2012年09月22日

植物由来の抗がん剤

今週は『製薬会社』らしく医薬品に関わる話題です。

特に「植物由来」の薬について見ていきたいと思います。

漢方薬を見るまでもなく、植物は薬の宝庫です。

植物由来の薬は「くさるほど」あります。

さらにアヘン、マリファナ、脱法ハーブ等を見るまでもなく、妖しげな作用も植物には多数あります。

さらにさらにトリカブト、ツキヨタケ、ベニテングタケ等を見るまでもなく毒薬の宝庫でもあります。

・・・・・・ということで今週は植物由来の薬の話ですが、(話は50万光年ほど飛びますが)実はこのホーライ製薬の毎週のネタを考えるのって、これが実は意外と大変なのだ。

だいたい毎週、木曜日に次週のネタを考えるんだけれど、これが胃が痛くなるぐらい困る。

書くテーマさえ決まればなんとかなるけれど、そのテーマさえ思いつかないことも多々ある。

今週のテーマはいろんな所でお世話になっている「津村ゆかり」さんとのfacebookでのやりとりからネタのヒントを頂きました。(津村さん、ありがとうございます!津村さん、大丈夫です!!あやしげな薬を創ったりしませんので。いや、創るかな・・・)

ちなみに津村ゆかりさんとは長いおつきあいでして(もちろんネット上だけですが)、彼女のサイトに僕の昔の「医薬品ができまで」が紹介されています。
   ↓
http://www5e.biglobe.ne.jp/~ytsumura/hpage05.html#soshilnk

まぁ、そんなこんなで今週は植物のお話です。




まずは、「タキソテール(ドセタキセル)」(サノフィ・アベンティス)と「タキソール(パクリタキセル)」(ブリストル・マイヤーズ)です。

何故、この薬を最初に選んだのかというと、僕が初めてモニターになった時に「タキソテール」の「卵巣がん」を開発するモニターをやったからなのですね。

この「タキソール」の発見はアメリカの国家戦略で発見されました。

アメリカの第40代レーガン大統領の大号令で抗がん剤の開発を国家レベルでやっていたというわけです。

何故、レーガン大統領なのか?

実はレーガンはアメリカ史上、最年長で選出された大統領(69歳349日)であり、唯一離婚歴を有する大統領だからです(離婚は関係ないけれど)。

最年長で大統領になって、自分が「がん」になることを恐れて国の予算をドバっとNIHに提供して、世界中の隅から隅までシーズ探しをやらせました。

実際に、レーガンは何度か鼻の頭に皮膚がんができて手術で取りました。

ちなみに、あとになって知ったのだけれど、僕のところにもNIHから「おまえの作った化合物を5g送れ」と手紙が来た。(もちろん謝礼金はなし。)

当時、僕はピロリジン骨格の化合物合成をやっていて、その論文の中から、気になる骨格をNIHが見つけて、それで「送れ」ということになったらしい。

しょうがないから、送ったけれどね。


で、その国家レベルの抗がん剤シーズ探しで最も有力だったのが、「セイヨウイチイ」の樹皮から抽出されたタキサン化合物。

これを基にパクリタキセルが合成され、当時の世界で最も抗腫瘍効果が高かった(in vitroで)のだ。

それをアメリカの製薬会社、ブリストル・マイヤーズが商品開発に乗り出した。


一方で、フランスの製薬会社のローヌ・プーラン ローラーという会社は「セイヨウイチイ」の葉から、やはりタキサン骨格を持った化合物を抽出して、これもまた抗腫瘍効果が高いことを発見し、「タキソテール」として開発を始めた。

僕は、この「ローヌ・プーラン ローラー」に勤めていて、「タキソールはセイヨウイチイの樹皮を剥いで抽出するので、そのイチイの木はだめになるが、タキソテールは葉から抽出できる。葉はむしっても、次の年にまた出てくるので、省資源的にも優れている」という訳の分からない「利点」を覚えたものだ。

まぁ、他にもタキソテールはタキソールに比べて水溶性が高いとか、点滴時間が短くて済むとか、メリットはあったのですが。

(ちなみに、この「タキソテール」と「タキソール」って、名前が似ていて、投薬する時に間違いやすいので、いつも「ヒヤリ・ハット事例」にのるんだよね。抗がん剤だから、間違えるとやばいよね。どっちの会社も思い入れがあるので、名前を変えそうにない。)


