2011年07月07日

データの信頼性をどのように確保するか?・・・医療機関から治験依頼者への要望

下記の資料から多数引用しました。
  ↓
製薬協が作成した「治験の効率的実施を目指した医療機関での品質管理」
  ↓
http://www.jpma.or.jp/about/board/evaluation/allotment/chiken_hinshitsu.html


スナフキン「CRF として取得するデータを必要最低限とするのが何よりも重要だ。」

こさめ「うん。「とりあえず取っておこう」、なんていうデータも現実的にはあるわね。」

スナフキン「治験の効率化を考えるとなると、無駄を省くことも重要なファクターだ。」




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●集計や考察に使うかもしれない → 実際に使うことができた頻度は?

●取り敢えず集める→ 先送りした問題は解決したか?

●取得データの妥当性を確認する → CRF で取得しないといけないデータか?

●適合性書面調査対応のため → CRF で取得しないと回答できないか?


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こさめ「そう言えばさ、抜き取りSDV(サンプリングSDV)を実施できない(実施しない)大きな理由に「実地調査で規制当局から指摘される不安」とか「サンプリングSDVに対する当局の方向性が明瞭ではない」というのがあるけれど、これって本末転倒じゃない?」

スナフキン「うん。SDVは当局を納得させるためにやるんじゃないよね。新薬としての有効性と安全性データの信頼性を確保し、安心して医師や患者に薬を使ってもらうためにSDVをやっている。」

こさめ「わざわざ、当局に「私たちは抜き取りSDVをやっています、なんて言う必要はない。当局が方針を出さないと何もできない、という製薬業界の体質はいっこうに変わっていないわね。」

スナフキン「うん。当局から聞かれたら自信をもって、私たちはこういう方針で、こういうポリシーでSDVをやっており、これでデータの信頼性は確保している、と胸を張ればいい。」



こさめ「話を戻すと収集するデータを治験依頼者側で標準化して欲しいという声も医療機関側からある。」

スナフキン「米国では、CRF で収集する治験データを標準化する動き(CDISC 標準:clinical data interchange standards consortium)があり、日本製薬工業協会においても、統計・DM 部会を中心に数年前よりCDISC 標準導入を見据えた検討を開始している。」
     ↓
http://www.umin.ac.jp/umin2009/01CDISC20091211.pdf


こさめ「新しい波を起こす時期にきているんじゃないの?」

スナフキン「治験データの品質確保は医療機関側の問題だと、ヒト事に考えない、人のせいにしないことだ。」

こさめ「医療機関側で治験データがどのように収集され、どのようにCRFが作成されるのか、というプロセスをモニターは把握し、必要に応じて、プロセス改善も提案していこう。」

スナフキン「治験依頼者側で品質管理に関してモニターに十分な教育方法ができたら、それを参考にして、医療機関側の教育も支援していける。」



こさめ「医療機関での品質管理のあり方、それは概して治験依頼者側の論点で考えられることが多いけれど、治験の現場である医療機関側に立った品質管理のあり方を医療機関サイドから提言してもらうのもいい。」

