2012年11月22日

ICH-GCPとJ-GCPの違い&ホーライの1年、1ヶ月、1日


今日はちょっとプライベートなニュースをひとつ。
    ↓
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■■東京薬科大学ハルモニア管弦楽団定演のお知らせ■■

東第37回定期演奏会があります!

■■■ 日時:2012年11月25日(日)

■■■ 会場:パルテノン多摩 大ホール

■■■ 開場:13時30分  開演:14時

■■■ 曲目:

・モーツァルト:「フィガロの結婚」序曲
・シューベルト:「ロザムンデ」序曲
・チャイコフスキー:交響曲第4番


■■■ 指揮:田部井 剛

■■■ 入場500円・全席自由


楽しくて、元気が出るよ!

クラシック音楽のコンサートは初めてでも、気楽に是非、どうぞ!

あなたのクラシック音楽の印象を一新するかも。

今回の演奏はかなり期待できると思う。

ちなみに、我が家の次女は「ホルン」を吹いている。
    ↓
http://harmonet.web.fc2.com/top.html

その昔、僕はこのオーケストラでトランペットをl吹いていて、
妻はバイオリンを弾いていた。

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さらにもうひとつ、おまけのお知らせ。

今では伝説になっている昔の「「ホーライ製薬」(サイト版)」にあった「二日酔いの薬の治験のプロトコル」と「その英語版」を復活させました。

「ホーライ製薬」(サイト版)」のトップページからリンクを貼ってあります。

この「二日酔いのプロトコル」はゲストブックにある日、ホーライ製薬社員の「経理担当のルーシー」さんが「二日酔いによく効く薬を開発してよ」とひと言書いたことから始まった。

そしたら、ホーライ製薬の社員の人が、すぐに「プロトコルの概略」を下記のようにゲストブックに書いてください。
    ↓
    ↓
    ↓
「治験薬の概略」

メカニズムはアセトアルデヒド脱水酵素(ALDH)の活性化です。

ALDHにはアセトアルデヒドが低濃度の時に働く「ALDH2」と、高濃度にならないと働かない「ALDH1」があります。

日本人の約半数は、生まれつき「ALDH2」の活性が弱いか欠けています。

このタイプはアルコール分解産物である有害なアセトアルデヒドを速やかに分解できないため、少量のアルコールでも悪酔いしやすい、お酒に「弱い」体質です。

そこで、この「ALDH2」を活性化させるという仕掛けになっております。

「モノ」は、たぶん、タンパク製剤と低分子化合物の中間あたりがよろしいかと。で、経口投与です。

なお、一部に「恋人の甘い声を純水に聞かせてあげる。その独特の波動をもった水もしくは氷」が原料という噂も有る。

「製造上の注意」

・古女房の声は使用不可


「本治験薬の開発意義」

・ある意味オーダーメイド医療


「本治験薬の安定性」

・恋人関係に依存する

*****************


こう投稿されたら、また別の人(当然、ホーライ製薬の社員の方)が、すぐにゲストブックに次の項目を書いてくれた。
    ↓
    ↓
    ↓

「選択基準」(登録できる条件)

1.直近、2ヶ月で最低3回は二日酔いで午前半休取った人

2.同意取得時、満20歳以上であること(設定根拠:法律上、飲酒は20歳からなので)

3.肝機能を示す臨床検査値が正常範囲上限の2倍以内であること

4.三度の飯より、酒が好きな人


「除外基準」(登録できない人の条件)

1.同意説明文書を説明する時に、しらふでいられない人

2.治験中に避妊をやりそうもない人

3.下戸


「対象疾患」

頭痛、悪心・嘔吐、耳鳴りを伴う二日酔い

ただし、以下の全てを満たすこと
1.飲酒後6時間以上経過後の、血中アルコール濃度が
  0.03%以上、あるいは呼気中のアルコール濃度が
  0.15mg/L以上

2.会社を休みたくなるような頭痛

3.上司の顔を見たくないような悪心、
  または想像しただけでの嘔吐

4.業務上の電話には出られないような耳鳴り

*******************************

すると、またまた、すぐにまた別の人(当然、ホーライ製薬の社員)が、次の設定をゲストブックに書いてくれた。

    ↓
    ↓
    ↓

「主要評価項目」(薬が効いているかどうかの判断材料です)

1.治験期間内(2ヶ月)で嘘を言って午前半休を取った回数

2.悪心頻度(評価基準は以下のとおり)

 (1)上司の顔を見ると毎回悪心がある
 (2)上司の顔を見ると2回に1回は悪心がある
 (3)上司の顔を見ると5回に1回は悪心がある
 (4)上司の顔を見ると通常でも悪心がある
  

「副次評価項目」(直接的ではないけれど、薬の効果を判断する材料)

1.宴会回数(評価基準は以下のとおり)

 (1)週に1回が3回に増えた
 (2)週に1回が2回に増えた
 (3)毎日行っている

2.業務上の電話に出る頻度(評価基準は以下のとおり)

