2012年05月10日

最新の医療技術について

さらに■臨床医学分野 科学技術・研究開発の国際比較(2011年版)について見ています。
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臨床医学分野 科学技術・研究開発の国際比較(2011年版)



マイクロドーズの試験についてです。
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【全体コメント】

米国では1990 年代後半にScreening IND と称していわゆる早期探索的臨床試験(ex-IND)(Phase1 試験よりも前の段階で臨床開発にのせる化合物を選択するために行われる臨床試験)の制度整備がなされた。

EU では2003 年に同様の目的で行われるマイクロドーズ臨床試験(MD 試験)のガイダンスが出された。

米国では2006 年にも早期探索的臨床試験のガイダンスが出された。


この様な状況下、日本では2008 年に厚労省よりMD 臨床試験実施に関するガイドラインが公示された。

そして2009 年になって早期探索的臨床試験を含む臨床試験の各段階における非臨床試験の要件を示すICH(日米EU 医薬品規制調和国際会議)のM3 ガイダンス改訂版が三極で合意され、2009 年から2010 年にかけて日米欧で国内ガイダンス化されたことで実施環境が整った。


日本では、MD 試験では多くの場合放射性同位元素(RI)で開発候補化合物を標識するため、臨床試験におけるRI 投与が社会的に許容されないとの懸念が製薬企業内にあり、この種の試験は海外で行われてきた。

しかしMD 試験ガイダンスが出されICH-M3 合意がなされたことで国内実施についての社会的コンセンサスは成立した。


日本では、AMS の測定精度は欧米より高いとされるが、これまではMD 試験、早期探索的臨床試験の実施基盤が確立していなかったことから、日本の測定会社が海外から受注したり日本の研究者が海外から相談を受けたりするような状況が続いていた。

AMS は微量のRI で候補化合物を標識するが、RI を用いない高感度液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS/MS)による微量濃度測定でも日本の技術水準は高い。

またNEDO からの研究委託で行う「橋渡し促進技術開発/マイクロドーズ臨床試験を活用した革新的創薬技術の開発」(2008-2011 年)では、既承認医薬品を用いて20 件以上のMD 試験(AMS、LC/MS/MS、PET の全ての分析法を含む)が実施され、その結果と試験管内のデータを数理的に統合することによって、治療用量の薬物動態を予測する技術が確立された。


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今後の注目すべき医療技術・新薬開発については以下のとおりです。
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●関連医療技術の開発動向・進展

(1):遺伝子治療

1990 年に人を対象とする最初の遺伝子治療が実施されてから約20 年が経過し、現在登録されている遺伝子治療臨床試験数は1,000 件以上にのぼる。

この間にベネフィットを明確に示す成果が多数得られたとは言い難かったが、一方ではレーバー先天性黒内障(Leber’s congenital amaurosis)という網膜のRPE65 遺伝子欠損に起因する網膜変性疾患に対して、網膜内直接投与によるアデノ随伴ウイルスを用いた遺伝子治療が実施され、視力回復効果が数年間持続し、介助者の支援なしには歩行できなかったほぼ盲目の患者が自立歩行可能となった例はあった。

このような、遺伝子治療以外の方法では治療が不可能であった疾患に対する治療成果が得られつつある。

また将来の製品化を目的とした遺伝子治療研究開発に本格提携すると欧州大手製薬企業が意思表示をしたことも本領域における1つの大きな動きである。





(2):細胞治療

2010 年4 月、米国バイオテク企業の開発する前立腺がんに対する自家細胞免疫治療法(autologous cellular immunotherapy)の製品が米国において世界最初に認可されたことが最も大きな進展である(Phase3 試験開始から承認まで約10 年を要した)。

がんワクチンと称されていたこともあるが患者末梢血よりリンパ球分画を分離し、体外で免疫刺激して、再度患者体内に戻すという操作を3 回繰り返す治療法である。

高額治療ではあるが医療保険による償還対象となり、後続する企業の新製品開発の大きなモチベーションとなっている。




(3):幹細胞治療

成人末梢血より精製された間葉系幹細胞を用いた心臓疾患治療を対象とする臨床試験はPhase2 段階にあり、安全性が確保されながら進展している。

2010 年は、米国の胚性幹細胞研究推進が連邦地裁により仮差し止めを受ける等、胚性幹細胞研究にとってチャレンジングな年となったが、その一方、神経胚細胞あるいは胚性幹細胞を利用した脊椎損傷、脳梗塞治療臨床試験が欧米のバイオテク企業の主導によって開始されつつある。



(4):核酸医薬

アンチセンス医薬を凌駕する技術としてRNA 干渉に基づく創薬に大きな期待がよせられ、製薬企業と当該技術に特化したバイオテク企業との間の提携が多く開始されたが、薬物送達技術上の課題解決における急速な進展は現在のところ見られない。

臨床試験においてコンセプトの確認(Proof of Concept)が開始される一方で、技術導入を先行していた欧米大手製薬企業がRNA 医薬研究から撤退するという動きもあり、今後、どのように研究が展開するか注視される。