スナフキン「今回の製薬協からの提言はそれなりに意義深いとは思うよ。」

こさめ「そうそう。自社こそ日本のリーディングカンパニーだ、と自負する会社からどんどん実践していきましょうよ。」

スナフキン「医療機関にとっても製薬会社にとっても無駄は省きたい。その発想をまず持って、その上で品質管理を十分に行う方法を模索していこう。」

こさめ「無駄な作業とは無駄なコストを生むだけではなく、新薬の誕生を遅らせる原因でもあることを忘れないようにね。」



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2011年07月06日

データの信頼性をどのように確保するか?・・・SOPと教育が不可欠だ

大黒「品質を管理するためにはSOPと教育が不可欠だ。」

くりこ「SOP教育ってこと?」

大黒「もちろん、SOP教育も必要だけど、『品質は工程で作り込まれる』という「考え方」なんかも教育する。」

くりこ「品質が工程で織り込まれる、というのはGMPでは当たり前にように教育されているわ。」

大黒「うん。医薬品の製造においては、最終製品で品質試験をするけれど、その品質試験が品質を作っているわけではない。」

くりこ「そうだわね。QCの部署が品質を作っているわけでもないしね。」

大黒「医薬品の原料の秤量から始まり⇒混合⇒造粒⇒乾燥⇒打錠⇒包装、等などの工程作業が全部、最終製品の品質を決めるってことだ。」

くりこ「それを治験に当てはめると・・・・・・」

大黒「プロトコルの作成、CRFフォーマットの設計、創薬ボランティアの選択、モニタリング、CRFへのデータ記入、SDV・・・・等など。これら全ての行為が治験の最終製品(たとえば、CRF、たとえば総括報告書、たとえばCTD:Common Technical Document コモン・テクニカル・ドキュメント)の品質を決めるのだ。」




くりこ「治験依頼者などが適切にモニターを教育している、ってことはどうやって確認されるの?」

大黒「教育のSOPがあり、教育の記録があることを誰にでも提示できるようにしておく。」

くりこ「監査がシステム監査の一環として確認することもあるし、総合機構が確認することもあるわね。」

大黒「CROは治験を委託される前に委託者である治験依頼者が事前にモニターの教育記録を確認することが多い。」




くりこ「治験責任医師などの治験を実施する側の教育も必要だね。」

大黒「まずは治験の啓発を。」

くりこ「え?医師に治験の啓発が必要なの?」

大黒「十分とは言えないからね。医師にとっては日常診療がメインで、治験は片手間にやる仕事だと思っている人もいる。」

くりこ「各種「臨床評価ガイドライン」の教育も臨床試験を実施する上では必須だし。」

大黒「プロトコルもガイドラインもGCPも最終的には人間が守るか守らないか、にかかっている。そういう意味では教育がそういうモラルの低下をくいとめる一つの、そして最大のツールだ。」

くりこ「だわね。」

大黒「明日は医療機関から治験依頼者への要望を見てみよう。」






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2011年07月05日

データの信頼性をどのように確保するか?・・・治験業務のプロセス管理って何?

るみ子の酒「治験業務のプロセス管理って何?」

社長秘書「特にこれっていう定義は無いけれど、たとえばビジネスのPDCAサイクルってあるでしょ?」

るみ子の酒「Plan-Do-Check-Action だね。」

社長秘書「これは治験に限らず、一般業務でも活用できるし、製造部門のQCなどで積極的に活用されているシステムよね。」

るみ子の酒「Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の 4 段階を繰り返すことによって、業務を継続的に改善するっていう話でしょ。」



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1)Plan(計画):従来の実績や将来の予測などをもとにして業務計画を作成する

2)Do(実施・実行):計画に沿って業務を行う

3)Check(点検・評価):業務の実施が計画に沿っているかどうかを確認する

4)Act(処置・改善):実施が計画に沿っていない部分を調べて処置をする


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



社長秘書「PDCA サイクルのP(計画・準備)の段階より関与し、治験依頼者が提供するワークシートと診療録とのデータの重複記載を避ける工夫を行う等により業務を効率化できる。というインタビュー結果もある。」


るみ子の酒「うんうん。」



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製薬協の見解
  ↓
http://www.jpma.or.jp/about/board/evaluation/allotment/chiken_hinshitsu.html


◆LDMはCRC の業務の一部であるデータ関連業務を分担して実施しており、各医療機関のデータ品質に関するプロセスに関して、プロセス構築の段階からLDM が関与、プロセスの一元管理を行うことで、データ品質管理におけるプロセスの最適化がなされているものと思われる。


◆LDM が、PDCA サイクルの円滑な運用(改善活動)の役割を担えば、データの品質管理のみならず治験業務全体の効率化が可能になる


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るみ子の酒「品質をプロセスで管理する、という手法、思考が重要だわね。」