「タキソテール」も「タキソール」も今では広く、多くの「がん」の治療薬として使用されている。

作用機序はどちらも細胞分裂の際にできる「微小管(チューブリン)」の脱重合を阻害することで、がん細胞を死滅させる、というものだ。




植物由来の抗がん剤としては「イリノテカン(カンプトテシン)」(ヤクルト本社ー第一製薬)もある。

「イリノテカン」は「カンレンボク」という植物から得られる。

この「カンレンボク」は和名が「キジュ(喜樹)」というおめでたい名前がついている。(まるで、将来、抗がん剤が発見されることを予想してつけたような名前だ。)

イリノテカンの作用機序はトポイソメラーゼTを阻害することです。

トポイソメラーゼはDNA複製時に生じたねじれや構造上のゆがみを修正する為にDNAを適宜切断および再結合させる働きを持つ酵素です、はい。




そのほかに植物由来の抗がん剤として有名なところとしては「ビンクリスチン」がある。

「ビンクリスチン」の歴史は古く、「ニチニチソウ」から発見されている。

「ニチニチソウ」は生命力が強いので、「きっと、何かある」と科学者の勘で調べ始めたんじゃないのか、なんて思ったりしている。(本当のところは知らない。)

ビンクリスチンの作用機序は微小管(チューブリン)の重合反応を阻害することによる細胞の有糸分裂阻害。


また、多くの植物にある「リグナン」という物質から作られた抗がん剤として「エトポシド」がある。

この「エトポシド」はメギ科ポドフィルムの根から得られた「リグナン」から開発された。



植物とはちょっと違うけれど、エーザイの「ハラヴェン(エリブリン)」は海綿由来の天然有機化合物であるハリコンドリンBの大環状ケトン合成アナログ(構造類縁体)だ。

ハリコンドリンBはハリコンドリア属 (Halichondria) の海綿(クロイソカイメン)から単離された、ユニークな作用機構を有する強力な細胞分裂阻害剤である(2009年に、岸義人らによりE7389(エリブリン)の新規合成経路が報告されている)

この化合物が発見当初から、無茶苦茶、合成が難しいという評判だった。

ハーバード大の岸先生のエレガントな合成方法に驚嘆したものだ。

ハラヴェン(エリブリン)はチューブリンの合成阻害。

初めて乳がんで生存期間の延長させた抗がん剤です。



抗がん剤ついでに話を展開すると、有名な抗がん剤に「シスプラチン」という「白金製剤」がある。

構造式の中に白金(Pt)が入っているので、とても高価!

で、何故、白金に抗腫瘍効果があることが分かったのか?

ある「ものぐさ」な科学者が「白金電極」を寒天培地に突っ込んで忘れていたら、大腸菌の生育を抑えることを偶然、発見したのがきっかけです(1965年、アメリカ合衆国のバーネット・ローゼンバーグです^^;)。

まるで、フレミングのペニシリンみたいだね。

「ものぐさ」も科学者の大切な「能力」なのだ。



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2012年09月21日

「代諾者」を英語で言うと?

今週は英語の勉強をしましょう。

「GCPで学ぶ英語超入門」です。


日本語の原文のGCPはちょっと古いですが、「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成九年三月二十七日厚生省令第二十八号)最終改正:平成二一年三月三一日厚生労働省令第六八号」です。
   ↓
「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成21年版)」


英訳文は「Ministerial Ordinance on Good Clinical Practice for Drugs(2009年3月31日)」です。
   ↓
「Ministerial Ordinance on Good Clinical Practice for Drugs(2009年3月31日)」



■■■■■ 引用 ■■■■■

18. The term "adverse event" as used in this Ministerial Ordinance means any disease or its clinical signs occurring in a subject who has been treated with an investigational product or post-marketing study drug.