(5):その他の創薬関連技術

子宮頚がんの予防を適用とするヒトパピローマウイルスワクチンが日米欧やその他諸国において承認された。

同ワクチンには新規ワクチンアジュバント(免疫賦活剤)成分が含有されている点が目新しい。

慎重な評価を経て米国において新規アジュバントが認可されたのは、水酸化アルミニウムアジュバント以来約70 年ぶりであり、この点は画期的である。

2009 年には米国において遺伝子組換えヤギの乳汁中に遺伝子組換え医薬品原薬を分泌させるという方法によって製造された医薬品が承認された。

また現在欧米において申請中のI型ゴーシェ病治療薬は、原薬製造のための宿主細胞として植物細胞を使用している点が斬新である。

これらの技術は遺伝子組換え医薬品製造におけるブレークスルーになり得る。


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上記の先端技術による病気の治療は今後、ますます期待されますが、なかなか、そう簡単にはいかない、という点でしょうか。


再生医療分野についても、以下のように触れられています。
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「細胞治療(血管、心筋、肝臓、神経系、ラ氏島など)」に関しては、日本は再生医療が国の重点課題となっていることもあり研究水準が高く、成長傾向も見られる。

特にiPS 細胞の創出に見られるように幹細胞生物学等の基礎研究、および少数例ではあるが臨床研究では国際的にも高い競争力を有している。

しかし臨床開発研究は弱く、特に産業化を目指した企業への技術移転は非常に弱い。

また欧米に比べて工学と、医学や生命科学との間に高い壁があり、材料科学分野の強みを十分に活かしきれていない。

ベンチャー企業の育成も不十分である。



米国は細胞治療に関する全ての研究分野、および基礎から実用化までの全ての研究開発フェーズで活発な取組みがなされ、世界に先行している。

大学と企業の連携が大変良好なため、ES 細胞を細胞ソースとする脊髄損傷の治験も含め、体性幹細胞を中心とした多数の治験が行われている。

新規技術を確実に治験まで持ち込む力も強く、Geron 社など多数のベンチャー企業が活発に活動している。


欧州は米国に次ぐ競争力を有する。

英仏のES 細胞研究などは世界トップレベルにある。

EU は再生医療分野に大きな予算を組み、FP7 が企業治験にも充当できるなど柔軟性が高い。

米国同様に大学と企業の連携も良好で、中小企業の治験相談費用を大幅にディスカウントするSME 制度や、EU による先端医療技術開発への支援があるため、産業化を目指した技術開発が盛んに行われている。

ベンチャー企業も多数活発に活動しており英ReNeuron 社は同種神経幹細胞の治験を米国で進行中である。

TiGenix 社のChondroCelect はEMA による欧州中央審査が採用されて以降、最初の組織工学製品として欧州医薬品局(EMA)の承認を受けた。



中国や韓国は、現状では独創的な研究は少ないが、欧米からの技術導入は迅速である。

今後は欧米の技術を間髪入れずにアジアで展開するセンターとしての役割を果たすようになるのではないかとの見方もある。




【全体コメント】

日本は幹細胞生物学等の基礎研究、少数例の臨床研究では国際的にも十分に高い競争力を有するが、臨床開発研究は弱く、産業化を目指した企業への技術移転は非常に弱い。

また、欧米に比べ、工学と医学や生命科学との間に高い壁があり、材料科学の強みを十分に活かしきれていない。

希少疾患に対し少数例を大学で臨床研究的に施行することで十分と考える研究者が多く、ベンチャー企業の育成が不十分であるのも日本の特徴である。

中国や韓国は、現状では独創的な研究は少ないが、欧米からの技術導入は迅速であり、今後は欧米の技術をアジアで間髪をおかずに展開するセンター的な役割を果たすのではないかと考えられている。

この他、法律で規制されている韓国以外の様々な国で、薬事承認をともなわないクリニックによる幹細胞治療が多数行われている。

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iPS細胞の治験が日本ではなくアメリカで最初に実施されるというニュースが今年の初めにあった。
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日本の「治験」事情:この現状を真摯に考えるべきだ。

日本発の画期的な医薬品作りを目指す内閣官房医療イノベーション推進室長の中村祐輔・東京大学医科学研究所教授が、室長を辞任して米シカゴ大学に移籍するというニュースもあった。


関係者は責任のなすりあいは止めて、このような事態が二度と出ないように努力すべきだ。



遺伝子治療の総括は以下のとおりです。
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遺伝子治療の開発研究は、米国を中心に1990 年代に活発に行われ

しかし、技術レベルが臨床応用の段階に達していなかったこと、がんが主な対象疾患であったことなどから充分な成果が得られず、またレトロウイルスベクターによる遺伝子導入で白血病という深刻な副作用が出現したため、現在は低迷が続いている。


