2012年11月30日

治験におけるITのパラダイムシフト(ホーライ製薬編:その2)

昨日に引き続き、「ホーライ製薬」の変遷ですので、ご興味の無い方はスキップしてください。


ネット上にホームページを持つと、ゲストブックを置きたくなる。(と言うか、当時はそれが「決まり」だった。)

すると、当然、ゲストブックに誰かが書き込みをして頂くとうれしくなる。(まれに、「荒らし」があって困ることもあったけれど。)

でもって、「医薬品ができるまで」はそこそこのアクセス数はあったけれど、ゲストブックへの書き込みはそれほどではなかった。

これが一変するのが「ホーライ製薬」のサイトを作った時だった。


話は前後しますが、「インフォシーク」の無料ホームページサービスがあった時に「新薬誕生」の中に「モニターの1日」というページを作った。

これです。
 ↓
http://web.archive.org/web/20020925225016/http://isweb40.infoseek.co.jp/family/horai01/monitor/monitor_1.html


文字通り、朝から晩までのモニターの行動を紹介したページだったけれど、たかだか、50行程度の文章だった。

ところが、これが意外と評判が良くて、あるCROからは、「会社のパンフレットに載せたいのですが、了解いただけませんでしょうか?」なんていうメールまできた。

それが、どこか、頭の隅にあって、ある日、ふと、「製薬会社の日常」を書いてみようと思い立った。

で、自分のネット上の「ホーライ」を取って、「ホーライ製薬」という架空の会社を想定して、書き始めた。

これが「ホーライ製薬」の始まりだ。
  ↓
http://horaiseiyaku.web.fc2.com/


当初は僕が創造した人物「デーモン部長」とか「キャサリン立川」とか「ヘンリー川崎」という名前の人物を登場させた。

なんだか、訳の分からない、いかがわしいお店の社員みたいだけど。

そこからが、僕の非常識なところなんだけれど、「冗談で」ホーライ製薬の求人募集を出した。

「ホーライ製薬に就職したい方は、ハンドルネームと希望職種と希望待遇を書いて、ゲストブックに投稿してください」と。

すると驚いたことに、「本当に」就職を希望する人がいた。

それも「社員募集」広告の2日後に。

その勇気ある社員番号1番が「みっちーK」さんだ。

ホーライ製薬の「入社履歴」のページを見ると2003/12/15に入社されたことが分かる。

●ホーライ製薬の「入社履歴」
   ↓
http://horaiseiyaku.web.fc2.com/rireki.htm


この「入社履歴」には本人がゲストブックに書いたアピールポイントもそのまま載せてあり、みっちーKさんの場合は「2年目のモニター28歳。女性。どんな気難しいドクターともうまくやる特技有り。
体力と笑顔は誰にも負けない。」とのことだ。


この勇気ある(本当に勇気がある!)みっちーKさんの入社からは、雪崩のごとく「入社社員」が増えた。


ちなみに、僕がネットに初めて書き込みをやったのはインフォシークの掲示板だったけれど、ものすごく、ものすご〜〜〜く、勇気が必要だった。

どうしてかと言うと、「自分が書いた文章が、一瞬にして、全国の人に知れ渡る」ことになる、という意識があったからだ。

今の若い人は物心ついたころから、ネットがあり、掲示板があり、プロフィールがあり、mixiあり、facebookありで、こういう僕の意識なんてはるか彼方の遺物だ。


で、ホーライ製薬に入社される方の希望職種も様々だ。

ホーライ製薬の組織図を見るとそれが分かる。

●ホーライ製薬の組織図
   ↓
http://horaiseiyaku.web.fc2.com/dep.htm


このことがきっかけで、僕自身も、自分が作ったサイトをどんな方々がご覧になっていたかが分かった。

なかには「人事部希望」とか「経理部希望」という方もいらっしゃって、「文系」の方もご覧になっていたのが、意外だった。

そして、ゲストブックへの書き込みも「医薬品ができるまで」とは比較にならないほど、飛躍的に延びたし、当然、アクセス数も増えた。

リアルの会社でも、「面白いサイトがあるので紹介します」といって、僕にメールで「ホーライ製薬」を教えてくださった方も多い。

今でもそうだが、「医薬品ができるまで」は1週間に1度、更新するが、「ホーライ製薬」はリリース時から「毎日更新」という手法をとった。

この「更新をまめにする」というのもアクセス数を増やす定石だ。

だけど、「本当に毎日書く」というのは大変なので、週末にまとめて、1週間分を書いておいて、それを毎日、ネットにアップした。(今もそうだ。)

だから、基本的に「書くことが好き」というのが、ネット更新の必須性格です。

ちなみに、よく「ホーライ」の名前の由来は何ですか?と聞かれますが、「企業秘密」です。


「ホーライ製薬」は、製薬会社の日常を「赤裸々」に紹介すると同時に僕が「こんな会社があったら、いいな」という理想も交えて作って行った。

この「ホーライ製薬」誕生から、いっきに僕と僕のサイトの知名度は広がり、ごく一部のマニアックなファンが多かった「医薬品ができるまで」当時に比べると、僕のリアルの会社生活や人生にも影響が出てきた。

電車の中で見知らぬ人が「ホーライ製薬」をプリントアウトしたものを読んでいる場面にも出くわした。

また、ある会社の社内で「メルマガ」を出したら、「GCPメルマガ」の盗用だと上層部に「忠言」されたこともあった。(その人は、それだけ、ホーライファンだといことが分かって、嬉しかったけれど。)


リアルの会社の社内を歩いていると、ホーライ製薬を見ている人が多くなった。

はたまた、ある会社の社員から「うちの会社ではとうとう、就業中にホーライ製薬の閲覧が禁止されました」というメールまでもらった。


ホーライ製薬の誕生と前後して「GCPメル“ガマ”」も出すことにした。(このあたりの歴史がもう「記憶」も「記録」も定かではない。)

何故、「“ガマ”」というか、だけど、これが「ミソ」なのです、って、どうミソなのか分からないけれど・・・・・・。

「メルマガ」と「サイト」を連動させることもアクセス数を増やすために有効だ。

そのためには、メルマガの登録者を増やす必要があるのだけれど、じゃ、どうやって増やすか?

