2011年10月18日

交渉を最高の状態でまとめるためにやれること:交渉にあたっての障害と解決方法(その1)

ムーミン「でもさ、理屈嫌いの人は、こんな交渉術を紹介しても、ほとんど反射的に『言うは易し、行うは難し』という決まり文句を持ちだしてくるよね。」

ゆうこ「共同で問題解決に当たるなどというと、様々な制約やしがらみがある上に、何が起こるか分からない現実社会の実態にはそぐわない、というわけだ。」

ムーミン「実際、力を合わせて問題を解決しようとしても、そこにはいくつもの障害がある。お互いに感情をむきだして喧嘩腰になってしまうことも多い。」

ゆうこ「面倒な議論を嫌って、かたくなに自分の要求にこだわろうとする人も少なくない。相手のペースにはまってこちらがいいようにやられてしまうこともある。」

ムーミン「協調を妨げる大きな2つの障害は、交渉に当たっている人間、つまり、あなたと交渉相手の心の問題だとも言える。」

ゆうこ「そうね。交渉の第一の障害は、私たち自身の問題かも。人間は感情に支配されている動物で、話が思い通りに進まなかったり、相手に拒絶されたり、あるいはやり込められたりすると、どうしてもやり返したくなるからね・・・・・・。」

ムーミン「そうなると、あとは不毛な議論ばかりで、互いに不満を抱えたまま物別れということになる。」

ゆうこ「逆に、交渉をまとめて、いい関係を保ちたいという気持ちから、相手の言い分をあっさり認めてしまえば、その時点で私たちの負けは決まってしまう・・・・・・。」

ムーミン「相手の態度はもちろん厄介な問題だけれど、それに私たちがどのように応じるかということも交渉においては重要な問題なのだ。」

ゆうこ「私たちが対応を間違えたら、相手はますますつけあがり、手がつけられなくなってしまうし・・・・・・。」

ムーミン「どうしたらいい?」

ゆうこ「まずは、相手の態度に対する私たち自身の態度をコントロールすることだね。交渉を協調的に進めるためには、まず、自分が冷静になって、つねに交渉の目標を見失わないようにしなくてはいけない。」

ムーミン「そうね。状況をきちんと把握するためには、ちょうど、バルコニーに立って全てを眺め渡すような気持ちで事にあたらないとね。」

ゆうこ「交渉を成功に導くには、まず、この点をクリアーする必要があるね。」







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ラベル:交渉術
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2011年10月15日

モニターは交渉が多い仕事

ムーミン「モニターって、交渉が多い仕事だと思わない?」

ゆうこ「そうだね。社外においては治験事務局、CRC、治験責任医師等との交渉、社内においては上司(先輩)、薬事部などの他部署等など、家に帰ってからはパートナーや子どもたちとの交渉・・・・・・。。毎日が交渉の連続といってもいい。」

ムーミン「交渉は苦手なんだけれど、どうしたらいい?」

ゆうこ「う〜〜〜ん、交渉はさ、緊張を強いられる場であるだけではなく、嫌な選択を迫られる場でもあるよね。」

ムーミン「そうそう。相手との関係を壊したくないと思って、ソフトな態度で臨めば、相手にいいように押し切られてしまう。」

ゆうこ「でも、こちらの言い分を通すためにハードな態度に出れば、相手との間に溝ができ、場合によっては、関係そのものが破たんしてしまうことすらある。」

ムーミン「それだけは避けたい。」

ゆうこ「このジレンマかた解放されるためには、交渉を相手と共同で問題を解決する方向にもっていけばいい。ソフトにもハードにも偏らず、この2つをうまく使い分けて、人にはソフトに接し、問題にはハードにあたる、という感じで。」

ムーミン「難しそう・・・・・・。相手への攻撃のエネルギーを問題解決に傾けて、力を合わせる、ということね。」

ゆうこ「そういうこと。」

ムーミン「要するに、テーブルをはさんでにらみあうのではなく、隣に座って共通の問題に取り組む、ということか。」

ゆうこ「交渉相手と協力して問題を解決するためのキーポイントは、立場にこだわらず、お互いの利益の問題に焦点を絞るようにしよう。」

ムーミン「そっか。まずは、それぞれが目指すポイント、譲歩できない点、懸案、要望などを洗い出してお互いの利益を明らかにし、その上で、これらの利益を満たす選択肢を探っていくようにするのね。」