米国ではバイオベンチャーの資金難のため、研究開発がスローダウンしている。

欧州の方が比較的安定した取り組みをしているような印象がある。


一方で、中国が臨床応用に積極的に取り組み始め、世界の多くの患者が中国に行き、まだ確立されているわけではない遺伝子治療を受けるという動きも出ているようである。


日本は、製薬企業が遺伝子治療に積極的に取り組むという姿勢に乏しく、米国の様子を見ながら主に後追いをしてきた感は否めない。

また最近は研究費も尻すぼみとなっており、若手研究者の参入もますます減少している。

一方で、パーキンソン病や網膜疾患(レーバー先天性黒内障)などにおいて安全性の高いアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いた遺伝子治療の臨床的有効性が認められ始めている。

遺伝子治療の有効性が認められる疾患は着実に増えてきており、そのため遺伝子治療を再評価する動きも見られるようになってきている。


遺伝子操作技術を駆使する治療法は依然として大きな可能性があり、今後の技術開発次第で、さらなる発展が期待される。

最近話題のiPS 細胞の開発も遺伝子導入技術を応用したものであり、遺伝子治療という狭い枠に囚われず、遺伝子導入技術/遺伝子操作技術の開発に力を入れることは先端医療の円滑な開発推進のための重要施策の1 つとも考えられる。

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この分野の進展を心から願うばかりです。



レギュラトリーサイエンスについても触れられています、と書きましたが、そもそも「レギュラトリーサイエンスとは?」
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●レギュラトリーサイエンスとは,科学と人間との調和を図る科学,言わば人間の立場に立った科学技術のコンダクターとしての役割をもつ科学である。

レギュラトリーサイエンスの内容を最も的確に表わそうとすれば,「有効性と安全性の評価科学」となる。

国民の健康を守るためには,空気,水,食品,医療機器,医薬品,化粧品,家庭用品,農薬,その他多くの化学物質などについて,有効性と安全性についての判断が必要である。

判断のための評価科学は,広範な基礎科学の知識を必要とするだけでなく,新しい方法論の開発も必要である。

例えば,医薬品の生体利用性や生物学的同等性の評価,新開発食品の安全性評価,化学物質の発がん性や非可逆的毒性を短期間で評価する方法,動物実験に替わる試験方法,有害性の定量的評価など,極めて多くの問題が評価科学独特のしかも緊急の必要性を持っている。

(「厚生労働省の白書」より)


●「レギュラトリーサイエンス」とは、その提唱者である内山充日本薬剤師研修センター理事長(国立医薬品食品衛生研究所名誉所長)により「我々の身の回りの物質や現象について、その成因と実態と影響とをより的確に知るための方法を編み出す科学であり、次いでその成果を使ってそれぞれの有効性(メリット)と安全性(デメリット)を予測・評価し、行政を通じて国民の健康に資する科学である」と定義づけられています。

(「日本薬学会 レギュラトリーサイエンス部会」より)

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う〜〜〜ん、分かったような分からないような説明ですね。



そのレギュラトリーサイエンスについて
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世界的に、医薬品開発の手法が確立しており先端医療に資するライフサイエンス研究が実施されている日米欧(ICH の参加領域でもある)では、研究や開発領域の多様性に合わせてレギュラトリーサイエンス研究の重要性が認識されている。

中でも米国は関連予算も大きく計上して4 領域(バイオマーカー、バイオイメージング、臨床試験解析、薬剤疫学)に注力することを決定するなど大きくリードしている。

欧州ではcomparative effectiveness research(CER)を柱としたhealth technologyassessment(HTA)が各国の保険医療事情を踏まえて試行錯誤されつつ強力に推進されている。

米国においても現政権下でHTA 領域の研究の強化が始まった。

日本ではレギュラトリーサイエンスは萌芽期であるが、今後の研究の発展と行政との連携が期待される。

ただしHTA 領域や薬剤疫学の実例研究はまだ少ない。

韓国は、臨床試験の体制整備(開発環境の整備)において大きく進歩が見られるが、レギュラトリーサイエンス分野への取組はファーマコゲノミクスなどに限られる。

中国では、規制当局は原薬品質の担保や偽薬取締りと開発環境、保険制度の整備という課題を抱えており、安全性の考え方は啓発段階にある。

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うむ。

医薬品の評価について、正しい評価がなされるように日本でも「レギュラトリーサイエンス」というものが発展することが必要ですね。




その他にも期待されている分野が軽く触れられています。
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注目すべき研究開発動向

●Health Technology Assessment

薬剤疫学や臨床疫学、医療経済学の領域において、comparative effectivenessresearch (CER) やevidence-based medicine(EBM) 研究を柱としたhealthtechnology assessment(HTA)が各国の保険医療事情を踏まえて試行錯誤されつつ強力に推進されているが、日本では系統的な研究者がほとんどいない。