  ↓

18 この省令において「有害事象」とは、治験薬又は製造販売後臨床試験薬を投与された被験者に生じたすべての疾病又はその徴候をいう。

■■■■■■■■■■■■■■


■adverse event・・・「有害事象」。「AE」と略していう事もありますね。「重篤な有害事象」は「serious adverse event 」で略して「SAE」ですね。

■disease・・・「病気,疾病」。「急性[慢性]疾患」は「an acute [a chronic] disease」

■sign・・・「兆候」

■occur・・・「起こる」。名詞は「occurrence」で「事件,出来事、発生;出現」




■■■■■ 引用 ■■■■■

19. The term "legally acceptable representative" as used in this Ministerial Ordinance means an individual who exercises parental rights over a subject, the subject’s spouse or guardian, or any other person who is considered to be such a representative.

  ↓

19 この省令において「代諾者」とは、被験者の親権を行う者、配偶者、後見人その他これらに準じる者をいう。

■■■■■■■■■■■■■■


■legally acceptable representative・・・「代諾者」。「legally」は「法律的[合法的]に」。「acceptable」は「許容し得る」。「representative」は「代理人」ですが、一般的には「セールスマン(((略式))rep).」ですね。

■exercise・・・「(徳などの)実行」

■parental・・・「親のような」

■spouse・・・「配偶者」

■guardian・・・「後見人」。ビジネスの現場では「仕事を見守る人、見張る人」というような意味でも使います。




■■■■■ 引用 ■■■■■

22. The term "investigational product provider" as used in this Ministerial Ordinance means an individual who provides investigational products to a sponsor-investigator.

  ↓
22 この省令において「治験薬提供者」とは、自ら治験を実施する者に対して治験薬を提供する者をいう。

■■■■■■■■■■■■■■


■investigational product provider・・・「治験薬提供者」だけ、覚えておきましょう。





・・・・・・と言うことで、今週は「GCP」用語と「基本単語」及び「ビジネス英語」の超入門編をお送り致しました。

できたら、全文、英語のGCP省令をひととおり読んでおくといいです。

テクニカルタームも覚えられるし、法律的使い方も覚えられますし、簡単な英単語も覚えられます。

とにかく、覚えましょう!

インプット無しではアウトプットもできません。

国際共同治験を担当するモニターは「英会話」よりも「英語のモニタリング報告書」とか「英語のe-mail」で苦しめられます。

参考になるものとして、「症例報告書を英語で記載する場合の留意点」(製薬協作成)もあります。
  ↓
「症例報告書を英語で記載する場合の留意点」



その他に、治験に関する英語のフレーズ、単語で参考になるサイト、メルマガ、書籍等。


●医学英語のメルマガ「気楽に?1分〜脳に染み込む医?学論文・頻出単語!」<<<======超おすすめ!!
  ↓
http://medieigo.com/list/mm/mailmagazine#mmdetail1


●上記のメルマガを出している会社のホームページ「メディエイゴ」
  ↓
http://medieigo.com/


●国際共同治験Q&Aと英文モニタリング報告書の書き方例
  ↓
http://www.mplanguage.co.jp/book/recommendbook/


●グローバル治験で必要となるモニター英語
  ↓
http://www.science-t.com/st/cont/id/16656


●治験翻訳入門
  ↓
http://www.hicareer.jp/trans/chiken/731.html


●臨床研究・試験英語コース
  ↓
http://www.jmesc.org/learning/guide/


●医薬翻訳の扉
  ↓
http://medical.husuma.com/adverse.html


●ライフサイエンス辞書
  ↓
http://lsd.pharm.kyoto-u.ac.jp/ja/service/weblsd/index.html


●医学英語略語
  ↓
http://www.medo.jp/abbr.htm


●医歯薬英語辞書(上記のホームページ)
  ↓
http://www.medo.jp/0.htm


●Weblio 辞書
  ↓
http://ejje.weblio.jp/content/%E6%B2%BB%E9%A8%93


●Yahoo!の学びのサイト(TOEICリスニング試験用(音声つき))
  ↓
http://stepup.yahoo.co.jp/english/toeictest/


●先週放送のNHKラジオ「実践ビジネス英語」
  ↓
http://www.nhk.or.jp/gogaku/english/business2/


●TOEIC 必須表現テスト
  ↓
http://home.alc.co.jp/db/owa/eng_toeicword


●看護に役立つ!実践メディカル英語
  ↓
http://www.alc.co.jp/eng/esp/nurse/


●カルテ用語辞典
  ↓
http://home.alc.co.jp/db/owa/eng_medicaldic


●医学英単語テスト
  ↓
http://home.alc.co.jp/db/owa/eng_mediword



●東京医科大学 the English for Medical Purposes(EMP)  
     ↓
https://www.emp-tmu.net/login/?&
(登録は無料)


