2012年11月15日

治験における「愛情」と「親ばか」

モニターになって、担当する治験薬が決まったら、その治験薬に「愛情」を持ったほうがいい。

そのほうが仕事のやりがいが5倍は違う。


製薬会社だと、その治験薬のリード化合物の合成から、スクリーニングも自分でやって、さらに、非臨床試験も担当し、そのまま、その化合物の臨床試験を担当する人もいる。

こうなると、その化合物はまるで自分の子どものようだよね。

まぁ、こういう例は稀だけど。



モニターは、治験薬に愛情を持って、「この治験薬を何が何でも、世に出したい!」と強く思うぐらいが必要だ。

そうやって「メバロチン」も「アリセプト」も「リピトール」も世に出てきたのだ。(ほかの様々なブロックバスターも。)

その新薬の開発の裏には必ず「情熱にあふれた人」がいて、その人の「治験薬に対する愛情」無くして、この新薬は世に出なかったんじゃないか、と思う。

少なくとも世の中に出るのが5年は遅かっただろうね。


それにね、治験薬に愛情を持っていないと、とてもじゃないけれど、やってられない、ということもあるんだよね。

たとえば「治験責任医師にプロトコルを投げつけられた」なんていう目にあったりします。(極々、まれだけどさ。)

CRCの立場で言うと(想像するに)、治験依頼者からとても理不尽なことを言われて、大変な目にあった、とかね。

そういう場合は逆に「ビジネスとして割り切る」という逃げ方もあるけれど。


治験のデータの固定日が近くなると、モニターはもう死に物狂いでCRFのSDVをやり、CRFを回収し、さらにDMからのクエリーに対して必死にフィードバックのために施設へ出張しまくる。

そんな時、治験薬に愛情がないと、くじける。泣きそうになる。会社を辞めたくなる。


モニターに限らず、仕事に愛情を持つ、ということは、仕事を長続きさせる基本だと思うな。

少なくとも僕は愛情を持って、会社で研修をやっているし、やっぱり愛情を持って、自宅でこのブログを書いている。

だから、長続きしているんだと僕自身は思っている。


「親ばか」という言葉があるでしょ?

はたから見たら、なんて、親ばかなんだろう、と思うことあるよね。

でもね、3人の子どもを育てた僕の経験から言うと、「親ばか」にでもならないと、とてもじゃないけれど、子どもなんて育てられない。(とっても大変だから。)

これもまた、持続させるためには愛情が基本だという証拠なのだ。


あなたも治験薬に対して「親ばか」になろう。




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2012年11月14日

治験における「MBO」

民間企業で働いていると「MBO」というものとつきあう必要があることが多い。(もちろん、採用していない会社も多いけれど。)

「MBO」とはManagement by Objectives(目標管理制度)だ。

僕も何十年も、毎年、年度の初めに「MBO」のシートを作る。

例えば、「2013年度は、中堅クラスのモニターに対して、2か月に1度、研修を実施する。」なんていう目標を立てる。

で、2013年度の最後に、「その目標は達成できましたか?」ということを自分なりに「MBOシート」に記載することになる。

たとえば、「この1年で6回の研修を行う予定だったが、うんちゃらという理由で4回の実施にとどまった。達成率は70%である」とかね。

そういう項目を5個から、多いと10個ぐらいMBOシートに書く。

そのシートに書かれた「目標」と「達成率」をもとにボーナスの額や来年の年棒が決まる、というわけだ。


このMBO方式を採用している場合、危惧されることは「達成しやすい目標」を設定してしまわないか、ということ。

例えば、あるモニターは「本当は6月までにCRFを50%以上、回収する必要があるけれど、結構、大変そうだから、30%以上、ということにしょうっと」とかね。

こういうことを防ぐために、MBOシートを書いたら、必ず、上司とそれを見ながら面談する。

すると、上司から「30%って、低くね? 最低、50%だろ? さらに、それをちょっと背伸びして55%以上にしないと」などと言われる。

ここから「駆け引き」が始まるんだけれどね。



自分を成長させるための目標を作るには、上に書いたように「ちょっと背伸びして」というの大事。

この「ちょっと背伸びした目標を立てる」というのを専門用語で「ストレッチな目標を立てる」という。

遠大な目標を立てると(僕は、この傾向にあり、自分で自分の首を絞めている)、とても目標を達成できそうもないので、モチベーションが下がる。

でも、ちょっと頑張れば、達成できるかも、と思える目標を立てたとき、人は頑張って、成長する。


もし、成長したい、と思うのならば、ストレッチな目標を立てよう!