 (1)5回かかってきた電話、全てに出ない
 (2)5回のうち2回は出る
 (3)5回のうち3回以上出る
 (4)電話に出ても「担当部署に回します」と言って、全て総務に回す。


判定基準

「日本臨床二日酔い学会」が提唱している「飲酒度数」「二日酔い度」のかけあわせ評価(Geroppa Ver.2.0)

・「飲酒度基準」:アルコール度数×飲酒量×酒類係数
・「酒類係数」:蒸留酒(焼酎、ウイスキー等)=1、醸造酒(日本酒、ワイン、ビール等)=1.3
・「二日酔い度」は上記の評価項目をスコア化したもの
(ただし、民族差(ALDH2活性)が大きすぎるためICH-6大阪では、日本とロシアが対立してStep2化が見送られた経緯あり)


併用禁止薬

・「迎え酒」

*******************************


面白いので、これらをまとめて、僕が「「ホーライ製薬」(サイト版)」に「「二日酔いの薬」のプロトコール」としてアップした。

すると、すると!

別に頼んでもいないのに、やはりホーライ製薬の社員の人が「国際共同治験」に備えて「二日酔いのプロトコル(英語版)」をゲストブックに投稿してくれた。(もちろん、ボランティアで、僕は一切、金銭を払っていない。)

この頃は、無茶苦茶、楽しかった!
これって、今、流行の「オープンイノベーション」?^^


でも、こんな「おちゃめな」ことばかり、ゲストブックを使って遊んでいたわけではなく、たとえば「男性が治験に参加する場合でも避妊するか?」とか「治験の結果を被験者に知らせるべきか?」とか「モニターも業界で認定試験を行うべきかどうか」という討論もしていた。

そんなこんなをやっていた、「「ホーライ製薬」(サイト版)」なのでした。



やっと、本当に、やっと、本題に入ります。

ほとんど、多分、このブログをご覧になっている99.95%以上の人が興味が無いと思うのですが、普段、モニターを中心に人材開発・教育担当をやっているホーライがどう日々を過ごしているかを書きます。



まず、1年間という単位で言うと、大きく4月〜5月とそれ以外の2つに分かれる。

4月〜5月は、新入社員の導入研修を集中的にやっている。

鹿児島や大阪のホテルなどに缶詰めになって研修をやる。

だから、この2か月は僕はほとんど東京の自宅にいない。(僕の会社はCROなので他社から導入研修を受託することもあり、そんな時は僕だけ離脱して、その他社の導入研修に講師として行く。でも、そこでもホテル暮らし、ということが多い。)



では、新卒の導入研修ではどんなことをやっているか?

そもそも、新薬の開発手順とはどんな方法か?に始まり、医薬品をとりまく法律とか、もちろんGCPとは? SOPとは? みたいなことを2か月で「ドバッ」と詰め込むのだ。

座学あり、口頭試問あり、筆記試験あり、ロールプレイングあり、グループワークあり、笑いあり、泣きあり、なのだ。

この導入研修の一発目に、昨日書いた「患者が怠けてもモニターは死なないけれど、モニターが怠けると患者は死にます。あなた達は、そういう世界に入ったということをまず認識するように。」を言うわけです。(他社でも言っている。)


この2か月は、100%、この導入研修にかかりきりかと言うと、実は30%ぐらいは6月〜3月の継続研修のネタを考えたり、資料を作ったりしている。(僕の場合はね。)

だから、僕は2ヶ月の宿泊パックの中に十数冊のビジネス書を入れて持参する。

ということで、4月〜5月は新入社員の導入研修をやり、残りの6月〜3月は新人以外の人たち用の「継続研修」をやっている。



どの程度の割合で継続研修をやっているかというと、例えば、今月(11月)の予定はこうなっている。

まず、毎週、水曜日の午後は「ビジネス英語入門」を1時間やっている。

あとは手帳を見ながら書くと・・・・・・

11月2日(金曜日)にはリーダークラスに「モチベーションマネジメント」という研修をやった。

11月5日(月曜日)には、別の講師がやった「GCP研修」を受講。

11月7日(水曜日)に、入社2年目クラスの社員に「新薬臨床評価ガイドライン」(今月は「抗悪性腫瘍剤」のガイドライン)研修を実施。その後「英語研修」。

11月9日(金曜日)の午後に、入社1年目の社員(つまり、今年の新入社員)に、「治験薬概要書の読み方」研修を実施。

11月12日(月曜日)には臨床開発部との会議。(うちの社員はここが弱いから、こんな研修をやって欲しいとか、来年の導入研修には今年の反省を活かして、ぜひ、こんな研修をやってほしい、とか)

11月13日(火曜日)は、入社3年目の社員(モニターとQC)に、「プロトコルの概略作成」研修を実施。

11月14日(水曜日)なので「英語研修」

11月15日(木曜日)はグループ会議。(開発部から、こんな要求があったけれど、どうする?とか)

