2012年08月25日

そもそも、ゲノム創薬とは?

今週は「ゲノム創薬」について見ていきたいと思います。

そもそも、ゲノム創薬とは?

あるいは、バイオ医薬品とは?

ゲノム創薬って言うけれど、実際のところ、どうなの?


まず、意外と古い歴史があるバイオ医薬品について。


遺伝子の組み換え技術を利用して、微生物や動物の培養細胞によってつくられる「バイオ医薬品」は、1980年代後半に実用化された。

僕がプラント立ち上げに携わったバイオ医薬品は、「酵母」に人間の血液凝固因子を作らせるものだった。(1987年頃)

遺伝子組み換え技術で世界で初めて作られた薬は、インスリン。

糖尿病の患者さんは継続的にインスリンを投与する必要があるけれど、従来、インスリンは人工的に合成するのが難しいとされていた。

ウシやブタのインスリンを作る遺伝子はヒトと似ているため、血液中の新素凜を精製すれば薬を作ることができたけれど、、免疫反応という大きな問題があった。

そこで、遺伝子組み換え技術の応用だ。

まず、正常にインスリンを分泌するヒトの遺伝子を切り出し、大腸菌のプラスミド(環状の小さな二本鎖のDNA)に組み込みこむ。

大腸菌に組み込まれた正常なヒトインスリン遺伝子が大腸菌中で働き出し、大腸菌がヒトインスリンをつくる。

大腸菌は培養が極めて容易で増殖スピードが速いため、ヒトインスリン遺伝子を発現する大腸菌を大量培養すれば、大量のヒトインスリンを確保することが可能になる。


バイオ医薬品は(1)得られる医薬品の純度が高い、(2)大量生産ができる、(3)タンパク質などの構成成分の一部を改変できる、(4)複雑の構造をもつ化合物を作成できるので、薬の安定性の向上や効果を長続きさせるなどの付加価値が付けられる、などのメリットが大きく、これまでは治癒の難しかった遺伝性の疾患や難病の治療にもつながると期待されていた。

研究・開発が進んだ現在はヒトインスリンだけでなく、赤血球の量を増やし腎性貧血の治療薬に使われる「エリスロポエチン(EPO)」、免疫力を亢進させ、がんの化学療法を補助したりC型肝炎の治療に使用される「インターフェロン(IFN)」、低身長症の治療薬の「ヒト成長ホルモン(hGH)」など、多くの医薬品が遺伝子組み換えでつくられている。

バイオ医薬品は現在、約230種類が市販され、全市販薬の売上の約20%を占めるまでになっており、がん、心筋梗塞、糖尿病、AIDS、パーキンソン病、多発性硬化症など様々な病気に対して使用されている。

バイオ医薬品の可能性と市場規模は今後もさらに拡大することは間違いないでしょう。

詳細はこちら
  ↓
「日本におけるバイオ医薬品開発」


では、ゲノム創薬とは?

解読されたヒトゲノムの情報を基に、病気や病態を狙い撃ちする全く新しい医薬品を開発しようという試みが、ゲノム創薬と呼ばれる分野だ。

遺伝子(Gene)と染色体(Chromosome)の合成語であるゲノム(Genome)。


そもそも、1990年、米国を中心に、日英仏独中の16研究機関の科学者が協力して、人間の遺伝子に刻み込まれた情報を解読する「国際ヒトゲノム計画」がスタートした。

そして人間の細胞核内にある染色内には約30億対の塩基配列が存在していることが判明し、その過程で約1000種にも上る病気の発症に関する遺伝子が発見された。

また、この研究では人間のDNAは99.9%まで同じだが、残りの0.1%が異なることが分かり、この部分に人間の多様性や病気に関する個人差の原因があると考えられている。

2005年にはこの個人差の指標となるハプロタイプマップ(HapMap)の第1相データが発表され、2008年には寄り詳細な疾病関連遺伝子のマップを作製する「1000ゲノムプロジェクト」がスタートした。
  ↓
「1000 Genomes Project data available on Amazon Cloud」




従来の創薬プロセスは、数万存在する化合物を一つずつ調査することをベースにしていたため、新しい医薬品の候補物質の発見には研究者の経験だけでなく、「勘」や「偶然」といった面に頼らざるを得ない面があった。