これまた、僕の場合、まずは、知り合いに「メルマガを出すことにしましたので、よろしかったら、ご登録をお願いします」という「泣きつき作戦」に出た。

それと、当たり前だけど、メルマガの内容を役立つ内容にしないと、すぐに登録を削除される。

評判が良いと、口伝いに広がる。

メルマガの登録者数を増やすことや、サイトやブログのアクセス数を増やすための鉄則は「面白い」か「役立つ」内容にすることだ。


「メルマガ」を出すことを決める時もちょっとした勇気が必要だった。

ホームページを持つことは、まぁ、普通の人でもできるけれど、メルマガは「特殊」な人だけがやるもんだと思い込んでいたからだ。

ホームページとメルマガの決定的な違いは、ホームページは「見に来て頂く」という「受動態」だけど、メルマガは「送信する」という「能動的」だということだ。

だから、ホームページ以上に内容が重要だ。


一度閉鎖した「医薬品ができるまで」と「ホーライ製薬」を復活させたが、また、ある時期、個人的な理由でサイトの更新をしばらく止めていた。

その頃もメルマガは発行し続けたが。

その中断から復活させるきっかけになったのは、ある方から、こんなメールをもらったからだ。

「国際共同治験が多くなり始めましたが、ある人は「モニターには英語力はいらない」と言われました。ホーライさんはどう思いますか?」

もちろん、「とんでもにない!」だ。

それで、その方に返信するとともに、「ホーライ製薬」でも言わないとだめだな、と思ったのだ。

何がきっかけになるか分からないものだ。

そして、「何かを訴えたい」というものがないと始まらない。




さて、2002年頃から日本に「ブログ」が導入された。

このブログの紹介により、いっきにネットで情報を発信する人が飛躍的に伸びた。

それは技術的に楽だからだ。

ネット上に所謂、ホームページを持とうとすると、まず、サイトを作るためのソフトが必要だ。(ホームページビルダーのような。)

さらに、ネット上にサイトを公開するための「場所」が必要になる。

そして、自分のパソコンで作って、自分のパソコンに保存してある「サイト」をネット上にアップする、という作業が必要になってくる。

その点、ブログはメモ帳などにテキスト文を書いて、それをブログに投稿するだけでいい。

日本には「日記帳」サービスが割と昔からあって、それがブログになっただけなので、受け入れやすい土壌だった。

で、そのブログを使った治験やビジネスにどう使うかは、下記のサイトをご覧ください。
   ↓
「治験でブログ、ブログで治験」
   ↓
http://www.geocities.jp/horai_blog/


「ホーライ製薬」も、当初は「ホームページ」形式で更新していたが、ブログのほうが楽なので、今は、こうしてブログで「ホーライ製薬」を更新している。

ただし、デザインや複数のページを作ったり、閲覧性という点では「ホームページ」形式のほうが自由性も高く、便利だ。


ブログが日本でブームになった頃、「雨後の竹の子」状態的に様々な会社による無料ブログサービスが出現した。

それと平衡して、「日記」サイトはどんどんサービスが終わっていった。

僕は、日記サイトがブームだった頃、「ハードボイルド・ワンダーランド日記」というものを「さるさる日記」を使っていたが、今、「さるさる日記」は下記のとおりだ。
   ↓
http://www4.diary.ne.jp/user/440820/

そして、ブログが日記サイトを閉鎖させたと同じように、ツイッターやミクシィ、facebookに代表されるSNS(social networking service)がブームになると、ブログサービスを終わらせる会社も増えてきた。

しかし、そのミクシィですら、今や、ブームが去ろうとしている。

当初のミクシィは「紹介制度」を採用していて、だから、「荒らし」等の行為が少なく、安心です、というのがうたい文句だったが、ビジネスがうまくいかなくなった途端に、「フリー」で登録できるようにした。

「なんのこっちゃ?」だ。

「mixiがなくなったら困る? 困らない?」というニュースが出るくらいだ。
  ↓
http://news.nicovideo.jp/watch/nw433643


ところで、「facebook」が出現したことによるインターネットのパラダイムシフトは「実名」を使うことだ(本当はどうか分からないけれど、とりあえず、そうなっている)。

それまでは通常、ネットでは「匿名性」がいいも悪いも特徴だった。

だから、「津村ゆかり」さんも、そのことにこだわっていた。
  ↓
http://www5e.biglobe.ne.jp/~ytsumura/tokumei.html


ここに来て、「実名」が売り物の「facebook」がブームに。

時代は流れたものです。

だけど、僕としては、これまで創り上げてきた「ホーライ」という「ブランド」は「利用」していきたい。



ネットでビジネスを成功させるためには、とにかく、「人に集まってもらう」必要がある。

それで、「広告料」でビジネスを構築するわけだ。

ブログサービスでは、どれだけ、「有名人」をそのブログのサービスを使ってもらうかが、成功の鍵になっている。

「アメーバブログ」
   ↓
http://official.ameba.jp/


今年(2012年)のヒット商品である「LINE」も、多くの人が使うようになったので、「仮想商店街」を作る構想がある。

1990年初頭の頃はインターネットはビジネスにどう利用するか? が課題だったが、今は「インターネット」の存在無しではビジネスが存在しない。

「ヤフー」「グーグル」「アマゾン」「楽天」など等。

いかにして、人を集めるかが、問題だ。


「インターネット」という「培地」はこれからも変わらないだろうが、その利用方法はこれからも目まぐるしく変わるだろう。

「facebook」だって、いつ、サービスが終了するか分からない。

これまでも多くのパラダイムシフトが起こってきたが、これからも、ますますパラダイムシフトが起こるだろう。

それをどう利用するかが、ビジネスの成功にかかっている。


ところで、ここで「インターネット」と「治験」の話題を最後に取り上げます。

「GCPの運用通知の改訂」にあたってパブリックコメントを募集していたが、その時だったか、何のパブリックコメントだったか忘れたけれど、こんな意見があった。

「インターネットで治験を検索すると、『治験のバイト募集』ばかりがヒットする。この状況を何とかできないものか。」というもの。

まさに、その通りなのだが、じゃ、どうするか?

