任者及び保管すべき年数があらかじめ決められていないことが明らかになった。

また、最近になって関連資料が廃棄された事例が見られた。

国は、臨床研究関連資料の保管責任者を明確化するとともに、保管すべき資料の種類及び保管年数についても明確化し、臨床研究の実施機関の長にその遵守を求めるべきである。

また、研究者の異動や退職があることから、異動等に伴い臨床研究関連資料が移管・廃棄されることのないよう、臨床研究の実施機関の長は、このような場合の資料を保管管理する体制・ルールをあらかじめ決めておくべきである。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■



治験をやっている身にとって「臨床研究関連資料の保管責任者及び保管すべき年数があらかじめ決められていない」というのは驚きです。

「記録がないというのはやってないということ」ですからね。




研究者や組織の自覚について。
   ↓
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

(4) その他(対応が必要な主な事項)

●臨床研究倫理指針の適合性に関する自己点検が適時適切に行われていないこと。

●今回の事案の存在又はその疑いが生じた場合の大学による調査について、その迅速性や調査内容に大きな差が見られること。


今回の事案について、関連5大学は、いずれも外部からの指摘に基づき調査が開始されている。

今般の臨床研究実施から事案の存在が明らかになるまでに長期間要しているのは、各大学の自己点検能力が脆弱であることが一因と考えられる。

後述のとおり、今般の事案を受け、厚生労働省及び文部科学省は、臨床研究を実施する主な機関を対象に自己点検を実施するよう要請しているが、そもそも自己点検については臨床研究倫理指針に規定されているものである。

本来、自己点検は定期的に実施するとともに、今般のような事案発生に際しては、同様の事案がないかについて、積極的に自己点検行うべきである。



今回の臨床研究事案が判明した際の各大学としての調査については、その迅速性や内容が大きく異なるとの印象を受けた。

指針違反に関する事案その他データのねつ造など臨床研究の信頼性を揺るがす事案の存在又は疑いが生じた場合、臨床研究の実施機関の長は、直ちに調査委員会を立ち上げ早急に調査を実施するとともに、必要な対応方策を講じる必要がある。

「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)(平成19年2月15日文部科学大臣決定・平成26年2月18日改正)」によると、迅速な全容解明のため、不正調査の期限を原則210日以内と定めているところ、これらの調査についても、遅くともこれを一つの目処に調査を実施すべきである。

また、臨床研究の実施機関の長は、調査委員会に外部有識者の参画を求めるだけでなく、調査の中心的役割を依頼するなど、第三者性を十分確保すべきである。

また、臨床研究の実施機関の外部に調査を委託することも併せて検討するべきである。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


●研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)
     ↓
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/gijyutu/008/houkoku/07020815.htm




「報告書」の結論です。
   ↓
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

第四 むすびに

(1) 今回の事案にかかる臨床研究の企画立案について、大学側研究者に特定の医学的研究課題の解明を目的としたとは考えられない動機が認められること。

臨床研究について大学側に十分な実施体制が整っていないにもかかわらず、研究者が研究を開始した例が認められること。

本来の目的が曖昧な状況で研究を実施することにより、医学的研究以外の意図を有する者が関与する隙を与えた可能性があったこと。

このような状況で行われる臨床研究は、研究者としての倫理に反しているのみならず、本来行ってはならないものであり、特に被験者保護の観点からは看過できない問題であること。

また、大学側研究者の利益相反管理がずさんであったこと。


(2) 大学内の倫理審査委員会が事案発生の歯止めとして機能していないこと。

今回の事案発生については、大規模臨床研究にあたって不可欠な統計解析者などの人材を外部からの労務提供に依存するなど、大学及び大学側研究者における臨床研究の基本的実施体制が脆弱であったことが原因となっていると考えられること。