11月16日(金曜日)、つまり、今日は、中途で異動してきたモニター候補者に「プロトコル説明」のロールプレイング研修を実施。

11月20日(火曜日)は他社のモニターとQCの方を対象に研修を実施。

11月21日(水曜日)は異動者のモニター候補に対して、「モニター認定試験」を実施。その後、「ビジネス英語」

11月22日(木曜日)には、ほかの講師がやる研修を受講。

11月27日(火曜日)も、ほかの講師がやる研修を受講。

11月28日(水曜日)は「ビジネス英語」

11月29日(木曜日)はグループ会議(来年の導入研修はどうする? 継続研修の年間計画は? とか)

11月30日(金曜日)はリーダークラスに「部下の行動をどうマネジメントするか」研修を実施。

・・・・・・・と言う感じです。


だいたい、毎月、こんなペースで研修をやっています。

こんなペースの中で、例えば急に「国際共同治験の基本的な考え方」なんていうのが通知で出ると、その研修を上のスケジュールに突っ込む。


今年は特に「入社から3年目」に力を入れて、3年でスーパーモニターを育成する、というコンセプトで研修を組んでいる。

だから、毎月、必ず、1年目、2年目、3年目に対する研修がある。

プラスして、リーダー育成研修と全体研修をやる。



では、1日はどのように過ごしているか?

朝、会社に着くと、みんなもやっていると思うけれど、まずメールのチェックをやる。

その中で至急返信しなければいけないメールだけ返信して、そこでメールのチェックはいったん中断。

次に僕は「メルマガ」の作成にとりかかる。

僕は毎日、2種類のメルマガを社内に配信している。

次のものだ。

月曜日・・・・「医学英語」と「ビジネス英語」

火曜日・・・・「英語でモニタリング報告書を書こう!」と「ビジネス英語」

水曜日・・・・「1週間の業界ニュース」と「ビジネス英語」

木曜日・・・・「英会話のための英文法」と「英語による英語文献」

金曜日・・・・「GCPメルマガ」と「ビジネス英語」



これらのメルマガを午前中のだいたい1時間かけて作っている。

メルマガ作成が終了したら、僕に来ているメールのチェックの再開。

これが大体、毎日の午前中だ。


午後は研修があれば研修を実施し、研修が無い場合は、研修のアイデアを練ったり、資料を作ったり、Eラーニングを作ったりしている。

そして、バカにできないのが、研修のために会議室を予約すること。

会議室が少ないから、会議室の奪い合いだ。

研修の予定が決まったら、その案内メールも配信する。

その合間を縫って、モニターやQCからの様々な質問に答えたりしている(例えば、病院の理事長ってIRBの委員長になれますか?とか)


お昼ご飯の時間は、自分の机でパンを食べ、野菜ジュースを飲みながら、仕事をしている。

社内滞在時間を極力、少なくしたいので、とにかく集中して、これ以上ないぐらい集中して仕事をしている。

午後5時になったら、何があっても、PCのフタを閉めて、ガバッと立ち上がり「じゃ、失礼!」と帰る。


通勤時間はDoor to Doorで1時間45分。

朝の通勤電車は座れないのでiPodで英語か音楽を聴いている。

帰りの電車は座れるので音楽を聴きながらビジネス本かミステリィを読んでいる。

帰宅すると食事とお風呂に入るわけだけど、その合間を縫って次のことをやる。

日刊「モニターとCRCのためのGCPメルマガ」の作成、予約投稿の登録(これが結構、時間がかかる。)

「モニターとCRCのためのGCPメルマガ」のブログの登録

人生の達人になる方法 by ホーライの無尽蔵の投稿(上記のメルマガの登録と同一なのだが、テクニカル的な理由でふたつのブログに登録している。)

最新の医療ニュースのまとめ(1)ブログ版の投稿

最新の医療ニュースのまとめ(2)サイト版の作成

時間的に余裕があればfacebookにも「よもやま話」を投稿

塚田 淳彦 (ホーライ) facebook

あとは、家事手伝いと英語の勉強をして、ミステリィを読みながら就寝。(10時頃)

金曜日の夜から土曜日にかけては、この「ホーライ製薬(ブログ版)」のネタ作成と●「医薬品ができるまで」のネタを作成し、ブログに予約登録。

それと、週刊「モニターとCRCのためのGCPメルマガ」の作成と発行。

日曜日は、日刊「モニターとCRCのためのGCPメルマガ」の「ニュース」以外のところを作成しておく。

こういう週末の過ごし方をかれこれ10年以上、続けている。

これが極めて平凡な会社員であるホーライの1年、1ヶ月、1日の過ごし方でした。

参考になった?

