2014年02月28日

心不全の対する治療ガイドライン

今日は、心不全の対する治療ガイドラインを見ます。


急性心不全治療ガイドライン(2011年改訂版)
     ↓
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2011_izumi_h.pdf



急性心不全の治療は大きく3段階に分けられる.

それぞれの時期に,明確な到達目標を設定する.

(1)急性期では,いかに素早く,重症度を含めて診断し,適切な治療を開始できるかがカギである.

まず,症状の改善を図り,呼吸を安定化させる.

さらに,良好な臓器灌流を得て血行動態を安定化させる.

この際,心筋障害や腎障害を最小限にすることを念頭に治療する.

これが最終的にICUやCCU入院の期間を短縮させる.


(2)患者の病態が安定したら,生命予後および心筋保護を考慮した適切な薬物療法を開始する.

また,可能な限り早期の離床を進める.

そのためには積極的な心臓リハビリを行う.非薬物療法が効果的な患者もいる.

(3)退院前に生活指導・服薬指導・食事指導などの包括的な患者・家族教育を行い,心不全増悪による繰返し入院を予防する.

最終的には,生命予後の改善だけでなく,生活の質を向上させる治療を永続的に行う.


薬物治療としては、利尿薬,硝酸薬,カルペリチド,強心薬が考えられます。



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慢性心不全治療ガイドライン(2010年改訂版)
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http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2011_izumi_h.pdf

慢性心不全の治療

自己管理能力の向上

患者の自己管理が重要な役割を果たし,自己管理能力を向上させることにより,予後は改善する.

外来患者における,毎日の体重測定や塩分制限の遵守率は約50%と報告されており,医療従事者は患者の自己管理が適切に行われているかを評価し,患者および家族に対する教育,相談支援により患者の自己管理能力の向上に努める。



欧米では1990年代半ばから慢性心不全患者を対象として疾病管理の予後に対する有効性を検証する介入試験が行われてきた.

その結果,患者教育,治療コンプライアンスの向上,訪問や電話等による患者モニタリング,治療薬の調節,看護師による管理等の疾病管理が予後の改善に有効であることが報告されている.

薬物療法の心不全増悪による再入院に対する減少効果は,ACE阻害薬で22%,β遮断薬で32%,ジギタリスで23%,スピロノラクトンで35%にとどまっており,疾病管理の効果は薬物治療の効果と同等あるいはそれ以上と考えられる.

さらに疾病管理は単独で効果を有するものではなく,それによって,最適な薬物治療が行われ,治療アドヒアランスが向上し,治療効果を最大限に引き出せる.


慢性心不全の場合は薬物治療と同等以上に日頃の疾病管理が大事ですね。

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2014年02月27日

抗慢性心不全薬の承認に必要な条件

今週は「抗心不全薬」の治験を見ます。

●「抗心不全薬の臨床評価方法に関するガイドライン」
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http://www.pmda.go.jp/kijunsakusei/file/guideline/new_drug/kou-shinfuzenyaku-rinjyu-hyouka-guideline.pdf


●「抗心不全薬の臨床評価方法に関するガイドライン」に関する質疑応答集(Q&A)
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http://www.pmda.go.jp/kijunsakusei/file/guideline/new_drug/kou-shinfuzenyaku-qa.pdf


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慢性心不全の治験ではどのように生命予後を検討すればいいのでしょうか?
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5)生命予後に及ぼす治療薬剤の評価

慢性心不全の予後は、5年生存率が50〜60%と報告されている1が、1年予後と5年予後の間に乖離はみられない。

しかし、これまでの慢性心不全に対する複数の臨床試験で6ヶ月予後と1年予後の間に乖離がみられることから、少なくとも1年以上の経過観察による長期予後の追跡が必要である。

予後の解析には、科学的に妥当な症例数とプロトコールに沿った検討が必要であるが、死亡に代わる代替指標は存在しないため、全死亡あるいは心血管死のいずれかを主要評価項目に含めるべきである。

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慢性心不全の治験では、半年(6か月)ではなく、「少なくとも1年以上の経過観察による長期予後の追跡」が必要です。



では、「抗慢性心不全薬の承認に必要な条件」とはなんでしょう?
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抗慢性心不全薬の目的は、患者の生命予後改善とQOL改善である。