それは、『治験のバイト募集』の情報を“圧倒的”に上回る「正しい治験の情報」を治験関係者が発信すればいいのだ。

上記のコメントを出した人が、まず、ツイッターでもブログでもいいから、自分が思っている「治験の情報」を発信することが必要だ。

僕のいつものスタンスなのだけれど、世界を変えたいと思ったなら、まず、自分が行動を起こすこと。

「メール」を書くだけの「ITスキル」があれば、誰でも、いつでも、いくらでも、治験の情報を発信できる。

違う?



ちなみに、僕はもう自分でも、どこに何を書いたのか覚えていない(それもまた無責任だが)ぐらい治験について書いてきた。

「確か、こんなことを書いたはず」と思っても、どこに書いたか分からない。

それで、自分のサイトを探すためにグーグル検索を使う、というまるで「ギャグ漫画」みたいなことを本当にやっている。

ある時は「お!いいことを書いているな」と思ったら、最後に「ホーライ」と書いてあった、とかね。


それで発見したのだけれども、僕はもともと、自分が書いたことに対して「著作権」を放棄していて、自由に使ってください、というのが昔からのスタンスで(あくまでも、これは僕のスタンスね)、「治験のe-ラーニング」を公開もしていたし、今も「GCPの問題集」を公開している。

●「GCPの問題集」
  ↓
http://horaiseiyaku.web.fc2.com/gcptest.htm



で、ある日、僕は自分のサイトを探す目的でグーグルで検索していたら、下記のページを発見した。
  ↓
http://www.cracrc.com/study/cra-monitor-todo/gcp/


上記のページに下記のことが書かれている。
  ↓
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

GCP で「同意」について調べるとしたら、どこを見ますか?

答申GCPの「7 被験者の選定とインフォームド・コンセント」を思いつく人が多いことでしょう。

しかし、ここ以外にも「同意」について記載されている重要な箇所はありま す。

このように、「同意」一つをとってみても、GCP内で分散して記載されています。

これは、丸暗記するほど読んでいないと気づかないことです。

以上のことからも、「丸暗記」は必要です。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■



ここに書かれていることは、「モニターへの道」の下記のページのコピーだ。
  ↓
http://monitorhenomichi.web.fc2.com/monitor_gcp_1.htm

■どうしてGCPの“丸暗記”を勧めるのか? の項目だ。


もちろん、だからと言って、僕は何も言わない。(ありがたいと思っているぐらいだ。ただし、あくまでも、これは僕のスタンスね。)

治験環境が少しでも良くなら、それでいいと僕は思っている(繰り返しますが、あくまでも、これは僕のスタンスね。普通は著作権がありますので利用には注意しましょう!)。

僕は以前、「答申GCP」の「e-ラーニング」を作ってネットに公開して、自由に使ってくださいと書いていたが、あるSMOの方から「ホーライ」宛てにメールが来て、「ホーライさんが作ったe-ラーニングをそのまま、社内のイントラネットに載せて、それをSOPで必須学習項目として使っています。上司は「作者が自由に使っていいと言っているからいいのだ」というのですが、やっぱり、ひと言、ご連絡と思いましてメールをしました」と。


と、まぁ、長く、長く、本当に長〜〜〜く、書いてきたけれど、これが今までの僕が(ホーライ製薬が)経験したインターネットのパラダイムシフトでした。

あ〜ぁ、疲れた・・・・・・・。




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2012年11月29日

治験におけるITのパラダイムシフト(ホーライ製薬編:その1)

今日と明日のテーマは極めて個人的なテーマでなおかつマニアック、しかも「自慢話し」なので、「ホーライ製薬」にご興味の無い方はスキップしてください。

これまでのホーライ製薬のネット戦略の変遷です。


僕が初めてネットを通じて「治験」関係の情報を発信したのは、「医薬品ができるまで」(サイト版)というサイトをヤフーの「ジオサイト」内に立ち上げてからだ。(2000年6月17日)

今では、当時の「医薬品ができるまで」(サイト版)は残っていない。(掟破りなことをしてヤフーの逆鱗に触れ、丸ごと削除された。)

今ある「医薬品ができるまで」(サイト版)はこちら。
    ↓
http://iyakuhin.web.fc2.com/index.html



ヤフーの「ジオサイト」は無料でホームページを簡単に作れるサービスで、今もある。
    ↓
http://geocities.yahoo.co.jp/

このサービスを使うと、ホームページの知識が無くても、簡単に「それなり」のサイトが作れる。


僕の2000年当時は、自分が働いていた製薬会社が合併し、ひと段落して、ちょっと気が抜け、「何か、面白いことないかな?」と思っていた。

この合併の時に、僕は一方の会社の臨床開発部署の「合併隊長」みたいなことをやらされて、無茶苦茶、笑いたくなるぐらい、超多忙だった。

また、2000年当時の日本の治験環境は、「ICH-GCP」が導入され、「答申GCP」と「新GCP」が出て、日本国内の治験が空洞化していた。

この治験の国内空洞化は当然、当事者の間で問題視されていて、それをなんとか打破しようという試みが検討されていた。

その検討課題のひとつとして、「治験を一般市民に啓発する」というのがあった。


で、話は「ジオサイト」に戻りますが、「何か、面白いことないかな?」と思っていた僕は、「ヤフージャパン」という雑誌の中で、「あなたも簡単にホームページが作れます。簡単な質問に答えるだけで、すぐに自分のホームページが作れます」という記事が目に入ってきて、「へ〜!ちょっとやってみよう」となった。