ならないよね・・・・・・。

●●● 今週のおまけ ●●●

ICH-GCPとJ-GCPの違い。

ICH GCPと日本のGCPの違いです。

ネット上にも次の資料があります。

●我が国のGCPとICH-GCPの主な相違点
    ↓
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/02/dl/s0228-8u.pdf

ここには例えば次のことが書かれている。

★J-GCPでは、治験依頼者と実施医療機関が契約しなければならないと規定。

★ICH-GCPでは、治験依頼者と治験責任医師又は実施医療機関が契約しなければならないと規定。


●CH-GCPと我が国のGCPの比較とそこから生じる運用上の課題
    ↓
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/02/dl/s0228-8c.pdf

ここには例えば次のことが書かれている。

★ICH-GCPは、依頼者と治験責任医師/治験実施医療機関の間で治験内容に合意し文書を残す。

★J-GCPは、治験実施医療機関の長との契約締結が必須とされている。(GCP第13条)

★ICH-GCPは、治験責任医師/治験実施医療機関がIRBへ審議依頼する。

★J-GCPは、治験実施医療機関の長が審議依頼する。(GCP第30条)


●我が国のGCPとICH-GCPの比較
    ↓
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/02/dl/s0228-8a.pdf

ここには例えば次のことが書かれている。

★GCP省令:治験実施の可否について実施医療機関の長がIRBに意見を聴かなければならないと規定(GCP省令第30条)

★ICH-GCP:治験責任医師又は治験実施医療機関がIRBから承認を得なければならないと規定


●セミナー屋さんが企画しているものもたくさんある。たとえば・・・
   ↓
ICH-GCPとJ-GCPの実務上の違いから見る グローバル治験の国内外の差とSOP作成のポイント
   ↓
http://www.rdsc.co.jp/seminar/110406.html



まぁ、だいたい、同じことが書かれています。

ちなみにICH-GCPの日本語訳はここにある。(日本医師会の治験促進センターのサイトの「ガイドライン」のページ)
   ↓
http://www.jmacct.med.or.jp/plan/files/ICH-GCP.pdf


オリジナルの英語のICH-GCPはこちら。
   ↓
http://www.pmda.go.jp/ich/e/e6r1_97_3_27e.pdf



近々、日本のGCP省令が改訂され、よりICH-GCPに近くなるそうだ。

また、国際共同治験においてはICH-GCPの理解が必須となる。

そうなるとますます日本のGCPとICH-GCPの違いが気になる。


ICH-GCPは次の構成になっている。

ICH-GCP

1.Glossary

2.Principles of ICH-GCP

3.IRB/IEC

4.Investigator

5.Sponsor

6.Clinical Trial Protocol/Protocol Amendment

7.Investigator’s Brochure

8.Essential Documents


で、例えば日本のGCP省令とICH-GCPの定義の違いも微妙にある。

<GCP省令>

定義 第2条 治験責任医師

・実施医療機関において治験に係る業務を統括する医師又は歯科医師


<ICH-GCP>

Glossary 1.34 Investigator

●A person responsible for the conduct of the clinical trial at a trial site.

If a trial is conducted by a team of individuals at a trial site, the investigator is the responsible leader of the team and may be called the principal investigator.


Investigator 4.3 Medical Care of Trial Subjects

●A qualified physician (or dentist, when appropriate), who is an investigator or a sub-investigator for the trial, should be responsible for all trial-related medical (or dental)

となっていて、なんだかICH-GCPのほうは「Investigator」(治験責任医師)は何が何でも医師である必要もないかな、と思われるが、まぁ医師だよね。


ほかに・・・・・・

「原資料」は日本のGCPでは

<GCP省令第2条第10項・運用通知>

被験者に係る診療録、検査ノート、治験薬等の投与記録等の治験の事実経過の再現と評価に必要な記録を指す。
具体的には、症例報告書の元となる文書、データ及び記録(例:病院記録、診療録、検査ノート、メモ、被験者の日記又は評価用チェックリスト、投与記録、・・・記録等)をいうものである。


ICH-GCPでは

Source Document

<Glossary ICH-GCP 1.52>

Original documents, data, and records (e.g., hospital records, clinical and office charts, laboratory notes, memoranda, subjects‘ diaries or evaluation checklists, pharmacy dispensing records, ・・・the clinical trial).

とあり、日本のGCPでは「原資料」は「症例報告書の元となる文書」だが、ICH-GCPでは「Original」が強調されている。


ほかに・・・・・

日本のGCPではIRBの設置者の規定があるが、ICH-GCPにはない。

もちろん、「迅速審査」なんていうものはICH-GCPにはない。

IRBの審議資料に日本のGCPでは「治験の費用負担に関する資料」があるが、ICH-GCPにはない。

また、治験の契約についても日本のGCPでは細かく契約書に記載すべき事項が規定されているが、ICH-GCPにはない。

そもそも、ICH-GCPでは治験の契約では治験依頼者と治験責任医師の間で結ぶことも可能だ。

日本のGCPってさ、「医療機関の長」の出番が多すぎるんだよね。


逆に日本のGCPに無くてICH-GCPでは規定しているのもある。

たとえば・・・

8.2.12 Medical/Laboratory/Technical Procedures/Tests

・certification or
・accreditation or
・established quality control and/or external quality assessment or
・other validation (where required)

このあたりは、前回の運用通知の改訂で必要になったけれど。


あと、国際共同治験でアメリカが入っているとICH-GCPには無いけれど、FDAのガイドラインで必要になるのが、今や有名になった「Financial Disclosure(財務情報の開示)」(FDA CFR 21 Part 54)だね。