両者が満足できる場合が最も望ましいが、両者の改善に不一致がある場合、生命予後改善がQOL改善より優先される。

したがって、生命予後改善が認められれば、QOLの改善が認められなくても薬剤の承認を考慮する。

しかし、QOLの悪化が著しい場合(例えば、臥床安静を余儀なくさせられる、高頻度に呼吸困難を訴えるなど)、その内容・程度・頻度により承認されない場合あるいは、条件付承認となる場合が考えられる。



一方、生命予後の改善は認められないが、生命予後の悪化がみられない場合、QOL改善が認められれば、慢性心不全治療に有用な薬剤と考え承認を考慮する。

しかし、QOL改善が運動耐容能の改善によらない場合、抗心不全薬とは定義されない可能性もあることに留意する必要がある。

生命予後改善もQOL改善もみられない場合は承認しない。

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う〜〜ん、難しいなぁ、玉虫色だ。

え〜〜っと、つまり、慢性心不全の薬としては「生命予後改善がQOL改善より優先される」。

だから、「生命予後改善が認められれば、QOLの改善が認められなくても薬剤の承認」される。

でも、生命予後を改善しても、「QOLの悪化が著しい場合(例えば、臥床安静を余儀なくさせられる、高頻度に呼吸困難を訴えるなど)」は、「承認されない」こともある。

そんでもって、さらにさらに、生命予後を改善しなくても、悪化させずにQOLを改善する場合は「承認されることもありうる」ということ。

これで正しい?



ところで、QOLの改善には向精神薬も考慮されるんですね。
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精神・心理的な側面はQOLの大きな規定因子である。

しかし、身体的要因が精神的要因に影響を与えることも少なくない。

温熱療法や運動療法、転地療法(環境の変化)には、このような効果も含まれると考えられる。

選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)や睡眠改善薬など直接的な向精神作用が期待できる薬剤もある。

また薬剤以外に、家族や医療供給者からのサポートやコミュニケーションもQOL 改善に大きく寄与することは言うまでもない。

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「抗心不全薬の臨床評価方法に関するガイドライン」に関する質疑応答集(Q&A)です。

まずは、「プラセボ」について。
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Q1

抗急性心不全薬及び抗慢性心不全薬の開発においては、第V相試験を実施する以前のいずれかの段階で当該被験薬のプラセボ単独投与に対する優位性を示す必要があると解されるが、当該領域においてこのような評価は可能か。

また、第V相試験でプラセボを対照薬として採用しない場合において、当該被験薬がプラセボより有用であることをどのように実証すればよいか。




A1

第V相試験を実施する以前のいずれかの段階で当該被験薬のプラセボ単独投与に対する優位性を示す必要がある。

必ずしも、臨床現場で実際に適応と考えられる対象患者集団を試験対象としてハードエンドポイントで有効性を示すことを求めるものではないため、試験対象患者の設定や、有効性の評価項目の設定を適切に行うことにより、当該被験薬のプラセボ単独投与に対する優位性を示すことは可能である。

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「プラセボ単独投与」に対する優位性を示す必要がある。

「ハードエンドポイントとは」

“死亡”“心筋梗塞”“脳卒中”といったエンドポイントと,“狭心症”“PCI/CABG”“心不全の悪化”“心不全や狭心症による入院”“一過性脳虚血発作(TIA;Transient Ischemic Attack)”のようなエンドポイントでは何が違うのでしょうか? 

それは,定義,診断の厳密さと客観性の問題,それに患者にとっての重要度(重篤性)だと思います。

つまり,前者は重篤で患者医師双方に重要であり,客観的に判定しやすいエンドポイントです。

一方,後者は主観が混じるため厳密な判定が難しく,そもそも定義が難しいエンドポイントで,重要性も前者に比較すると低いのです。

前者をハードエンドポイント,後者をソフトエンドポイントと呼ぶこともあります。

問題は,客観性に問題があり重要度が低いエンドポイントほどよく発生し,介入試験においてはそれで差がつくことが多いということなのです。



さらにプラセボの問題。
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Q5

急性心不全の場合、プラセボを対照薬とすることを原則とすることは非倫理的であると考えられ、標準的抗心不全薬を用いるべきと考えるが如何か。




A5

既存の標準的抗心不全薬を併用したときの上乗せ効果を検討する試験デザインとする等の工夫により、プラセボ群の設定は可能である。

また、プラセボ群の設定は基本的に必要と考えられる。

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「罹患率」について。
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Q6