●その他にも・・・・・・
  ↓
http://medieigo.com/link/website.htm


●医学英語のミニテスト(アルクのサイト)
  ↓
http://home.alc.co.jp/db/owa/eng_mediword


●ライフサイエンス辞書プロジェクト
  ↓
http://lsd.pharm.kyoto-u.ac.jp/ja/index.html



●NHK デジタル基礎英語
  ↓
http://cgi2.nhk.or.jp/digikiso/index.cgi



●NHKラジオ 入門ビジネス英語
  ↓
http://www.nhk.or.jp/gogaku/english/business1/index.html



●NHKラジオ英語講座「攻略!英語リスニング」
  ↓
http://www.nhk.or.jp/gogaku/english/kouryaku/#listen



●先週放送のNHKラジオ「実践ビジネス英語」
  ↓
http://www.nhk.or.jp/gogaku/english/business2/


●TOEIC 必須表現テスト
  ↓
http://home.alc.co.jp/db/owa/eng_toeicword




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2012年09月20日

「治験分担医師」を英語で言うと?

今週は英語の勉強をしましょう。

「GCPで学ぶ英語超入門」です。


日本語の原文のGCPはちょっと古いですが、「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成九年三月二十七日厚生省令第二十八号)最終改正:平成二一年三月三一日厚生労働省令第六八号」です。
   ↓
「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成21年版)」


英訳文は「Ministerial Ordinance on Good Clinical Practice for Drugs(2009年3月31日)」です。
   ↓
「Ministerial Ordinance on Good Clinical Practice for Drugs(2009年3月31日)」




■■■■■ 引用 ■■■■■

11. The term "subinvestigator" as used in this Ministerial Ordinance means a physician or a dentist who takes charge of part of the activities related to a clinical trial under the supervision of the investigator at a medical institution.

  ↓

11 この省令において「治験分担医師」とは、実施医療機関において、治験責任医師の指導の下に治験に係る業務を分担する医師又は歯科医師をいう。

■■■■■■■■■■■■■■


■subinvestigator・・「治験分担医師」ですね。もともと「sub」には「補助の、副の」という意味があります。

■takes charge of・・・「…の世話[管理]を引き受ける」。「in charge of」で「・・・の責任者」という意味。

(例文)

He is in charge of our class.
彼は我々のクラスの担任だ.

もともと「charge」は「(代金を)請求する」「(仕事などを)課す,託す」という意味ですね。


■relate to・・・「…に関連して」

■supervision・・・「監督,管理,指図,指示」






■■■■■ 引用 ■■■■■

13. The term "case report form (CRF)" as used in this Ministerial Ordinance means a document containing source data on each trial subject and evaluation of those data by the investigator or subinvestigator, or by the post-marketing study investigator or post-marketing study subinvestigator.

  ↓

13 この省令において「症例報告書」とは、原資料のデータ及びそれに対する治験責任医師若しくは治験分担医師又は製造販売後臨床試験責任医師若しくは製造販売後臨床試験分担医師の評価を被験者ごとに記載した文書をいう。

■■■■■■■■■■■■■■


■case report form (CRF)・・・「症例報告書」。私は口癖でCRFのことを「ケースカード」と呼んでます。これはどこの会社に入社したかで呼称変わってきますよね。

■contain・・・「含む」 。ちなみに「content」は「内容」。

■evaluation・・・「評価(をしたもの),見積もり(をしたもの).」。動詞は「evaluate」で「評価する」。




■■■■■ 引用 ■■■■■

14. The term "trial collaborators" as used in this Ministerial Ordinance means pharmacists, nurses, or other healthcare professionals who collaborate in activities related to a clinical trial under the supervision of either the investigator or the subinvestigator at a medical institution.