しかし、遺伝子情報をベースに病気との関連性を解析し、論理的かつ科学的に新たな医薬品の芽を見つけようとするゲノム創薬は、コンピュータに蓄積されたデータを特定の方式でデザインされたソフトウェアで検証するだけなので、効率が非常によいのが特徴だ。

また、これまでの創薬が対象とするのは、生理機能の調節に関係する細胞の受容体や酵素あたりに限界があったため、400種類程度。

しかし、遺伝子の産物であるタンパク質やDNAが対象になるゲノム創薬では、一気に3000以上に対象が拡大されるといわれている。

つまり、従来と比較して創薬のターゲットになる物質を発見できるチャンスが大幅に増えるだけでなく、そのプロセスでは研究者の経験よりも解析力が問われることになったため、ベンチャー企業の参入ができるようになってきた。

2003年に人間の遺伝子情報の完全解読が完了したことを契機に、一斉に開始されたゲノム創薬は早いもの勝ちという投機的な側面を持ち合わせている。

検証すべきターゲットはデータベースとして存在していますので、開発生産性をいかに高められるかどうかが重要になる。



近年、海外の製薬企業が莫大な資本力を背景に合併を繰り返し、研究者を大量に確保しているのは、そのスケールメリットを活かしてゲノム創薬競争を一気に征しようという野望があるのだろう。

今さら、言うまでもなく、世界最大の製薬企業であるアメリカのファイザーの年間研究費は、国内最大である武田薬品の5倍以上を誇っている。

また欧米ではそれまで遺伝子解析を専門としてきたベンチャー企業がゲノム製薬企業となって、その規模を拡大中。

欧米勢に押され気味だった日本の製薬企業も対抗手段として、異業種同士の提携や商社の資本参加などを行っていますが、規模の面では依然として大きく遅れをとっているというわけだ。


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2012年08月24日

臨床研究中核病院を成功させるポイント

今週は●「平成24年度臨床研究中核病院整備事業の公募結果について」を見てきました。

私たちとして期待するのは、これらの病院が確実に機能してくれることです。

今週、何度も書きましたが、このようなプロジェクトが成功するかどうかは「リーダーシップとマネジメントの両方に長け、かつ情熱の塊のような人材」の存在です。

私も何十年も民間企業で働いてきて、この手の社内プロジェクトに数多く関わってきましたが、成功するかどうかはプロジェクトリーダーにかかっています。

プロジェクトマネジメントというのは、ちょっと特殊な知識とスキルが必要なのですが、これらは、まぁ、教育でなんとかなります。

教育でなんとかならないのが(なりにくいのが)「情熱」です。

ひとつの大きなプロジェクトにはリーダーの下にサブリーダーがいて、そのサブリーダーの下にいくつかのユニット(チーム)が存在します。

もちろん、これらの現場のチームメンバーやサブリーダーの「働き」と「情熱」も大切なのですが、なんと言っても、総リーダーです。

5年という長期計画ですと、さらに心配なのが、チームメンバーの「モラル(士気)」です。

計画は立派でいいけれど、どうせ、絵に描いた餅さ、という白けた気分にさせないためには、プロジェクトチームが立ち上がって、すぐに「成功例」を作ることです。

小さなことでもいいので、何かしらかの「成功」があると、他のチームも、頑張る気になります。

臨床研究中核病院における最終目的は「新薬の承認申請」でしょうが、その前にマイルストーンとして「フェーズ1が問題無く終わりました」とか「フェーズ2に入りました」という成功をプロジェクトメンバーに広報していくことです。


さらに、臨床研究中核病院プロジェクトに置いても、各病院のスライドを見ると分かりますが、民間企業(製薬会社とかベンチャー企業)の協力も不可欠です。

そういう意味で、この「臨床研究中核病院プロジェクト」は、創薬業界共通の目標です。

患者にとっては、自分の病気を治療してくれる新薬が製薬会社がリードして作ったものか、それとも中核病院がリードして作ったものなのか、なんて関係ありません。

患者の興味のまとは、「いつ、治療薬ができるなのか」の一点です。

ひょっとしたら、製薬企業・ベンチャー企業の「モラル(士気)」が、臨床研究中核病院の成功に一番、大きく貢献するのかも。

少なくとも「他人ごと」のように「遠い目」で見ないことです。

「よ〜〜し、中核病院を利用尽くすぞ!」ぐらいで丁度いい。

製薬企業の社内に「臨床研究中核病院活用対策チーム」なんていうのが出来てもいいくらいです。





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2012年08月23日

臨床研究中核病院:京都大学病院と九州大学病院の例

今週は●「平成24年度臨床研究中核病院整備事業の公募結果について」を見ています。

今日は、●「京都大学病院」を見ていきましょう。

京都大学病院の特徴は「臨床研究総合支援センターによるナビゲーション」ですね。

「シーズ」の創出から「新薬承認」までを「臨床研究ハイウェイ」と言っているあたりが、新しいと言えば新しい^^;