抗慢性心不全薬の第V相検証試験において、罹患率(入院や基礎治療の変更等)を主要評価項目とすることが、現実的な対応として許容される場合に該当する例を示してほしい。




A6

海外で生命予後の改善が検証されており、当該海外試験成績が日本において利用可能な場合には、国内における第V相検証試験では、罹患率(入院や基礎治療の変更等)を主要評価項目とすることが現実的な対応として許容される場合もあると考えられる。

なお、国内外で生命予後の改善が検証されていない場合には、国内における第V相検証試験において、罹患率の評価がなされるのみでは不十分と考えられるが、このような場合にも、国内臨床試験において、生命予後の悪化がみられず、罹患率の改善傾向が示されると共に、QOL改善が認められれば、承認が考慮される場合もあると考えられる。

但し、QOL改善が運動耐容能の改善によらない場合、抗心不全薬とは評価されない可能性がある。

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「有病率」と「発症率」と「罹患率」の違い。


有病率はある一時点において疾病を有している人の割合で、どのくらいの医療サービスが必要なのかなどの判断に使われています。

有病率を使って表すのは慢性疾患です。


有病率は、「ある疾病を有する人数/対象者数 ×100」 です。

これを使う時にはいつの時点の有病率なのかを指定する必要があります。



発症率は食中毒などの感染症が集団発生した時に用いられます。

たとえば、中学校で食中毒が集団発生したとします。

その場合の発症率は、

食中毒発症者数/その集団で疾病リスクのあった人数(給食を食べた人)×100 となります。



罹患率は、ある集団において一定期間(通常は1年)における疾病の発症頻度であり、人口10万対で表します。

罹患率の求め方は、

ある期間における疾病の新規発症者数×10万/同期間の対象集団の観察人年×10万

です。

観察人年とは何人の対象者を何年間観察したかを表すので、これらを掛けて算出します。

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2014年02月26日

慢性心不全とは?

今週は「抗心不全薬」の治験を見ます。

●「抗心不全薬の臨床評価方法に関するガイドライン」
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http://www.pmda.go.jp/kijunsakusei/file/guideline/new_drug/kou-shinfuzenyaku-rinjyu-hyouka-guideline.pdf


●「抗心不全薬の臨床評価方法に関するガイドライン」に関する質疑応答集(Q&A)
     ↓
http://www.pmda.go.jp/kijunsakusei/file/guideline/new_drug/kou-shinfuzenyaku-qa.pdf


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さらに、急性心不全の治験に対して重要なこと(新薬の製造販売承認に必要な条件)が書かれています。
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5)抗急性心不全薬の承認に必要な条件

抗急性心不全薬として承認を得るためには、死亡率、罹患率を含めた急性期の予後に関する主要評価項目を用いた臨床試験において、有効性が示される必要がある。

また、急性期の生命予後のみでなく、同時に少なくとも6ヶ月以上の長期予後を悪化させないことが示される必要がある(必ずしも、長期予後の改善までが示される必要はない)。

また、急性期の臨床徴候・症状の改善が臨床試験で示されることが必要である。

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急性心不全の治験の場合「少なくとも6ヶ月以上の長期予後を悪化させないこと」が必要なのですね。(「改善」までは求められていない。)




では、慢性心不全の治験の場合はどうでしょう?

まずは「慢性心不全とは?」
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慢性心不全とは心筋の何らかの異常により心臓の収縮機能・拡張機能・調律機能に障害を生じ、心拍出能の低下または循環障害による臓器のうっ血により全身的な機能障害を呈する病態であり、長期にわたって機能障害が継続している場合をいう。

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そして、慢性心不全の治験の方法は?
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3)慢性心不全の治療目標と臨床試験のあり方

慢性心不全における治療目標は、@生命予後の改善、A社会復帰・家庭生活の維持(罹患率の改善)、B自覚症状の改善・生活における快適度(狭義のQOL)の保持である。

したがって、慢性心不全を対象とした臨床試験では、上記の治療目標の達成度を評価する必要があり、主要評価項目としては、総死亡率、心血管系罹患率、自覚症状が適切と考えられ、QOL、運動耐容能、身体所見、血行動態の変化(EFなど)、腎機能、神経体液性因子は副次評価項目として、有効性の評価に際して補助的な役割を果たすものと考えられる。