  ↓

14 この省令において「治験協力者」とは、実施医療機関において、治験責任医師又は治験分担医師の指導の下にこれらの者の治験に係る業務に協力する薬剤師、看護師その他の医療関係者をいう。

■■■■■■■■■■■■■■


■trial collaborators・・・「治験協力者」。う〜〜〜ん、「治験協力者」を「CRC=Crinical Reaserch Coordinator」と英訳していないあたりが、ビミョウだな。まぁ、治験協力者は「CRC」に限らないですからね。
「collaborator」は「共同者」で、動詞は「collaborate」で「(仕事を)共同でする」はビジネス必須英単語なので覚えましょう。

(例文)
collaborate with a person on a book [=in writing]


■pharmacist・・・薬剤師

■nurse・・・「看護師」




■■■■■ 引用 ■■■■■

16. The term "monitoring" as used in this Ministerial Ordinance means the act of overseeing the progress of a clinical trial or post-marketing study, and of determining whether the clinical trial or post-marketing study is being conducted in compliance with this Ministerial Ordinance and the protocol of the clinical trial (hereinafter referred to as "protocol") or the protocol of the post-marketing study (hereinafter referred to as "post-marketing protocol"), in order to ensure that the clinical trial or post-marketing study is properly conducted.

Such act is performed at the medical institutions by a person sponsoring a clinical trial (hereinafter referred to as "sponsor") or a person sponsoring a post-marketing study (hereinafter referred to as "post-marketing study sponsor"), or by an individual appointed by a sponsor-investigator.

  ↓

16 この省令において「モニタリング」とは、治験又は製造販売後臨床試験が適正に行われることを確保するため、治験又は製造販売後臨床試験の進捗状況並びに治験又は製造販売後臨床試験がこの省令及び治験の計画書(以下「治験実施計画書」という。)又は製造販売後臨床試験の計画書(以下「製造販売後臨床試験実施計画書」という。)に従って行われているかどうかについて治験の依頼をした者(以下「治験依頼者」という。)若しくは製造販売後臨床試験の依頼をした者(以下「製造販売後臨床試験依頼者」という。)が実施医療機関に対して行う調査又は自ら治験を実施する者が実施医療機関に対して特定の者を指定して行わせる調査をいう。

■■■■■■■■■■■■■■


■oversee・・・「〈仕事・作業員などを〉監督する.」

■progress・・・「進行,進展」

「The term "monitoring" as used in this Ministerial Ordinance means the act of overseeing the progress of a clinical trial or post-marketing study」だけを取り出すと「モニタリングとは治験又は製造販売後臨床試験の進行を確認する行為である」ですね。



■determine・・・「決定する」と言うか「測定する」、「確かめる」という程度の訳ですね。

■whether・・・「〜かどうか」

■compliance・・・「法令遵守」。この言葉はもう日本語になっていますね。「コンプライアンス」ですね。通常は「法令順守」ですが、薬の服用に限って言うと「服薬状況」ですね。

「この患者さんはコンプライアンスが悪い」と言うと「きちんと服薬していない」という意味ですね。

「and of determining whether the clinical trial or post-marketing study is being conducted in compliance with this Ministerial Ordinance and the protocol of the clinical trial 」だけを取り出すと「GCPやプロトコルを守って治験が行われているかどうかを確認する」ということです。



■hereinafter referred to as "protocol"・・・「以下、プロトコルと言う」というセンテンスです。

■in order to・・・「〜するために」

■properly・・・「適切に」


「in order to ensure that the clinical trial or post-marketing study is properly conducted.」だけ取り出すと「治験や製造販売後臨床試験が適切に行われていることを確認するために」。


■Such・・・「このような」

■act・・・「行為」

■perform・・・「行う」。名詞は「performance」で「功績,成果」ですね。ビジネス必須英語です。「high performer」で「できるビジネスパーソン」という感じですね。

■sponsor・・・通常は「後援者」という意味ですが、GCPでは「治験依頼者」を指します。

■appoint・・・「〜を任命する」

■sponsor-investigator・・・「自ら治験を実施する者」。覚えておきましょう!



というように長い英文はぶち切りにして、意味をさぐり、その後、トータルで言うと、こんな感じだな、というふうにもっていきましょう。




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2012年09月19日

「被験薬」を英語で言うと?

