今後も、ときどき、こんなふうにある疾患について学んでいきます。
何故か?
スーパーモニターやスーパーCRCになるには、浅くてもいいので、幅広い疾患の知識が必要だからです。
何故か?
何故ならば、どんな疾患を対象としたプロトコルであったとしても、有害事象としては、なんでもありえるからです。
たとえば、「更年期障害」を対象とした治験を担当したとしても、患者さんがいつ「子宮がん」になるかわかりませんし、「糖尿病」になってしまうかもしれません。
たとえば、「高血圧」を対象としたプロトコルだとしても、患者さんが突然、「緑内障」になってしまう可能性もありますし、「肺炎」なってしまう可能性だってあります。
だから、有害事象の対応がいつでもできるように、幅広い知識を持っておいたほうがモニターもCRCもやりやすいわけです。
それに、いつでも、どんな疾患の治験でも担当できるぞ!とスタンバイしておくのが賢いモニターでありCRCです。
とまぁ、そんなこんなで、今週は「がん及び抗がん剤」についての勉強会です。
1週間を使って「がん及び抗がん剤」を学んでいきましょう。
●●●悪性腫瘍とは?●●●
悪性腫瘍(あくせいしゅよう、英: malignant tumor)は、遺伝子変異によって自律的で制御されない増殖を行うようになった細胞集団(腫瘍、良性腫瘍と悪性腫瘍)のなかで周囲の組織に浸潤し、また転移を起こす腫瘍である。
悪性腫瘍のほとんどは無治療のままだと全身に転移して患者を死に至らしめる。
一般に癌(ガン、がん、英: cancer、独: Krebs)、悪性新生物(あくせいしんせいぶつ、英: malignant neoplasm)とも呼ばれる。
「がん」という語は「悪性腫瘍」と同義として用いられることが多く、本稿もそれに倣い「悪性腫瘍」と「がん」とを明確に区別する必要が無い箇所は、同一語として用いている。
【語義】
悪性腫瘍(malignant tumor)」は、一般に「がん(英: cancer、独: Krebs)」として知られているが、病理学的には漢字で「癌」というと悪性腫瘍のなかでも特に「癌腫(上皮腫、carcinoma)」のことを指す。
日本語では平仮名の「がん」と漢字の「癌」は同意ではない(!!)。
平仮名の「がん」は、「癌」や「肉腫」、白血病などの血液悪性腫瘍も含めた広義的な意味で悪性腫瘍を表す言葉としてつかわれているからである。
したがって癌ばかりでなく肉腫や血液悪性腫瘍も対象にする「国立がん研究センター」や各県の「がんセンター」は平仮名で表記する。
「癌」を表す「cancer」は、かに座 (cancer) と同じ単語であり、乳癌の腫瘍が蟹の脚のような広がりを見せたところから、医学の父と呼ばれるヒポクラテスが「蟹」の意味として古代ギリシャ語で「καρκ?νο? (carcinos)」と名づけ、これをアウルス・コルネリウス・ケルススが「cancer」とラテン語訳したものである。
漢字の「癌」は病垂と「岩」の異体字である「嵒」との会意形声文字で、本来は「乳がん」の意味である。
触診すると岩のようにこりこりしているからで、江戸期には「岩」と書かれた文書もある。
有吉佐和子の小説「華岡青洲の妻」には、乳がんを表す「岩(がん)」ということばが頻出する。
「悪性腫瘍」は「悪性新生物」とも呼ばれることがあるが、malignant neoplasmの訳語として作られた言葉で、malignant「悪性の」、neo「新しく」、plasm「形成されたもの」を意味する。
【概念】
「悪性腫瘍」とは、腫瘍の中でも、特に浸潤性を有し、増殖・転移するなど悪性を示すもののことである。
ヒトの身体は数十兆個の細胞からなっている。
これらの細胞は、正常な状態では細胞数をほぼ一定に保つため、分裂・増殖しすぎないような制御機構が働いている。
それに対して腫瘍は、生体の細胞の遺伝子に異常がおきて、正常なコントロールを受け付けなくなり自律的に増殖するようになったものである。
この腫瘍が正常組織との間に明確なしきりを作らず浸潤的に増殖していく場合、あるいは転移を起こす場合(多くは浸潤と転移の双方をおこす)悪性腫瘍と呼ばれている。
なぜ、「がん」は怖い病気なのか?