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慢性心不全の治験ではまずは、やはり「生命予後の改善」であり、「主要評価項目としては、総死亡率、心血管系罹患率、自覚症状が適切」ということです。


さらに、さらに、心不全の治験ですから・・・・・
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多くの薬剤は、申請効能・効果の内容にかかわらず、承認前に主要評価項目に死亡(率)を含む試験が必要となると考えられる。

薬剤が、新規作用機序であるか、同じクラスの薬剤が死亡率について有害な影響をもたらすことが示されている場合には、前向きの無作為化対照試験における死亡に関する検討が必要となる。


慢性心不全においては、従来国際的には死亡が主要評価項目とされてきたが、心不全による死亡率が低い本邦においては死亡を主要評価項目として第V相試験を実施することは困難なことが多いと考えられる。

また、死亡に替わる適切な代替評価項目が存在しないため、国内における第V相試験では、罹患率(入院や基礎治療の変更等)を主要評価項目とすることが、現実的な対応として許容される場合もあると考えられる。

あるいは、第V相試験として、死亡を主要評価項目とした、大規模な国際共同治験への参加が可能と判断される場合には、当該国際共同治験を検証試験と位置付けることも考えられる。

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う〜〜ん。

私も経験がありますが、昔は、「死亡」を主要評価項目とするのは、日本では倫理的ではない、というような風潮があり、その代わりにサロゲートエンドポイントとして「人工呼吸器の装着」などを使ったりしました。

*サロゲートエンドポイントとは治療行為に対する評価を短期間で行うための評価項目である。

代用エンドポイントとも呼ばれる。

それ自体では臨床上の利益とならなくても、治療上のアウトカムを合理的に予測しうる場合には、プライマリーエンドポイント(主要評価項目)として用いることができる。



では、心不全の国際共同治験では何に注意が必要でしょうか?
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抗慢性心不全薬の開発における、大規模な国際共同第V相試験への参加に際しては、以下の点に留意する必要がある。

民族差に基づく用法・用量の国内外差の存在が想定される領域であることから、国際共同第V相試験への参加の前に、通常、日本人についての用量設定のための第U相試験が必要である。

少なくとも国際共同第V相試験での検討用量が、日本人において妥当であることがあらかじめ示されている必要がある。

国内外での第U相試験の成績からでは、用法・用量を1用量に絞り込めない場合には、高低2用量などの複数用量の国際共同第V相試験を実施し、結果により承認用量を国別に検討する開発方針も可能であろう。

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さらに、もし、治験の段階で生命予後の評価が困難な場合は製販後臨床試験でそれを探る必要があります。
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第V相試験で生命予後の評価が困難な場合、製造販売後の臨床試験において、可能な限り予後を検討する必要がある。

なお、観察期間は、治療薬の種類や特性などを考慮して1年以上に設定すべきである。

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慢性心不全の治験ではQOLはどう考えればよいのでしょうか?
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慢性心不全の生命予後とQOLは必ずしも相関しないことが明らかになっている。

慢性心不全の生命予後の規定因子は、心ポンプ不全による臓器不全と突然死であり、突然死は心血管死の40〜50%を占める。

突然死の頻度は、QOLと相関がなく、QOLの良好な患者群からの発症も多い。

慢性心不全患者の治療の目標は、まず生命予後の改善であり、次にQOLの改善である。

したがって、慢性心不全治療における抗心不全薬に求められる要件も、QOL改善につながる心不全症状の改善が第一義ではなく、生命予後の改善がQOL の改善に優先されるべきである。

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2014年02月25日

急性心不全の治験のエンドポイント

今週は「抗心不全薬」の治験を見ます。

●「抗心不全薬の臨床評価方法に関するガイドライン」
     ↓
http://www.pmda.go.jp/kijunsakusei/file/guideline/new_drug/kou-shinfuzenyaku-rinjyu-hyouka-guideline.pdf