今週は英語の勉強をしましょう。

「GCPで学ぶ英語超入門」です。


日本語の原文のGCPはちょっと古いですが、「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成九年三月二十七日厚生省令第二十八号)最終改正:平成二一年三月三一日厚生労働省令第六八号」です。
   ↓
「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成21年版)」


英訳文は「Ministerial Ordinance on Good Clinical Practice for Drugs(2009年3月31日)」です。
   ↓
「Ministerial Ordinance on Good Clinical Practice for Drugs(2009年3月31日)」



■■■■■ 引用 ■■■■■

5. The term "test drug" as used in this Ministerial Ordinance means a drug that is tested in a clinical trial or a drug product that is tested in a post-marketing study.

  ↓

5 この省令において「被験薬」とは、治験の対象とされる薬物又は製造販売後臨床試験の対象とされる医薬品をいう。

■■■■■■■■■■■■■■


■test drug・・・「被験薬」ですね。思いっきり暗記しましょう。

■drug product・・・「薬物」。もちろん「drug」だけでも「薬物」です。



■■■■■ 引用 ■■■■■

6. The term "comparator" as used in this Ministerial Ordinance means a drug or other substances, used as a reference in a clinical trial or a post-marketing study for the purpose of comparison with a test drug.

  ↓

6 この省令において「対照薬」とは、治験又は製造販売後臨床試験において被験薬と比較する目的で用いられる医薬品又は薬物その他の物質をいう。

■■■■■■■■■■■■■■


■comparator・・・「対照薬」ですね。 ちなみに「対照薬」は「control drug」とも言います。

■substance・・・「物質」。ちなみに「薬物乱用」を「substance abuse」とも言います。abuseは「乱用」です。




■■■■■ 引用 ■■■■■

7. The term "investigational products" as used in this Ministerial Ordinance means a test drug and a comparator (limited to the drugs that are used for the clinical trial).

  ↓

7 この省令において「治験薬」とは、被験薬及び対照薬(治験に係るものに限る。)をいう。


■■■■■■■■■■■■■■


■investigational products・・・治験薬

■clinical trial・・・治験、臨床試験





■■■■■ 引用 ■■■■■

9. The term "subject/trial subject" as used in this Ministerial Ordinance means an individual who receives an investigational product or a post-marketing study drug, or an individual who participates in the clinical trial as a control.

  ↓

9 この省令において「被験者」とは、治験薬若しくは製造販売後臨床試験薬を投与される者又は当該者の対照とされる者をいう。

■■■■■■■■■■■■■■


■subject 又は trial subject・・・被験者。ちなみに「subject」はもともとは「(思考・議論などの)主題;問題,課題」等という意味ですね。
「subject」は動詞も同じ形で「〈人・国・心などを〉支配する,征服する,(…に)服従させる((to ...))」というような意味があります。

■individual・・・個人。形容詞も同じ形で「個々の」という意味です。

■participate・・・「参加する」。名詞は「participant」で「参加者」。「会議に参加する・・・participate in a meeting」とか「会議の参加者」等で使われます。ビジネス英語必須ですので、覚えましょう!

■control・・・名詞では「対照」




■■■■■ 引用 ■■■■■

10. The term "source documents" as used in this Ministerial Ordinance means data and other records obtained by the administration of investigational products or post-marketing study drug to subjects and the medical treatment of the subjects in the clinical study.

  ↓

10 この省令において「原資料」とは、被験者に対する治験薬又は製造販売後臨床試験薬の投与及び診療により得られたデータその他の記録をいう。

■■■■■■■■■■■■■■

■source documents・・・「原資料」。
ここから「直接閲覧」の「SDV」とは「Source Documents Verification」の略です。あるいは「Source Date Verification」の略、という説もあります。
「Verification」は「確かめること,確認」。動詞は「verify」で「…が真実であることを証明[立証,確証]する」です。
「source」は「(物・事などの)もと」です。

■record・・・記録

■obtaine・・・…を獲得する,手に入れる。

(例文)
obtain a job
仕事にありつく

The new invention obtained him a fortune [=a fortune for him].
新発明で彼は富を獲得した.


