2012年05月24日

臨床研究・治験活性化5か年計画2012に対する意見(4)

今週は「『臨床研究・治験活性化5か年計画2012(案)』に関する意見の募集について寄せられた御意見について」ということで、治験の活性化5ヶ年計画に対するパブリックコメントうについて見ていきます。
   ↓
臨床研究・治験活性化5か年計画2012(案)」に関する意見の募集について寄せられた御意見について


そもそもこれは、「臨床研究・治験活性化5か年計画2012案に関する意見の募集について」によせられたパブリックコメントです。。


●●●【 意見8 】●●●

★★★治験手続の効率化の一環として単年度契約の廃止を推進しては如何か。
   ↓
  (回答)
貴重な御意見をありがとうございます。
今後の取組の参考にさせていただきます。

●●●●●●●●●●●●●

そうですね、単年度計画だと手続きが面倒ですからね。


その他にも治験に関する統一書式に対するコメントも多数あります。


●●●【 意見9 】●●●

★★★共同IRB等の活用において、各医療機関ごとに作成されるIC等の取り扱いについてどのように考えていくか。
また、統一書式を活用するなどし、申請書類は一元化が望ましいのではないか。
   ↓
  (回答)
貴重な御意見をありがとうございます。
今後、アクションプランを策定する際の参考にさせていただきます。




★★★統一書式は徹底ではなく、施設に対してはその使用をGCPとして義務化して、記載方法に関しても統一化を図り、別紙や別添等を依頼者に要求しないことを検討しては如何か。
   ↓
  (回答)
貴重な御意見をありがとうございます。統一書式は治験の効率化を図るために導入しておりますが、GCPとして義務化することまでは考えておりません。

しかし、今後、以下の計画に基づき、取り組んでいきます。

「「治験等の効率化に関する報告書」の「4.治験プロセスにおける効率化について」に記載している以下の内容について国は周知に努め、医療機関、治験依頼者等の治験に携わる関係者が理解し、確実に実行することにより、業務の効率化と負担の軽減、さらに治験コストの低減を図る。

・ 治験手続きをGCP省令等の要求に沿った必要最小限の手順等で実施する。

・ IRB審査資料の統一化と電子化を行う。

・ 医療機関における治験実施体制の整備と役割分担を適正化する。

・ サンプリングSDV(Source Document Verification)の在り方の検討を含め、モニタリング業務(直接閲覧を含む)を効率化する。」




★★★統一書式の導入を徹底していただきたい。
   ↓
  (回答)
貴重な御意見をありがとうございます。

「新たな「治験の依頼等に係る統一書式」について(通知)(平成24年3月7日付け医政研発0307第1号厚生労働省医政局研究開発振興課長通知・薬食審査発0307第2号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知。)」を発出したところであり、引き続き、統一書式の使用の徹底に取り組んでいきます。


●●●●●●●●●●●●●


「統一書式」の導入は、もちろん、実務的な効率化に繋がりますが、実はもっとほかの効用があります。

それは「治験の手続きは効率化しないといけないよね」という意識を治験実施医療機関の事務局の皆さんに持って頂ける点です。

治験の手続きをもっと効率化する方法は「実施医療機関の長」をGCPから外すことです。

ICH-GCPには「医療機関の長」なんて出てきませんからね。

さっさと「医療機関の長」を外して欲しいものです。



サンプリングSDVについての意見もありました。
  ↓
●●●【 意見10 】●●●

★★★モニタリング業務の効率化とあるが、国がサンプリングSDVの基準等を示すなど、具体的に方策を示すべきと思われる。
   ↓
  (回答)
貴重な御意見をありがとうございます。
今後、アクションプランを策定する際の参考にさせていただきます。

●●●●●●●●●●●●●

サンプリングSDVの基準なんか、治験依頼者がさっさと社内で決めればいいことです。

外資系の海外本社のSOPには、サンプリングSDVのSOPがあることが多いので、それを日本で実施しましょう。(もうやっている会社もありますが。)

何でもかんでもお上頼りという体質から脱却するのも私たちの務めです。

国が決めてくれないから、何もできない、なんて、責任逃れもいいところです。

いいと思ったら、即、実行しましょうね。





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2012年05月23日

臨床研究・治験活性化5か年計画2012に対する意見(3)

●緊急情報!

規制・制度改革に関する分科会第1ワーキンググループ

規制・制度改革事項(案)

GCP省令の国際基準との整合

◆◆◆規制・制度改革事項(案)◆◆◆ <=====必見!