また、今回の臨床研究事案にかかるデータの信頼性は大学間で異なるものであり、事案が判明した際の大学における調査の迅速性や内容についても大学間で大きく異なること。

さらに、ノバルティス社元社員の各研究への関与の度合いも大学によって大きく異なること。

これらは大学の臨床研究に対するガバナンスの適切性を示すものと考えられたこと。



(3) 今回の臨床研究事案のノバルティス社の関与については、元社員一個人が関与していたというよりは、実態としてはノバルティス社として今回の事案に関与していたと判断すべきものであること。

ノバルティス社が今般の事案に対して提供した奨学寄附金は、スポンサーとしての役割を果たすものであり、奨学寄附金本来の趣旨と異なるものであること。

ノバルティス社からの長期間にわたる多額の資金提供及び労務提供は、営業を含めた同社の業務の一環として行われたものと考えられること。

同時期にスイス本社が関与した海外臨床研究については利益相反について適切に言及されており、スイス本社の透明性確保に関する方針は日本法人において適用されておらず、ノバルティス本社の日本法人に対するガバナンスが機能していないこと。

また、日本法人の内部におけるガバナンスにも問題があったこと。


以上の状況を踏まえ、本検討委員会は、臨床研究の質の担保及び被験者保護並びに研究者の利益相反管理、研究支援に係る製薬企業の透明性確保等の観点から、これらを担保するための法制度等の必要性について、国は平成26年秋を目処に検討を進めることを提案した。

またこれと並行して、現在検討中の臨床研究倫理指針の見直しにおいて必要な対応を図ること、さらに、権限を有する者による本件事案の実態解明をすすめて、厳しい対応を図ることなどを提案した。


中間とりまとめの公表後もなお、臨床研究等においてデータが適切に取り扱われていないのではないかと疑われる報告が複数報告されており、また、今回の事案等を受け、厚生労働省及び文部科学省が連名で行った自主点検の結果を見ても、臨床研究倫理指針に違反する事例は複数報告されている。

本事案は必ずしも過去の課題とは言えない。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


上記に「ガバナンス」という言葉が何度か出てきますね。

「ガバナンス」とは「統治」のこと。

ガバナンスは組織や社会に関与するメンバーが主体的に関与を行なう、意思決定、合意形成のシステム。

企業の不正行為の防止と競争力・収益力の向上を総合的にとらえ、長期的な企業価値の増大に向けた企業経営の仕組みですね。



繰り返しますが、今回の事件は、日本の臨床研究の信頼回復どころか臨床研究の質を飛躍的に向上させる絶好のチャンスです。

問題は『規則』ではなく『臨床研究者自身』です。



下記に参考資料をあげておきます。


●「医系大学・研究機関・病院のCOI(利益相反)マネージメントガイドライン(一般社団法人全国医学部長病院長会議(平成25 年11 月15 日))」
   ↓
http://www.ajmc.jp/pdf/coi26-2-24.pdf



●「臨床研究にかかる利益相反(COI)マネージメントの意義と透明性確保について(日本学術会議臨床医学委員会臨床研究分科会(平成25 年12 月20 日))」
   ↓
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-22-t183-1.pdf



●「我が国の研究者主導臨床試験に係る問題点と今後の対応策(日本学術会議・科学研究における健全性の向上に関する検討委員会・臨床試験制度検討分科会(平成26 年3 月27 日))」
   ↓
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-22-t140327.pdf



●「医師の職業倫理指針〔改訂版〕(公益社団法人日本医師会(平成20 年6 月))」
   ↓
http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20080910_1.pdf


2014年04月17日

今後の「倫理審査委員会」のあり方は?