●SNPs と薬剤反応性の関連性についての研究

ファーマコゲノミクス研究における日本、中国、韓国におけるSNPs と薬剤反応性の研究は、ローカルのみならずグローバルにも拡大している。


●バイオイメージングやバイオマーカーの研究

その技術のみならず診断精度研究なども必要となっている。



●再生医療に用いられる細胞製剤の安全性評価

とくに細胞の核型異常と造腫瘍性との関係、ウイルスやマイコプラズマ感染の評価系の確立は重要視されている。



●臨床試験の解析方法

とくに医療機器や稀少疾患においてベイズ統計学などの研究が人材の育成とともに重要である。

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そして、肝心の政策は以下のようになっています。
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【海外の政策動向】

●米国

ライフサイエンス・臨床医学分野における研究開発投資は国防分野に次ぐ大きな金額が割り当てられており、伝統的に米国の最重要分野の1 つといえる。

研究開発の多くは、国立衛生研究所(NIH)傘下の専門分野毎に設けられた27 のセンター・研究所において実施されている。

NIH の研究開発予算は年間300 億ドル以上にもなる。

2012 年度予算案においても、NIH が支援する基礎・応用生命科学研究に対して、対2010 年度実績比で2.4% 増の318 億ドルが計上されており、うち52.9% をリサーチ・プロジェクト・グラントが占めている。



2012 年度NIH 予算案における最優先課題としては、国立最先端トランスレーショナル科学センター(NCATS:National Center for Advancing Translational Sciences)の設置構想がある。

NCATS は、トランスレーショナル科学(基礎から応用への橋渡し)の促進と治療の発展を促すことを目的にNIH が設立を提案したもので、産官学連携のもと診断法や治療法の発見から開発までを円滑に結びつけて研究成果の実用化をよりスピードアップさせることが期待されている。

本構想は、2011 年2 月の「イノベーション戦略改訂版」においても医療情報技術の革新と共に国家的優先課題に対処するための重点項目として挙げられている。


2012 年度NIH 予算では、さらに以下の3 つの分野に対して、引き続き重点的に助成を行うこととしている。

@新規技術開発と基盤技術の整備による心疾患、がん、アルツハイマー病等の研究促進

A臨床現場におけるエビデンスベースの診断、治療の促進と技術開発

B新規領域の開拓、技術の革新を目指す研究の支援


ライフサイエンス・臨床医学分野における注目すべき戦略文書として大統領科学技術諮問会議 (PCAST)の2 つの報告書が挙げられる。

1 つは2010 年8 月の“Report to the President on Reengineering the Influenza Vaccine Production Enterprise to Meet the Challenges of Pandemic Influenza”で、将来的な感染爆発に備えたワクチン開発の効率を高める施策を連邦政府が講じることを勧告している。


もう1 つは2010 年12 月の医療情報技術に関する報告書“Realizing the Full Potential of Health InformationTechnology to Improve Healthcare for Americans: The Path Forward”で、「医療情報技術の最大能力を引き出すには、機関間でのデータ交換を容易にする強健な情報共有インフラの開発と導入が必要である」と提言している。



●欧州

欧州委員会は、医学研究への投資の基本方針に「人の健康・医療のためのバイオテクノロジー、一般的ツール、技術(知見の蓄積)」、「人の健康のための研究成果の実用化(基礎的発見の臨床における効果検証)」、「欧州市民へのヘルスケアの提供の最適化(医療の普及増進)」を挙げている。

さらに、多額の資金が長期的に必要となるハイリスク研究で、かつ産業界との連携が可能な領域を支援する機関として共同技術イニシアチブ(Joint Technology Initiative)を立ち上げており、その中に、Innovative Medicines Initiative(IMI)が含まれている。

欧州委員会と欧州製薬団体連合会は2011 年3 月にIMI を通じた第2 期のプロジェクトとして23 件を選定し、4.5 億ユーロを超える資金を投入する。

また産業界のリーダーシップによって作られた欧州技術プラットフォーム(European Technology Platforms)では、すべての利害関係者が参画して、現時点で30 以上にもなる特定分野の研究開発投資戦略が立案されている。その中には「ナノ医薬」などがある。




●日本

さて、日本は?

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頑張れ!日本!!










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posted by ホーライ at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 治験の活性化 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月08日

国際共同治験に関する基本的考え方

今週は■臨床医学分野 科学技術・研究開発の国際比較(2011年版)について見ています。
   ↓
臨床医学分野 科学技術・研究開発の国際比較(2011年版)


国際共同治験でも以下のように分析されています。
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国際共同治験に関しては、医薬品開発のグローバル化に伴って、欧米中心の医薬品規制調和国際会議(ICH)外の地域でも多くの臨床試験が行われるようになった。

東アジア地域では韓国が国際共同治験の主要国となっている。

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「韓国」なんですね。東アジア地域でも治験の主要国は。

日本は何をやっているんでしょうか?