さらに「臨床研究中核病院 進捗管理委員会」を設置するようです。

これはグッドアイデアですね。

絶対に必要です。こういう進捗を管理して、お尻を叩く人(組織)は。

研究シーズの例としては、以下を記載しています。

●難治疾患・がん等の医師主導治験等
 *多発性骨髄腫
 *ダウン症患者のアルツハイマー病に対する新規AD治療薬の開発
 *乳がん等を対象とした新規histon deacetylase(HDAC)阻害薬の臨床開発
 


上記の「histon deacetylase(HDAC)阻害薬」については、下記をご覧ください。
  ↓
●Histone Deacetylase(HDAC)阻害剤を利用した効果的がん化学療法の開発
  ↓
「Histone Deacetylase(HDAC)阻害剤を利用した効果的がん化学療法の開発」


さらに、京都大のスライドの5ページを見ると、「出口戦略」があります。

そして6ページに「ICH-GCP」があります。

その5ページと6ページを見て思ったのですが、「パワポのスライドからは何も分からない」ということです。

研究班や厚生労働省のお役人にプレゼンするときは、この程度でいいと思いますが、私たち「国民」はまるで理解できません。

臨床研究中核病院の担当者は、きれいにまとめたパワポのスライドではなく、是非、ワード等で詳しく文章化してネットで公開するのが義務ではないでしょうか?(税金でやるのだから)

それに、中核病院を活用したい、という企業や他の病院の方々に対する情報提供が必要です。

いったい、お宅の病院では何をやってくれるの? というのが分からないと、とても「オープンアクセス」できません。

今後は、このあたりをもっと積極的にセールスしてください。

でないと、せっかくの「想い」が「絵に描いた餅」になりかねません。


今日は、もうひとつの●「九州大学病院」も見てみましょう。

九大には「ARO次世代医療センター」という組織があるみたいですね。

「次世代に最新最適医療と希望を伝えるAROの構築」だそうです。

九大のプロジェクトが5つのキーワードとして挙げているのは以下のものです。

●GCP

●高品質試験

●中央IRB

●ネットワーク

●ARO

上記の5つのキーワードを達成するために多くのユニットを設置するようです。

「ネットワーク調整室」や「プロジェクト管理ユニット」、「モニタリングユニット」等

九大が他の大学と違って目をひくのは、そのユニットの中に「メディカル ライティング ユニット」がある(これから作る)点ですね。

この「メディカル ライティング ユニット」の働きは「総括報告書作成」等です。このあたりは民間企業と同じ役割です。

さらにスライドの5ページにある「単施設・多施設における被験者の安全管理体制」も目をひきます。

病院で行う臨床試験・治験ですから、その安全管理も病院が本来はしっかりとやらないといけないのですが、企業主導治験の場合は、あまりそうはなっていませんでした。

今後は、このような安全管理は医師主導治験やAROの臨床試験では絶対に必須ですね。

九大では「PV担当者」も設置するようです。 PV=ファーマコビジランス: pharmacovigilance


九大のスライドの6ページを見ると、「医師主導治験」がけっこう、活発にやられているのが分かります。(時代は変わったもんだ。)

8ページを見ると、流行の(^^)「出口戦略」がありますね。

「出口戦略を見据えた支援体制」です。かなりの部署が全面的に支援することが分かります。

このスライドを見て思ったのですが、今後は、製薬企業やCROから病院のこういった支援体制に転職も「あり」ですね。(給与面がちょっと心配ですが^^;)

スライドの10ページを見ると「その他特に強調したいこと」があります。

そこにこっそり書かれているのですが、重要なこととして「中央IRBでの審議結果は参加医療機関 のIRBでは審議結果報告として 取り扱われ二重審査は行われない」とあります。

いいですね。中央IRBの場合、この「二重審査」が心配なのですが、それがないと、治験依頼者も助かります。

さらに、このスライドに「九州臨床研究支援センター」と「治験ネットワーク福岡」の文字が見えます。

「九州臨床研究支援センター」・・・ちなみに僕のPCでは、このサイトを見ようとするとエラーが・・・何故?