社長秘書「そうそう。最終製品(CRF)のチェックだけで品質を100%に近づけるのは至難の技さ。」

るみ子の酒「限りなく100%に近づけるには限りなく時間を要求される。」

社長秘書「そこでISOなどの思想でもあるけれど、こういうプロセスで仕事を管理すれば、最終的に完成した製品(たとえばCRF)は合格品である、ということだね。」

るみ子の酒「今の日本の治験は『結果、オーライ』という面も否めないのよね。」

社長秘書「前近代的だわね。」

るみ子の酒「そろそろ治験もプロセス管理に以降し、監査もシステム監査だけで品質を保証できるようになりたいね。」

社長秘書「力技ではなく頭脳で治験をやりましょうよ。」

るみ子の酒「人海戦術じゃなくて、プロセス管理に。」

社長秘書「最新の科学の結晶である「医薬品」のはずなのに、治験段階はなんともはや・・・・・・・。」



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posted by ホーライ at 21:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 治験の品質管理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月04日

データの信頼性をどのように確保するか?・・・LDMって何?

十条「ね、治験でいうLDMって何?」

オチケン「治験で言う処のLDMとは・・・・Local Data Manager ローカルデータマネージャーのことね。」

十条「何をする人?」



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日本の治験環境の改善を目指して、2007 年に文部科学省・厚生労働省より「新たな治験活性化5か年計画」が策定された。
     ↓
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/01/s0119-10.html


その中で、治験データの品質管理に関して、「治験・臨床研究を実施するにあたり、治験・臨床研究において収集される多数のデータ全体の整合性を確認するという『品質管理』を十分に検討し、実施することは不可欠である」とされている。

そのためには、「プロトコル(治験実施計画書)管理、患者のデータの適格性の確認、症例報告書作成支援、モニタリング・監査への対応等、医療機関でのデータの品質管理を行う」医療機関内でのデータマネージメント担当者、すなわちローカルデータマネージャー(LDM)が重要な位置付けとなるとされている。

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オチケン「治験依頼者にDM(Data Management)部門ってあるでしょ?」

十条「うん。CRFのデザインをしたり、CRFのデータを入力・チェック・管理する人だね。」

オチケン「そう。LDMとはそのDMの病院版だね。」

十条「CRCとLDMは違うの?」

オチケン「CRCは創薬ボランティアとの対応とか治験責任医師との対応があるけれど、LDMはCRF作成、CRFのデータチェックに特化した人を指しているんだ。」

十条「それってさ、治験依頼者側でやる手間と人手を病院側に押し付けているんじゃないの?」

オチケン「モニターのSDVが大変だから、病院側で人手を出して、データマネジメントしてくださいって、こと?」

十条「EDCだってさ、治験依頼者側でデータ入力することを治験責任医師や治験分担医師、CRCに押し付けているんじゃないの?」


オチケン「そういう見方もある。そもそもCRCの養成だって製薬会社の仕事なのに、何故、国の予算でやるのか?という事業仕分けでの指摘あるしね。」
     ↓
http://www.ustream.tv/recorded/10904371



十条「このあたりは、これから製薬協や、製薬業界の見解として国民に対する何らかの説明が必要だね。」

オチケン「それで、そのLDMを導入したら、ますます人件費コスト増になって、やっぱり日本の治験はコスト高ということにならない?」

十条「LDMの導入だけを見るとそうだけど、トータルの時間が減るので、最終的には今よりも低コストでできる、という考えもあるけれど、本当かな?って思うところもある。」

オチケン「モニターの人件費を削減できるんじゃないの?」

十条「ねぇ、そうするとやっぱり単に製薬会社の利益のためだけにLDMの導入を狙っていると思われちゃうよ。」

オチケン「モニター、治験責任医師、治験分担医師、CRC、LDMの合計時間が減れば、最終的にはコスト低下になる。」

十条「それに治験がスピーディーに進めば、それは患者のため、国民のためになる。」

オチケン「でも、医療機関側が納得するかしら?」

十条「そう。このあたりは繰り返し議論が必要だけど、CRCの導入は成功だったよね?」

オチケン「うん。今ではCRC抜きで治験をやるなって考えられない。」

十条「CRCの導入により治験の効率化、質の向上が進んだ。同じ効果をLDMにも期待したいところだ。それにLDMを導入すれば治験だけではなく、医師の臨床試験にも活用できる。」




