2011年10月25日

治験119に基づくホーライ製薬ストーリー(その4)関連医療機関2施設で1つの治験を実施する場合のカルテ閲覧について

Binobin「あのさ、治験実施医療機関およびその関連クリニックでのカルテ閲覧に係わる契約について教えて欲しいんだけれど。」

あんころ「うん。どういうこと?」

Binobin「ある医療機関では、外来と入院をそれぞれ別名の医療機関(仮に、A病院とBクリニックとする)として経営しているの。」

あんころ「なるほど。」

Binobin「そこでは、外来で診察に来る患者は、まずBクリニックで診察を受けるの。それで、入院が必要な場合は、A病院へ転院して頂き、以降はA病院にて治療を受けるわけ。」

あんころ「うん。そういうシステムの病院もよくあるよね。」

Binobin「つまり、外来の患者は、初めからA病院に行く事はなく、まずBクリニックを経由してからA病院へと転院される流れとなっているわけね。」

あんころ「うんうん。」

Binobin「さらに、A病院とBクリニックは電子カルテを共有しており、双方からカルテや検査結果などを閲覧できるようになっている。」

あんころ「なるほど。」

Binobin「ところで、今回実施したい治験は、「外来」の試験なんだけれど、クリニックでは設備面、スタッフ面などが不十分であるため、実施医療機関はA病院で届けてあるの。」

あんころ「ふ〜ん。」

Binobin「治験責任医師、全ての治験分担医師はA病院・Bクリニックの両院で勤務しているため、Bクリニックで紹介を受けた患者は、A病院へお越し頂き同意取得という流れで治験に組入れるという流れなの。」

あんころ「うんうん。」

Binobin「Bクリニックでは治験の紹介以外、同意説明や適格性確認の検査などは実施しないの。モニターおよびCRC(SMO)は、A病院のみのカルテを参照することとなっているね。」

あんころ「うん。Bクリニックは治験の紹介だけってことね。」

Binobin「そう。それで現在はA病院‐治験依頼者の二者契約で治験を実施中なわけ。」

あんころ「なるほど。」

Binobin「今後もBクリニックで同意取得や適格性検査の治験行為の実施予定はないんだけれど、安全性確認のためBクリニックのカルテをA病院からも閲覧できるような契約を結ぶことはGCP上問題となるかな?」

あんころ「おっと。そうなるのか。」

Binobin「カルテ閲覧、秘密の保全の旨を記載したA病院‐Bクリニック‐治験依頼者の三者覚書を締結し、Bクリニックのカルテを閲覧することを同意説明文書に盛り込む対応を考えているけれど、このような対応で問題ないかな?」

あんころ「う〜〜む。当該治験は、外来患者対象とした試験であるものの入院専門であるA病院のみを実施医療機関としている点からBクリニックとA病院のすみ分けについては考慮する必要がなく、BクリニックとA病院間で電子カルテを共有することについて何らかの契約が締結されているものとして考えるわね。」

Binobin「ええ。お願い。」

あんころ「質問中の「安全性確認」が、被験者の適格性を確認するために必要なBクリニック受診時に得られた原データを電子カルテから確認するということだったら問題ないものと考えられるわね。」

Binobin「うんうん。」

あんころ「ただし、Bクリニック受診時に得られました原データを治験データとして利用される場合には、治験依頼者、治験審査委員会及び規制当局等が直接閲覧を行うことがある旨を同意説明文書に記載して被験者の同意を得ておく必要がある。」

Binobin「そっか。」

あんころ「それと、Bクリニックは治験を行う実施医療機関ではなく、A病院への紹介等を行う他院の扱いになると考えられますので治験届に記載する必要はないね。」

Binobin「なるほどね。ありがとう!」




★★★ 参考 「治験119」2010-37 関連医療機関2施設で1つの治験を実施する場合のカルテ閲覧について ★★★
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http://www.jpma.or.jp/about/board/evaluation/tiken119/208.html




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2011年10月22日

治験119に基づくホーライ製薬ストーリー(その3)病理標本作成委託に関する契約書

Binobin「ちょっと相談にのって欲しいんだけれど。」

あんころ「何?」

Binobin「癌の治験で、病理標本(スライド・ブロック)の提出が必要な治験なの。」

あんころ「うん。それで?」

Binobin「ある病院は治験に関らず通常診療すべてにおいて、病理診断業務のうちパラフィン切片作成部分を○○大学病理学講座に委託契約しているの。」

あんころ「なるほど。」

Binobin「実際の流れとしては、病理標本の提出が必要な被験者について治験管理室から当院病理部に依頼し、当院病理部から○○大学に病理標本作成を依頼、出来上がった標本を当院病理部が受領して最終確認を行った後に、治験管理室から治験の検体送付先に提出するという形をとっているわけ。」

あんころ「うんうん。」

Binobin「GCP第39条の2、業務の委託等の中では『実施医療機関は治験の実施に係る業務の一部を委託する場合には、文書により当該業務を受託する者との契約を締結しなければならない(中略)』と定められているよね。」

あんころ「そうだね。」

Binobin「その病院の上記ケースでは、スライド作成の一部を他施設で行っているものの、最終的判断と責任の所在は当院の病理医及び病院長におけるものとし、これらの一連の業務は当院での業務遂行であると判断しているわけ。」

あんころ「なるほどね。」

Binobin「この場合、治験業務を他施設に委託しているため契約書の提示が必須であるという考えもあると思うの。」

あんころ「うむうむ。」

Binobin「上記のようなケースが、GCPにおける『業務の一部を委託するため契約を締結する必要がある』ケースに該当すると思う?」

あんころ「そうか。まずはさ、GCP省令第39条の2に規定されているように、治験の実施に係る業務の一部を委託する場合には、文書により当該業務を受託する者との契約を締結する必要があるよね。」