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日本は、規制当局による国際共同治験の推奨や審査機関である独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)によるガイドラインの公表を背景に、ここ数年で国際共同治験が急増している。

中核拠点病院を中心にインフラ整備や英語対応の改善等も進みつつあるが、1施設あたりの症例数の少なさや高額な治験コスト等、課題は残っている。

またグローバル化の中で臨床データの人種的要因に注目が集まっているが、東アジア地域は類似性が比較的高いと考えられている。

そのため日本、中国、韓国で人種的要因に関する研究が実際の薬剤を用いて進められている。

今後のアジア治験の増加へ向け、日本の企画・マネジメント力等も含めた競争力の向上が求められている。

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日本人は「企画・マネジメント力」が弱いですからね。

経済力にモノを言わせて、治験をひぱってくるしかないのでしょうか?


いちおう「総合機構」も国際共同治験に関する戦略を出しています。
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■国際共同治験に関する基本的考え方について
   ↓
国際共同治験に関する基本的考え方について
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国際共同治験に関する基本的考え方(案)について

平成19年3月

独立行政法人 医薬品医療機器総合機構


基本的考え方(案)は、これまでに総合機構が経験した国際共同治験に関する相談事例を踏まえ、次の12 の課題ごとにQ&A 方式で記述している。

・試験実施上の基本的要件について

・グローバル開発に参加すべき時期について

・日本人での第T相試験等の必要性について

・国内での用量設定試験の必要性について

・試験デザイン上の基本的留意事項について

・症例設計と日本人症例の割合の決定方法について

・海外で確立されている評価指標の受け入れ可能性について

・海外の国際共同治験と同一プロトコルの国内試験実施について

・国際共同治験での対照群について

・併用薬剤や併用療法の設定について

・国際共同治験の実施が望ましい領域について

・国際共同治験の実施の適否を判断する考え方について


日本を含む国際共同治験を推進するため、(独)医薬品医療機器総合機構(以下、「PMDA」という。)は、平成18年度より国際共同治験に関する治験相談の予約申し込みに際して優遇措置をとっている。

治験相談を通じて、国際共同治験の実施を前提とした治験デザイン、治験データ等の取扱いについて、PMDAと企業との間で、個々のケースに応じた検討を行うことは重要であり、それを可能にするための措置が講じられてきたところであるが、国際共同治験を計画・実施する際の基本的な考え方を文書化しておくことも重要であると考える。


本文書は、国際共同治験に関する現時点における基本的な考え方をまとめたものであり、企業側での検討を促進し、日本の積極的な国際共同治験への参加を推進することにも資するものと考える。

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上記の文章の中で「Q&A 方式で記述している」とありますが、それは以下のとおりです。
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●●●Question:1. 国際共同治験を実施する上での基本的な要件は何か?●●●


●●● Anser ●●●

以下のすべての条件を満たすことが必要である。

▼参加するすべての国、医療機関等で ICH-GCP に準拠した臨床試験が実施可能であること。

▼参加するすべての国、医療機関等で日本からの GCP 実地調査を受入れ可能であること。

▼治験薬の有効性及び安全性に影響を及ぼしうる要因(人種、地域、患者背景等)を予め検討するとともに、当該要因に関する部分集団解析が実施可能であり、適切な考察が可能であること。

▼慣習などの社会的相違や試験の管理・運営等各施設における治験実施状況を適切に把握でき、認められた差異が試験結果に影響を及ぼしうるものであるかどうかについて、適切に考察可能な状況であること。




●●●Question:2. 日本はいつからグローバル開発に参加すべきか?●●●


●●● Anser ●●●

世界的に進行している臨床開発について、できるだけ早期に参加することが望ましい。

このため、遅くとも用量反応性を探索的に検討する段階の試験から参加できるよう予め検討しておくことが重要である。




●●●Question:3. 患者を対象とした国際共同治験を実施する場合に、その試験開始前に日本人での第T相試験や日本人での薬物動態情報は必須か?●●●


●●● Anser ●●●

国際共同治験で用いる用法・用量が日本人においても安全性上特段の問題がないかについて、予め確認しておく必要がある。

そのためには、国際共同治験を開始する前に、少なくとも日本人の健康な志願者又は患者を対象とした治験薬の単回投与試験による安全性や薬物動態等を検討し、外国人における結果と比較して、日本人におけるリスクが外国人におけるリスクと遜色ないことを確認しておくことが求められる。


ただし、海外で実施された第T相試験の結果から日本人に対する安全性を判断することが可能な場合や類薬での状況等から日本人と外国人における推奨用量が同様と判断できる場合等においては、必ずしも国際共同治験開始前に第T相試験を実施する必要はない。

なお、この場合においても薬物動態と臨床効果との関連等を日本人と外国人で比較検討しておくことが日本人に適切な用量を設定する上で有用であると考えられること、また、国際共同治験の結果の解釈に際しても重要な情報となりうると考えられることなどから、必要に応じ、国際共同治験の実施と並行して適切な臨床薬理試験を実施したり、国際共同治験の中で薬物動態と臨床効果との関連を検討するなどして、その結果を承認申請資料に含めることが望まれる。