2000年の頃、外資系の製薬会社で働いていた時に本国のSOPを日本にも規定するようお達しが本社からあり、この規定を日本の治験責任医師に求めることとなった。

当時は、「え〜〜、そんなの日本の医師は嫌がると思うな。絶対に拒否すると思うな」と思ったものですが、さすがにこれだけ国際共同治験が浸透すると、今ではあまり抵抗なく、治験責任医師もこの規定を受け入れてくれてるようだ。


と、まぁ、ICH-GCPと日本のGCPは微妙に違いがあり、日本のGCPができるだけICH-GCPに近い形になってもらったほうが、国際共同治験がやりやすくなり、それがドラッグラグの解消にもつながる。

さらに、日本は国をあげて、First in human trialを日本の医療機関でできるよう促進していこうとしているし、「臨床研究・治験活性化5か年計画 2012 アクションプラン」でもうたっている。

そのためにも、ICH-GCPとJ-GCP(日本のGCP:GCP省令)の違いを少なくしてほしいものです。


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2012年11月21日

患者が怠けてもモニターは死なないが・・・・・

僕は新人の研修では、いつも、第一声は決まっている。

こうだ。

「患者が怠けてもモニターは死なないけれど、モニターが怠けると患者は死にます。」

この「モニター」のところは、当然、治験責任医師や治験分担医師、CRCでもあてはまる。


ところで、こんな報告がある。

●医療事故は防げるか?
   ↓
http://www.oita-nhs.ac.jp/journal/PDF/2_2/2_2_5.pdf


●『安全と安心の科学』
   ↓
http://www.wound-treatment.jp/next/dokusho094.htm


●なぜミスを犯すのか 医療事故の再発防止策
   ↓
http://www2g.biglobe.ne.jp/aviation/medaccident.html


●医療事故の解決に向けて
   ↓
http://www.nri.co.jp/opinion/chitekishisan/2007/pdf/cs20070406.pdf


ところで、上記の報告書、サイトの内容に共通点があるんだけれど、分かる?

それは「飛行機事故」と「医療事故」の比較を行っているところだ。

何故、そんな共通点があるサイトを選べたのかというと、僕がグーグルを使って「飛行機事故が少ない理由 医療事故」で検索したから。

では、どうして僕は「飛行機事故」とというキーワードを選んだのか?

どうして「飛行機事故」と一緒に医療事故の検索をしたのか?


実は昔、新聞記事か何かで読んだのだけれど、何故、飛行機事故は少ないのに医療事故が多いのかというと、その理由は飛行機ではパイロットが安全点検を怠けるとパイロット自身も死んでしまうけれど、医療事故では医者は怠けても自分自身は死なない。

だから、医師は真剣味が無く、医療事故は多いし、減らない、というような論調だった。

ちょっと強引なロジックだけれど、僕はなるほどな、と思った。

そこから「患者が怠けてもモニターは死なないけれど、モニターが怠けると患者は死にます。」というフレーズを思いついたのだ。

本当は「患者が怠けても医者は死なないけれど、医者が怠けると患者は死にます」というところだけどね。


ちなみに、「患者が怠けても医者は死なないけれど、医者が怠けると患者は死にます」という言葉をそのままグーグルで検索したら、僕のブログが上位3つを占めた。

いかに、僕が繰り返し、この話をしているか、だね。

それだけ、僕がこの論理を重視しているか、というか、ネタに困ると、これを書く、ということが分かる
^^;




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2012年11月20日

製薬会社における「寝耳に水」と「瓢箪から駒」

昨日は製薬会社の合併の悲哀を書きましたが、今日は、まず「寝耳に水」についてです。


製薬業界には面白いビジネス慣習があって、自社で非臨床試験までやったけれど、臨床開発以降の権利は別の会社に売っちゃう、とか、他社の治験薬だけどフェーズ2から我が社でやります、その代わり、フェーズ2が成功したら、何十億円を、フェーズ3が成功したら何百億円をその会社に払います、とかね。

これを「ライセンシング」という。

製薬会社の社内には「ライセンシング部」という部署まであったりする。



こんなことを研究している報告書もある。
   ↓
「ライセンシング成功のカギ  製薬企業の研究開発生産性向上のための打ち手」
   ↓
http://www.bcg.co.jp/documents/file25135.pdf

う〜〜ん、この報告書を出しているのは世界でも有数のコンサルティングファームの「ボストンコンサルティング」だね。

この会社には「リエンジニアリング」の件で1年以上、お世話になったことがある。

一度でも、コンサルティング会社と働いたことがある人は分かると思うが、彼らは信じられないくらいの速さで信じられないくらいの資料を作る。

まるで、作った資料のキロあたりでお金を払ってもらっているかのように。


で、僕が働いていた外資系製薬会社が他社と合併するにあたり開発パイプラインの見直しがあって、昨日まで「イケイケ、ドンドン」だったプロジェクトが別の会社に売られることになった。