オチケン「CRCは業務多忙で被験者対応を優先し、CRF作成業務の優先順位が低くCRF作成に時間を要していることもあったが、LDMを導入し、CRF作成業務を分けたことにより、CRF をタイムリーに作成できるようになった。というアンケート結果もある」


十条「雇用の創出という意味では意義深いのは間違いない。」

オチケン「しばらくは試行錯誤だけどね。」

十条「ほかにもこんな効果があったという報告がある。」

(出典)
 ↓
http://www.jpma.or.jp/about/board/evaluation/allotment/chiken_hinshitsu.html




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


LDM 設置の効果

●原資料記録段階のエラーが削減できた。
(記録の不備などについてのLDMからのフィードバックによるCRC /医師の業務のエラー(ミス)の削減)


●CRF 作成時のエラーが削減できた。
(専門化することによるCRF 作成要領に従った記載が可能)


●EDC 操作熟練により、入力効率が向上した。


●被験者来院からCRF 作成完了までの期間が短縮された。


●RC 業務のスリム化が図られ、CRC 一人あたり担当治験数が増加した。
(LDM がCRF 作成関連業務を分担したことによる)


●治験依頼者とのスムーズな連絡体制が構築できた。
(CRC と異なりLDM は執務室内での業務が多いため治験依頼者からの連絡を確実に受けることができる)


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オチケン「今後の展開に注目しよう。」



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posted by ホーライ at 18:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 治験の品質管理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月02日

データの信頼性をどのように確保するか?・・・ALCOAとは?

今回は製薬協が作成した「治験の効率的実施を目指した医療機関での品質管理」を支持する、という意思表明です。
  ↓
http://www.jpma.or.jp/about/board/evaluation/allotment/chiken_hinshitsu.html



ぷか「ねぇ、ALCOAって何?アルコアって何? アレ?コレ?」

JOYママ「ALCOAとは以下の単語の略だね。」(治験関係でのALCOAだ)




◆◆◆ ALCOA(アルコア)とは治験データの信頼性を確保するための考え方だ ◆◆◆

1) Attributable(帰属/責任の所在が明確である)

2) Legible(判読/理解できる)

3) Contemporaneous(同時である)

4) Original(原本である)

5) Accurate(正確である)


◆◆◆ ALCOA(アルコア)とは・・・・ ◆◆◆





ぷか「ふ〜〜ん、これって誰が言い出したの?」

JOYママ「このアルコアはそもそもFDAが出した「Guidance for Industry “Computerized Systems Used in Clinical Investigations3”」に記載があるわ。」

ぷか「コンピューターで治験のシステム化された時だけにあてはまるの?」

JOYママ「最初はIT化に伴う治験のデータの信頼性の話だったかれど、今では一般的に「ALCOA(アルコア)原則」として、治験のデータ作成、収集にも適応できる考えとして広がっているのよ。」




ぷか「で、ALCOAって具体的にはどういうこと?」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「1) Attributable(帰属/責任の所在が明確である)・・・・・・そのデータは誰が記載したのか、どこのデータを使用したのか、を明確にする。」


「2) Legible(判読/理解できる)・・・・・・これは文字通り、読める、データとして理解できる、ということ。意味不明じゃないってことだね。」


「3) Contemporaneous(同時である)・・・・・・CRFの作成が速やかである、ってとこかな。ずっとあとになって原データからCRFを作成しましたというのではいけない。」


「4) Original(原本である)・・・・・・2次データではないということ。それが一番最初に記載されたデータですよね、ということだ。」


「5) Accurate(正確である)・・・・・・これまた、文字通り、CRFが(或いは原資料、原データが)正確である、ってことだ。」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