「治験ネットワーク福岡」


今では、全国にこの手の「治験ネットワーク」が数多くありますが、有効に活動しているのはどれくらいでしょうか?

仕事でも趣味でも一緒ですが、立ち上げるのは簡単です。

それを継続的に活動させるのが、超むずかしい。

ネットワークがうまく働かない理由として考えられるのは、リーダーシップとマネジメントの両方に長け、かつ情熱の塊のような人材の欠如です。



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2012年08月21日

臨床研究中核病院:名古屋大学病院の例

今週は●「平成24年度臨床研究中核病院整備事業の公募結果について」を見ています。

今日は、●「名古屋大学病院」を見ていきましょう。

名古屋大で目を引くのは「国内最大級の関連病院間ネットワーク(名大関連病院間ネットワーク)と中部先端医療開発円環コンソーシアムのもつ広大な臨床研究フィールドの活用」です。

ネットで検索したら、次の資料が見つかりました。

「中部先端医療開発円環コンソーシアム」

中部先端医療開発円環コンソーシアムとは愛知医科大学、金沢大学、岐阜大学、名古屋市立大学、名古屋大学、藤田保健衛生大学、三重大学が参加しているコンソーシアムなんですね。

もし、このコンソーシアムが100%、力を発揮したら、たいしたものが出てきそうです。

中部先端医療開発円環境コンソーシアムの事務局を名大病院先端医療・臨床研究支援センターが担うようです。

こんなニュースもありました。
  ↓
「中部の7大学、先端医療で協定」


名古屋大に話を戻しましょう。

名古屋大の「新規研究シーズの発掘と支援」ですが、以下のようになっています。

*************

名大病院では毎年、新しい研究シーズの発掘と支援のために病院収益の一部を投資しているが、本事業を通してその方向性をさらに強化する。

なお、プロジェクトの選考は、病院執行部及び診療科代表者からなるプロジェクト選考委員会が行っている。

1.臨床応用を目指した基盤研究支援:先端研究支援経費
近い将来臨床研究を実施する可能性のある有望な基礎研究の支援
10件程度(毎年募集)

2.臨床研究支援:先端医療・臨床研究支援センター経費
出口に近い有望なプロジェクト
10?20件程度(3年に1回募集)

3.高度医療・治験支援:先端医療開発等経費
高度医療または治験申請を目指すプロジェクトの支援(診療費用免除を含む)
5-10件程度(毎年募集)

*************

おおまかに言って、基礎の支援と、もうすぐ市場に出せそうな(出口に近いプロジェクト)の支援を行うようです。

そして、研究シーズの進捗管理方法は「プロジェクトマネージャー」が行っています。

この「プロジェクトマネージャー」というのは、企業においてもとても重要な役割を担っていて、プロマネ(プロジェクトマネージャー)の良し悪しが、プロジェクトのスピード、成功の鍵を握っています。

「プロマネ」は無茶苦茶、大変な仕事です。

予算の管理から、人事管理、そしてプロジェクトの管理、複数の部署を有機的に結び付ける能力。

これから、自分で一旗揚げてみたい!と思っている人は、是非、「プロマネ」を目指してみましょう。

日本プロジェクトマネジメント、という協会もあります。

参考にしてください。
  ↓
「日本プロジェクトマネジメント協会」


話は脱線しまくりですが、名古屋大のさらなる特徴が「Design Buildup Team(DBT)」というもの。

私たちが「DBT」というと、つい、「二重盲検試験(Double blind test)」を思い出してしまうのですが・・・・

******************

●病院内では臨床研究に携わる医師、看護師、薬剤師、PMDA経験者等が、病院外では名大病院以外の研究者、企業人、弁理士等が、開発当初からひとつのチーム、すなわちDesign Buildup Team(DBT)を組織することを目指す。

●DBTが開発当初から企業の選定、製剤・機器の目標設定、規制当局への対応を検討し、承認を得るために必要な研究テーマ(戦略的研究)をデザインし、実施することで成功確率を高める(戦略的アプローチ)。