まさに、今、血眼になって頑張っているモニター達の前にそのプロジェクトのリーダーが会議室から走ってきて、「おい、おまえら、もう、仕事しなくていいぞ!やめ、やめ!」と叫んだ場面を今でも覚えている。

モニターにとっては、まさに「寝耳に水」だ。というか「寝耳に熱湯」だ。

「はぁ?」だ。

製薬会社で働いていると、こういうことがある。

「俺たちに明日は無い」だ。

製薬会社で働くときは、そんなことも起こりうると覚悟をして日々の仕事をやらなければならない。




さて、次に「瓢箪から駒」の話。

今年の夏は「節電」が叫ばれたよね。

原発がみんな止まったからね。

特に「関西電力管内」はそうだった。

僕が勤めている会社の大阪支店では7月から9月いっぱいまで「午前10時〜午後3時」はエアコンを止めるので、社員はよそで(たとえばマクドナルドとか図書館とか)で働いていてね、という作戦を打ち出した。

社内で働いてもいいけれど、エアコンは使用禁止!ということになった。

それはそれで大変だったけれど、僕にとっては「研修」をどうするか? という問題も発生した。

それまで研修は大抵、午後1時30分から午後4時30分までの3時間の研修、という感じでやっていた。

でも、午後は3時からしか働けないとなると、どうする? となった。

大阪で働くモニターも少ない貴重な時間の3時間も研修に消費されることなんて受け入れられる状態ではなかった。


僕は悩んだ。

そして、苦肉の策として3時間の研修を1時間に短縮することにした。

すると、これが結果的に良かったのだ。

何が良かったかというと、まず、出席率が上がった。

そりゃそうだ。

モニターが平日の昼間に3時間の研修なんて、「出てられねーや」となる。

でも、1時間ぐらいなら、気分転換にもなるし、「まぁ、出てやるか」となった。

さらに、講師側としても3時間を1時間にするのだから、研修のポイントを絞らざるを得ない。

要点は何か?をひたすら考えた。

そして贅肉をそぎ落としたコンパクトな研修を考えた。

だから、非常に効率の良い研修ができるようになった。

今では節電もないので、通常どおりの勤務体制になったけれど、研修は今でも1時間にしている。

研修の資料作りも楽になった。

1時間でどうしても終わらないのは(そういうのはほとんど無いけれど)、また来月やります、とした。

これが「瓢箪から駒」だ。


人間、困ったり、切羽詰まるといいアイデアが出るものです。

ついでに・・・・・・。

「目から鱗が取れる」ということわざもあるよね。

何かがきっかけに、急に物事の理解が進んだり「なるほど!分かった!!」ような場合に使う言葉だ。

学生時代の実習の時に、ある化学反応式が分からないので、講師に質問した。

すると、ますます分からなくなった。

で、講師から聞かれた。

「この説明でよく分かった?」

かえって分からなくなった僕は答えた。

「まるで、目に鱗が入ったようです。」と。

すると、その講師が「その言い方は間違っているよ。正しくは「目から鱗が取れた」だよ。」

いやいや、そりゃ知っていますよ。だから、皮肉を込めたジョークで言ったんじゃないですか、とは言えずに「はぁ、そうですか」とだけ答えた。

ここから得られる教訓はジョークや皮肉は相手の理解度と知識に依存する、また、相手が僕のことをどの程度、理解しているかによって、「せっかくの」ジョークも皮肉も通じない、ということだ。


昔(1979年頃)、NHKに「テレビファソラシド」という番組があった。

永六輔がプロデュースし、司会もやっていた。

初めて「タモリ」をNHKに出演させた番組。(あの頃のタモリはまだ「ハナモゲラ語」等を駆使した、毒のあるタモリだった。そのタモリがNHKに出演できたのは、ひとえに永六輔の力だ。)

その「テレビファソラシド」にある視聴者から投書があったと永六輔が紹介していた。

その投書にはこう書いてあった。

「テレビファソラシドは間違いで、ドレミファソラシドが正しい言い方です。」と。


ジョークひとつとっても難しい・・・・・・・。

どうでもいいんだけれど。


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2012年11月17日

製薬会社の合併に隠された悲哀(ちょっとエグイ話を含む)

●今週の話題は次の4つです。

(1)製薬会社の合併に隠された悲哀(ちょっとエグイ話を含む)

(2)製薬会社における「寝耳に水」と「瓢箪から駒」

(3)患者が怠けてもモニターは死なないが・・・・・

(4)ホーライの1年、1ヶ月、1日

(おまけ)ICH-GCPとJ-GCPの違い




最近、製薬会社同士の合併とか吸収が多くなってきた。

たとえば最近の吸収で言うと「武田薬品によるEnvoy社の買収について」がある。
  ↓
http://www.takeda.co.jp/press/article_54065.html


実は「ホーライ製薬」でも「合併」の話があった。^^;

下記のページの2004年11月13日のところです。

昔の「「ホーライ製薬」(サイト版)」の中の「「2004/10/31」〜「2004年11月23日」の社史」。

(うむ。前は1日分って、あんなに短かったんだ。最近、長くなりすぎだな。)


ここでクイズ!