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2012年11月13日

治験におけるリーダーの「重要性」と「たいへんだよね」と「真のリーダーとは」

CRCの方々に関しては僕はよく分からないので、今日はモニターのリーダーの話です。

モニターは基本、「一匹狼」です。

あるいは「一人店長」です。

つまり、モニターは自分が担当している3施設とか10施設の治験の責任を持って行動しています。

自分の担当施設の治験の手続きから、治験の進捗管理、モニタリング、SDV、など等を全て、ひとりで「責任」を持って遂行します。

そういうモニターを3人とか10人などをマネジメントするのがリーダーです。


臨床開発のモニターをマネジメントするリーダーには会社から「指示」が出ます。

「2012年12月までにフェーズ2を終了させること」のように。

すると、リーダーは計画を立てます。

12月までに300例を集めるのだから、6月までに150例。ということは、毎月25例、と。計算、合ってる?

で、施設の数は30。

ベテランモニターの山田君には10施設。

中堅モニターの田中さんには5施設。

残りの15施設は5人の若手モニター5人で、3施設ずつだね。などと。


この7人のモニターを束ねているリーダー権田和良は、こういう計画を立て、それをメンバーに伝えます。

すると、ベテランモニターの山田君からは「おれ、多すぎね?」とか「え、私には5施設は無理です」と田中さんに泣かれたり、でも、「はい!頑張ります!」と若手は言ってくれるし。

こういう諸々の文句は序の口。

本当に臨床開発のリーダーの大変さは、治験が動き始めてから。



まず、症例が計画的に「絶対に」集まらない。

毎月、月末に「予定」と「実績」を確認する。

その「差」をどう埋めるかを、各モニターと相談する。

これが、大変なのだ。

最初に書いたけれど、モニターは「1匹狼」。

この1匹狼の自尊心とプライドを傷づけないように、「使命」と「目標」を伝え、達成しなければならない。


モニターチームのリーダーはオーケストラの指揮者のようだ。

それぞれの楽器の演奏方法は違うけれど、「1匹狼」の各演奏者は、バイオリンも、トランペットも、ホルンもひとつの同じ曲(治験)を弾く。

一流の指揮者を一流の指揮者たらしめているのは、最後列のもっとも役割の小さな楽器(トライアングルのような)をして、オーケストラ全体のできを素晴らしいものにするよう演奏させる能力にある。


リーダーにカリスマ性はいらない。

リーダーの本質は「行動」にある。

リーダーはチームの「使命」(新薬を世の中に出す)を考え抜き、それを目に見える形で「目標」(6月までに150例登録)にする。

優れたリーダーは部下の失敗に最終的な責任を持ち、メンバーを誉め、激励し、前進させ、誇りに思う。


リーダーはメンバーの「ちから」と「ビジョン」を創造する。

そして、最後に、「信頼」だ。

メンバーから信頼されない限り、目標を達成することはできない。

信頼関係は一夜にして成らないが、信頼を失うのは一瞬だ。

そのためにも、リーダーは「真摯」に仕事とメンバーと向き合う必要がある。


治験が成功するも失敗するもリーダーである「あなた」にかかっている。


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2012年11月10日

治験における「倫理」(今さらながら)

今週の話題に移る前にお知らせ。

僕(ホーライ)が悪乗りしている写真を見ることができます。
   ↓
「第13回CRCと臨床試験を考える会議」

上記のサイトの右下に写真がスライドショーで出ています。

そこをクリック!

すると、僕の写真もありまする。(ホーライ社長のサイン入り)

我が家の次女の「ティガー」のかぶりものを借りて写しましたです。

写真に写っている皆さん、楽しそうで元気がもらえますよ。


もうひとつ、お知らせ。

「最新の医療ニュース」を下記のブログで、毎日、配信しています。

これは「日刊GCPメルマガ」に載せている情報です。
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こちらも、毎日、更新しています。(上記のブログと同一の内容です。)
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さて、今週のテーマに入ります。

今週のテーマは以下の5つです。


(1)治験における「倫理」(今さらながら)