その「簡単な質問」の中に「日記を付けますか?」というのがあり、「はい」を押していくと、日記機能つきのホームページができた。

そこで、日記をつけるといっても、何を書く? と悩んだ。

日記を長く続けるためには、それだけの知識や経験や体験、想いがないとだめだよな、と考え、それなりの知識があるのは、今、仕事をしている「治験」についてだなと思った。

その自分の思いと、当時の「治験を啓発していこう」という業界の流れから、「医薬品ができるまで」の諸々を徒然に書いていこう、と決定したわけだ。


この思い付きが、今に至っている。

今でこそ、僕(ホーライ)と言えば、「ホーライ製薬のシャチョー」と呼ばれることが多いけれど、実は僕自身としては「医薬品ができるまで」が原点だと思っている。

その思い付きから、そもそも新薬はどういう過程で誕生するのか、治験のステップは3つのステップから成り立っていますよ、とか、GCPという規則があってただの人体実験ではありませんよ、「ヌードマウス」なんていう動物がいるんですよ、とか、そんなこんなを書いていた。

当時は、個人のサイトはおろか、製薬会社や厚生労働省、総合機構。製薬協などの大きな治験関係者の中でも治験について説明しているサイトは無かった。

だから、治験のリンク集で有名な「治験ナビ」の管理者から、「まさか、個人で治験のサイトをやっている人がいるなんて思いませんでした」という書き込みを頂いた。

●「治験ナビ」」
  ↓
http://www.chikennavi.net/



さて、ホームページを持つと、アクセス数を増やしたくなるのが人情だ。

では、僕の場合、どうやってアクセス数を増やしたかというと、まずは「知り合い」にメールで、こんなサイトを作りましたと連絡する作戦に出た。

次にいろんなポータルサイトの「掲示板」に書き込みを行なった。

今は「掲示板」というと2チャンネルだけど、当時はいろんなポータルサイトに掲示板があった。

今でも、ヤフーには掲示板がある。
  ↓
http://messages.yahoo.co.jp/

こういう所で「病気」などのジャンルに自分のコメントを書いて、ついでに自分のサイトのURLを書き込んだ。

僕が好きだったのは実は「インフォシーク」の掲示板だった。

今はインフォシークには掲示板のサービスはない。

「インフォシーク」
  ↓
http://www.infoseek.co.jp/


ちなみに、ネットで注意しないといけないのは、急に「サービス」が終わることだ。

僕は無料でホームページを作るサイトを色んなところで作ったが、そのうちの多くがサービスが終了して、今はもう残骸すらない。

これが「無料」の痛いところだ。

「インフォシーク」や「ライコス」というポータルサイトを使って「新薬誕生」等を使って、薬に関する様々な情報を発信していた。

治験に限らずGMPのことや「薬草」のことなども。

それらも、全て、今はもうない。

ただし、運がいいと見つけることがある。

どういうことかというと、昔のネットのサイトを「ほとんど保存」しているサイトがあるのだ。
   ↓
http://archive.org/index.php


上記のサイトに僕の昔の僕の「医薬品ができるまで」のジオサイトのURLの http://www.geocities.co.jp/Technopolis/9874/ を入力すると当時のサイトの一部を見ることができる。
 ↓
http://web.archive.org/web/20010821014841/http://www.geocities.co.jp/Technopolis/9874/


おおお!上記に表示される「保存されていた」僕の「医薬品ができるまで」のサイトから、リンクも生きている!!

僕の一番最初の治験日記も読めるぞ!

これ(↓)が、僕が始めてインターネットに発言した記念すべき日記です^^;

■■■■■■■■■■■■■■■■■

漢方薬には副作用がない?

民間療法の奥が深くなったものが漢方薬(何しろ中国3000年の歴史!)

漢方薬は、効果がマイルドで体質そのものを改善してくれるので、ファンも多いはず。

でも、やはり副作用は無いとはいえません。

効果の裏には必ず、副作用がつきものです。

現代では、薬の効果と副作用を確かめるために、治験(臨床試験)が必ず行われています。

治験のことは、後日、詳細にご説明します。


2000年06月21日 20時12分02秒

■■■■■■■■■■■■■■■■■



別のサイトへのリンクも、一部、生きている!

これは知らなかったな。

絶対に、二度と見られないと思っていた「新薬誕生」のサイトまで見ることができる。
  ↓
http://web.archive.org/web/20020924050853/http://isweb40.infoseek.co.jp/family/horai01/

上記のサイトにある「モニターの1日」が、のちの「ホーライ製薬」の元になったアイデアだ。


げげげ〜〜!「新薬誕生」から、ライコスのサイトに作った「治験と私たち」も一部、見れる!