次の会社はどことどこが合併してできた会社でしょうか?


「初級問題」

●第一三共

●アステラス製薬


「中級問題」

●中外製薬

●ノバルティス

●グラクソ・スミスクライン


「上級問題」

●田辺三菱製薬

●ファイザー

●MSD


「絶対に誰も答えられない問題」

●サノフィ


多分、「サノフィ」の全社員のルーツを探ると20社近くの会社出身者がいると思う。(20社ぐらいが合併してできた会社なのだ。)



製薬会社の合併で何が大変かというと、SOPをどうするかだ。

いや、本当はもっと大変なことがあって、「人員整理」なんだけれどね。

製薬会社は相手の会社の「社員」が欲しくて吸収・合併するわけではない。

あくまでも吸収・合併の目的は「製品」や「開発パイプライン」、そして「資金」だからね。


「人員整理」の方法としては「狙い撃ち」と「早期退職者制度」が代表的。

「狙い撃ち」では、たとえば「40才以上でラインマネジャではない人」とか「支店長」「部長」クラスが狙われる。

そりゃそうだよね。

「北陸支店長」は二人いらないし、「薬事部長」も「監査部長」も「開発部長」等も同じだ。

たいていが、強制的に「クビ」か「意に沿わない職場」に回される。

こんな笑い話がある。

内資系で働いていた中年男性がリストラにあった。

そこで、外資系の会社に転職することにした。

採用面接の席で、外資系の会社の人事担当者がその男性の履歴書を見ながらきいた。

「で、あなたは何ができるのですか?」

「はい。『部長』ならできます。」



「早期退職者制度」は「狙い撃ち」よりも穏やかに聞こえるが、そうとは限らない。

通常「早期退職者制度」では、その制度を使って会社を辞める場合、退職金を通常の3倍出しますよ、となったりする。

僕が経験した合併では「表面上」、この「早期退職者制度」が使われた。

この制度の説明のために管理職が全員、あるホテルの会議室に集められた。

当時、ある部門の管理職をやっていた僕もそこに出席した。

そこで、どんな話がなされたかとういと、要は部下を次の3種類に分けてください、というもの。

●辞めて欲しい人

●辞めて欲しくない人

●どちらでもいい人



会場での説明に使われた言葉はもっと「マロヤカ」だったが、でも、結局はそういうことだった。

管理職は部下をこの3種類に分けたら、今度は、それぞれの人を個別に会議室に呼んで、面談しなさいとのこと。

どんな話をするかというと・・・・・

●辞めて欲しい人には「きみは、今回の早期退職制度を利用したほうがいいよ。もし、それを使わずに会社に残ったとしても、今と同じ給料、職位、仕事内容を確約できないからね。」

●辞めて欲しくない人には「きみは、是非、このまま会社に残ってほしい。もし、早期退職制度を使いたくても、きみの場合は対象にならない(!)。通常の、退職金しか払われない。」

●どちらでもいい人には「きみは、早期退職制度を使ってもいいし、このまま会社に残ってもどちらでもいいよ。きみの選択次第だ。」

・・・・というようなことを説明する。



もちろん、それを言う僕も、臨床開発本部長から、上の3つのどれかを「宣告」される。

管理職が集められた説明会では、「もし部下との話し合いで、相手が感情的に怒りだしたら、こうしなさい。もし「労働基準局に訴える!」と言い出したら、こう言いなさい」なんていうレクチャーも受けた。


こういうことを乗り越えて育つ外資系の人は、だから、いつでもリストラされてもいいように自分を磨く。


さらに会社の合併で、問題となるのは「風土(カルチャー)の違い」だ。

一方の会社は「QC部門があって、がちがちにQCチェックします。」というのに、もう一方の会社は「QC部門なんて不要!品質の最終責任はモニターにある。モニターがチェックするのに、何故、またQCをやる部門なんて必要なんだ?」というように。


僕の知り合いで外資系のベンチャー会社に勤めていた人がいる。

そのベンチャー会社が、がちがちの内資の有名な製薬会社に吸収された。

世間一般から考えたら、そんなベンチャーの会社だったのが、一流の製薬会社の社員になれて良かったね、と思うところを、その友人は、それを嫌って、別の外資系に転職した。

それだけ、会社の風土やカルチャーは社員に影響を与えている。

僕も長く外資系で働いていたので、内資系に転職した時は、「カルチャーショック」が相当あった。

(逆に、その会社も僕にカルチャーショックを受けたようだったけれど。)



