2014年01月02日

SMOが保存している文書はモニタリングの対象?


製薬協「治験119」
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http://www.jpma.or.jp/information/evaluation/tiken119/
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質問番号:2013-45 モニタリングの範囲 – SMOが保存する文書(376頁目)

平成25年2月14日事務連絡の別添『「治験に係る文書又は記録」一覧について』には、「治験に係る文書又は記録は、規制当局による調査又は治験依頼者若しくは自ら治験を実施する者の監査担当者による監査等の対象となり得るものであり、それに対応できるように整理しておく必要がある。』と記載されていますが、誰がどの文書を対象に直接閲覧するのかという視点の記載はありません。

治験施設支援機関(SMO)が保存すべき文書「65. 自ら治験を実施する者又は実施医療機関と治験施設支援機関との契約書」、「66. 健康被害の補償に関する治験施設支援機関の手順に関する文書」は、モニターによる必須文書直接閲覧の対象となるのかお教え下さい。

なお、65に対応する実施医療機関保存の同文書「28. 自ら治験を実施する者又は実施医療機関と治験施設支援機関との契約書」は閲覧します。

SMO内で適切に保管されていれば問題なく、モニターによる必須文書直接閲覧の対象ではないと認識しているのですが、モニターが原本を確認する必要があるのでしょうか?

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【製薬協の見解】

GCPガイダンス第39条の2 10では、受託者(SMO)は実施医療機関の監査担当者及び規制当局の求めに応じて、保存すべき文書・記録を直接閲覧に供することとされており、治験依頼者が当該文書・記録の直接閲覧を行うことは規定していません。

したがいまして、これらの文書がSMO内で適切に保存されていることについては、基本的には、実施医療機関が確認しておくべき事項と考えます。

治験依頼者としては、必要に応じてSMOでの必須文書の保存状況について実施医療機関に問合せを行い、その状況によっては、治験依頼者がSMOに確認することもあるかと思われます。


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【上記の要約&その他の背景】

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●SMOが保存している文書を治験依頼者が確認することまでGCPでは求めていない。

●実施医療機関が当該文書を確認しておく。

●ただ、必要性を感じたら治験依頼者がSMOに確認することもありえる(禁止されているわけではありませんからね。)

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2014年01月01日

被験者日誌を治験依頼者が保存してもよいか?

製薬協「治験119」
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http://www.jpma.or.jp/information/evaluation/tiken119/
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質問番号:2013-43 被験者日誌の保存(374頁目)

ある治験(並行群間比較試験)において、治験実施計画書には、原資料に被験者日誌が規定されております。

被験者日誌に書かれた内容(治験薬または対象薬の投与の記録・使用時間・再使用の有無等)は、そのままCRF(紙媒体)へ転記するため、原資料であり、GCP41条2より、医療機関の長が保管責任者を決めて、医療機関で保管するものと考えております。

治験依頼者より、「被験者日誌・原本は、治験依頼者が回収し保管する。必要であれば回収前にコピーを保管してほしい。他の医療機関でもそのように対応してもらっており、問題は発生していないし、既に回収している日誌もある」と回答がありました。

ちなみに、治験実施計画書には、次のように規定されております。

「原資料→被験者日誌(以下省略)、実施医療機関は、原資料(以下省略)等を含む治験に関わる記録は実施医療機関の長が定めた記録保管責任者が保管する。」

以上のように記載され、被験者日誌の原本を治験依頼者が回収・保管するという記載はありません。

やはり、CRFの基となる資料=原資料は、実施医療機関が保存するものと考えますが、間違っているのでしょうか?

治験119番の2007-28には、QOL調査に関する被験者のアンケートについて、以下のような見解が記載されています。

「治験依頼者のみがそのデータの評価を行うためのものと考えられますので、治験依頼者、実施医療機関がそれぞれ原本と写しを保存する旨が予め治験実施計画書等で明記され、事前に実施医療機関と合意されていれば、治験依頼者が原本を保存することで問題ないともの考えます。」

QOL調査に関する被験者のアンケートの原資料と比べると、本治験の被験者日誌の記録内容は、より重要性が高く、治験薬と対象薬の投与状況により、医師は臨床判断がされるもので、診療の一部であると思います。

しかし、上記のとおり、事前に治験依頼者と治験責任医師が合意していれば、治験依頼者が被験者日誌の原本を保存しても良いのでしょうか?

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【製薬協の見解】

GCP第2条ガイダンス3では、原資料の定義として、「第10項の"原資料"とは、被験者に係る診療録、検査ノート、治験薬等の投与記録等の治験の事実経過の再現と評価に必要な記録を指す。具体的には、症例報告書等の元となる文書、データ及び記録(例:病院記録、診療録、検査ノート、メモ、被験者の日記又は評価用チェックリスト、投与記録、自動計器の記録データ、正確な複写であることが検証によって保証された複写物又は転写物、マイクロフィッシュ、写真のネガ、マイクロフィルム又は磁気媒体、エックス線写真、被験者ファイル及び治験に関与する薬剤部門、検査室、医療技術部門に保存されている記録等)をいうものである」と規定されています。

このようなことから、通常、症例報告書への記載の元データとなる被験者日誌は原資料であり、原本は実施医療機関で保存される必要があります。

一方、被験者日誌が本治験固有の記録として実施医療機関に提供され、症例報告書へのデータ転記に代えて当該日誌の原本を治験依頼者が回収する場合があります。

このような場合には、日誌原本を治験依頼者が回収する旨、原本に代えて日誌写しを実施医療機関が保存すること等、必要な事項が予め治験実施計画書等に明記されていれば、治験依頼者、実施医療機関がそれぞれ原本と写しを保存することでも問題はないと考えます。

ご質問のケースにおきましては、日誌のデータは症例報告書に転記されることになっており、日誌原本を実施医療機関が保存する旨が治験実施計画書に明記されているとのことですので、日誌原本を治験依頼者が回収する理由、治験実施計画書の改訂の必要性を考慮しながら、日誌原本提出の必要性を治験依頼者と協議されてはいかがでしょうか。

なお、日誌原本を治験依頼者が回収するのであれば、当該日誌に被験者を特定できる情報が記載されないよう留意する必要があります。

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【上記の要約&その他の背景】

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●患者日誌の取り扱い(どちらが原本を保存するのか等)は事前にプロトコルに規定しておく。

●患者日誌を施設が保存するのか、治験依頼者側が保存するのか、はケースバイケース。

●患者日誌を治験依頼者が保存する場合、プライバーシー保護のため患者の氏名等は使わない。(場合によってはマスキング等する。)



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