今週はビジネスの基本、『交渉力』をつける、をテーマに話を進めます。
●3.基準・・・「公正な解決」を生むための武装方法
パイを膨らませることができたら、次にそれをどう分けるかを考えなければならない。
利益が対立する相手と共同して1つの選択肢を選ぶには、どうしたらいいのだろう?
あなたの顧客は報酬を少なくすませたいが、あなたは当然多く払ってほしい。
この事態をどう解決したらいいのか?
おそらく最もよく見られる光景は、意地の張り合いだろう。
お互いに自分の立場を主張し、相手を押さえつけようとする。
問題は、押さえつけられて嬉しい人などいないということだ。
交渉のうまい人は、選択肢を選びとる過程で、お互いにとって満足のいく公正な解決策を探すようにして、意地の張り合いを避ける。
ここで大きな役割を果たすのが、どちら側の意志からも独立した「公正な基準」だ。
独立した基準は、何が公正な解決なのかを判断するための物差しとなる。
共通の基準とは、たとえば市場価値や平等な待遇、法律、あるいは単に、問題が以前、どう解決されたかという前例などである。
基準のいいところは、一方的にどちらが押さえ込まれるのではなく、お互いに公正と思われることに従えばすむということだ。
あなたの顧客も、ただそれがあなたの言い値だから払うというよりは、市場の相場というような基準のほうが受け入れやすい。
だから、あなたも、交渉でどんな基準を持ち出せるか、前もって考えることだ。
市場の相場や科学的数値、コスト、技術的な基準、前例について、下調べすること。
説得するためには武装が必要なのだ。
●(4)代替手段・・・交渉による合意にかわる最善の代替手段
ほとんどの交渉では、うまくいかなかったときに、初めて代替手段を検討する。
これは古典的な誤りである。
自分がとれる代替手段を知らなければ、自分の利益を満たせるかどうかがわからないこともあるのだから。
交渉の目的は、必ずしも合意に達することではない。
合意はあくまでも最終目的に至るための手段にすぎない。
その最終目的とは、あなたの利益を(望みを)満たすことである。
交渉の目的は、あなたの利益(望み)を満たすために、合意を得た方がいいか、それとも「交渉による合意にかわる最善の代替手段」をとったほうがいいか検討すること、つまり「最良の選択」をすることなのだ。
あなたの「最良の選択」は、他人の合意を得なくとも自分の利益を満たすことのできる、最善のやり方である。
もし、あなたがセールスマンと交渉しているなら、あなたの「最良の選択」は店の支配人と話すことかもしれないし、それでうまくいかなければ、別の店へ行くことかもしれない。
モニターがCRFの作成を治験分担医師と交渉している場合、「最良の選択」は治験責任医師と話すことかもしれない。
あるいはCRCと交渉することが「最善の選択」かもしれない。
上司が部下と仕事の交渉をしている場合、「最良の選択」は「できる部下」に仕事を回すことかもしれないし、指示に従わない部下を首にすることかもしれない。
ふつう、代替手段に訴えると、あなたもあなたの対人関係もそれなりの犠牲を払わなければならない。
だからこそ、あなたは、より良い解決を求めてわざわざ交渉するわけだ。
「最良の選択」は、交渉力の決め手である。
あなたの強さは、相手よりも身体が大きいとか、力があるとか、年長だとか、金持ちだとかというよりも、どれだけ良い「最良の選択」をもっているかで決まる。
実行可能な代替手段を持っていれば、あなたは交渉で優位に立つことができる。
良い「最良の選択」をもっていれば、それだけ強いということなのだ。
1)あなたの「最良の選択」を認識せよ
あなたの「最良の選択」は、到達可能な合意を評価するための物差しとなる。
あなたの「最良の選択」を認識するには、次の3種類の代替手段を考えなければならない。
(1)あなたの利益追求のために、自分だけで何ができるかを考える。
一番てっとり早い代替手段は、たとえばあなたが買い手なら別の売り手を、売り手なら別の買い手を探すことだ。
(2)相手方にあなたの利益を尊重してもらうために、直接、どんな働きかけができるかを考える。たとえば「ストライキ」や「宣戦布告」など。
(3)あなたの利益のために、どうやって第三者を引きいれたらいいかを考える。
「第三者」による代替手段とは、たとえば「調停」や「裁判」に頼ることだ。
2)あなたの「最良の選択」をパワーアップせよ
優れた「最良の選択」はふつう、もとから存在しているのではない。
たいてい自分で育ててやらなくてはならないものだ。
もし、あなたの「最良の選択」があまり強くないようなら、それを強化する手立てを講じなければならない。
たとえば、あなたの「最良の選択」を、同じ社内で別の仕事を見つけることだと考えて、そこで満足してはならない。
労をいとわず、具体的に仕事の申し出を得るところまでいく必要がある。
あなたが家を売ろうとしているなら、一人の買い手が熱意を見せているからといって、そこで家を公開するのをやめてはならない。
買い手の候補を探し続ける必要がある。
治験に熱心な治験責任医師がひとりいるからといって、そこで満足してはいけない。
さらにもっと治験に熱心な治験責任医師を探しておくべきだ。
3)交渉すべきかどうかを判断せよ
さて、あなたの「最良の選択」がはっきりしたなら、こう自問してみなくてはいけない。
「そもそも交渉する必要があるのか?」
4)相手の「最良の選択」を認識せよ
相手方の「最良の選択」を知ることは、あなた自身の「最良の選択」を知ることと同じように、とても重要である。
それによって、あなたのチャレンジすべきことがわかるのだ。
つまり、あなたは、相手の持っている最善の代替手段の上をいく合意を考えればいいのだ。
それによって、相手の代替手段を過小評価したり過大評価したりという二重の過ちが避けられる。
あなたの「最良の選択」は弱いかもしれないが、相手の「最良の選択」も弱いかもしれない。
セールスマンの多くは、放っておけば顧客はすぐに競争相手に横取りされてしまうものだと考えている。
しかし、それは、顧客にとっても取引き先を変えることにはコストがかかるということを見落としている。
顧客の「最良の選択」を客観的にとらえれば、困難な交渉にも、もっと自信をもって臨めるようになるだろう。
相手の「最良の選択」が、強制的な手段に出ることであれば、あなたの側も前もって対抗措置を用意すればいい。
どうしたら相手方の強制手段によって打撃を受けずにすむかを考えることだ。
明日へ続く
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