(2)治験におけるリーダーの「重要性」と「たいへんだよね」と「真のリーダーとは」

(3)治験における「MBO」と「ストレッチな目標」

(4)治験における「愛情」と「親ばか」

(5)治験における「醍醐味」と「嬉しかったこと」



今日は「治験における倫理」です。


まず、最初に言っておきますが、治験に限らず、人体に医療(治験や臨床試験を含めて)が介入する時、第一に「科学的」であることが「倫理的」です。

科学的でないものは倫理的ではありません。

非科学的なものは非倫理的です。

科学的に何の根拠もない処置を人体に施すことは、それだけで非倫理的です。

じゃ、科学的って何? となると、治験では非臨床試験の結果による治験を実施することの妥当性であり、治験におけるプロトコルの設計です。


ということで、治験における倫理を考えてみましょう。

「え、治験の倫理、今さら?」 という感じですが、今さらでも、初めてでも治験に倫理は欠かせませんのでやります。


まず、手掛かりとしてヘルシンキ宣言を見ます。

治験の原則はヘルシンキ宣言を守ることですからね。

ヘルシンキ宣言の最新版は「日本医師会」のサイトにあります。
    ↓
http://www.med.or.jp/wma/helsinki08_j.html


そのヘルシンキ宣言の中には例えば、次のような条文があります。


■■■■■■■■

A 序文

6 人間を対象とする医学研究においては、個々の研究被験者の福祉が他のすべての利益よりも優先されなければならない。

■■■■■■■■



「被験者の福祉が他のすべての利益よりも優先されなければならない。」とありますが、「福祉」って何? という感じですね。

ちょっと(と言うか、かなり)抽象的で分かりにくい。

なので、もう少し具体的な所を見ていきます。

科学的でなければ非倫理的であるという点が、まず次のように書かれています。



■■■■■■■■

B. すべての医学研究のための諸原則

12 人間を対象とする医学研究は、科学的文献の十分な知識、関連性のある他の情報源および十分な実験、ならびに適切な場合には動物実験に基づき、一般的に受け入れられた科学的原則に従わなければならない。

研究に使用される動物の福祉は尊重されなければならない。

■■■■■■■■


モニターは、だから、自分が担当する治験薬の動物実験(非臨床試験)のデータをしっかりと理解し、科学的・医学的にその治験薬を開発する・人体に使用することが許されているのだ、といことを納得しましょう。

ただし、動物実験(非臨床試験)の結果を過信してはいけません。

思わぬ副作用が治験で初めて出ることもありますし、有効性がそもそも人間には無い、ということは「ザラ」ですからね。


さて、次はプロトコルです。


■■■■■■■■

B. すべての医学研究のための諸原則

14 人間を対象とする各研究の計画と作業内容は、研究計画書の中に明示されていなければならない。

研究計画書は、関連する倫理的配慮に関する言明を含み、また本宣言の原則にどのように対応しているかを示すべきである。

■■■■■■■■


上記に出てくる「研究計画書」が、治験で言う「プロトコル(治験実施計画書)」ですね。

「無計画」であることは「非倫理的」。

だから、治験を倫理的に実施するために、事前にその計画と作業内容が書かれている「プロトコル」を作成するわけです。



ちなみに、話は飛びますが、「Clinical Development Plan」(CDP)というものを外資系の製薬会社は作ることが多い。

最近は内資系の製薬会社でも作るところが増えてきました。

これは、「臨床開発計画」とでも訳すのかな。

会社によって呼び方は色々ですが、フェーズ1から申請までの開発計画の概略と「次のステップに進むかどうか( go or no go decision)」の基準を予め決めておきます。

たとえば、「フェーズ3に進むためにはフェーズ2で進行性乳がんで奏効率80%以上を示すこと」とかね。


倫理の話に戻します。

「プロトコル」は治験を進めるための手順書であるだけではなく、「プロトコル」の存在そのものが治験の「倫理性」を保証しているわけです。

しかし、科学的に作られたプロトコルであっても、それが守られなければ、非倫理的になります。


大事に作りましょう、プロトコル。

そして、しっかりと理解し守りましょう、プロトコル。です。


次に大事なことがIRB(治験審査委員会)。

ヘルシンキ宣言には次のように記載されています。


■■■■■■■■

B. すべての医学研究のための諸原則

15 研究計画書は、検討、意見、指導および承認を得るため、研究開始前に研究倫理委員会に提出されなければならない。

(中略)

委員会の審議と承認を得ずに計画書を変更することはできない。

■■■■■■■■


治験のプロトコルは治験の実施に先立って、IRBで承認される必要があります。

(本当に、今さらですが。)

プロトコルが科学的かどうか、倫理的かどうかを、IRBが最終判断するわけです。

だから、もしIRBが適切に機能していないと、その病院における治験は非倫理的になります。

というか、そういうIRBの存在そのものが非倫理的です。

IRBの重要性は強調されすぎることはありません。

そのためにも下記のようなことは重要です。
   ↓
臨床試験受託事業協会・日本SMO協会主催
「IRBと倫理審査の審議の要点 〜審議の焦点とその問題点〜」開催のご案内
http://jasmo.org/ja/other/news/html/121102.html


さて、ここまでをまとめると。

●プロトコルを作成すること。

●プロトコルが事前にIRBで審議されること。

これらが治験の倫理性を正当化するわけです。


そして、さらに、もっと重要なことがあります。

そうです。「同意」です。


■■■■■■■■

B. すべての医学研究のための諸原則

22 判断能力のある個人による、医学研究への被験者としての参加は、自発的なものでなければならない。

家族または地域社会のリーダーに打診することが適切な場合もあるが、判断能力のある個人を、本人の自由な承諾なしに、研究へ登録してはならない。



24 判断能力のある人間を対象とする医学研究において、それぞれの被験者候補は、目的、方法、資金源、起こりうる利益相反、研究者の関連組織との関わり、研究によって期待される利益と起こりうるリスク、ならびに研究に伴いうる不快な状態、その他研究に関するすべての側面について、十分に説明されなければならない。