「悪魔の辞典(治験版)」も生きている。
   ↓
http://web.archive.org/web/20020925223006/http://isweb40.infoseek.co.jp/family/horai01/devil_dic/devil_dic.html


このサイトはもう二度と見られずに死ぬもんだとさえ、思っていたのに。

すごい技術があるものだ。






ついでに、もう1つ便利なサイトの紹介。

長いURLを短縮してくれるサイトです。
  ↓
http://tinyurl.com/

このサイトをどう使うかですが、たとえば下記のように長いURLがあったとしましょう。

http://www.amazon.co.jp/%E9%A2%A8%E3%81%AE%E6%AD%8C%E3%82%92%E8%81%B4%E3%81%91-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E6%9D%91%E4%B8%8A-%E6%98%A5%E6%A8%B9/dp/4062748703/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1353659624&sr=8-1

上記のURLはアマゾンで村上春樹の「風の歌を聴け」を検索した結果です。

別にこのままでもいいのだけれど、「かっこ悪い」とか、下手するとメールで送った時に途中でURLが切れたりすることがあります。

そんな時に上記のサイトの真ん中にある空欄に上記のURLをコピペして、「MakeTinyURL!」をクリックします。

すると、「このWebページがページがクリップボードへアクセスすることを許可しますか?」と聞いてくるので(場合によっては聞かれない)、「アクセスを許可する」をクリックします。

すると、真ん中に「http://tinyurl.com/abuptkw」のような新しいURLが出ています。

これをそのままメール等で送ったり、facebookに使っても、それをクリックすると、ちゃんと、「風の歌を聴け」に飛んでくれます。




他にも似たようなサイトがあるので「長いURLを短縮する方法」で検索してみてください。


ネットの「無料」サイトは本当に気をつけないといけない。

フリーメールって、あるでしょ?

たとえば「ヤフーメール」とかね。

その昔、なんと! 「朝日新聞」も無料のフリーメールのサービスをやっていた。

もちろん、今はない。

インフォシークのメールもサービスをやめている。

このブログだって、いつ無くなるか分からないし、ミクシィだってfacebookだって分からない。



さて、その他にアクセス数を増やす方法としては、「既にアクセス数が多いサイトに相互リンク」のお願いをすることが、当時の定石だった。

ちなみに、僕はある病院に相互リンクのお願いをしたら、「個人がやっているサイトは認めていません」という連絡をもらったことがある。

他には、インフォシークのサイトに「プロフィール」というサービスがあって、誰でも簡単な日記が書けて、いろんな人と繋がれるという、ミニミクシィみたいなサービスがあった。

その中で、いろんな人と知り合って、そこから「医薬品ができるまで」にリンクを張って、「治験とは関係の無い一般市民」の人たちに治験のサイトを観てもらうという作戦を使った。


さらに、治験に全く興味が無い人にも僕の「医薬品ができるまで」にアクセスしてもらう方法も考えた。

その詳細は下記のサイトに書いてある。
  ↓
「治験でブログ、ブログで治験」
  ↓
http://www.geocities.jp/horai_blog/


結論を書くと、「治験と最も距離の遠いこと」を同じサイトに載せる、ということだ。

たとえば、「医薬品ができるまで」の中に「ブラームス」のページや「エンヤ」のページや「クリムト」のページを作った。

すると、「ブラームス」で検索して、僕の作ったページに来て、そこからホームページに行くと、なんと!「治験」のサイトでした、というもの。


ところで、ある時、僕はある事情により、「医薬品ができるまで」を閉鎖したことがある。

そのあたりのことは「津村ゆかり」さんのブログにも書いてある。
  ↓
http://ytsumura.cocolog-nifty.com/blog/2004/04/post_5.html


「医薬品ができるまで」を閉鎖したのが金曜日の深夜だったのだが、次の土曜日に、僕(ホーライ)のメール(horai_japan@hotmail.com)に多くの人から「残念です」というメールを頂いた。

その多くは「勉強になりました」というものだった。

でも、その頃はもう、ネットの世界でも「治験」に関する情報を発信しているサイトも増えていたし、「治験ナビ」もあるし、治験を勉強できるサイトはあるので、まぁ、やめてもいいなと思っていた。

ところが、ある女性からもらったメールが僕の気持ちを変えた。

そのメールにはこんなことが書いてあった。

「ショックです! 昨日、部長に叱られたあとに、いつも見に行っている「医薬品ができるまで」が閉鎖されていて、ダブルのショックでした。私は落ち込むといつもホーライさんのサイトを観に行って、心の支えにしてました」


これは、嬉しいことこの上ないのだが、それよりも、僕自身は「誰かの心の支え」になるために書いているつもりではなかったけれど、そういう読み方をしてくださっている人もいるんだと思った。

だから、金曜日の夜、閉鎖したけれど、2日後の日曜日に復活させた。

それ以来、「どんなことがあっても、たとえ、更新してなくても、閉鎖や削除は絶対にしない」と自分で決めた。


さて、ここから言えるのは、「あなたが思っている以上に、あなたは誰かの心の支えになっている」ということ。

「あなたは(特にCRCは)、あなたが思っている以上に、患者から頼りにされている」ということを再認識したほうがいい。



ところで、僕のサイトの変遷にもどりますが、一般市民の皆さんむけに書いていた「医薬品ができるまで」だけど、そのうちに、どんどん、「今の日本の治験の問題」を取り上げるようになった。

このあたりから、一部の治験関係者に知られるようになった。

また、学生から「新薬開発の仕事につくにはどうしたらいいのですか?」とか、はたまた「●●大学の大学院を受験するつもりですが、新薬開発職に希望するのに有利ですか?」なんてメールもやってきた。

さらには、「●●という抗がん剤は本当に効きますか?」というメールも多かった。

当時、いかに、その手の情報が無かったかが分かる。

今では、もう、その手の情報に溢れていて(玉石混合だけど)、さすがに、この手のメールは無くなった。



さらに、興味をひくために、当時、流行だった新聞の全面を使った「治験広告」(本当は「広告」ではなく「キャンペーン」というのだけれど)のデジタル写真を集めて「コンクール」や、「製薬会社のホームページ」の人気投票などもやった。