さて、脇道が長くなりましたが、「SOP」の話に戻します。

製薬会社が合併する場合、ふたつの会社でそれぞれが独自のSOPを持っているわけですので、合併するにあたって、どうするかが必ず問題となる。

対応方法としては、次の方法がある。

●合併しても2つのSOPでいく

●合併にあたって、新規に1つのSOPを作る

●どちらか一方のSOPを採用する


僕が経験したのは(と言うか、合併にあたり、当時SOPの担当者だった僕は面倒なので)、上記の3番目の「どちらか一方のSOPを採用する」を選んだ。

その時、僕は会社で、「今、社内で走っている治験の現状」を全て調べ、Aというプロジェクトは「治験薬の提供までは今のSOPで、症例登録からは新しいSOPね」とかBというプロジェクトは「CRFの回収がもうすぐ終わるので、それまでは今のSOPで、総括報告書の作成からは新しいSOPでね。」というような一覧表を残した。

合併ではなく吸収の場合は、否が応でも、吸収する側のSOPに従わざるを得ない。


製薬会社の、あるいはCROやSMO等の会社の合併では、以上のことが起こっているんだな、と思いながらニュースを見ると、思わず「泣けてきます」^^;

製薬会社では他にも「寝耳に水」とか「瓢箪から駒」ということも多々ありますので、それは明日の話題ということで。




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2012年11月16日

治験における「醍醐味」と「嬉しかったこと」

今日のテーマは治験における「醍醐味」と「嬉しかったこと」

毎年、8月の大学が夏季休暇に入ると「インターンシップ」がある。

学生が会社にやってきて、「臨床開発の仕事を知ってもらう」という企画だ。

この時、毎年、必ず質問されるのは「モニターをやっていて大変なことと嬉しかったことは何ですか?」というものだ。

「大変なこと」はモニターによって違うだろうけれど、「嬉しかった」ことはかなりの確率で「担当していた治験薬が新薬として承認され、世の中に出たこと」と答えるんじゃないだろうか。


自分が担当している治験薬が世の中に出ることは、絶対にあるわけじゃない。

なかには「10年、モニターやっていますが、今まで担当した治験薬は全て、途中でポシャリました」という人も多い。

それでも(全て、ポシャテも)モニターを10年間やってきたところに、モニターを続けることの理由がある。

それは、「新薬の開発」というダイナミズムだ。「醍醐味」だ。

モニターというダイナミックな仕事、そのものに「やりがい」を感じられる。

それがモニターの仕事だ。


僕がモニターをやっていて、一番、良かった!と思った瞬間は抗がん剤を担当していたときに、治験責任医師から「ホーライさん、癌が消えたよ!」と言われた瞬間だ。

ほかにも更年期障害の治験薬で、それは経口剤ではなくパッチ剤だったんだけれど、医師から「この患者さんさ、今まで経口剤の薬を飲んでいたんだけれど、必ず、胃腸障害を起こしていたんだ。それがパッチ剤なので、胃腸障害が起こらない。患者は『まるで夢のようだ』と言っていたよ」という言葉を聞いた瞬間だ。


そして、運が良ければ、自分が担当した治験薬が世の中に出る。

●ドセタキセル(商品名:タキソテール)の卵巣がんの効能を取得した瞬間
     ↓
http://di.sanofi-aventis.co.jp/tenpu/taxotere_inj.pdf?date=20121010121100


あるいは、僕自身が担当していたわけではないけれど、友人が担当していた難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の世界で唯一の薬が承認された瞬間。

●リルゾール(商品名:リルテック)
     ↓
http://di.sanofi-aventis.co.jp/tenpu/rilutek.pdf?date=20121017182200



でも、これらのことは、決して、モニターだけの仕事ではない。

薬事担当者、DM・統計解析者、監査担当者、QM担当者、CMC担当者、プロジェクトマネジメント、非臨床担当者、ありとあらゆる人たちの協力無くして、新薬の承認はありえない。

だから、あなたはひとりじゃないのだ。


モニターをやっていて「やりがい」を感じる瞬間は、日々の仕事の中にもある。

これまで相手にしてもらえなかった治験責任医師に初めて笑顔で「最初の症例が入ったよ」と言われた瞬間。

怖いと思っていた治験責任医師に「この治験薬って、ここがいいよな」と言われた瞬間。

コミュニケーションが絶対に取れていないと思っていた治験責任医師に「今度、一緒に、飲みにいこう」と言われた瞬間。

会社に患者さんから「御社の●●という薬が私の生活を助けてくれています」と葉書が来た瞬間。

新しい施設の初めて知り合ったCRCと心が通じたと感じた瞬間。

ダブルブラインド試験で、プラセボに勝った瞬間。

CRFを全て回収して、固定が終わった瞬間。

承認申請が終わり、みんなで「打ち上げ」をやっている瞬間。


ちょっとしたことでも「やりがい」に繋げられる。

それは「生きがい」にもなりうる。


もちろん、大変なこともある。(掃いて捨てるほどある。)

それでもモニターを(治験関係の仕事を)続けている、ということは、その大変なことを補って余りあるものが感じられるからだ。


「辛いと思うこと」に鈍感になり、「嬉しいと思うこと」に敏感になる。

これもまた、あらゆる仕事をやり続けるコツだ。


僕が今、「嬉しいと思う瞬間」は、あなたが大空に羽ばたいていった瞬間だ。




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