******************

ちなみに、スライドの中に「死の谷」とありますが、

死の谷とは研究戦略、技術経営、プロジェクトマネジメント等において、研究開発が、次の段階に発展しない状況やその難関・障壁となっている事柄全般を指す用語です。

「創薬」と「死の谷」については、こちらをご覧ください。
  ↓
「創薬・医療技術基盤プログラムの始動に向けて 創薬イノベーションにおける“死の谷”の橋渡し役として 」

「米国では、アカデミアと製薬企業の間をつなぐ機能として、バイオベンチャーが充実しているものの、日本では、これが決定的に不足している。」というわけです。

この「死の谷」を埋めることが、日本における緊急の課題です。

しかし、「死の谷」はちょっとやそっとではクリアできません。

だからこそ、今から進めていかないといけないんですね。

おっと、またまた脱線しましたが、名古屋大の話です。

その名古屋大のスライドの3ページ目に「死の谷」といっしょに書かれているのが「規制当局の壁」というのがあります。

説明まで記載されていませんが、なんとなく、分かりますね(笑)。

でも、民間企業が感じている「規制当局の壁」と大学等の研究機関が感じている「規制当局の壁」って、少し違うような気がします。

民間企業の場合は、新薬の承認申請に関する「規制当局」とのつきあい方も馴れていますが、大学等では、そもそも「何を申請すればいいの? どういう規制があって、どうやってそれをクリアすればいいの?」という感じかなと僕は思います。

もし、そうならば、大学関係は、もっと積極的にPMDAや厚生労働省と人材交流をはかり、そもそも治験をどう進めたらいいのか、新薬の承認申請にはどんなデータが必要なのか、そのためには、どんな治験が必要なのかを学ぶといいでしょう。

もちろん、そういうアドバイスやらコンサルティングを民間企業に求めるのでもいいと思います。


最後に名古屋大では「名大病院が実施または支援する臨床研究のダブルスタンダードからの脱却」を目指しているようです。

今までは「臨床研究」から「先進医療」と「医師・企業主導治験」と分かれていたものを、「先端医療と治験」を一本化したいようです。

このあたりは、僕も詳しく知らないのですが、そのためにも「名大病院が実施する臨床研究においては、5年後にICH-GCP化率を100%にする。」そうです。

さ、私たち民間企業も「ICH-GCP100%」を目指しましょう!(今さらですが・・・・・・。)




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臨床研究中核病院:千葉大学病院の例

今週は●「平成24年度臨床研究中核病院整備事業の公募結果について」を見ています。

今日は、●「千葉大学病院」を見ていきましょう。

千葉大病院の特徴は次です。

【人材育成として】

●大学トップの決断と 新部局の設置 未来医療教育研究センター

●学長のリーダーシップとグランドデザイン

●臨床研究の中核的研究拠点を担う人材の育成

●教授を配置し臨床試験部を実践の場とする


新しい部署として「未来医療教育研究センター」を作る予定です。

どんなことをやるんでしょうね?

ところで「大学トップの決断」と書かれています。

これは新規プロジェクトを立ち上げる時の定石ですね。

企業でも社長や事業部本部長クラスを巻き込むことが重要なポイントになります。

でも、トップを巻き込んだら、それで安心というわけにはいかず、当然ですが、現場で強烈なリーダーシップを発揮する人が必要です。



さらに、千葉大では以下のことが特色です。

【規制当局との高度な 連携】

1.PMDAへ医師6名派遣、薬学研究院からPMDAへ50名以上入職

2.厚労省出身の教員5名

3.PMDA連携大学院(H24設置、医療行政学講座)

4.レギュラトリーサイエンスの発展


うむ。企業とPMDAや厚生労働省との人材交流は難しい(天下りとか、審査を特定の企業に有利にする恐れ等)ですが、大学関係との交流は比較的、容易にできそうです。

是非、人材交流を活発にして、大学での創薬をアドバイスして欲しいものです。


次に千葉大で力を入れているのが以下のものです。

●Global ARO Net. のJapan leading AROとしての活動

グローバルARO という組織が分からないのでネットで検索したのですが、やっぱり、よく分かりませんでした^^;

とりあえず、国際的にAROを進めましょうという組織ですかね。

ARO主導型臨床試験の計画・立案・実施を行っていくようです。

そして、●明確な成果の実現へとして「承認申請」を挙げています。

そうですね。

是非!!新薬の承認申請まで持っていって欲しいものです。

論文発表でとどまらずに。


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