また、「医薬品ができるまで」のサイトに簡単な「アクセス解析」を使ってみたところ、当局関係者も頻繁に見に来ていることが分かったので、それを意識して書いたりもした。


その後、僕自身もモニターから監査になり教育担当者やSOP担当者に変わっていったので、自ずと「治験日記」にもその影響が色濃く出てきた。

そこで、思い切って、「新人モニター」と「モニターの教育」に特化したサイトを作ってみた。

それが、「モニターへの道」だ。
   ↓
http://monitorhenomichi.web.fc2.com/index.html


この「ある分野に特化する」というのは「ヤフー」のサイト登録に登録されやすかったり、アクセス数を増やす手段としても効果がある。

最近、あるモニターから、こんな話を聞いた。

「僕がモニターになりたてのころ、治験の申請や契約書を作る時に正しいかどうかチェックするためにパソコンのウインドを2つ開けて、ひとつには「モニターへの道」を表示させ、もうひとつに治験関係の書類を表示させ、両者を比較しながら、資料を作成していました」と。

この「モニターへの道」は僕自身にも便利で、メールで「モニターの勉強方法を教えてください」とか「モニターの教育方法で困っています」という問い合わせがあると、このサイトを見てください」と「モニターへの道」を紹介するだけで済む。

また、ブログ等である特定のテーマについて不連続に書いていたものを、まとめて保存する際にも「モニターへの道」は役立っている。


ここまでが、僕のインターネットを使った治験啓発作戦の前半です。


長くなったので、続きは明日へ。





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2012年11月28日

治験における「パラダイム・シフト」(業界編)

僕が治験業界に関わり合ってから経験した、最大のパラダイムシフトは、もちろん「ICH-GCP」の導入だ。

その中でも、最もインパクトが大きかったのは「SDV」が実施可能になったこと。

「ICH-GCP」導入による日本の治験業界のパラダイムシフトの流れは今でも続いている。

その大きな流れの中にも、大きな山がうねりながら進んでいる。

CRCの導入。

CRO、SMOの台頭。

EDCの導入。

電子カルテとリモートSDV。

ALCOAの原則の流れ。

サンプリングSDVの試み。

・・・・・・など等。

成功したものもあるし、失敗したものもある。

いまだ試行錯誤のものもある。


また、製薬会社の経営戦略のパラダイムシフトとしても海外展開が、ここ10年で一挙に加速した。

今では、海外での営業成績が国内製薬会社の営業成績に直結している。

今後、加速化が予想されるのは国内製薬会社同士の合併だ。


ちなみに、国内企業の「グローバル化」を本気で考えるならば、日本国内の社長や研究所所長、営業部長、人事部長、臨床開発事業部長クラスに外国人を採用するのが一番、手っ取り早い。

また、日本の治験環境を一気にグローバル化するなら、厚生労働大臣と総合機構の理事長を外国人(特に欧米人)にするのが最も確実で速い。


治験業界のパラダイムシフトは常に「外圧」によって起こされてきた。

その一番の事例が「ICH」関係。

なお、ICHガイドラインについては下記を参照してください。
    ↓
http://www.pmda.go.jp/ich/ich_index.html


「外圧」に弱いお役所を動かすために日本にある外資系製薬企業が本国の会社を通して、例えばアメリカ側から「治験環境の改革」を要求させる、という手もある。

僕たちは今までも多くの治験におけるパラダイムシフトを経験してきた(その多くは「翻弄されてきた」とも表現可能だ)。

ただし、それが患者のことを考えて改革されてきたとは言い難い。

「ICH-GCP」が導入された時期に国内製薬会社が、国内での治験を避け、海外での開発を優先させたように。

それが、今、「ドラッグラグ」という「つけ」として、国内の「患者」に回ってきている。

この「つけ」が張本人の「企業」ではなく、「患者」にきている、という点に注意しよう!


今、起きている、あるいは、これから起こそうとしているパラダイムシフトが日本国内の患者のためになるのか、そこを考えていこう。

そうしないと、10年後に、また、「患者」につけが回ってくる。

その時の「患者」とは「あなた」であり、「あなたの最愛の人」であることを忘れないように。





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2012年11月27日

治験に関するパラダイムシフト(企業編)

今日の話題に入る前にご連絡。

このブログで書いた「ALCOA」についての話題とネット上にある「ALCOA」について考えるヒントになる資料をあつめて●「「モニターへの道」」に保存しました。


さて、本題です。

今日は治験に関するパラダイムシフトの企業編です。

昨日も紹介した「政策研ニュース No.37」の「Patient Reported Outcome と新薬開発−患者による直接評価に焦点をあてた新薬の臨床評価−」
    ↓
http://www.jpma.or.jp/opir/news/news-37.pdf

こういうレポートを読んだ時、製薬会社の「臨床開発そのもの」を考える部署の人(例えばプロジェクトマネジメント部等)の人たちは、これからのトレンドにどう反応するべきかを考えないといけない。

あ、そうそう、忘れないうちに書いておくけれど、上記の「政策研ニュース No.37」の中には「国内新薬における創出企業の国籍と治験実施国」とか「医薬品市場における日本の製薬企業の存在感」というレポートもあるので、読んでおくと参考になります。


で、こういうパラダイムシフトによって業界が大きく変わった時に生き残れる企業の条件とは「資金の多さ」や「優秀な人材が多い」とか「新薬開発パイプラインが多い」ではない。

世界が、社会が、業界が大きく激変した時に生き残れる製薬会社とは「その変化に対応できる」会社だ。

例えば、他業種で言うと、デジカメ時代に対応できなかった「コダック」が倒産するとか、携帯・ネットワークへの対応が遅れた「任天堂」の苦戦だ。

かつての世界のリーディングカンパニーと言えども、社会や業界の変化に対応できなけれれば、容赦なく業績が悪化、下手すると倒産する。


しかし、難しいのは、そのタイミングだ。

トレンドを先読みして、パラダイムシフトに他社に先駆けて方向転換すれば、業界をリードできる。

ところが、「これからはこれだ!」とトレンドを読んだつもりが、全然、その方向に社会や業界が行かずに、せっかくの先行投資が無駄になる。

だから、内資系の製薬会社は「よその出方を見よう」とか「様子待ち」することが多い。

一方で外資系は自らがトレンドを作り、自らが業界のパラダイムシフトの仕掛け人になることが多い。

パイオニア精神に富んでいるからだ。


以前にも書いたことがあるけれど、僕が外資系で働いていた時と内資系で働いていた時に、同じ言葉が全く真逆にとられる、という経験をした。

何か斬新なことをやろうとすると、「よそはどうしてる?」と外資系でも内資系でも聞かれる。

で、「よそはまだやってません」と言うと、外資系では「よし。じゃ、やろう。」となるけれど、内資系では「じゃ、他社の動向を探って、しばらく、様子を見よう」となる。


パラダイムシフトが起こると、もう、元には戻れない。(治験の総括医師に復活なんてありえない。)