●「抗心不全薬の臨床評価方法に関するガイドライン」に関する質疑応答集(Q&A)
     ↓
http://www.pmda.go.jp/kijunsakusei/file/guideline/new_drug/kou-shinfuzenyaku-qa.pdf


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心不全の治験は、以前では「QOL」が評価されていましたが、最近ではどうなんでしょう?
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4)急性心不全の予後とQOLの考え方

急性心不全の臨床試験では、@救命達成の可否(短期予後)、A自覚症状をはじめとする患者負担の軽減、B退院時や退院後の障害程度の軽減(長期予後)が検討されるべきと考えられるが、とりわけ、急性心不全の特性上、救命達成の可否の検討は重要である。

具体的には、急性心不全の臨床試験において、必須な有効性の評価項目は、臨床徴候・症状(Clinical signs and symptoms)、血行動態、予後である。

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急性心不全の治験では、やっぱり、まずは「救命達成の可否(短期予後)」であり、「救命達成の可否の検討」です。


さらに、さらに、「予後」について。。
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予後については、急性期における救命達成などの短期予後と、退院6ヶ月後の死亡率等の長期予後の両方の評価が必要である。

死亡率(Mortality)、罹患率(Morbidity)の評価が必要であり、その指標としては、救命達成の可否、自発呼吸回復までの時間、ICU退室までの時間、退院までの時間、退院後の心事故再発、再入院等が含まれる。

被験薬の投与終了後においても、短期及び長期の生命予後への影響を検討する目的で、入院中、急性心不全発現から1ヶ月、6ヶ月以上の時点での死亡率に関する情報収集が必要である。

また、腎機能は予後に大きく影響することが想定されるため、同時に腎機能に関する情報収集もされるべきである。

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では、QOLはどうなるのでしょうか?
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QOLの改善も評価することが望ましい。

急性心不全に関連したADL(Activities of daily living)や認知機能、QOLについては未だ標準的な評価指標が確立していない実情はあるが、高齢化社会におけるこれら指標の重要性について異論はないのも事実である。

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急性心不全の治験においては、「QOL」に関しては「評価することが望ましい」程度になります。


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2014年02月22日

心不全とは?

今週は「抗心不全薬」の治験を見ます。

●「抗心不全薬の臨床評価方法に関するガイドライン」
     ↓
http://www.pmda.go.jp/kijunsakusei/file/guideline/new_drug/kou-shinfuzenyaku-rinjyu-hyouka-guideline.pdf


●「抗心不全薬の臨床評価方法に関するガイドライン」に関する質疑応答集(Q&A)
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http://www.pmda.go.jp/kijunsakusei/file/guideline/new_drug/kou-shinfuzenyaku-qa.pdf


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プライベートな話ですが、私の母が「慢性心不全」を患っているので、興味深いです。


さて、そもそも「心不全」とはどんな病気でしょうか?
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●心不全とは?

心不全(しんふぜん、heart failure)は、心臓の血液拍出が不十分であり、全身が必要とするだけの循環量を保てない病態を指す。

そのような病態となるに至った原因は問わず、端的に述べると「心臓の収縮力が低下」した状態である。


心不全の症状は、主に鬱血によるものである(鬱血性心不全)。

左心と右心のどちらに異常があるかによって、体循環系と肺循環系のどちらにうっ血が出現するかが変わり、これによって症状も変化する。

このことから、右心不全と左心不全の区別は重要であるが、進行すると両心不全となることも多い。

また、治療内容の決定に当たっては、急性と慢性の区別も重要である。

急性心不全に当てはまるのは例えば心筋梗塞に伴う心不全であり、慢性心不全に当てはまるのは例えば心筋症や弁膜症に伴う心不全である。

念のため付け加えると、急性心不全が終末期状態としての心不全を指しているわけではない(急性心不全は治療により完全に回復する可能性がある)。

最近では、心臓の収縮機能は正常であるが拡張期機能が低下した心不全(HF−PEF:ヘフペフ)が、高齢女性に多いことがわかって来ており病態や治療方法の確立が急がれている。



●現代医学による治療

原則として、静脈うっ滞を改善するには利尿薬が、心臓の拍出量改善のためには強心薬が使われる。

その他血管拡張薬を併用することもある。

遺伝子組み換えヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(hANP)も用いられる。

ただし、心不全は様々な原因によって起こるので、原疾患によって治療法も大きく異なる。

心不全の予後を改善する目的として、交感神経β受容体遮断薬やアンジオテンシン変換酵素、また利尿薬の一つであるスピロノラクトンなどの抗アルドステロン薬の併用による治療が推奨されている。




