2011年12月29日

新薬が誕生する瞬間(4)★科学の発展とともに・・・・

澤田「ヒトゲノム計画によりヒトゲノム情報や解析技術が整備され、最近、これが実際に臨床で薬の処方に適用されてきている。」

てぃん「薬の臨床効果・副作用には人種差・個人差があることがよく知られているからね。」

澤田「膨大なゲノム情報からコンピューターを用いて生物学的な意味を探すアプローチとしてバイオインフォマティクスが生まれた。」

てぃん「現在、ヒトゲノムに含まれている遺伝子の数は約22000個程度と推定されている。」

澤田「うん。」

てぃん「この遺伝子により規定されているタンパク質(遺伝子産物)が直接いろいろな生命現象に関係する役者だ。」

澤田「環境因子と従来、「体質」と呼ばれている内因的要因である遺伝子のいろいろな機能が異常に低下もしくは亢進した状態が「病気」と考えられる。」

てぃん「ヒトゲノムを丹念に解読すると、各個人の間で少しずつその塩基配列に違いがあることがわかった。」

澤田「遺伝子に多型があることは従来わかっていたけれど、より精密な遺伝子多型(一塩基の遺伝子多型、SNP(Single Nucleotide Polymorphism)が見出された。」

てぃん「ヒトのゲノム塩基配列は99.9パーセントが同一で、約0.1パーセントの違いがあると言われている。」

澤田「すべての遺伝子多型の約85パーセントは、このSNPであると想定されており、30億塩基対よりなるヒトゲノムの0.1パーセントは300万塩基に相当し、この違いのほとんどがSNPだ。」

てぃん「SNPはゲノムに刻印されたバーコードのような構造上のマーカーだけど、一方、生体内の機能を考えるとき、いろいろな病気や薬の投与といった生体内の環境変化に対応して細胞内で働く遺伝子の量的な変化もまた重要となっている。」

澤田「このような遺伝子の量的変動を分析するツールとしてDNAチップなどが考案されている。」

てぃん「細胞内でどの遺伝子が働いているか等をひとつひとつ分析するのは現実的ではなく、DNAチップを用いると一度に大量の遺伝子発現を分析することができる。」

澤田「ヒトゲノム計画により整備されたヒトゲノム情報や解析技術が、最近臨床で薬の処方に適用されつつある。」

てぃん「その方法論が薬理ゲノミクスだね。」

澤田「そうそう。」

てぃん「薬はその臨床効果・副作用が人種差・個人差があることが知られている。」

澤田「4分の一から3分の一が、患者が応答しない、もしくは応答しにくい。それどころか副作用をを発現していると言われている。」

てぃん「これからも科学の発展とともに薬の科学も発展していくってわけだ。」

澤田「来年も期待しようね。」








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2011年12月28日

新薬が誕生する瞬間(3)★徳川の埋蔵金を発掘せよ!

澤田「筑波と言えば?」

てぃん「筑波と言えば・・・・・」

澤田「もちろん、ガマの油だよね。」

てぃん「筑波山神社の参道脇のお土産売りで今も売っている。」

澤田「ところで、ここでちょっと驚きの事実を伝えましょう。」

てぃん「え?何?」

澤田「筑波山で現在、売られているガマの油の中身は実を言うとガマガエルとは何の関係もないのです。」

てぃん「おお!」

澤田「由来には諸説があるけれど、よく言われているのは次のような説です。」

てぃん「どんなん?」

澤田「歴史は、江戸時代までさかのぼる。徳川家は、現在の筑波山神社の場所にあたる中禅寺を祈祷所として定め、山全体を支配した。」

てぃん「へー。」

澤田「大阪冬の陣、夏の陣で、当時の中禅寺の住職だった光誉上人は徳川方に従軍し、けが人のキズの手当に精を出したそうだ。」

てぃん「なるほど。」

澤田「この時、筑波山から持参した膏薬がケガにとてもよく効き「筑波山から来たガマのような顔をした坊さんの油薬」として評判になったそうだ。」

てぃん「あらら。」

澤田「ところで、藤沢薬品はIL−2の産生抑制を指標にして、約8000種のカビと12000種の放線菌をスクリーニングした。」

てぃん「うんうん。」

澤田「そして1984年に、ストレプトミセス・ツクバエンシスという放線菌の培養液が高い免疫抑制活性を示すことを見つけた。」

てぃん「ひょっとして?」

澤田「この菌は、藤沢薬品の研究者たちが筑波山麓を歩き回って採集したものの1つだった。そこから開発されたのが画期的な新薬のタクロリムスだね。」

てぃん「つまり、それが徳川埋蔵菌?」

澤田「・・・・・・。」











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2011年12月27日

新薬が誕生する瞬間(2)★世界で最も売れている薬は?