変化に対応できない組織は撤退するか、多大なるエネルギーを使って、世の中の流れに追いつくかしないといけない。

ただ、注意しないといけないのは「流行」と「真のパラダイムシフト」を見分けることだ。

最近の製薬業界の「流行」は「顧みられない熱帯病」だね。

もちろん、そういう社会に役立つことは製薬業界の使命だからいいのだけれど。

「企業」という立場にたつと「アンメット・メディカル・ニーズ(Unmet Medical Needs)」とか、昔で言うと(今でももちろんあるけれど)「オーファンドラッグ」とか、本来の目的を見失って、ただ「流行しているから」という姿勢だけで、それを追いかけていると、企業としては失敗する。

いくら世の中に役立つと言っても、企業として失敗すると、それは結果的には世の中に役立っていないことになる。


急激なパラダイムシフトが起こった時に、企業に求められる重要なものとして「スピード」もある。

素早く、変化に対応しないと、その組織・企業は死滅する。

「稟議書」を待っていては遅い。

また、お役所に見られるような「縦割り社会」「縄張り争い」をやっていると、その間に世の中は激変する。

繰り返しますが、パラダイムシフトに生き残れる組織の条件は「優秀な人材がいる」や「資金が豊富だ」ではない。

「変化に素早く対応できること」だ。




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2012年11月22日

治験における「パラダイム・シフト」(個人編)

「パラダイムシフト」とは、その時代や分野において当然のことと考えられていた認識や思想、社会全体の価値観などが革命的にもしくは劇的に変化することを言う。

簡単に言うと、ICH-GCPが導入される、というようなことだ。



製薬協の外部研究所に「医薬産業政策研究所」がある。

そこが定期的に発行している「政策ニュース」がとても役立つ。
    ↓
http://www.jpma.or.jp/opir/news/index.html


例えば「政策研ニュース No.37」が素晴らしい。
    ↓
http://www.jpma.or.jp/opir/news/news-37.pdf


特に冒頭のレポートがいい。

●Patient Reported Outcome と新薬開発

−患者による直接評価に焦点をあてた新薬の臨床評価−


このレポートの出だしが「Newsweek」のようにかっこいい!

で、中身は読んでもらえばいいのだけれど、簡単に言うと「被験者の感想を医師の判断を通さずに、治験のデータとして使う」というものだ。

たとえば、「鎮痛剤」なんかは、この方法のほうがいい。

「鎮痛剤」の効果を一番知っているのは患者自身だからね。

でも、それが簡単にいかないというのが上記のレポートの趣旨なのですが。


ただ、こういう「考え方」に接した時に、自分はどう思うか? というのがとても大事。

「ふん!」で終わるかもしれないし、「へ〜〜!」となるかもしれない。

人類の科学は無数の「へ〜〜!」で成り立ってきた。


ところで、もし、「患者自身の評価」が治験のデータとして使われるということになったら、それは「パラダイムシフト」だ。

そして、それは業界とか社会とかではなく、「個人」にも起こり、それが自分の人生を豊かにしてくれる。


今や、自己啓発書の定番中の定番になった「「7つの習慣」では、このパラダイムシフトを重視している。

僕にも、これまでいくつかの大きなパラダイムシフトがあった。

たとえば、僕が治験啓発用に最初に作ったサイトの「医薬品ができるまで」というのがある。

このサイトを初めてネットに公開して(2000年6月頃)、2、3週間目頃に、ゲストブックにいきなり「わし」さんという方が「治験に参加したことがある」と投稿してくださった。

「わし」さんは「脊髄小脳変性症」という難病に罹患されていて、その治療薬の治験に参加したのだった。

ちなみに、その治験薬は承認され、「セレジスト」として販売される。


で、「わし」さんは治験では結局、「プラセボ」に割り付けられたらしい。(もちろん、ダブルブラインドの治験だった。)

この「わし」さんとの出会いが僕にはパラダイムシフトになった。

CRCや治験責任医師等は直接、患者と話し合うことがあるが、治験依頼者側にいると、被験者と会話をすることがない。

それだけでも、僕にとっては刺激になった。

また、「医薬品ができるまで」を立ち上げた当時は、僕はさかんに「治験は倫理的に行われます。そのために、病院の治験審査委員会で倫理面を審査されます」というような、治験関係者には「あたり前」のことを強調してサイトに書いていた。

ところが、「わし」さんは「病院の倫理委員会は邪魔だ。」とゲストブックに書いてきた。

なぜかと言うと、「わし」さんは自分の息子(当時、12歳ぐらい)に「脊髄小脳変性症」の遺伝子検査を病院にやってもらおうとしたのだが、病院の倫理委員会から「まだ自分の病気を受け止められる年齢ではない」というような理由で、遺伝子検査をやってもらえなかった、という経緯があるからだ。