今週はディオバン問題・ディオバン事件に対する報告書を見ていきます。

この報告書の中から、特に皆さんにお読み頂きたいところを抽出しました。

ほとんど、報告書をコピペしているだけですので、「これぐらいの報告書なら自分で読むよ」という方は、今週はスキップしてください。

なお、下記の抽出部分は報告書のほんの一部ですので、正しく理解するためには、全文をお読みくださいね。


ディオバン問題・ディオバン事件に対する報告書
   ↓
●高血圧症治療薬の臨床研究事案を踏まえた対応及び再発防止策について(報告書)
平成26 年4月11 日高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会
   ↓
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000043426.pdf


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■





「倫理審査委員会」の役割は?
   ↓
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

(2) 臨床研究の質の確保と被験者保護(対応が必要な主な事実関係)

●今般の事案は医学的研究課題の解明に向けられたものと言えない可能性があること。

●データ管理が不適切であり、また意図的に操作され、誤った結論を導いたこと。

●臨床研究の実施責任者としての対応が不十分であること。

●倫理審査委員会が歯止めとならなかったこと。

●検証を後から行おうとしても資料がすでに廃棄されていたこと。

●研究者の被験者保護の視点が十分でないこと。



@ 倫理審査委員会の機能強化及び透明性確保

今回の事案発生とその結果責任については、大学側の臨床研究の実施責任者の責任もさることながら、各大学の倫理審査委員会がなんら歯止めとなった形跡が見あたらない。

また、その記録も十分保存されていなかった。

本来、倫理審査委員会は、倫理的・科学的観点から個別研究計画の妥当性を検証し、もって被験者保護を担う重要な機関である。

今回の事案については、医学的研究課題の解明に向けられたものと言えない可能性があった。

このことから、倫理審査委員会においては、臨床研究の目的が適切であるかについても十分確認の上、その実施を認めるべきである。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


「倫理審査委員会」は「臨床研究の目的が適切であるか否か」も検討すべきなんですね。





では、今後の「倫理審査委員会」のあり方は?
   ↓
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

今回の事案を踏まえ、臨床研究の実施機関の長は、手順書の整備や必要な知識経験を有する人員が確保されているかなど、倫理審査委員会として必要な体制を有しているか、早急に点検すべきである。

また、倫理審査委員会のさらなる機能強化及び独立性確保を図るため、関係者は以下の方策について検討するべきである。

ア. 国は、他の模範となるような倫理審査委員会の認定などを通じ、倫理審査委員会の全般的な機能の向上を図ること。

イ. 臨床研究の実施機関の長は、倫理審査委員会の委員構成として外部有識者を確保するとともに、個別の審査を行う際、外部有識者を参加させること。

ウ. 臨床研究の実施機関の長は、他の研究機関と共同で設置した共同倫理審査委員会や上述の認定倫理審査委員会を活用させること。これらを通じ、倫理審査委員会の集約化を図ること。

エ. 臨床研究の実施機関の長は、倫理審査委員会及び利益相反委員会との間で連携協力をさせること。また、倫理審査委員会及び利益相反委員会においては、個別の臨床研究における利益相反の状況を把握し、必要に応じ、研究実施体制の第三者性確保を求めるなど、情報開示以外の適切な対応についても講じること。

オ. 国は、公的な補助を行う際に、今後見直される臨床研究倫理指針について、その遵守を条件とすること。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■



「研究者」の教育は?
   ↓
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

A 研究責任者等の責務の明確化と教育・研修の徹底

これまでも臨床研究の実施機関の長に対しては研究に携わる者への教育・研修の機会確保を求めるとともに、臨床研究に携わる者は必要な教育・研修を受けるべきことを求めているが、今後はさらに教育・研修の内容、頻度等について明確化し教育・研修の徹底を図るべきである。

また、大学における医学教育等の中でも、臨床研究の必要性及び配慮すべき倫理性・安全性確保など、臨床研究実施に当たり必要な事項について、学生等への教育機会を適切に設けるべきである。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


「これまでも」訴え続けたにも限らず、今回の事件が起きたのですから、この際、ドラスティックな改革が必要でしょう。

臨床研究者の条件として教育受講時間を設けるとか、認定制度にするとかね。

×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。