●●●Question:4. 海外臨床試験成績に基づき用量設定を行い、国内での用量設定試験を実施せずに、検証的な第V相試験から日本人を組み入れるという開発計画は受入れ可能か?●●●


●●● Anser ●●●

これまでの承認事例、ICH-E5 ガイドラインに基づく承認審査の経験等を踏まえると、日本人と外国人との間で薬物の体内動態等が異なることも多く、現在の科学技術水準においては、外国人での臨床試験結果に基づき設定された推奨用量が日本人での推奨用量であると結論付けることは困難であり、有効かつ安全な医薬品を日本人患者の元へ届けるという本来の目的からして適切ではない。

したがって、開発を円滑に進め、日本における承認時期を海外と同時期とするためには、国際共同で実施される用量設定試験に日本人患者を組み入れ、民族間での用量反応性の差異を臨床開発の早期に同定し、その後の検証的試験を計画することが望まれる。

仮に日本人と白人で推奨用量が異なっている場合にも、各地域で設定した用量における有効性及び安全性が同等であることをエビデンスに基づき説明できるのであれば、その後の第V相国際共同治験(検証的試験)は各地域での結果を統合し主要な解析集団として取り扱うことも可能である。


なお、PK(pharmacokinetics)に線形性があり、PK とPD(pharmacodinamics)に相関性があることが明らかとなっているような場合等には、臨床効果を指標とした日本人での用量設定試験は必ずしも必要ないと考えられる。



(注)希少疾病用医薬品、生命に関わるような疾患で他の治療法が確立していないような分野等については、そもそも国内での用量設定試験を行うことが困難な場合があり、このような場合には、医師の厳重な監督下で第V相試験を行う等の工夫を検討すべきである。





●●●Question:5. 国際共同治験を計画する場合の基本的な留意事項は何か?●●●


●●● Anser ●●●

基本的には以下の事項について留意すべきである。

なお、詳細については、ICH-E5ガイドラインのQ&Aの質問11を参照されたい。


▼国際共同治験を実施する場合には、それぞれの地域における民族的要因が治験薬の有効性及び安全性に及ぼす影響について評価し、また、日本人における治験薬の有効性及び安全性について評価できるよう計画することが必要である。

▼実施する国際共同治験のデザイン及び解析方法が我が国にとって受入れ可能なものであることが必要である。

▼主要評価項目は、各地域に許容されているものであるべきであり、主要評価項目が地域により異なる場合には、すべての地域においてすべての主要評価項目に関するデータを収集し、地域間での差異を検討できるようにすべきである。

▼安全性評価を適切に実施するため、全地域での有害事象の収集方法及び評価方法をできる限り統一すべきである。


(以下、略)

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・・・・とまぁ、こんな具合です。


ICH-E5ガイドラインが導入された頃とあんまり変わっていないな、というのが僕の感想です。
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■外国で実施された医薬品の臨床試験データの取扱いについて
   ↓
外国で実施された医薬品の臨床試験データの取扱いについて

上記のICH-E5のガイドラインが出たのが平成10年ですから、この10年間、基本的な考え方は何も変わっていないですね。

もっと革新的な考え方が、そろそろ出てきてもいい頃だと思うのですが。





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医薬品ができるまで(治験に関する話題)


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2012年05月03日

日本の治験環境の台所事情

こんなものがあります。
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■臨床医学分野 科学技術・研究開発の国際比較(2011年版)
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臨床医学分野 科学技術・研究開発の国際比較(2011年版)

科学技術振興機構 研究開発戦略センター (JST/CRDS)が出したものです。

ちょっと、中身を見てみましょう。

・・・・という話を前回は「医薬品ができるまで(治験に関する話題)」でやったのですが、話が長くなりそうなので、今回は「ホーライ製薬」で見ていきたいと思います。


繰り返しますが、「臨床医学分野 科学技術・研究開発の国際比較(2011年版)」の「エグゼクティブサマリー」にはこんなことが記載されています。


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臨床医学に関しては、ライフサイエンスの基礎研究、橋渡し研究、および臨床研究の推進や、臨床研究の基盤整備、治験環境の充実などを通じて、医薬品開発や医療機器開発におけるイノベーションの創出に向けた集中投資が行われてきた。

一方で、日本では臨床研究に係る制度や研究体制等、様々な側面に課題が存在する。

そのため、より迅速かつ効率的に臨床研究を進めるための仕組みづくりが急務であるとして、政策立案や行政の場において様々な取組みが模索されているところである。

基礎研究の成果を実用化につなげていく推進力は依然として欧米に劣る面もあり、複数の分野において臨床研究の振興、産学・医工連携の推進、人材育成、制度改革、グローバル化あるいは海外展開への対応、その他の研究開発基盤整備等への取り組みが課題となっている。


「医薬品開発」分野は、まず創薬に関しては、研究開発、バイオ産業の育成、臨床開発環境の整備等、イノベーション創出に向けた積極的な取組みが各国で行われている。

また人材のボーダレス化をはじめとする研究開発の国際化が、先進国に限らず新興国でも加速している。

欧米では主要なブロックバスター品が次々と特許切れを迎えているが、産学官の効果的な連携により基礎研究の成果を速やかに実用化につなげていく仕組みは依然として機能している。

一方、日本は基礎研究では欧米と比肩しうるものの、応用研究や臨床開発を支える基盤の整備が未だ十分とは言えない状況にある。


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そうですよね。

あなたも実感していることでしょう。「様々な側面の課題」に。

このことは、僕が働き始めた30年前から言われていることですが、いっこうに改善の兆しがみえません。

関係者は「本気モード」でやっているのでしょうか?