GCP省令が「ガイダンス」になるかも・・・・です。


今日はちょっと違った情報から始めましょう。

行政刷新会議の話題です。
 ↓
行政刷新会議とは?
 ↓
行政刷新会議



この「行政刷新会議の下」に「規制・制度改革に関する分科会」があります。
 ↓
行政刷新会議・分科会
 ↓
「規制・制度改革に関する分科会」は、「行政刷新会議の設置について」(平成21年9月18日閣議決定)の規定に基づき、規制・制度改革に関する検討を行うため、行政刷新会議に設置されました。」

さらに上記の分科会の下に第1ワーキンググループがあり、そこでGCP省令の見直しが検討されています。
 ↓
規制・制度改革に関する分科会第1ワーキンググループ(復旧・復興/日本再生)規制・制度改革事項(案)


上記の「規制・制度改革事項(案)」の34ページをご覧頂けると分かりますが、GCP省令の国際基準との整合が検討されています。

日本のGCP(J-GCO)をよりICH-GCPに近づけようと言う検討がなされています。

どんなことが検討されているか、というと・・・・・・


会議資料のGCPに関する記載

改革事項に対する基本的な考え方

・日本のGCP省令は、基本的には、ICH−GCPに準拠して策定されているが、@GCP省令の一部にICH−GCPと異なる規定が存在し、AGCP省令の運用通知(「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」の運用について(平成 23 年 10月 24 日薬食審査発 1024 第1号))において過度に詳細な点まで規定されているといった指摘がある。

・具体的には、@治験の契約に関する規定において、以下のようなICH−GCPと異なる規定がみられる。

ア) GCP省令では、治験依頼者と実施医療機関が契約を締結しなければならない旨規定しているが、ICH−GCPでは、治験依頼者と治験責任医師又は治験実施医療機関が契約を締結しなければならない旨規定している。

イ) GCP省令では、契約書の項目に、「治験責任医師の職名」、「治験分担医師名」、「目標とする症例数」の記載が求められているが、ICH−GCPでは、このような記載は求められていない(このため、日本では、これらの項目の内容に変化が生じるたびに倫理審査委員会(治験に先立って治験の安全性及び理論性を審査する委員会)において契約書を審査する必要が生じる)。

ウ) GCP省令では、治験の依頼及び管理に係る業務委託が可能な範囲を一部に限定しているが、ICH−GCPでは、一部のみならず全部の委託が可能である。

・また、AGCP省令の運用通知は、事実上、GCP省令の逐条解説となっているのみならず、GCP省令では求められていない事項も規定されている

・このため、医療機関、治験依頼者及び自ら治験を実施する者にとって国際基準からは過剰である文書を作成・保管する時間・コストの負担が生じているとの指摘がある。

・これらの点を踏まえれば、GCP省令をICH−GCPと整合させるとともに、GCP運用通知を廃止し、文書の作成・保管を過度に求めないようにすべきである。


具体例、経済効果等

・日本における臨床試験の活性化が期待できる。



改革案

・GCP省令(医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成9年3月 27 日厚生労働省令第 28 号))の内容をICH−GCPの内容と整合させるよう、GCP省令の見直しに向けた検討を行い、結論を得る。

<平成 24 年度検討・結論>

・GCP省令(医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成9年3月 27 日厚生労働省令第 28 号))の運用通知(「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」の運用について(平成23 年 10 月 24 日薬食審査発 1024 第1号))を廃止して事務連絡とするなど、ガイダンスとして取り扱う旨を明確化する。

<平成 24 年度措置>

・・・・・・・ということです。

どうせ見直すなら、とことん、見直してほしいものです。

今後の検討に注目していきましょう!


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今週は「『臨床研究・治験活性化5か年計画2012(案)』に関する意見の募集について寄せられた御意見について」ということで、治験の活性化5ヶ年計画に対するパブリックコメントうについて見ていきます。
   ↓
臨床研究・治験活性化5か年計画2012(案)」に関する意見の募集について寄せられた御意見について


そもそもこれは、「臨床研究・治験活性化5か年計画2012案に関する意見の募集について」によせられたパブリックコメントです。。



●●●【 意見6 】●●●

国際共同治験などを行っていくためには、医療機関が国際競争力を有していることが必須となる。

国内とアジア(特に韓国)の医療機関を早急に徹底して比較し、国内の医療機関の現状と課題を洗い出し、改善につなげてもらいたい。

比較すべき点としては、医療機関の実施体制(スピード、人材の配置、英語のスキル等)とサイエンスレベル(臨床研究に関する主な医学雑誌の掲載論文数)などが望ましい。

●●●●●●●●●●●●●

今や、「アジアンスタディ」と言えば「韓国」ですからね。

関係者の努力は分かります。

でも、韓国と日本で共同で開発する道を探したほうが速いと思います。
   ↓
これに対する回答は以下のとおりです。
   ↓
●●●【 回答4 】●●●

貴重な御意見をありがとうございます。

「新たな治験活性化5ヵ年計画(平成19年3月30日文部科学省・厚生労働省。以下「旧計画」という。)」には、「国際共同治験・臨床研究の推進における障害の解消」について記載しており、今後、旧計画の評価を行う予定です。

●●●●●●●●●●●●●


あとは、英語ですね。

英語はしっかりと今から学んでおきましょう。モニターもCRCも、もちろんドクターも。


『治験ネットワーク』についても、いろんな意見が集まりました。
   ↓
●●●【 意見6 】『治験ネットワーク』の現状と問題のご意見●●●

★★★治験ネットワークにおいて、実施可能性が低い施設は治験を実施できないようにするシステムが必要ではないか。

電子カルテのシステム要件についてある一定の枠組みを設け、検査データも含めたデータの統合を目指すべき。

インセンティブに関し、医師の治験業務や論文掲載等について業績として適切に評価できる仕組みを行政として行ってほしい。
   ↓
  (回答)
貴重な御意見をありがとうございます。今後の参考にさせていただきます。