澤田「世界で最も売れている薬は?」

てぃん「スタチン系の薬だね。」

澤田「うん。コレステロールや中性脂肪が多いだけで死ぬことはないけれど、動脈硬化を起こしやすなったり、血管が詰まりやすくなるので危険だ。」

てぃん「コレステロールは酢酸が活性化したアセチルCoAから、約20段階の酵素反応を経て生合成される。」

澤田「このコレステロール合成の調節の鍵となるのが、HMG−CoA還元酵素により触媒されるHMG−CoAからメバロン酸への変換反応。」

てぃん「コレステロールの生合成を阻害すれば、血液中のコレステロールを低下させると考えたのが三共の若き研究員だった遠藤章さんだ。」

澤田「彼らは長年かかって世界中から集めた約6000種類のカビなどの微生物の培養液を約2年かけて地道にスクリーニングして、ついに京都産のコメについていた青かびの一種からメバスタチンというコレステロール生合成の阻害物質を発見した。」

てぃん「その後、この化合物がHMG−CoA還元酵素を特異的に阻害することを証明した。」

澤田「でも、その後の高脂血症薬への道のりは紆余曲折の連続だったみたいね。」

てぃん「まず、最初に行ったラットやマウスを使った実験では、なぜかコレステロールが低下作用をまったく示さなかった。」

澤田「うん。他の動物で強力なコレステロール低下作用があることを証明するまで3年近くを費やした。」

てぃん「よく途中で諦めなかったよね!!」

澤田「でも、メバスタチンは長期毒性試験の結果が思わしくなく、残念ながら開発が中止されるんだ。」

てぃん「一方、三共に遅れて開発に着手したアメリカのメルクはメバスタチンとほぼ同じ構造のロバスタチンを別の種類のカビから発見して、1987年に世界で初めてのスタチン系の高脂血症薬として使用承認を受けた。(メバコール)」

澤田「三共もあきらめなかった。メバスタチンを投与した犬の尿中に、メバスタチンの10倍以上の活性を示す代謝物質を発見した。」

てぃん「それがプラバスタチンだね。」

澤田「微生物変換によって大量生産する方法を開発するため、さまざまなカビや放線菌をスクリーニングした結果、オーストラリア産の放線菌によってメバスタチンがプラバスタチンに効率よく変換させることがわかった。」