特に脅威はこれです(↓)。


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東アジア地域では韓国が主要な治験国となっている。

日本での取り組みもここ数年で急増しているが、1 施設あたりの症例数の少なさや高額な治験コストといった課題も残る。

マイクロドーズ臨床試験、早期探索的臨床試験に関しては、欧米が主導している。

2009 年には日米欧の三極による医薬品規制調和国際会議で早期探索的臨床試験の実施要件を含む非臨床試験ガイダンス(ICH-M3)の改訂が合意され、2009 年から2010 年にかけて日米欧の国内で規制化された。

この分野で日本は、技術力は高いものの実施の面で欧米に遅れている。

「再生医療」分野では、日本は細胞治療の研究水準が高

特にiPS 細胞の創出に見られるように幹細胞生物学等の基礎研究や、少数例ではあるが臨床研究で国際的にも高い競争力を有している。

しかし開発研究は弱く、産業化へ向けた企業への技術移転が限定的となっている。

これに対し米国では基礎から実用化までの学際的な取組みが活発に行われている。


欧米企業は次の薬剤開発として抗体およびタンパク質製剤の開発を競っている。

日本は欧米と比較するとこの分野での研究開発は遅れている。

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未だに「欧米」に遅れていることは、先刻承知のことですが、アジア地域においても韓国などに遅れをとっています。

日本国内が関係者の間で「利権争い」に明け暮れている間に世界は5万年光年も先を行っています。

いいのでしょうか?

もちろん、よくありません。

日本に住んでいる患者さんが、最新の治療を受けるためにアメリカに行った、なんていう話がざらに聞こえてきますからね。


ひょっとしたら、今後は最新の治療を受けるために、患者さんが、中国や韓国に行く、なんていうことも起こり得るかもしれません。
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中国は、国際的な研究開発拠点となるべく国家中長期科学技術発展計画に基づく政府主導での人材教育や環境整備の推進、基礎研究への投資が積極的に行われている。

医薬品市場の急速な伸長もあり、国内の医薬研究・産業基盤は着実に力を増大している。

またアジアに多い疾病の研究のために中国に基礎・開発研究所を開設する欧米製薬企業も多く、今後、創薬にかかわる基礎開発研究基盤が急速に充実することは必至と見られている。

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■■■ 医薬品ができるまで(治験に関する話題) ■■■
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医薬品ができるまで(治験に関する話題)


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日本の治験が進まない理由

再び、■臨床医学分野 科学技術・研究開発の国際比較(2011年版)について見ています。
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臨床医学分野 科学技術・研究開発の国際比較(2011年版)


「国際共同治験」の日本のトレンドはどうでしょうか?
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【実施基盤】