死因としては「心不全=心臓が止まった」としての意味でしかないため、死亡診断書の死因としては認められない。(病理学上の正式な死因が記載される)。


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なるほど、「心不全」は死亡診断書の死因としては認められないんですね。

意外ですね〜。(そうでもないか。当たり前と言えば当たり前か。)




1. 本ガイドライン改定の主旨について

「治療の目的も、昭和63 年当時の「心機能の改善」から、現在の「患者の生活の質と生存率の向上」に変移しているという点が興味深いですね。


最近では抗心不全薬の臨床試験に関していくつか議論になっている項目がある。

例えば評価項目に関して、欧米では、生存率の向上以外に有意な効果を期待していないという現状がある。

我が国では、心不全による死亡は欧米に比べて少なく、我が国で実施する臨床試験について、生存率を評価項目に設定するか、また、QOL(Quality of life 生活の質)の向上をどう位置づけるか等の検討の必要性が生じている。

これらについて生物統計学的見地も踏まえ検討を行い、本ガイドラインの内容に盛り込む。



ふ〜〜む。

心不全に対して欧米では「生存率の向上」を目指していますが、以前の日本では違うんですね。

へ〜〜!です。


U 非臨床試験

非臨床試験として、「想定される当該薬物の臨床的位置付けを踏まえた有効性プロファイルを適切に評価できる薬効薬理試験(適切な心不全モデル動物における循環動態の検討等を含む)を実施する必要」があるということで、これはまぁ、当たり前ですが。



さて、「急性心不全」の治験です。
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3)急性心不全の治療目標と臨床試験のあり方

急性心不全における治療目標は、自覚症状・他覚所見の改善、血行動態の改善、短期的生命予後の改善、QOLの改善にある。

急性心不全を対象とした臨床試験では、上記の治療目標の達成度を評価する必要があり、第V相試験の主要評価項目としては、救命の可否、総死亡率、心血管系罹患率、自覚症状が適切と考えられ、血行動態の改善、QOLの良否等は有効性の評価に際して補助的な役割を果たすと考えられる。

被験薬の急性効果判定に用いる指標としては、種々の自覚症状や他覚所見、血行動態指標、短期的生命予後が有用である。

また、観察時期は、入院時、ICU退室時、退院時、退院後などそれぞれの被験薬の特性に合わせて設定し、投与前(例:2時間〜直前)、投与後急性期(例:0〜48時間〜2週間)、投与後長期(例:2〜4週間後相当)に分けて適切な観察項目を設定すべきである。

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第V相試験の主要評価項目としては「総死亡率」等であり、「QOLの良否」等は「補助的な役割」ですね。


急性心不全のように致死率の高い治験の場合、プラセボはありでしょうか?
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有効性を検討する臨床試験においてはプラセボを対照薬とすることが原則である。

しかし、試験の安全性や倫理的観点から止むを得ない場合には、既存の標準的急性心不全の基礎治療を維持しながら行う、プラセボを対照薬とする比較試験、あるいは既存の抗心不全薬を対照とした比較試験等が考えられる。

但し、第V相試験でプラセボを対照薬として採用しない場合、第V相試験を実施する以前のいずれかの段階で、当該被験薬がプラセボよりも有用であることを示さなければならない。

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心不全の治験でも、やはり、治験のどこかのフェーズでプラセボよりも有用であることを示さなければならない、です。




「急性心不全」が発生した時の患者の様子を想像すると、「危篤」に近いでしょうね。

そのため、ゆっくり、本人からインフォームド・コンセントを得るのが難しそうです。

そのためのことがガイドラインに記載されています。
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臨床試験の実施に際しては、被験者(必要な場合は代諾者)に臨床試験の意義、当該試験の安全性と有効性、試験に参加しなくともいかなる不利益も当該患者に発生しないことなどについて十分な説明を行い、理解と文書による同意を得た後に実施しなければならない。

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「代諾者」も当然、あり、ですよね。


posted by ホーライ at 16:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 心不全の治験 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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