Binobin「そうだね。」

あんころ「病理標本から得られる情報が、治験においてどのような情報に当たるのかわからないけれど、治験薬の有効性及び安全性に関するもので、当該医薬品の承認申請に用いられるものであれば、GCP第39条の2に沿った契約が必要だと思うね。」

Binobin「なるほど。そうね。了解。検討してみるよ。」




★★★ 参考 「治験119」2011-14 病理標本作成委託に関する契約書 ★★★
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http://www.jpma.or.jp/about/board/evaluation/tiken119/233.html






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2011年10月21日

交渉にあたっての障害と解決方法(その4)

ムーミン「お互いが納得のいくような解決策を見つけようと私たちが努力しても、相手がまったく興味を示さないこともあるね。」

ゆうこ「相手にとってもプラスだということが理解してもらえない場合もあるし、理解したとしても、メンツが潰れることを嫌って譲歩を拒んでくることもある。」

ムーミン「単純に私のアイデアだからというだけで、断られるケースだってありうる。」

ゆうこ「ここで、無理やり相手に条件をのませようとすれば、相手はますます反発するだけだ。」

ムーミン「中国のある思想家は、相手の主張と妥協点との間に『金の橋』を架けなさいと言っている。」

ゆうこ「この場合、私たちは、自他の利益のギャップを埋め、相手の顔を立て、合意条件が相手の目に成功と映るように話を進めていけばいい。」

ムーミン「難しいけれどね。」

ゆうこ「ここまでやってきても、力で要求を押し通すことができるという自信から、相手が頑なに協力に応じてくれない場合はどうすればいいか。」

ムーミン「うん。そういうこともある。」

ゆうこ「もはや堪忍袋の緒が切れる寸前になっているかもしれないけれど、ここで怒りを爆発させてしまえば、激論の応酬となるだけで、不毛の結果に終わる。」

ムーミン「それだけは、本当に避けたい。」

ゆうこ「ここでは、相手とやり合うことを避け、怒りのエネルギーを相手の説得に振り向けよう。相手を交渉のテーブルに引き戻すことに精力を傾け、交渉をまとめるためには、相互協力が不可欠だ。」

ムーミン「うん。一方的に押し切るだけでは合意は実らないということを相手に悟らせる必要があるね。」

ゆうこ「最後の最後まで、協調の重要性を相手に悟らせる。これに尽きる。」





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2011年10月20日

交渉にあたっての障害と解決方法(その3)

ムーミン「交渉において、要求へのこだわり、という問題点もある。」

ゆうこ「うん。共同で問題を解決するためには、問題をしっかり見つめて、ともにそれに取り組んでいこうという姿勢が不可欠だ。」

ムーミン「でも、その際に、自分の設定したラインにこだわろうとする相手の態度が障害となってくる。」

ゆうこ「それもある。」

ムーミン「自分の条件を通すことしか頭になく、こちらの譲歩ばかり求めてくる相手はどうにも厄介だ。」

ゆうこ「そういうタイプの人は、他に交渉の仕方を知らないことが多いので、最初に覚えたオーソドックスな交渉戦術にいつまでもこだわるね。」

ムーミン「ここで突っぱねてしまうのは簡単だけど、そうすれば相手は意地でも要求を押し通してくるだろう。」

ゆうこ「こんな場合はどうしたらいい?」

ムーミン「こんな場合は、逆に相手に調子を合わせたほうがいい。相手の言い分をひとまず受け止めておいて、一緒にそれを解決していくという方向にうまく誘導するのだ。」

ゆうこ「たとえば?」

ムーミン「たとえば、こんなふうに言えばいい。『なるほど。その点にこだわられる理由をもう少し詳しく教えていただけませんか?』という具合に。」

ゆうこ「うんうん。相手の視点に立って、その真意に迫り、問題を親身になって考えているという印象を相手に与えるということね。」

ムーミン「つまり、相手の要求をお互いに共通の問題の一部に組み入れてしまうことだ。」





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2011年10月19日

交渉にあたっての障害と解決方法(その2)

ムーミン「交渉にあたっての第二の障害は、相手側のネガティブな感情だね。」

ゆうこ「相手の攻撃的な態度の裏には、怒りや敵意が隠れている場合があるし、かたくなな態度の裏には、恐れや不信感が潜んでいることもある。」

ムーミン「なかにはさ、自分の言い分だけが正しいと思い込んで、こちらの話を聞こうとしない人もいるよね。」

ゆうこ「食うか食われるか、という気持ちで交渉に臨んでいる場合は、なりふりかまわず汚い戦術をとってくることも考えられる。」

ムーミン「そんな時、どうしたらいい?」

ゆうこ「交渉では、相手の態度に思わずつられてしまいそうになるけれど、ここでぐっとこらえなければいけない。」

ムーミン「うんうん。第一のステップで平常心を保つことに成功したら、次は、相手にも冷静になってもらう必要があるわね。」

ゆうこ「問題解決のための協力を取り付けたいのであれば、まず、協調の妨げとなるような相手の感情を排除しなくてはならない。」

ムーミン「そのためには何をしたらいいのかしら?」

ゆうこ「そのために何より大切なことは、相手の予想どおりの反応を示さないことだ。こちらが反論してくるだろうと向こうが考えているときは、聞き役に回って相手の話に耳を傾ける。」

ムーミン「なるほど。相手の言い分や気持ちに同情し、おっしゃるとおりです、と、相手に理解を示せばいいのね。」

ゆうこ「同じ視点から問題に取り組むためには、こちらから相手に接近しなくてはならないからさ。」




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