↓
●無制限に栄養を使って増殖するため、生体は急速に消耗する
●臓器の正常組織を置き換え、もしくは圧迫して機能不全に陥れる
●異常な内分泌により正常な生体機能を妨げる(→播種性血管内凝固症候群 (DIC)、傍腫瘍症候群、高カルシウム血症)
●全身に転移することにより、多数の臓器を機能不全に陥れる
「がん」は「転移」して生態を消耗させて、多数の臓器を機能不全に陥れる、これが「がん」が怖いという2大理由なわけです。
●●●【がん理解の歴史の概略】●●●
がんという病気を理解しようとする人たちは古代からおり、悪戦苦闘が繰り広げられてきた。
(上述のごとく)cancerという言葉の歴史は古いもので、古代ギリシア語のkarkinos カルキノス(=カニ)に由来している。
あちこちに爪を伸ばし食い込んでゆく様子を、その言葉で表現したのである。
がん研究、腫瘍学を指す「オンコロジー」という言葉も、古代ギリシア語のoncos オンコス(=塊 かたまり)を語源としている。
古代ローマのガレノス(2〜3世紀ごろ)は、がんは四体液のひとつの黒胆汁が過剰になると生じる、と考えた。(ガレノスというのは1500年ころまでは、医学の領域で「権威」とされた人物である)。
ガレノスの後継者のなかには、情欲にふけることや、禁欲や、憂鬱が原因だとする者もいた。(いろんな学説があるものです。)
また同後継者には、ある種のがんが特定の家系に集中することに着目して、がんというのは遺伝的な病苦だ、と説明する者もいた。
18世紀後半をすぎるころになると、がんの一因として環境中の毒(タバコ、煙突掃除夫の皮膚につく煙突の煤、鉱坑の粉じん、アニリン染料が含有する化学物質 等)もあるのでは、とする説が、多くの人によって提唱された。
19世紀なかごろに、フィラデルフィアの名外科医のサミュエル・グロスは「(がんについて)確実にわかっていることは、我々はがんについて何も知らない、ということだけである」と書いた。
そして、そのような「何も知らない」という状況は、19世紀末の時点でも、ほとんど変わっていなかった。
その後1世紀ほどを経た現在、がんについてある程度のことは分かったと言える状態になった。
だが、その理解は一気になされたわけではなく、理解を進めるたびに研究者の間で新たな疑問が登場し、科学的な知識が徐々に増えてきた、という状態なのである。
がん研究は研究者たちにとって、多くの困難と挫折に満ちたものであった。
20世紀初頭には、「感染症は特定の微生物によって引き起こされる」という説を支持する例が実験によって多数確認されため、他の病気も容易に解明されるだろうと考えたり、がんも解明されるだろうと予想する人は多かった。
だが、そのような予想は安易すぎたのである。
【悪性腫瘍に関連する医学的分類】
悪性腫瘍(malignant tumor)の用語は病理学において以下のように分類される。
●癌腫(羅: carcinoma):上皮組織由来の悪性腫瘍
●肉腫(羅: sarcoma):非上皮組織由来の悪性腫瘍
●その他:白血病など
また、下記のようが特徴がある。
●癌腫・・・(由来)上皮性、(発育速度)速い、(年齢)高齢者、(転移行性)リンパ行性、(構造)胞巣構造
●肉腫・・・(由来)非上皮性、(発育速度)より速い、(年齢)若年者、(転移行性)血行性、(構造)混合
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