★★★治験ネットワークの促進を主体的に行うのはどこか明記した方が望ましい。
   ↓
  (回答)
貴重な御意見をありがとうございます。
今後、アクションプランを策定する際の参考にさせていただきます。


★★★治験ネットワークは集積する症例の質の向上にも取り組むべきではないでしょうか。
   ↓
  (回答)
貴重な御意見をありがとうございます。

計画には、「治験ネットワークは、治験ネットワーク参加医療機関が共同で臨床研究・治験を実施するのみならず、共同IRB等や患者紹介システムの構築等により、治験の効率化、症例集積性、IRBの質の向上を図るように努める。」と記載しており、今後、計画に基づき、取り組んでいきます。



★★★共同IRBの位置づけを明確化して、共同IRBのメリットを最大限に活用できる体制を促進してほしい。
   ↓
  (回答)
貴重な御意見をありがとうございます。
計画には、「国等による倫理審査委員会の認定制度(倫理審査委員会の質を保証するシステム)の導入」について記載しており、今
後、計画に基づき、取り組んでいきます。



★★★治験ネットワークの促進については、インセンティブの導入だけはなく、診療報酬や患者の治験実施機関への紹介と治験終了後の診療に対して紹介先へ通院を戻すことを義務付けるなど、より積極的な対応についてもご検討いただきたい。
   ↓
  (回答)
貴重な御意見をありがとうございます。

計画には、「治験に協力する開業医へのインセンティブについても検討を行う。」と記載しており、今後、計画に基づき、取り組んでいきます。



★★★疾患に応じた治験ネットワークの構築については、企業主導治験に限らず、推進をお願いします。
   ↓
  (回答)
貴重な御意見をありがとうございます。

計画には、「治験ネットワークについては、対象疾患の特性に応じて疾患別ネットワークと地域ネットワークを使い分け、疾患レジストリー等を活用した十分な症例集積に取り組む。」と記載しており、治験ネットワークの構築については、企業主導治験に限らず、今後、計画に基づき、取り組んでいきます。




★★★厚生労働科学研究班にも存在せず、治療ガイドラインもない疾患も本ネットワークの窓口として網羅されるよう希望。

情報の得難い疾患こそ、医療関係者にも患者にもレジストリーの集積が重要。

特に標準治療が限られている希少疾患においては、治験も治療のひとつの貴重な道であり、第1相であっても積極的に参加したいニーズがある。

患者自らが主体的に参加できる治験は理想であり、患者もその治験情報を得るためにアクセスし易い環境が必要。

現在の医薬品情報データベースの検索などは医療者向けで、一般に難解である。

また現在は、病名で検索すると該当がなく、例えば大きく括って{がん}で検索するとあまりにも多くのデータがヒットしてしまい使いにくい。

自分の疾患で、現在応募可能な治験や臨床研究はないか、と自ら検索できるシステムは患者の主体的参加のために大きな意味があり希望である。

あちこちを探しまわることなく、治験に関する全国のデータが集積されているデータベースから、検索できる体系が理想である。
   ↓
  (回答)
貴重な御意見をありがとうございます。
今後、アクションプランの策定にあたっては、被験者への情報提供のあり方についても検討する予定です。




★★★疾患に応じた治験ネットワークの構築は<短期的に目指すこと>にすべきである。
   ↓
  (回答)
中・長期的に目指すことに記載している事項についても、可能な限り速やかに、検討に着手する予定です。




★★★治験ネットワークの拡充は必要だが、各試験事務局(個々の試験で安全性をマネジメントなどを行う事務局)の充実が必要である。

各試験事務局と治験ネットワーク(ここで記載されているようにIRBの機能をもったネットワーク)の同居した状態は、審査と推進が同じになっており、利益相反の意味でおかしな構造になっているのではないか。
   ↓
  (回答)
ご意見の主旨が十分理解できていませんが、計画には「治験ネットワーク事務局機能の強化」について記載しており、今後、計画に基づいて取り組んでいきます。


●●●●●●●●●●●●●


・・・・・・という事で、治験ネットワークは今まで以上に活用することを期待されているようです。

ネットワークの事務所の皆さん、是非、頑張っていきましょう!ね。

全ては事務局の皆さんの腕に(情熱に)かかっています。






●●●【 意見7 】●●●

医療機関と治験依頼者がお互いに過度に依存し合っている具体的状況を例示して、医師、医療機関、依頼者の業務分担や責任の所在を明確にして、依存状態の改善を促すことが必要ではないか。

●●●●●●●●●●●●●

これ(↑)は、なかなかいい意見です。

それぞれが本来の役割を果たすようにしましょう。そうなりたい。

   ↓
これに対する回答は以下のとおりです。
   ↓
●●●【 回答5 】●●●

貴重な御意見をありがとうございます。

例えば、計画には、「保険外併用療養費の適用範囲について、個々の治験依頼者、医療機関によって考え方の違いがあるとの指摘を踏まえ、治験における保険外併用療養費の適用範囲について更なる周知を図る」こととしており、今後、計画に基づき、取り組んでいきます。