「わし」さんは、息子さんに、自分が将来、父親と同じ病気になる可能性があるならば、それなりの覚悟を持って生きて欲しいからという理由をゲストブックに書いてきた。


この「わし」さんの気持ちと、当時の病院の「倫理委員会」の結論の是非は、とりあえず、置いておく。

僕は「そうか。人によっては倫理委員会が邪魔だと思うし、むしろ、非倫理的だと思うんだ」ということがショックだった。

これは、僕にとって治験実施側から治験(あるいは治療)を受ける側としての視点を持つ必要性を強烈に感じさせる出来事だった。


「わし」さんとはメールのやりとりも始めて、当時、東北地方に住まれていた「わし」さんに会うために「学会に参加」することにかこつけて、仙台まで行った。

その頃の「わし」さんはまだ、杖を使えば、なんとか自力で歩けていた。

ただ、椅子に座り続けることは辛いらしく、僕の宿泊するホテルのベッドに横たわって、僕と会話した。

「唾液」をうまく飲み込めない(病気のせいで喉の筋肉が衰弱しているため)ので、会話中に何度もティッシュで唾液を出していた。

「目」も固定できず、「わし」さんの目玉はゆらゆらしていた。

水は飲みづらく、むしろ、ジェルタイプのウイダーゼリーのようなもので食事代わりにしていた。


当時、僕は会社で「ALS(筋萎縮性側索硬化症)」の治験の監査をやっていた。(のちに「リルテック」として販売される。)

この病気も「わし」さんと同じ症状を出す病気だった。

僕は監査をやりながら、症例報告書の中の「人工呼吸器」を装着した日のチェックや「指で物をつかむ力」のデータをチェックしていた。

「わし」さんと出会う前は、監査をしながら、何も感じていなかった。

しかし、「わし」さんと出会ってから、この監査をやりながら患者や家族のことを考えるようになった。


この「わし」さんとの出会いが、僕の一番の大きなパラダイムシフトになった。


2番目のパラダイムシフトは、「モニターへの道」を作った時に起こった。

このサイトを作ったのは、僕がまだ製薬会社で働いていた時のことだ。

だから、知らず知らずのうちにモニターと言えば製薬会社のモニターとしか定義されていなかった。

そのため、そのサイトの中でCROのモニターに対して、とても失礼なことを書いていた。

僕は何の気もなく、書いた文章だった。

ところが、このサイトをネット上にリリースして、すぐに、あるCROのモニターからメールを頂いた。

そのメールの中で、その僕の不適切な個所を指摘してくださっていた。

そのメールを読んでから、その箇所を読むと、なるほど、これは、CROのモニターなら怒るな、と思った。

それで、すぐに訂正して、その旨をメールをくださったCROのモニターの方に連絡した。

そんな僕が、今はCROで働いているわけだけど、当時は、これが僕にはパラダイムシフトだった。

人間は、ついつい、自分が所属している組織の立場で考えるんだな、と。


3番目のパラダイムシフトは、サイト版の「ホーライ製薬」を立ち上げた時だった。

このサイトのトップページに3人の方の「体験談」が載っている。

以下の3つです。

ヨネヤマさんの体験記「妻と抗生物質」

がんの告知「あもうさん」の場合

バジルさんの「治験体験記」


この3人の方は僕の「医薬品ができるまで」や「ホーライ製薬」の読者の方で、自発的に、僕にメールでご自分の体験談を送ってくださった。

いずれも、とても貴重な体験談だ。

特に「バジルさんの「治験体験記」」は、僕の強烈なショックを与えた。

これまた、CRCや治験責任医師等では患者から感想を直接、聞かれることがあるだろうけれど、治験依頼者側にいる僕には強烈だった。

「バジル」さんは、治験業界とはまったく縁もゆかりもない、ごく普通の「一般市民」の方で、なおかつ「文系」の方だ。

だから、「バジル」さんの体験記の中には僕が読むと治験を誤解している印象を与える箇所もあったが、もちろん、そのまま、原文のまま、公開した。


以上は、僕がネットを通じて受けたパラダイムシフトだ。


今日の最後に、ネットではないリアルな体験から。

僕が40歳の時、ごく身近な近親者が乳がんになった。

僕は、その告知にも立ち会った。

抗がん剤のタキソテールの「卵巣がん」の治験をやっていた僕は普通の人よりも「がん」に対する知識はあると思っていたが、告知に立ち会った時は、一瞬にして頭が真っ白になった。

右乳房の全摘出手術にも立ち会った。

手術が終わる頃、手術室から僕は呼ばれた。

手術室の出口の(本当は別の名前があるのかもしれないが)ところで、執刀医から、摘出された乳房とリンパ腺を見せられ、説明を受けた。

「これが、がん、ね。で、これがリンパ。多分、リンパにはがんがない」と言われた。

たまたま、執刀医はタキソテールの「乳がん」の治験責任医師で、僕がタキソテールの「卵巣がん」の開発をやっているのを知っていたので、執刀医は最後にこう付け加えた。

「さいわい、タキソテールを使わずにすみそうだ。」


僕は「卵巣がん」の患者のカルテもCRFも何十とチェックしてきたが、卵巣がんの患者がどんな気持ちで治験に参加しているかなんて考えたこともなかった。

しかし、この体験後からは、常に治験に参加してくださった「がん患者」と家族のことを考えるようになった。


以上のネットを通じてと感じたことや、実際の体験を通して感じたことを、僕はいつも新入社員のモニターに紹介する。

そして、必ず、こう言う。

「こんな思いをして治験に参加してくださった患者さんのデータを、モニターのせいで、申請データから削除せよ、となったら、それは『患者の命』に対して、失礼だからね!」


話は最初に戻します。

「政策研ニュース No.37」の中の「Patient Reported Outcome と新薬開発−患者による直接評価に焦点をあてた新薬の臨床評価−」のような、これまでの自分の考え方を変えるような事実や知識に触れると、パラダイムシフトが起こることがある。

それは、あなたの人生を豊かにしてくれる。

何も劇的な科学的革命ではなくても、日常のちょっとしたことから、急に開眼することがある。

それを大切にしていこう!


明日は、パラダイムシフトの「企業編」です。




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