ゆうこ「それらの点さえ押さえておけば、あとは、自分と相手がともに満足できるような、より合理的で好ましい条件を見つければいい。」

ムーミン「たとえば、CRF作成を治験責任医師に頼み込んでも、今は、時間がない、とつっぱねられたらどうする?」

ゆうこ「あきらめてしまえばそれまでだけど、そこで治験責任医師やCRCと協調して、ことに当たるようにすれば事情が違ってくるかも。」

ムーミン「そうだね。」

ゆうこ「たとえば、1例目のCRFはモニターが記載方法を横で教えながら記載するとか、CRCの方に転記ができるところは事前に転記をお願いするとか。」

ムーミン「あるいは、登録を一時的に止めてもいいから、CRFの作成を優先して欲しいという譲歩点を提供するとかね。」

ゆうこ「交渉の際に相手と協力してことに当たれば、それぞれがいい結果を得られるだけでなく、駆け引きに神経を使うこともなくなって時間と労力の節約にもなる。」

ムーミン「こうした交渉姿勢は仕事上の関係改善につながることも多いし、将来的にもお互いの利益を期待できる。」





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2011年10月14日

新薬開発のマネジメント(14)新薬開発マネジメントの特徴

アロウ「昨日も言ったけれど、医薬品開発は「幅広いサーとと詳細なシミュレーション」が特徴だ。」

かりん「そうね。それにうまく対応できるかどうかが、製薬会社の存亡にかかっているわね。」

アロウ「どれもこれもうまくやろうとすると、お金がいくらあっても足りない。」

かりん「うん。治験ひとつで100億円、とかあるしね。」

アロウ「そこで重要になってくるのが、サーチとシミュレーションのバランスの切り替えだ。」

かりん「基礎試験で徹底的なサーチを行い、絞り込んだ化合物に対して、徹底的なシミュレーションを行うってわけね。」

アロウ「そのバランスの切り替えがポイントになる。つまり、切り替えが早すぎれば見込みのある化合物を落としてしまうし、逆に切り替えが遅くなれば、コストが増える。」

かりん「その切り替えとしてフェーズ2の終了時点がひとつのポイントになる。」

アロウ「それと、開発を進めるかやめるかのデシジョン能力とプロトコルデザイン能力が重要だということね。」

かりん「それはつまり組織能力とも言える。効率的な新薬開発には、学習する組織であることが不可欠だ。」

アロウ「薬の開発は『一攫千金』の代表例のように言われることが多い。」

かりん「確かに、ひとつのブロックバスターが出ればその製薬会社は10年は安泰、とか言われる。」

アロウ「その宝の山を探すのは個人の研究者に依存する点が特徴的だ。」

かりん「じゃ、マネジメントの出る幕が全くないかというと、そうでもない。」

アロウ「そうね。そもそも個人の研究者を自由にさせる、というのもマネジメントのひとつとも言える。」

かりん「あるいは、この領域を重点的に攻めるぞ!というドメイン設定(重点攻撃領域の設定)もマネジメントのひとつだわね。」




アロウ「日本の製薬企業は規模が小さいので生き残れない。生き残るためにはM&Aが必須だ、とも言われている。」

かりん「確かに規模の経済性も重要だけど、ベンチャー企業が多く生まれるのも医薬品業界の特徴だから、規模だけで新薬を世の中に出せるとは言いきれない。」

アロウ「選択と絞り込みも大事だし、共同開発をしながら学習することも大事だ。」

かりん「製薬業界が発展することは、患者のためでもある(と思いたい)ので、製薬企業、ベンチャー、みんなが「成功する新薬開発」を目指していこうね。」

アロウ「日本の治験業界が良くなるためには、この業界で働いているひとりひとりの意識も重要なファクター。」

かりん「基礎から臨床開発までの壮大なドラマを体験できることには深く感謝しているわ。」

ホーライ「僕も」

デーモン部長「わしだって。」




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2011年10月12日

新薬開発のマネジメント(13)問題解決モデルで新薬開発を眺める

かりん「話は50億光年も跳ぶけれど、『問題』とは何?」

アロウ「問題とは、理想と現実のギャップを言う、という説がある。」

かりん「では、そのギャップをいかに埋めるか、目標達成のためにどんなプロセスをとる?」

アロウ「通常、問題解決モデルは次の5段階で示されている。」



(1)問題の定義

(2)代替案の探索(サーチ)

(3)実験(シミュレーション)

(4)評価

(5)選択



かりん「なるほど。じゃ、これを医薬品開発にあてはめると、次のようにも言えるわけだ。」



(1)目標物質の決定(問題の定義)

(2)化合物のデザイン・合成、天然物質の探索(代替案のサーチ)

(3)各種試験(シミュレーション)