●●●●●●●●●●●●●

是非、特に「保険外併用療養費の適用範囲」については通知のとおりにしてほしいですよね。

治験薬投与前の治験に関連する検査も治験依頼者がもて、とか、追跡調査の後観察の検査を治験依頼者が持てとか。

治験実施施設からの無茶ぶりにはもううんざりです。

でも、これはひょっとしたら治験における「保険外併用療養費の適用範囲」の「治験期間」を見直すというのも手ですよね。

今は「保険外併用療養費の適用範囲」の「治験期間」はご存じのとおり「治験薬の投与開始」から「治験薬の投与終了」までです。

これを拡大して、同意取得後で、治験薬投与前の治験に関連する検査や画像診断から適用を開始し、プロトコルで規定されている「後観察」が終了まで、とするの患者さんにとっても一番だと思います。


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2012年05月22日

臨床研究・治験活性化5か年計画2012に対する意見(2)

今週は「『臨床研究・治験活性化5か年計画2012(案)』に関する意見の募集について寄せられた御意見について」ということで、治験の活性化5ヶ年計画に対するパブリックコメントうについて見ていきます。
   ↓
臨床研究・治験活性化5か年計画2012(案)」に関する意見の募集について寄せられた御意見について


そもそもこれは、「臨床研究・治験活性化5か年計画2012案に関する意見の募集について」によせられたパブリックコメントです。。




●●●【 意見3 】●●●

★★★「治験依頼者や治験ネットワーク事務局は、医師に治験を実施するインセンティブを持たせる工夫について検討を行う」とあるが、これまでも各関係者は考えてきたことである。

国が大胆な発想、例えば国立大学や国立病院機構の医師であれば、治験の実施数に応じて昇進のためのポイントとなるとか、治験の実施数を賞与に反映させるなどを提案、実行しないと何も変わらないのではないか。

国が実施すれば、その他の医療機関も同じように対応するのではないか。


★★★「治験に協力する開業医へのインセンティブについても検討を行う」のインセンティブについて具体的な方策に踏み込んでもらいたい。

●●●●●●●●●●●●●

う〜〜〜ん、そうですね。まさに!!

「医師に治験を実施するインセンティブを持たせる工夫について検討を行う」というのは10年以上前からいろんな立場の人がいろんなところで言っていますが、まったく改善の余地なし。

だから、これはもう諦めましょう。

民間がそれなりの工夫をしたほうが速いんじゃないの? という感じです。

私立病院から、さっさとやってしまいましょう。

国に頼っている時代ではありませんから。

   ↓
これに対する回答は以下のとおりです。
   ↓
●●●【 回答3 】●●●

貴重な御意見をありがとうございます。

今後、アクションプランを策定する際の参考にさせていただきます。

●●●●●●●●●●●●●

ね?

当たり障りのないお役人言葉でお茶を濁しています。

このままでは、多分、あと10年たっても現状は変わってないですよ。

「医師に治験を実施するインセンティブを持たせる工夫」については聖マリアンナ大学とか東海大学あたりから着手してはいかがでしょうか?

(慶應大学でもいいけど。)






●●●【 意見4 】●●●

現5カ年計画の実施により期待される治験・臨床研究の姿として、以下が提示された。

@ 治験・臨床研究のコスト、スピード、質が米国等諸外国並に改善されている。

A 国際共同治験の実施数がアジア周辺国と同等以上の水準まで向上している。

B 質の高い最先端の医療の提供を確保し、国民が安心して治験・臨床研究に参加することができる体制が確保されている。

がん患者の希望に繋がる重要な施策であることから上記の確実な実現に向けた取り組みを強く要望する。

●●●●●●●●●●●●●


この(↑)最後のご意見が切実で、キモです。

がん患者にとっては「5ヶ年」なんて待ってられませんからね。

治験の活性化1秒計画、でもいいぐらいです。



がん患者さんだけではなく、こんな病気の人からのご意見もあります。
   ↓
●●●【 意見5 】●●●

「日本発のシーズによるイノベーションの進展、実用化」についての意見です。

私たちの患う「遠位型ミオパチー」は進行性の重篤な筋疾患です。

治療法は全くなく、国内患者数は数百名と推測される非常にまれな疾患です。

2009年5月、日本の研究グループにより、世界で初めて動物実験において治療効果(シアル酸補充療法)が示され、世界中の患者、家族が驚喜しました。

しかし一方、既存の制度や取組のみでは、日本発の希少疾病薬実用化には、費用をはじめ大きな壁が立ちはだかります。

この基礎研究の成果から実用化の間、いわゆる「死の谷」を乗り越えるためには、公的資金等の支援が必要不可欠です。

まさに「日本発のシーズによるイノベーションの進展、実用化」にあたるケースであり、「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」が非常に有効な手立てとなると考えます。