被験者候補は、いつでも不利益を受けることなしに、研究参加を拒否するか、または参加の同意を撤回する権利のあることを知らされなければならない。

被験者候補ごとにどのような情報を必要としているかとその情報の伝達方法についても特別な配慮が必要である。

被験者候補がその情報を理解したことを確認したうえで、医師または他の適切な有資格者は、被験者候補の自由意思によるインフォームド・コンセントを、望ましくは文書で求めなければならない。

同意が書面で表明されない場合、その文書によらない同意は、正式な文書に記録され、証人によって証明されるべきである。

■■■■■■■■



上述のごとく「被験者候補の自由意思によるインフォームド・コンセントを文書で取得する」こと。

どんなに科学的なデータがあって、立派なプロトコルがあり、それがIRBで承認されたからと言って、最後の最後に、「インフォームド・コンセント」無しに患者を治験に参加させたら、それだけで、非倫理的です。非人道的です。

本当に、本当に、今さらなのですが、大事なことは繰り返し、繰り返し、再認識する必要があります。
そして、言い続けなければなりません。



ヘルシンキ宣言の中には、他にも「プラセボを使うことの倫理性」とか「個人情報の守秘」等、重要なことがたくさん、書いてあるので、1年に1度は全てを読み直しましょう。
    ↓
http://www.med.or.jp/wma/helsinki08_j.html

今日のまとめです。

治験の倫理性を正当化するのは、最低限、次の3点です。(あくまでも最低限ね。)


●プロトコルを作成すること。

●プロトコルが事前にIRBで審議されること。

●インフォームド・コンセントを文書で取得すること。


治験における倫理性は治験に関わる全ての人にかかっています。


本日の最後に、先日開催された●第12回CRCと臨床試験のあり方を考える会議2012 会議録の中の●いのちの大切さのために医学は何をしてきたか、その反省という日野原先生の公演記録を読んでみましょう。

考えさせられます。



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2012年11月09日

(5)自分で考える。自立する。自分の判断に基づいて行動する(釜石の奇蹟)

自分で考え、自立しているモニター、CRCを目指そう。

不則な事態が発生しても、冷静に判断できるようになろう。

上司が言うから、治験依頼者が言うから、当局が言うから、ではない。

自分で考えて、これが正しいと思ったことを実行に移すのだ。



2011年3月11日の大震災で「釜石の奇蹟」と呼ばれているものがある。

地震が来た時(その時はもう学校も終わり、児童は市内のいろんな所にいた)、津波が来ると放送される前から、釜石小学校の全児童は自主的に高台に走った。

教師の指示がなくても。

なにしろ、もう放課後なので、児童は市内のいたる所で遊んでいたのだから、教師の指示なんて期待できないし、指示しようにもしようがない、という状況だった。

そういう状況にも関わらず、低学年の児童の手を引いたり、年寄りの手をひいて「自主的に」走った。

中には「逃げない大人」に「逃げよう」と言って、大人に忠告する児童もいたらしい。

「いい大人」は「油断と経験」が邪魔をした。


これは普段から釜石小学校では「自分の命は自分で守る。そのためには自分で考えて、実行に移す」という教育が普段から徹底的に行われていたからだ、ということが今では分かっている。


釜石小学校の校歌がある。


***************

釜石小学校校歌

【作詞】井上 ひさし
【作曲】宇野 誠一郎

いきいき生きる いきいき生きる
ひとりで立って まっすぐ生きる
困ったときは 目をあげて
星を目あてに まっすぐ生きる
息あるうちは いきいき生きる

はっきり話す はっきり話す
びくびくせずに はっきり話す
困ったときは あわてずに
人間について よく考える
考えたなら はっきり話す

しっかりつかむ しっかりつかむ
まことの知恵を しっかりつかむ
困ったときは 手を出して
ともだちの手を しっかりつかむ
手と手をつないで しっかり生きる

****************



「いきいき生きる。ひとりで立ってまっすぐ生きる。息あるうちはいきいき生きる」。

作家・井上ひさしが作詞した釜石小学校の校歌だ。

自分自身で考え行動し、力強く生きる教育理念が込められている。

この教育が徹底していたからこそ、震災の時に子どもは自分で判断し、釜石小学校の全員が津波から逃げることができたのだ。


小学生に出来て、僕らに出来ない理由はある?

あるとすれば、それはただの「言い訳」だ。




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