(4)化合物の評価

(5)選択



かりん「問題解決モデルを用いて医薬品開発を分析することで、何がわかるのかしら?」

アロウ「一般に、問題解決における中心的活動は、(2)代替案の探索(サーチ)と(3)実験(シミュレーション)であると言われている。」

かりん「なるほど。」

アロウ「そこで、サーチとシミュレーションに注目してみると、他産業と比較した医薬品開発の特徴が分かってくると思う。」

かりん「たとえば?」

アロウ「たとえば、次の点はどうだろう?」



(1)大量スクリーニングのような幅広い代替案の探索が必要

(2)臨床試験に代表される極めて詳細なテスト(シミュレーション)が必要



かりん「うん。言えるね。」

アロウ「つまり、医薬品開発において幅広いサーチが必要とされるのは、目標薬効を持つ化合物を事前に特定することができないために、とにかく多数の化合物を作って、評価するしかない。」

かりん「そうだね。」

アロウ「さらに、化合物が予想もしなかった薬効や毒性を持っているので、詳細なシミュレーションが必要だ。」

かりん「やれやれ。そのとおり。」






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2011年10月11日

新薬開発のマネジメント(12)プロセス解析をしよう

アロウ「新薬開発に限らず、企業や事業の成功要因を分析する際に、プロセスを意識することが重要だ。」

かりん「そうなの?」

アロウ「たとえば、こんな話がある。1950年代末、米国オートバイ市場において、英国は約50%のシェアを誇っていた。」

かりん「ふ〜〜ん。それで?」

アロウ「ところが、ホンダが米国に進出した結果、わずか数年後の1966年には、英国企業に代わってホンダ1社が63%のシェアを獲得した。」

かりん「すごい!」

アロウ「1973年には、英国のシェアはわずか9%にまで低下した。事態を重く見た英国政府は、有名なボストン・コンサルティング・グループに、ホンダの成功要因の分析を依頼した。」

ホーライ「僕もボストン・コンサルティング・グループと一緒に仕事をしたことがあるけれど、半端じゃない量の仕事を信じられないスピードでやるよね。」

かりん「で、その結果は?」

アロウ「ホンダが次の2つの戦略を採用したことが成功要因だと結論づけた。」



(1)新セグメントによる参入

(2)大量生産による低価格戦略



かりん「なるほど・・・・・・。で、具体的に言うと?」

アロウ「ホンダは米国市場参入に際して、50ccの「スーパーカブ」により小型市場という新たなニッチを作ったんだ。」

かりん「スーパーカブは、日本でもたくさん、走っていたね。」

アロウ「この小型車に特化し、量産効果に基づく低価格戦略を採用して成功した、というのが、ボスコンの説明だったのさ。」

かりん「分かりやすいね。」

アロウ「ところが、それに対して異論が出た。」

かりん「え、どういうこと?」


アロウ「日本的経営の研究で有名なリチャード・パスカルという研究者が、実際にホンダがアメリカに進出したときの担当者をインタビューした。」

かりん「へ〜。で、どういう結果だったの?」

アロウ「米国進出に際し、ホンダは50ccのほかに125ccと250cc、305ccの4車種を持ち込んだ。」

かりん「なるほど。」

アロウ「ところが、大型車は次々とオイル漏れやクラッチ故障などを起こしてしまった。」

かりん「え?どうして?」

アロウ「米国では日本よりも長距離をより高速で走り回ることが原因だったみたいだね。」

かりん「なるほど。それで?」

アロウ「こうした米国での不振の一方で、日本市場では、スーパーカブが大成功を収めた。でも、ホンダは米国では小型車は不向きだろうと考えていた。」

かりん「へ〜〜!それで?」

アロウ「そんなある日、米国の量販店のバイヤーから、スーパーカブを売ってみないか、と問い合わせを受けた。」

かりん「どういうこと?」

アロウ「実は、ホンダが米国に進出した拠点のロサンゼルスで、使い走り用としてスーパーカブを社員が乗り回していたのが、目にとまったという話しだ。」

かりん「そんなこともあるんだ。」

アロウ「大型バイクの故障が次々と報告され、選択の余地が無くなってきたホンダは、追い詰められた末にスーパーカブを市場に投入した。」

かりん「その結果なのね。」

アロウ「そう。その結果、中産階級がスーパーカブに乗り始め、続いて大型バイクにも乗るようになった、というわけさ。」

かりん「それで、プロセス解析とどう関係するの?」

アロウ「つまり、企業がとった行動やプロセスに注目し、成功に至るまでの意思決定やマネジメントを探ることが有用だということ。」

かりん「新薬開発でも、何故、成功(失敗)したのか、を正しく分析するためには、単純に結果を見ただけでは分からない、ということね。」

アロウ「そのとおり。」






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