逆にいえば有効でないならば、資源は限られている以上、日本発の希少疾病薬実用化の道が閉ざされるに近いと言えるかもしれません。

希少疾病薬開発は製薬業界全体の中でも大きな潮流となりつつありますが、本計画により日本発の希少疾病薬実用化のモデルケースをつくることが可能であり、遠位型ミオパチー治療薬はそれに最も近い位置にあるものとして存在します。

●●●●●●●●●●●●●



まだ、当分、「日本発のシーズによるイノベーション」は期待できませんので、日本で見つかったシーズをアメリカで開花させる方法を模索したほうが速いと思います。

こんなニュースを覚えていないですか?
  ↓
★「iPS細胞使い米で治験 東大・京大申請へ 」

★「【政策】新薬開発「日本は無力」 中村祐輔・東大医研教授兼内閣官房医療イノベーション推進室長 室長を辞任し米シカゴ大学に移籍」


患者さんにとっては治験が日本で実施されようがアメリカで実施されようが関係ありませんからね。

とにかく1秒でも早く手に入れたい、苦しみから逃れたいわけです。

アメリカで治験を実施し、新薬として承認されたら、公知申請で日本に導入するのが一番早いと思います。

「公知申請とは」
  ↓
公知申請



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2012年05月19日

臨床研究・治験活性化5か年計画2012に対する意見(1)

今週は「『臨床研究・治験活性化5か年計画2012(案)』に関する意見の募集について寄せられた御意見について」ということで、治験の活性化5ヶ年計画に対するパブリックコメントうについて見ていきます。
   ↓
臨床研究・治験活性化5か年計画2012(案)」に関する意見の募集について寄せられた御意見について


そもそもこれは、「臨床研究・治験活性化5か年計画2012案に関する意見の募集について」によせられたパブリックコメントです。。


さてさて、どんな意見が寄せられたでしょうか?

●●●【 意見1 】●●●

『概ね欧米諸国等に劣らない治験実施体制が整備されたものと考える』と記載されてますが、根拠はありますでしょうか。

●●●●●●●●●●●●●
   ↓
これに対する回答は以下のとおりです。
   ↓
●●●【 回答1 】●●●

「『新たな治験活性化5ヵ年計画の中間見直しに関する検討会』報告」(平成22年1月19日)には、治験にかかるコストに関しては、全体として欧米と比べて依然として高いと指摘されているものの、スピードに関しては、全体として欧米と比較して遜色ないレベルとなっているとされており、また、質に関しては、大きな問題は見られないとされています。

●●●●●●●●●●●●●


ちょっと苦しい回答かな。

CRCやローカルDMなどの体制(人数も質も)はまだまだ欧米諸国に負けていますよね。

そもそも新薬の製造販売承認申請を審査する当局(総合機構&厚生労働省)の人数がまだまだFDAの10分の1ですからね。

被験者の集積率でいうと、まだまだ、アジアではダントツでビリです。


「昔の日本に比べれば・・・・・・」というところでしょうか。





●●●【 意見2 】●●●

・臨床試験に関しては「補償」の問題についても研究者に委ねられているが、被験者保護の観点から考えれば国からの補助も考慮すべきである。

・IRB、および倫理審査委員会は機能不全となっており、やはりIRBに対する教育の強化は必要だと感じている。

・エビデンスに繋がる質の高いデータを求める事は必要不可欠であるが、参加する患者さんがあって初めて成り立つ「臨床試験や治験」である。被験者保護の観点から、医療機関が組織として、どのように責任を果たしていくのかを是非、明確にしていただきたい。

・本当に必要な臨床試験に対するサポート体制がまったく構築されていない。

・治験、および臨床試験を実施する医療機関における組織としての責任が明確でない。

●●●●●●●●●●●●●


上記の意見2で私も同感なのは・・・・

★被験者保護の観点から考えれば国からの補助も考慮すべき

★IRBに対する教育の強化

★医療機関が組織として、どのように責任を果たしていくのか

★医療機関における組織としての責任が明確でない

   ↓
これに対する回答は以下のとおりです。
   ↓
●●●【 回答2 】●●●

貴重な御意見をありがとうございます。

計画には、「臨床研究における被験者への補償の在り方について検討」や「倫理審査委員会の質の向上等」について記載しており、今後、計画に基づき、取り組んでいきます。
 


また、臨床研究・治験を医療機関が組織として取り組むことは重要と考えており、臨床研究中核病院の整備にあたっては、以下の機能を求めています。

@ 出口戦略を見据えた適切な臨床研究計画を企画・立案し、ICH-GCPに準拠して臨床研究を実施できること。

A 倫理性、科学性、安全性、信頼性の観点から適切かつ透明性の高い倫理審査ができること。

B ICH-GCPに準拠したデータの信頼性保証を行うことができること。

C シーズに関して知的財産の管理や技術移転ができること。

D 質の高い多施設共同臨床研究(医師主導治験を含む)を企画・立案し、他の医療機関と共同で実施できること。
また中核病院として、他の医療機関に対し、臨床研究の実施に必要な支援を行えること。