てぃん「そして、ついに1989年に三共はメバロチンの販売にこぎつけた。」

澤田「開発開始から実に18年にわたる多くの研究者たちの努力の結晶だね。」

てぃん「まさに!」

澤田「スタチン系は世界中で2兆円の売り上げだって。」

てぃん「す、す、すごい・・・・・・。」







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2011年12月25日

新薬が誕生する瞬間(1)★ダイナマイトな新薬開発

澤田「ね、ニトログリセリンって聞くと、何を思い出す?」

てぃん「それは、もちろん、火薬、ダイナマイト。」

澤田「狭心症のときに舌下錠という連想もあるよね。」

てぃん「うん。ニトログリセリンのテープ剤っていうのもある。」

澤田「狭心症は、心臓の血管の狭窄などが原因で血流が低下して心筋が酸素不足となり、心臓部や胸部に痛みが起こる発作だね。」

てぃん「ニトログリセリンは血管拡張作用があるため、こうした症状に効果がある。」

澤田「そもそもニトログリセリンは爆発性の高い油状の液体だ。」

てぃん「そのニトログリセリンを珪藻土に染み込ませたのがA・ノーベルさんだ。ダイナマイトの誕生だ。」

澤田「当時のダイナマイト工場で、あることが噂になった。」

てぃん「何?何?」

澤田「狭心症の持病を持つ労働者が、仕事をせずに自宅で静養しているときには発作を起こすのに、工場で働いている平日には発作を起こさないということ。」

てぃん「なるほど。」

澤田「この噂を知った医者たちが、ニトログリセリンが狭心症の治療に有効であることを証明した。1870年代の終わりのことだ。」

てぃん「うんうん。」

澤田「ちなみにノーベルは晩年に狭心症を患い、自分自身がニトログリセリンの恩恵をうけたとのことだよ。」

てぃん「でも、このように早期から薬として使われてニトログリセリンだけれど、作用はずっと不明だったのが意外ね。」

澤田「ニトログリセリンの作用機序の解明の糸口は約100年後の1970年代後半なってようやく見つかった。」

てぃん「ニトログリセリンをはじめとする硝酸系血管拡張作用を研究していたバージニア大学のF・ムラドは、体内でニトログリセリンから一酸化窒素が発生することを見つけました。」

澤田「そうだね。この一酸化窒素が血管平滑筋細胞内してのグアニル酸シクラーゼという酵素を活性化して、サイクリックGMPの生成を促進し、このことが血管拡張につながったのね。」

てぃん「ところが、当時の研究者たちは窒素原子1個と酸素原子1個からなるこの単純な物質が体内で生理作用を持つなど、夢にも思わなかったらしい。」

澤田「1980年代初頭にニューヨーク州立大学のファーチゴットらは、血管内皮細胞から分泌されて血管平滑筋を弛緩させる因子の存在に気付いた。」

てぃん「そして1986年にファーチゴットとカリフォルニア大学(UCLA)のL・イグナロらが、内皮由来弛緩因子と一酸化窒素が同一の物である可能性を示唆したけれど、そこまで。」

澤田「さらに、その翌年にイギリスのウェルカム研究所のS・モンカダら、少し遅れてイグナロらが、内皮由来因子=一酸化窒素であることを解明したんだ。」

てぃん「ということで、結局、1998年にはファーチゴット、イグナロ、ムラドの三人はノーベル賞を受賞した。」

澤田「ちなみに、バイアグラはサイクリックGMPを分解するホスホジエステラーゼを阻害するってわけだ。それで某所の血管が拡張する。」

てぃん「ダイナマイト!」(意味不明)







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2011年12月22日

日本の治験の問題点(4)あらゆる課題

のの「その他に、どんな課題が治験にある?」

かき氷「その他として、たとえば以下に治験の問題点を列挙します。」



●小児・難病・希少疾病等、治験の進みにくい分野の臨床研究のあり方について検討すべき。

●インフラ整備等も含めた臨床研究に対する資金の安定供給が必要。

●今後実施される整備事業の成果を評価するために、開発の進まない医薬品・医療機器の臨床研究・治験の実施に関する実績や新たな治療法の開発実績等を踏まえた適切な評価指標を設定するべき。

●医師主導治験への更なる支援を行うべき。

●現行の「臨床研究に関する倫理指針」の改正にあわせて、他の指針との関係を整理すべき。

●厚生労働省・文部科学省が実施している整備事業の役割・機能を明確化した上で、医療機関を重複せずに選定すべき。

●生活保護受給者の治験参加の問題について検討すべき。



かき氷「私、個人としては、小児・難病・希少疾病等がもっと活発になるといいとは思うけれど、そのためには、まずはシーズ(新薬の種)がないとね・・・・・・。」

のの「ヒトゲノムの解析が終わって10年近くたつけれど、まだ、芳しい成果がでてきていない。」

かき氷「基礎的な研究は進んでいるのかもしれないけれど、それが臨床の現場に出てくるための架け橋がもっと必要だ。トランスレーショナルリサーチの拡充だね。」

のの「●橋渡し研究支援拠点・・・・・・大学等に存在する医・薬・理・工学等のシーズを、臨床へ橋渡しするための支援機関を公募し、整備する。この際、既存の大学等の教育研究組織・知的財産本部等と連携し、組織・人材を活用して、支援拠点の形成を促進する。」

かき氷「最後に、もっともっと、科学に国家予算がつくといいけれどね。」

のの「日本を医療立国にして、世界中から患者さんが治療にくる、そんな日本になってほしいよ。」









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