●2009 年度は国際共同治験の治験届けが113 件提出されており、中核拠点病院を中心に施設の受け入れ体制は改善している。

EDC(Electrical Data Capturing、治験データの電子化システム)による治験も増加している。

スタッフの英語力は課題として残されているものの、中核拠点病院ではEDC や症例報告の英語での対応が提言されている。

中核拠点病院であっても欧米等の医療機関と比較すると規模が小さいため、1 施設あたりの症例数が少なく、症例集積性が課題である。


また、医師数も少なく日常業務に追われ、臨床研究を行う時間が限られている。

PMDA の審査部門の職員数は2010 年4月現在で389 名となっており、2006 年4月時点と比較すると倍増している。

日中韓で、臨床試験データの人種的要因や臨床試験に関する情報交換に向けた検討が進められている。




【場の競争力】

●新たな治験活性化5 ヵ年計画のもと、インフラ整備が進んでいる。

中核拠点病院40 施設のほか、グローバル臨床研究拠点2施設(北里研究所、慶應義塾大学病院)が新たに選定された。

2009 年の治験届出数は、初回治験届で119 件、n 回届で553 件となっており2005 年より増加している。

国際共同治験は2007 年が37 件であったのに対し、2009 年では113 件と急激に増加している。

2009 年にclinicaltrials.gov に登録された臨床試験数は344 件だった。

治験コストには改善が見られるものの、さらなる改善が期待されている。



【国際共同治験の現状】

●医薬品開発のグローバル化に伴い、非ICH 地域においても多くの臨床試験が行われるようになった。

韓国は東アジアにおける国際共同治験の主要な国となっている。

日本においては、世界同時開発、同時承認という観点から、規制当局が国際共同治験への参加を強く推奨した。

それに伴って2008 年9 月に「国際共同治験に関する基本的考え方について」というガイドラインがPMDA より示された。

これらによって具体的な要件が明確になったこともあり、日本での国際共同治験が急激に増加した。


グローバル企業を中心として実施され、2009 年は2007 年と比較するとおよそ3 倍の113 件だった。

治験コストや人種的要因の類似性もあり、その7 割にアジアの国々が含まれている。


アジアの国だけで行うアジア治験は日本が企画・マネジメントを行うケースが多い。


●人種的要因について

グローバル開発が推し進められる中で、圏外からのデータが増えたことにより、欧米で人種的要因に関する議論が高まってきている。

EU では人種的要因に関するガイダンスが2009 年に策定された。

東アジア地域では疾患の特性や薬の効果についての人種的要因の類似性があると考えられているため、日本、中国および韓国でそのことに関する研究が実際の薬剤を用いて進められている。

アジア地域での臨床データの人種的要因が明らかになれば、さらにアジア治験が増加することが予想される。



●今後解決すべき課題

1、症例集積性

日本の医療機関の規模の問題もあるが、モニタリングの効率化に寄与し治験コストの改善も期待されるネットワークの構築などの、症例集積に向けた対応が急がれる。


2、英語でのコミュニケーション

EDC やCRF(Case Report Form、症例報告書)など英語の受け入れ環境が整いつつあるが、今後の国際共同治験の増加が予想されるなかで日本が国際共同治験において主導的役割を担っていくにはこれまで以上の向上が望まれる。


3、治験コスト

日本の治験コストは改善が認められるものの、国際競争力を有するためにはこれまで以上の改善が望まれる。

費用算定の透明化、支払い方法の見直しや症例集積性の向上などが必要とされる。


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日本、韓国、中国で、相互に治験データが利用できるとなれば、今後、ますます韓国や中国でアジアンスタディが進み、日本は治験の空洞化が懸念されますが、患者さんにとっては、そんなこと、どうでもいい話です。

日本で治験をやろうが、韓国だろうが、中国だろうが、とにかくに日本国内で新薬が1日でも患者さんに届けばいい話ですからね。

日本の治験関連企業に勤めている私が言うのもなんですが、このままでは治験関連企業は衰退の一歩を免れません。。

重箱の隅を突くようなGCPの「お勉強」ばかりやっていないで、どうしたら、日本で治験が革新的に進むかを考えようではありませんか。

ちなみに「重箱の隅を突くような」とは、以下のような質問が製薬協に来る、ということです。
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(治験119:質問番号:2011-35 公表用治験審査委員会の会議記録概要を議事録で代用することの可否について)

治験119


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治験審査委員会の会議記録概要等の公表につきましては、平成20年の改正GCP省令により規定されているところだと思いますが、この中で、「実施医療機関等のホームページで公表することが望ましいが、体制が整っていない場合には事務所に備えておくこと等により一般の閲覧に供している事で差し支えない」とあります。

当院はホームページはありますが、会議録概要等を公表できる体制が整っていない(定期的にホームページを更新できる職員が院内にいない)ため、書面で治験事務局に備え置いています。

ホームページで公表できないため、GCP上定められている会議記録概要等の作成の必要性をとある製薬会社様に質問したところ、「議事録内に公表に当たって必要とされている項目が網羅されていれば、別に会議記録概要を作成しておく必要はなく、議事録をこれに読み替える事で問題ない」と判断頂き現在に至っています。

閲覧の希望があった場合には、他の治験依頼者の治験はマスキングなど必要な措置は施した状態で、議事録を公表しています。

しかし、最近開始された治験の治験依頼者より「議事録は議事録、概要は概要なので、たとえ議事録上に必要事項が全て網羅されていても、会議記録概要は作成の必要がある。議事録と一緒に会議記録の概要もファイルに保管してほしい」とお話がありました。

ホームページ上で公表できる体制が整っていないため、また、議事録で読み替える事で問題ないとお話もいただいていたため概要を作成していないと説明したのですが、「GCPで定められていますので必要です」との事で、今回の要求に関しては理解に苦しんでいます。

「議事録は議事録、概要は概要」なのか、「内容が網羅されていれば、公表体制が整っていないので議事録に必要事項があれば読み替えて問題ない」なのか、この様な場合、どのように対応したらよいのでしょうか。

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上記の質問をされた方は病院の方(この方は被害者ですね)だと思うのですが、問題は依頼者側の「たとえ議事録上に必要事項が全て網羅されていても、会議記録概要は作成の必要がある。議事録と一緒に会議記録の概要もファイルに保管してほしい」「GCPで定められていますので必要です」という発言です。

こんな発言(依頼者側の)をするのは、そろそろやめませんか?

笑っちゃいました。(本当はこんなアホな質問をした治験依頼者に怒り心頭なのですが。)





■■■ 医薬品ができるまで(治験に関する話題) ■■■
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医薬品ができるまで(治験に関する話題)


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