E 関係者への教育、国民・患者への普及、啓発、広報を行えること。

F 上記@〜Eの実施に必要となる体制を病院管理者等のもと病院全体で確保できること


●●●●●●●●●●●●●

IRBが機能不全に陥っているという意見は、結構、前からありました。

新薬の早期開発やマイクロドーズの導入等により、治験の難易度が高くなって、IRB委員がそれについていってない、という現状もあります。

今後はIRB委員への教育も重要視されることでしょう。





また、「臨床研究中核病院」について言及されています。
   ↓
<治験中核病院>

●独立行政法人国立がん研究センター中央病院

●独立行政法人国立循環器病研究センター

●独立行政法人国立精神・神経医療研究センター

●独立行政法人国立国際医療研究センター

●独立行政法人国立成育医療研究センター

●千葉大学医学部附属病院

●大分大学医学部附属病院

●北里大学医学部

●慶應義塾大学医学部

●国立病院機構本部



****上記の施設に期待されていること****

中核病院

中核病院は、高度に専門的な知識や経験が要求される等、実施に困難を伴う治験等を計画・実施できる専門部門及びスタッフを有し、基盤が整備された病院をいいます。

次に掲げる機能及び体制の強化が求められます。

・医師主導治験を含む臨床研究が円滑に実施され、他機関との共同研究を主導できるよう、研究計画の立案・統計解析、データマネジメント等を行うことができること。

・他の共同研究を行う医療機関に対して、治験等に関するコンサルティング機能を提供できること。

・治験手続等が円滑に実施されるよう、治験事務等の効率化を図っていること。

**********************

どうですかね?

中核病院はうまく機能しているのでしょうか?

絶対に不可欠なのは「治験に対して情熱を持った人」が中核病院にいるかどうかですね。

それと、是非、治験の中核病院における被験者集積状況や治験手続きの効率化が進んでいるか、治験の依頼から契約の締結までの期間を公表して欲しいですね。

どこかのアンケートで見た記憶なのですが、治験中核病院のほうが治験依頼の手続きに時間がかかっている、という事態もあるそうです。


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2012年05月18日

糖尿病の診断と注意点

●ヘモグロビンA1cの国際標準化について

2012年4月1日より、ヘモグロビンA1cの値は国際標準化され、NGSP値(National Glycohemoglobin Standardization Program:国際標準値)が採用されました。
 
しばらくは、これまでのJDS値(Japan Diabetes Society:日本糖尿病学会値)も併記されますが、最終的にはNGSP値だけの表示となります。




●糖尿病の診断

日本では、日本糖尿病学会が2010年7月より新しい診断基準を施行した。(従来の診断基準は1999年に施行されたもの)

新基準では、血糖値だけでなくヘモグロビンA1c(HbA1c)の基準も設けられた。

血糖値(空腹時血糖値、75gOGTT2時間後血糖値、随時血糖値)及びHbA1cの検査結果で判定を行う。



正常型・・・110未満(空腹時血糖(mg/dl))、140未満(2時間後血糖(mg/dl))


境界型・・・126未満(空腹時血糖(mg/dl))、200未満(2時間後血糖(mg/dl))


糖尿病型・・・126以上(空腹時血糖(mg/dl))、200以上(2時間後血糖(mg/dl))




●血糖値関連の検査

▼血糖値

血糖値は、食事を食べたり運動をしたりすることで容易に変動する。

朝起きてから食事を取らずに測定した空腹時血糖と、どんなとき測ってもよい随時血糖が評価の対象である。

常用負荷血糖(普段の食事をして測定した血糖)では、食事開始(はしをつけて)から1時間後のpostprandial glycemia 1hr(PPG1hr)がピークとなることが多いとされ、有望視されている。


▼ヘモグロビンA1c(HbA1c

過去1-2ヶ月の血糖値の平均値を表すとされる。

HbA1c 6.5%未満をコントロール良好とする。

食生活による変動が激しいことも知られており、最近過食気味といったエピソードがあるだけで糖尿病かの診断では偽陽性となっていまうことがある。

肝硬変、溶血の患者では低めに出ることが知られており、その場合はグルコアルブミンを代用することがある。

HbA1cは5.8%以下で正常、6.5%以上で糖尿病と言われているが、OGTTに基づく診断では正常型、境界型、糖尿病型の各型とも広範囲に分布するためoverlapすることが多く、境界型糖尿病の診断や糖尿病の否定などには用いることができないといわれている。

5.8%より大きい値が出たら境界型糖尿病なども疑い精査する必要がある。




●糖尿病合併症

●糖尿病は合併症の病気といわれているように、糖尿病コントロールの主目的は合併症発症予防と進展の抑制となります。

糖尿病の合併症とは、一般的に急性合併症と慢性合併症に大別されます。

●急性合併症の代表例としては、糖尿病性昏睡と急性感染症があげられますが、これらは治療の進歩(特にインスリン療法)により、発症とその予後(経過)は著しく改善されています。

