今週は「抗うつ薬」の治験を見ます。
「抗うつ薬の臨床評価方法に関するガイドライン」について
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http://www.pmda.go.jp/kijunsakusei/file/guideline/new_drug/kou-utsuyaku-guideline.pdf■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
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1. 効力を裏付けるための試験
(1) in vitro 試験
各種神経伝達物質(ノルアドレナリン、アドレナリン、セロトニン、ドパミン、ヒスタミン等)の受容体等に対する作用を検討する。
また、各種神経伝達物質のトランスポーターへの結合阻害作用や取り込み阻害作用等についても検討する。
さらに、治験薬の特性に応じた薬理作用についても検討が必要な場合がある。
(2) 動物モデルを用いた試験
薬効を裏付ける動物モデルを用いた試験には、強制水泳試験、尾懸垂試験、学習性無力試験、嗅覚摘出モデルによる試験、慢性緩和ストレスモデルによる試験、Novelty-suppressed feeding試験、依存性薬物退薬モデルによる試験等がある。
(3) 代謝物の薬理作用についても検討し、それを加えた臨床用量の推定等を行う。
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うつ病は自覚症状がメインですが、他覚所見として運動の低下や集中力の低下、表情の欠乏があります。
でも、基本、自覚症状なので、動物実験では難しいでしょうね。
そもそも、今、使われている抗うつ薬も、何故、うつ病に効果があるのか、本当のところは分かっていないんですよね。
という事は、要は、うつ病の原因もまだ確かなことは言えないということです。
ウィキペデアによれば・・・・・
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うつ病の発病メカニズムは未だ不明である。
うつ病の原因は単一のメカニズムで説明されるとは限らず、複数の病態からなる症候群である可能性もある。
現在までに、うつ病の発病メカニズムを説明するために、複数の、生物学的あるいは心理学的な仮説が提唱されている。
●生物学的仮説
生物学的仮説としては、薬物の有効性から考え出されたモノアミン仮説、死後脳の解剖結果に基づく仮説、低コレステロールがうつおよび自殺のリスクを高めるとの調査結果、MRIなどの画像診断所見に基づく仮説などがあり、2013年現在も活発に研究が行われている。
モノアミン仮説のうち、近年はSSRIとよばれるセロトニンの代謝に関係した薬物の売り上げ増加に伴い、セロトニン仮説がよく語られる。
また、海馬の神経損傷も論じられている。
しかしながら、臨床的治療場面を大きく変えるほどの影響力のある生物学的な基礎研究はなく、決定的な結論は得られていない。
臨床現場では抗うつ薬を投与することでセロトニン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質の働きを促す治療が行われているが、あくまで対症療法的なものであり、成因の解明は新たな治療薬の開発に役立つことが期待されている。
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さて、臨床試験です。
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1. 抗うつ薬の臨床試験のデザインに関する基本的考え方
抗うつ薬の開発においては、プラセボを含まない又は治験薬の複数用量が用いられない実薬対照非劣性試験(又は同等性試験)により治験薬の有効用量を検討し有効性を検証することには限界があり、抗うつ薬の有効性の検討には、プラセボ対照二重盲検比較試験が必要である。
これは、うつ病患者を対象とした臨床試験では、プラセボに対する反応性が高く、また一定しないことから、内部妥当性を示す指標が存在しない実薬対照非劣性試験(又は同等性試験)においては、無効同等の可能性が排除できないためである。
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自覚症状なので「プラセボに対する反応性が高い」ですね。
とは、言え、プラセボを使った治験にも注意が必要です。
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薬剤開発では、よく計画され適切に実施された臨床試験により、有効性を検証し安全性が示される必要がある。
しかし、急性期のうつ病患者にプラセボを長期間投与することは倫理的に問題であるため、臨床試験は投与期間を限定して行い、試験期間中に病状が悪化した場合の方策については、計画段階で検討しておくことが必要である。
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急性期のうつ病では、下手すると自殺する可能性がありますからね。
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一般的に、抗うつ薬の探索的試験及び検証的試験の投与期間は6〜8週間と設定される。
投与期間は、安全性評価の観点からは6週間以上と設定することが適切と考えられ、また有効性評価の観点からは8週間を超える期間を設定する場合には臨床的意義を考慮する必要があり、臨床試験の目的に応じて合理的な理由に基づき設定する必要がある。
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最近の薬は分かりませんが、従来から抗うつ薬は効果が出るまで時間がかかると言われています。
効果が出るのに2週間(場合のよっては4週間以上も)かかるなんてこともあり、その間に副作用(口喝等)だけがでて、患者が薬を途中で辞めるという場合も多いようです。
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臨床試験では、薬効評価に適した患者集団を対象とすることが重要である。
臨床試験の目的に応じて選択基準及び除外基準を適切に設定し、計画段階からプラセボ反応性が高い患者集団を除外する方策について検討することも1つの方法である。
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「プラセボ反応性が高い患者集団を除外する」って、どうするんだろう?
う〜〜ん。
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2. 対象集団
(1) 選択基準及び除外基準の設定
臨床試験においては、有効性及び安全性評価に適した均質な集団を選択できるように、国際的に普及した診断基準を用いて選択基準を設定する必要があり、症状評価尺度のみで規定することは避けるべきである。
現時点での診断基準としてはDSM-IV-TRの使用が推奨される。
臨床試験における対象の重症度は、選択基準において適切な症状評価尺度のカットオフ値により設定される。
被験者集団の重症度の分布は有効性評価に影響を及ぼす。
薬効評価の観点からは、中等度以上の被験者集団を対象として臨床試験を行うことが一般的であり、必ずしも軽度のうつ病患者を含める必要はない。
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なるほど、臨床試験では「中等度以上」のうつ病患者を対象とするんですね。
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双極性障害のうつ病エピソードは、単極性のうつ病と疾患特性が異なるために、うつ病を対象とした臨床試験においては除外すべきである。
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「双極性障害」というのは、いわゆる「躁うつ病」です。
僕もたしょう、そのけがあり、時々、発作的に本や植物を大量に購入することがあり、これは一種の「躁病」なのかな、と勝手に思っています。
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臨床試験中の自殺の危険性については特別な配慮が必要である。
臨床試験の除外基準では、症状評価尺度等により具体的に規定し自殺の危険性が高い患者の組入れを避けるべきである。
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やはりそうですね。
自殺の危険性がある患者は治験に参加させないぐらいの配慮が必要、と。