ぷか「なるほど。で、だからどうしたの?」

JOYママ「たとえば、4) Original(原本である)という点では日本は実に怪しい。日本におけるCRFのSDVの時に『カルテシール』とか『ワークシート』なんていうのと検証していることがあるわね。」

ぷか「あるわ。」

JOYママ「じゃ、その『カルテシール』とか『ワークシート』に記載されているデータは原本か、というと、実はカルテの別の所にあるデータを転記していたり、他の検査伝票から転記したりしている。」

ぷか「うんうん。」

JOYママ「すると、モニターは、今度は『カルテシール』とか『ワークシート』と、そのデータの出所との間でデータ正しいか、検証しないといけない。」

ぷか「そうね。そうなると『カルテシール』とか『ワークシート』って、一体何なの?意味があるの?」

JOYママ「他の原資料から『カルテシール』とか『ワークシート』にデータを転記する、といことは、転記するたびに「転記ミス」の可能性が増える。」

ぷか「それよりも、CRFのデータの出所をSDV記録等に書いておけばいいんじゃないの?」

JOYママ「うん、普通はそれでいい。ただ、日常診療では記載されないことをCRFでは要求することがあるので、そのためにCRFに必要なデータをカルテにも記載してもらうたに『カルテシール』とか『ワークシート』を使っている、という理由もあるんだよね。」

ぷか「そういう項目は、CRFがオリジナルデータであることをプロトコルで規程しておけばいいんじゃないの?」

JOYママ「そういう手でカバーできることもある。」



ぷか「『カルテシール』とか『ワークシート』があることで、モニターも治験責任医師等も手間が増えるわね。転記という手間と元データを確認するという手間が。さらに「転記ミス」という危険性を常にはらんでいる。

JOYママ「看護師のメモとかCRCのメモとかもオリジナルデータだよね。」

ぷか「うん。看護日誌からわざわざカルテに転記する必要もない。メモをカルテ等に挟みこんでおけばいいわね。あるいは別ファイルとして保存するとかね。」



JOYママ「こういうALCOAの基本精神をモニターにもCRCにも、治験責任医師や治験分担医師等にもセミナーで紹介し、本当の意味でデータの信頼性を向上させられるわね。」

ぷか「日本人って、体面を気にするので、「綺麗なCRF」とか「完璧なカルテ」などを要求するけれど、そうではないわ。「綺麗なCRF」と「データの信頼性」は関係無いのよ。」

JOYママ「そのデータがどのようなプロセスで発生し、どのようなプロセスでCRFに記載(入力)されたのか、が大事だ。品質のプロセス管理が重要。」

ぷか「特に日本の場合、CRFとCRFのデータの元となった原資料との間の整合性を確認すれば、それでよし、という考え方もあるけれど、じゃ、その原資料はカルテシールで、そのカルテシールの転記元のデータは正しいのか?という発想が少ない。」


JOYママ「欧米では、モニターおよび医療機関に対し、原資料に関するトレーニングを実施することが必須となっているケースが多い。時には風光明媚なところで。」

ぷか「OK。では、治験依頼者やCRO、SMO、医療機関でALCOA原則に関連するトレーニングを行うぞ。ただ、1泊2日とかって、忙しくて嫌だ、という治験関係者もいるので、その点は考慮しましょうね。」

JOYママ「モニターおよび医療機関に対するトレーニングの実施としてはどんなことが考えられる?」

ぷか「たとえば・・・・・・」



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

1)ALCOA 原則の内容を含めた原資料作成プロセス

2)治験実施計画書で要求するデータ内容(評価方法、グレード定義、CRF 記載方法など)

3)データの品質確認方法

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



JOYママ「特には2)治験実施計画書で要求するデータ内容(評価方法、グレード定義、CRF 記載方法など)はきちんと研修してね。」

ぷか「モニターにCRFの記載方法を聞いても、分からない、というおそまつなこともあるからね。治験依頼者もしっかりしないと。」



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