しかし、未だに克服されたとは言えず、意識障害を来たし、多くの臓器障害まで併発する可能性を含んでおり、生命予後に関わってくる重篤な病態と考えるべきです。


●通常、糖尿病の合併症という場合は、慢性合併症のことを指します。

慢性合併症は、成因やその病態から血管障害合併症とその他の合併症に分けられます。

さらに血管障害は、細小血管障害と大血管障害(動脈硬化性血管障害)とに分けられます。

細小血管障害は、細小血管(毛細血管)の病変から始まる病態で、糖尿病に特徴的な合併症です。

代表的な例は、網膜症、腎症、神経障害で、この三者を糖尿病性三大合併症といいます。

これに対して大血管症は、動脈硬化に由来する合併症で、糖尿病に特異的とはいえず、糖尿病自体が危険因子となり、他の危険因子(高血圧、高脂血症、肥満、喫煙など)と絡み合って、糖尿病の罹病経過とは無関係に発症してきます。



●糖尿病性網膜症とは?

網膜には栄養を補給する多くの血管が走行しています。

高血糖状態が長く続くと、この血管がもろくなったり、一部が膨らみコブをつくり(動脈瘤)出血します。

また、小さな血管が血栓でつまったり、つまって血流が途絶えた部位に血流を補充するために新しい血管(新生血管)ができてきたりします。

この新生血管は、急ごしらえのため非常に脆く、ちょっとしたことで出血を起こす原因ともなります。

これらが進行していくと、失明に繋がってくるのです。


●糖尿病の慢性合併症のうち、目に起こるものの中で最も重要なものが糖尿病性網膜症です。

何故なら一度進展してしまうと治りにくく、しばしば失明の原因となるからです。

現在日本において、年間3000人の人が糖尿病が原因で失明しており、中途失明の原因の第一位となっています。



●糖尿病性腎症

腎臓は、身体の中でいらなくなった老廃物を含む血液を濾過して、老廃物を尿として体外に排出するとともに、きれいになった血液を体内に戻すという極めて重要な働きをしています。

この血液を濾過する役割をしていのが、腎臓の糸球体と呼ばれる場所です。

この糸球体は毛細血管の塊でできており、高血糖が長期間続きますと、網膜と同じく血管障害や膜に変化が起きてきて濾過機構が破綻してしまいます。

この状態が糖尿病性腎症といわれるものです。

糸球体が担っている濾過機能は、正常の状態においては身体に必要なタンパク質などが外に漏れでないように調節されています。

しかし腎症に陥った状況下では、大事なタンパク質などが尿として身体の外に漏れ出てしまうのです。

これが蛋白尿で、蛋白尿が多量になりますと血液中の蛋白濃度が下がり、むくみ(浮腫)や血圧上昇などを招き、老廃物の排出低下も相俟って腎不全や尿毒症に移行してしまうのです。



●糖尿病性神経障害

糖尿病の三大合併症のうち、最も早期に出現してくるのが、糖尿病性神経障害です。

神経障害は、網膜症や腎症と同様に高血糖が持続することにより神経が変性したり、神経を栄養する毛細血管の障害で血流が低下することなどで生じてきます。

糖尿病神経障害は、大きく末梢神経障害と自律神経障害に分けられます。


★末梢神経障害とは?

末梢神経には、痛みや温度を感ずる感覚神経と、手や足などを動かす運動神経があります。

高血糖が持続すると、まず長い神経の末梢の感覚神経から障害が現れてきます。

すなわち、手や足の先から、そして左右対称に出現してくるのが特徴です。

例えば、手や足の指先がじんじんしたり、しびれや痛みを感じたり、虫が這っているような知覚異常としてみられます。

さらに進行すると運動神経にも障害が現れ、筋肉に力が入りにくくなったり、顔面神経麻痺や外眼筋(目を動かす神経の動眼神経や滑車神経)麻痺を生じて物が二重に見えたりするようになります。

これら末梢神経障害のために、怪我をしたり炬燵などで火傷をしても気付くのが遅れ、そこが化膿して壊疽を起こしてしまう重大な合併症を招くこともあります。



★自律神経障害とは?

自律神経は、全ての内臓(心臓、肺、胃、腸、膀胱、子宮など)や腺(内分泌腺、汗腺、唾液腺など)、血管などを支配し、自分の意志とは無関係に、生体のホメオスターシスを維持するのに必要な機能を行っています。

すなわち、呼吸、循環、物質代謝、体温調節、消化、分泌、生殖など、無意識に行われている機能を調節しているのです。

したがって、自律神経に障害が生ずると様々な症状が出現する可能性があります。

例えば、胃のもたれ(胃無力症)、便秘や下痢、起立性低血圧による立ちくらみ、排尿困難やインポテンスなどの症状が現れます。

また、低血糖が起こっても動悸や発汗などの警告症状が出現せず重症化する可能性もあり、心筋梗塞が起こっても痛みに気付かず(無痛性心筋梗塞)重篤化を招くこともあり注意を要します。