■administration・・・一般的には「管理,経営,運営」という意味ですが、ここでは「薬の投与」という意味で使われています。口語で略して「アドミニ」という人もいます。

■medical treatment・・・治療。「treatment」だけでも「治療」という意味があります。健康診断は「medical check」




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2012年09月15日

GCPで学ぶ英語超入門編

今週は英語の勉強をしましょう。

「GCPで学ぶ英語超入門編」です。


日本語の原文のGCPはちょっと古いですが、「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成九年三月二十七日厚生省令第二十八号)最終改正:平成二一年三月三一日厚生労働省令第六八号」です。
   ↓
「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成21年版)」


英訳文は「Ministerial Ordinance on Good Clinical Practice for Drugs(2009年3月31日)」です。
   ↓
「Ministerial Ordinance on Good Clinical Practice for Drugs(2009年3月31日)」


では、冒頭から英語を見ていきましょう。

■■■■■ 引用 ■■■■■

●Chapter I. General Provisions Article 1. Purpose

(抜粋)
so as to ensure the scientific quality of clinical trials and the reliability of clinical trial data while the rights, safety and welfare of human subjects are protected and promoted.

  ↓

●第1章 総則 第一条 (趣旨)

被験者の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上を図り、治験の科学的な質及び成績の信頼性を確保するため


■■■■■■■■■■■■■■


◆上記の英文の中に出てきた単語の意味

■ensure(他動詞)・・・確保する,保証する

この「ensure」って、ビジネスの現場でも頻出しますので、覚えちゃいましょう。

(例文)

This decision ensured a large income for her son.

その決定で彼女の息子は多大の収入が得られることになった.


■clinical trial・・・臨床試験、治験。clinical study とも言います。絶対に覚えましょう!

■reliability(名詞)・・・信頼性。
形容詞は「reliable」で「頼りになる,確かな,信頼できる,当てにできる」。
「rely on 〜」で「〜を頼りにする」も必ず覚えましょう。

■welfare・・・幸福,繁栄,福利, 福祉。 ちなみに厚生労働省の英名は「Ministry of Health, Labour and Welfare 」

■human subjects・・・被験者

■protect・・・保護

■promote・・・を助長[助成]する,促進する。名詞は「promotion」で「促進」という意味ですが、ビジネスの現場では「昇進」や「昇給」という意味でよく使われます。





■■■■■ 引用 ■■■■■

Article 2. Definitions

2. The term "medical institution" as used in this Ministerial Ordinance means medical sites where a clinical trial or post-marketing study is conducted.

  ↓

2 この省令において「実施医療機関」とは、治験又は製造販売後臨床試験を行う医療機関をいう。

■■■■■■■■■■■■■■


■medical institution・・・治験の実施医療機関ですね。

■Ministerial Ordinance・・・「省令」です。

■conduct・・・処理する,実施する。 名詞としては「ふるまい,行為、運営」

(例文)

conduct a business・・・業務を遂行する。

ちなみにオーケストラの指揮者は「conducter」と言います。




■■■■■ 引用 ■■■■■

3. The term "investigator" as used in this Ministerial Ordinance means a physician or dentist who supervises activities related to a clinical trial conducted at a medical institution.

  ↓

3 この省令において「治験責任医師」とは、実施医療機関において治験に係る業務を統括する医師又は歯科医師をいう。

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■investigator・・・治験責任医師です。「責任」を強調したい時は「 chiefinvestigator 」とします。
ちなみに治験分担医師はsubinvestigator。
治験薬概要書は「investigator's brochure」。
そもそも「investigate」は「調査する」という意味。

■physician・・・医師、ですが。単純に「内科医」と意味で使われることもあります。

■dentist・・・歯医者

■supervise・・・〈仕事・労働者・組織などを〉監督[管理,指図]する;…に目を光らせる.  ちなみに上司を「superviser」とも言います。



英語の単語を覚える時は日本語にしなくても分かるようにしましょう。

たとえば「dog」を見たり、聞いたりしたときに、いちいち「犬」とは訳さなくても分かりますよね?

それと同程度に覚えましょう。

また、英文を読む時も、日本語に訳さないで理解できるように訓練しておきましょう。

たとえば、「I have a pen.」という英文を見た時に、いちいち「私はペンを持っている」と訳さなくても理解できますよね?

そういうことです。




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医薬品ができるまで(治験に関する話題)

●塚田 淳彦 (ホーライ) facebook
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posted by ホーライ at 07:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 自己啓発 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする