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●「医療イノベーション5か年戦略」(2012年版)
医療イノベーション会議(平成24年6月6日)のものです。
以前、「革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略」というのがありました。
■■■ 「革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略」を検索してみよう。■■■
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平成19年4月26日(文部科学省、厚生労働省、経済産業省)
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●「革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略」(2007年版)
「革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略」(2007年版)の目標は以下のとおりでした。
**** 目標 ****
●革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略は、日本の優れた研究開発力をもとに、革新的医薬品・医療機器の国際開発・提供体制へ日本が参加し、日本で開発される革新的医薬品・医療機器の、世界市場におけるシェアが拡大されることを通じて、医薬品・医療機器産業を日本の成長牽引役へ導くとともに、世界最高水準の医薬品・医療機器を国民に迅速に提供することを目標として定めた。
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うむ。
いつの時代も(少なくとも私がこの世界に踏み込んだ30年前からはずっと)、日本は優れた研究開発力を持っているけれど、それが臨床の現場に応用されない、という日本の欠点があげられていました。
このような意見は30年間、ず〜〜〜っと言われ続けていました。
こういう問題が提示されたときの定石は「まず前提を疑え」というものです。
たとえば、上記の「目標」を見て考えなければいけないのは「本当に日本は優れた研究開発力を持っているのか?それは希望的観測ではないと言えるのか?」という具合です。
まぁ、そうですね・・・・日本には基礎力が無いことは無いですね。
でも、論文数などは世界有数とは言えないのですね。
■■■ 「日本の医学の論文数」を検索してみよう。■■■
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●「基礎研究は4位を維持も、臨床研究は順位の低下続く。主要雑誌の臨床研究論文数、日本は25位」
基礎研究はまぁまぁとして、臨床研究は惨憺たるものです。
それはさておき、この「革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略」(2007年版)の成果はどうだったのでしょうか?
最近の流行りの言葉を見ても、「ドラッグラグ」はあるわ、「公知申請」はあるわ、「死の谷」はあるわ・・・・・。
ということで、あまり成果は出なかったんじゃないの?と私たちも単純に思ってしまいます。
「医療イノベーション5か年戦略」(2012年版)でも以下のように反省しています。
*****「革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略」の成果 *****
この5年間を通じて、研究から上市に至る各ステージにおいて・・・・・・
@研究資金の集中投入
Aベンチャー企業の育成等
B臨床研究・治験環境整備
Cアジアとの連携
D審査の迅速化・質の向上
Eイノベーションの適切な評価
F官民の推進体制の整備等の取組により、ドラッグラグ・デバイスラグの短縮につながる体制等が整備される
・・・・・・等一定の成果が見られた。
一方、医薬品・医療機器を取り巻く環境は、この5年間で大きく変化した。
再生医療や個別化医療といった先進分野の発展やアジアをはじめとする新興国市場の拡大等、これに対応した環境整備も必要となっている。
こうした変化は、医薬品・医療機器のニーズの拡大と相まって、今後も飛躍的に進展していくことが予想され、我が国の医薬品・医療機器産業を真に日本の成長牽引役へと導き、世界最高水準の医薬品・医療機器を国民に迅速に提供するためには、引き続き、ドラッグラグ・デバイスラグの短縮に取り組むとともに、今後は、革新的医薬品・医療機器を世界に先駆けて開発し、更に海外へ積極的に打って出ていく施策が必要である。
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・・・・・・というように反省はしているのですが、じゃ、どこに問題点があったの? という分析はされていません。
そういう分析もなく、次のように「医療イノベーション5か年戦略」(2012年版)では記載されているわけですね。
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日本の医薬品・医療機器を取り巻く環境は変換期を迎えている。
日の丸印の革新的な医薬品・医療機器の創出が伸び悩み、むしろ輸入超過の傾向が大きくなってきている。
この背景には、新興国市場の急速な拡大等による激化する国際競争の中で、いち早く市場獲得を目指すため、グローバル製薬企業等が、日本の研究開発拠点を閉鎖し、より創薬・医療機器研究開発・市場化の環境の整った他国へ拠点を移している動きや市場を支配する医薬品・医療機器の業界構造の変化等がある。
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「日の丸印」という言葉が微笑ましいですね^^;
日本の製薬業界で革新的な医薬品がこの5年間、出てこなかった理由として「医薬品・医療機器の業界構造の変化」を理由のひとつにあげられていますが、どういう変化を言っているのでしょう?
どうしてその変化に対応できていないの?という視点・見解がないですね。
「医薬品業界の横並び主義の体質」や「旧態依然の製薬業界・医療業界」、「タテ割行政の弊害」とかね、いろいろとあると思うのですが・・・・・・。
日本で医療イノベーションが生まれない、そのキモは「卓越した人材の不在」です。
あるいは、「優秀な人材の流出」です。
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「創薬/創医療機器:なぜ私は海外に活路を求めるのか、なぜ私は日本に活路を見いだすのか」
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●「創薬/創医療機器:なぜ私は海外に活路を求めるのか、なぜ私は日本に活路を見いだすのか」
上記のセミナーで、こんなことが言われていました。
「日本発医療イノベーションの壁」 中村 祐輔(東京大学医科学研究所教授)
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海外では産・官・学を橋渡しする役割を持つ機関があるが、日本にはない。
我が国における産・官・学連携不足の原因・・・医療行政責任者による明確な指針がない
・・・・・・うむうむ、なるほどね。
「我が国における産・官・学連携不足の原因・・・医療行政責任者による明確な指針がない」というのは確かに想像に難くないですね。
そんな分析(対策)も無いままに以下のことができるのでしょうか?
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・これまでの「革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略」を継承・発展させ、産学官一体となって、医薬品・医療機器産業を育成し、世界一の革新的医薬品・医療機器の創出国となる。
・再生医療や個別化医療のような世界最先端の医療の分野で日本が世界をリードする実用化モデルを作る。
さらに、医療サービスのイノベーションに向けての検討を併せて進める。
今後5年間はこれらを車の両輪として進め、医療イノベーション大としての地位を築くべくこの戦略を策定する。
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本当に「産学官一体」となっているの? なれるの? 壁を取り払う意識はあるの?
「アンメットメディカルニーズ」とか「イノベーション」とか、かっこいい言葉を使っていますが、それだけです。
さらに報告書の中には「世界最先端の科学技術におけるインベンション」とか「医療リテラシー」とか、「ユビキタス化」という「目くらましの言葉」が踊っていますが、そういう言葉を使ったからと言って、内容が素晴らしくなるわけではありませんよね。
ちなみに「新薬へのアクセス」という言葉も、最近、よく聞かれるようになりました。(それほどでもない?)
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新薬アクセスと市場ダイナミズム−市場要因による国内新薬開発への影響−
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●「新薬アクセスと市場ダイナミズム−市場要因による国内新薬開発への影響−」
いろんな言葉で表されていますが、要は、日本では革新的な新薬は出てこないし、海外で標準的に使われている医薬品が、日本では製造販売承認も得られていなくて、日本の患者さんは不幸だ、ということです。
ぶっちゃけ、日本は医療後進国です。
悲しいことではありますが・・・・・・。
■■■ 医薬品ができるまで(治験に関する話題) ■■■
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医薬品ができるまで(治験に関する話題)
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