●インスリン

インスリン(インシュリン、insulin)は、膵臓に存在するランゲルハンス島(膵島)のβ細胞から分泌されるペプチドホルモンの一種。

名前はラテン語の insula (島)に由来する。

21アミノ酸残基のA鎖と、30アミノ酸残基のB鎖が2つのジスルフィド結合を介してつながったもの。

C-ペプチドは、インスリン生成の際、プロインスリンから切り放された部分を指す。



生理作用としては、主として血糖を抑制する作用を有する。

骨格筋におけるグルコース、アミノ酸、カリウムの取り込み促進とタンパク質合成の促進、肝臓における糖新生の抑制、グリコーゲンの合成促進・分解抑制、脂肪組織における糖の取り込みと利用促進、脂肪の合成促進・分解抑制などの作用により血糖を抑制し、グリコーゲンや脂肪などの各種貯蔵物質の新生を促進する。

腎尿細管におけるNa再吸収促進作用もある。

炭水化物を摂取すると小腸でグルコースに分解され、大量のグルコースが体内に吸収される。

体内でのグルコースは、エネルギー源として重要である反面、高濃度のグルコースはそのアルデヒド基の反応性の高さのため生体内のタンパク質と反応して生体に有害な作用(糖尿病性神経障害・糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症の微小血管障害)をもたらすため、インスリンの分泌によりその濃度(血糖)が常に一定範囲に保たれている。

インスリンは血糖値の恒常性維持に重要なホルモンである。

血糖値を低下させるため、糖尿病の治療にも用いられている。

逆にインスリンの分泌は血糖値の上昇に依存する。

従前は「インシュリン」という表記が医学や生物学などの専門分野でも正式なものとして採用されていたが、2006年現在はこれらの専門分野においては「インスリン」という表記が用いられている。一般にはインスリンとインシュリンの両方の表記がともに頻用されている。




●インスリンの歴史



1869年にドイツベルリンの医学生パウル・ランゲルハンス (Paul Langerhans) は、顕微鏡で見た膵臓の構造を研究していた。

後にランゲルハンス島として知られる「小さな枠の集合体」は当時まだ知られていなかったが、エドワール・ラゲス (Edouard Laguesse) は、それらが消化に関わる大きな役割を果たすものであり得ると主張した。

1889年、リトアニア出身のドイツの内科医オスカル・ミンコフスキ (Oskar Minkowski) とヨーゼフ・フォン・メーリング (Joseph von Mehring) は健康な犬の膵臓を取り除く研究を行った。

実験が始まって数日後、ミンコフスキーはハエがいつもこの犬の尿に群がっていることに気付いた。

尿を調べてみると、糖分が含まれており、ここで初めて膵臓と糖尿病との関係が実証された。

1901年、アメリカの病理学者ユージン・オピー(Eugene Opie)によりランゲルハンス島と糖尿病との関連が明らかにされたとき、この研究は新たな段階を迎えた。

つまり、糖尿病はランゲルハンス島の部分的あるいは全体的な破壊によって引き起こされるということがわかったのである。

しかしながら、ランゲルハンス島が果たす特定の役割については、ここではまだよくわかっていなかった。

それから20年、これに連なる数々の研究が科学者の間で行われた。

1921年には、カナダの整形外科医フレデリック・バンティング(Frederick Banting)と医学生チャールズ・ベスト(Charles Best)が研究室でインスリンの抽出に成功した。

1922年1月11日、当時14歳であった1型糖尿病患者に世界で初めてインスリンの投与が行われたが、これは、精製方法が未熟であったこともあり、患者にひどいアレルギー反応がでたため中断された。

バートラム・コリップは、それから12日間投与量などの改善に日夜努力し、23日に再び投与が行われた。

今度は副作用を引き起こすこともなく、糖尿病の症状を取り除くことにも成功した。

しかしながら、バンティングとベストはコリップを一種の闖入者と見なしたようで不和を生じたため、その後すぐにコリップは去って行った。

1922年の春が過ぎ、ベストは大量の需要にも応えられるように抽出技術を工夫したが、精製は未熟であった。

1921年の発表の直後、イーライリリー社から、彼らは支援の申し出を受けており、4月にこの申し出を受けた。

11月にリリー社は技術の革新に成功し、非常に純粋なインスリンの生産に成功した。

このインスリンは、アイレチンという名ですぐ市場に出された。




●インスリン製剤の種類

1921年にインスリンの分離に成功。

1型糖尿病における薬物療法として、現在のところ唯一の治療法である。

インスリンは蛋白質であるため、消化管内で速やかに分解されるため経口投与不可能である。

そのため皮下注射によって投与することが多い。

インスリン製剤は、作用発現時間、作用持続時間、原料となる動物種(牛、豚、人)によって分類されている。

組み換えDNA技術によってヒト型インスリンが開発されてからはヒト型を用いるのが一般的である。

ヒト型インスリン は大腸菌や酵母菌にヒトインスリン遺伝子を導入しインスリンを生産している。



●作用時間によるインスリン製剤の分類

インスリン製剤は作用発現時間や作用持続時間によって超速効型、速効型、中間型、混合型、持効型溶解溶解に分類される。

持続型 (ultralente, U)というものも存在するが、近年ではあまり用いられない。

インスリン製剤はカートリッジ製剤、キット製剤、バイアル製剤がある。






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posted by ホーライ at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 疾患の勉強 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする