2011年07月14日

治験等の効率化・・・医療機関側からの依頼

ブライアン成田「GCP トレーニング及びEDC(Electronic Data Capturing)トレーニングをする治験依頼者もいる。」

よっきゅん「なかには必要なこともあるけれど、そこはもう不要でしょう、という場合もある。」

ブライアン成田「医療機関が治験を受託するにあたり、治験責任医師、治験分担医師及びCRCがGCP省令の要件を満たしていることを確認するために、治験依頼者からGCP トレーニングの受講を要請されることがある。」

よっきゅん「また同様に、EDC の操作方法等を習得するためにトレーニングの受講を求められることがある。」

ブライアン成田「これらのトレーニングは、ほとんどが治験ごとや治験依頼者ごとに実施され、院外で行われる場合は1 日がかりになることが多く、院内で実施する場合でも数時間を要し、実施医療機関側の負担が大きい。」

よっきゅん「特にEDC は直近に同じシステムを使用した経験があっても再度の研修が課せられることがあり、実施医療機関の担当者の時間を有効に活用しているとはいえない」

ブライアン成田「上記のような目的に応じて実施される会合やトレーニングは、治験依頼者及び実施医療機関双方にとって有効かつ効率的な方法で必要最低限の実施とすべきで、その結果や記録は活用されなければならない。」




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


●スタートアップミーティングは治験依頼者及び実施医療機関の双方が最適な方法として選択した場合に開催し、その時期も限定しない。

●治験依頼者は全体説明会を開催する意義があると判断した場合、治験責任医師やCRC 等の負担を極力抑えるように内容を十分考慮するとともに、開催日時や開催場所等に配慮する。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




よっきゅん「SDVの現状と課題は?」

ブライアン成田「原資料の特定やその確認及び整理に多くの時間を費やしている」

よっきゅん「モニターが原資料を閲覧することに慣れていなかったり、同じ原資料を何度も閲覧したり、原資料間のデータの齟齬を必要以上に追及したりするなど、閲覧作業に多くの時間や労力を費やしている現状があり、モニタリングのオーバーワークが問題視されている。」

ブライアン成田「このあたりは治験依頼者のトレーニング不足であったり、ポリシー、スタンスの問題もある。」

よっきゅん「治験依頼者が作成する治験実施計画書や症例報告書の見本において、収集すべきデータが明確に規定されていなかったり、必ずしも治験薬の評価に必要でないデータの収集を必須としていたり、治験依頼者ごとにデータ収集範囲に対する考え方が異なっていたりすることで、治験依頼者及び実施医療機関双方の負担が増大している。」

ブライアン成田「どんな解決策がある?」




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【提言】

@ 治験データの収集過程において、不必要なデータを収集することは治験依頼者と実施医療機関双方の業務量の増大につながる。
さらに、それらがデータの品質にも悪影響を及ぼす可能性があることを理解したうえで、治験依頼者は大前提として治験薬の評価に必要なデータのみを収集することとし、治験実施計画書の作成段階でそれらを考慮する。


A 実施医療機関は、データの発生源である自らが正確かつ完全なデータを収集し、データの品質を管理する体制を整備する。その方策のひとつとして、「ALCOA*」に基づいたデータ収集手順、CRC による業務分担を含めたローカルデータマネージャー(以下「LDM」)の配置・活用を考慮する2)。

*FDA(Food and Drug Administration)が公式化しているガイダンスの中で、データの品質を保証するために重視されている5つの項目(Accurate:正確である、Legible:判読・理解できる、Contemporaneous:同時である、Original:原本である、Attributable:帰属(責任)の所在が明確である)のこと。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




よっきゅん「カルテの内容を1字1句、書き写すのがSDVだと思っている人(治験依頼者・モニター)もいる。」

ブライアン成田「原資料と症例報告書中のデータ間に何らかの矛盾が生じる場合は、その理由を説明する記録を実施医療機関側で作成する。」





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

【サンプリングSDVの実施】

●治験依頼者は、原資料作成から症例報告書作成の過程において実施医療機関での品質管理が実施され、データの信頼性が確保できると判断した場合には、業務効率化の方策として、サンプリングSDV*(Sampling SDV)の実施を考慮する。


*予め、治験の目的、デザイン等を考慮して統計学的に裏付けられた方法に従って抽出(サンプリング)したデータをSDV対象とし、その結果から試験全体の信頼性(正確性、完全性)を確認する方法

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




よっきゅん「現在の我が国における治験環境のままでは、日本は世界から排除される可能性さえあると言っても過言ではない。」

ブライアン成田「万一そのような状況に陥った場合の最大の被害者は、他国で使用できる医薬品の恩恵を受けられない多くの患者であり、このような事態は何としても避けなければならない。」

よっきゅん「もう、待ってはいられないわよ!!絶対に!!」




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2011年07月13日

治験等の効率化・・・統一書式について。役割分担の明確化、責任の所在の明確化。モニターは泣くな!

震電「治験に係わる書式はどうなっている?」

ふじおねえ「統一書式ができてからは随分と楽になった。」

震電「是非、このまま統一書式の普及すすむといいな。」




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


@ 治験依頼者及び実施医療機関双方の業務負担を軽減するために、統一書式の使用を徹底し、統一書式の一部改変や独自の運用を行わない。


A 治験依頼者又は実施医療機関が独自の書式を必要とする場合は必要最低限とし、それぞれの役割において必要とする側が作成する。


B 治験依頼者及び実施医療機関の業務効率を勘案して、IRB 審査資料の種類や並び順などを統一化する。


C IRB 審査資料の提出や通知書の交付の際は、これら文書の真正性やセキュリティを確保しつつ、郵送や宅配便及び電子メールなどを積極的に利用する。


D IRB 審査資料に関して、可能な範囲で電子化を行い、IRB 運営業務の省力化と保存場所の有効活用を促進する。


E 実施医療機関で保存すべき「治験に係る文書等」について、実施医療機関の状況に応じて可能な範囲で電子化を行う。


F IRB 事務局業務の集約化及び効率化を推進するという観点により、実施医療機関は共同IRB 等を積極的に活用する。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


ふじおねえ「治験業務の役割分担はどう?」

震電「モニターが実施医療機関内の関連部署の各担当者に対し、個別に訪問して情報収集・提供を行うことは、役割分担及び業務効率の観点から適正とは考えにくい。」

ふじおねえ「実施医療機関の長及び治験責任医師が作成すべき文書の作成や治験依頼者から提供を受けた資材のカスタマイズ(当該医療機関用に改変)を今なおモニターに要請している実施医療機関がある。残念ながら。」

震電「モニターも立場が弱いから、断りにくいし。というか病院側が怠慢なんじゃないの?」


ふじおねえ「今後、注意を要するのが検査機器のバリデーションだ。」

震電「国際共同治験を中心に、実施医療機関で使用している測定機器に対して、治験依頼者からバリデーション(validation)の提示を求められることが多いことから、治験で使用する測定機器で得られたデータの信頼性を担保するために、それら機器のバリデーションを実施医療機関側で確保する。」

ふじおねえ「バリデーションって何?」

震電「簡単に言うと、「検証」ってことかな。例えば卑近な例で言えば、pH計ってあるでしょ?」

ふじおねえ「あるね。」

震電「そのpH計が正しく作動しているかどうかを確認するのがバリデーションだ。」

ふじおねえ「血圧計が正しく、血圧を測定できているか、とかね。」

震電「それは重要だよね。検査機器等が正しく作動していなかったら、治験薬の効果を測定するのも怪しくなる。」


ふじおねえ「それと、今でも活躍してもらっているけれど、治験分担医師や CRC などが主体となって、院内調整や関連部署への連絡・情報伝達を行う、と助かる。」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


●実施医療機関の長及び治験責任医師が作成すべき文書は実施医療機関側の責務として作成されるものであり、モニターにそれらの作業を要請すべきでない。(これは是非、推進して欲しい!!!)

●実施医療機関が治験依頼者から症例ファイルやワークシート、併用禁止薬一覧、治験薬管理表、治験薬使用説明書及び外注検査キットなどの各種治験資材の提供を受ける場合は、治験依頼者が治験実施に際し事前に準備した標準版のみとし、実施医療機関がそれらのカスタマイズを必要と判断した場合は、医療機関側で行う。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




ふじおねえ「あたり前と言えばあたり前のように聞こえるかもしれないけれど、今でも病院側で作成する資料をモニターに作成させているのが悲しい現実だ。」

震電「泣けるな。病院側の怠慢とヒエラレルキーがいかんともしがたい。」

ふじおねえ「治験依頼者側の、病院に対する態度が軟弱なんだよね。これをまず変えていかないと、日本の治験に未来はない。」




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2011年07月12日

治験等の効率化・・・効率化に寄与すると考えられる治験ネットワーク事務局機能

プリンセス・オーロラ「現状、GCP 省令に基づき、治験依頼者は各実施医療機関の長又は治験責任医師へ治験に関する情報提供を行っている。それらに基づき、各実施医療機関において文書を作成、保管している。」

kaizer11「うん。膨大な資料と手順が山積みだ。」

プリンセス・オーロラ「そこで、次のことが考えられる。」





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


1) 治験依頼者からの情報取扱いの一元化

治験依頼者から各実施医療機関の治験事務局を窓口として実施医療機関の長及び治験責任医師へ個別に伝達していた情報を、治験ネットワーク事務局に情報を一元的に伝達し、当該事務局がその任を代行することで、実施医療機関に伝達することが可能となり、治験依頼者の業務が軽減する。

ただし、治験ネットワーク事務局から各治験実施医療機関へ速やかにかつ適切に情報伝達されるよう手順を定め、それに則り運用する必要がある。


また、治験の実施に影響を与えるような情報が治験依頼者から各医療機関へ伝達された際には、治験審査委員会での継続審査が必要となり、実施医療機関の長から治験審査委員会への審査依頼手続きが発生する。

このような場合には、治験ネットワーク事務局が共同IRB 等事務局を兼務することで、ネットワーク事務局が実施医療機関の事務手続きを代行することが可能となり、書類作成等の一括管理をすることで実施医療機関の更なる事務負担を軽減する。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




kaizer11「あ!これいいね。是非、こうなって欲しい。」

プリンセス・オーロラ「全国の治験が10個程度の治験ネットワークだけで運用できたら理想的なんだけれどな。」



kaizer11「疾患・インフラ等に関するデータベースに求められる項目はどう?」

プリンセス・オーロラ「うん。このあたりが最も実行可能性が高い。」

kaizer11「たとえば、今までにどんなことが検討されているの?」




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


●「日本製薬工業協会「医療機関からの治験体制等の情報発信に関する検討」
     ↓
http://www.jpma.or.jp/about/board/evaluation/allotment/sending.html



●モニタリング2.0 検討会「施設調査データベース」
     ↓
http://www.moni2.org/moni2/DB.htm

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆





プリンセス・オーロラ「治験が計画どおりに進行するかについては,その治験で適切な医療機関を選定できるかにかかっている。」

kaizer11「たとえば,症例集積が芳しくない場合は,実施医療機関の追加やほかの実施医療機関での症例数追加などが必要となり,治験依頼者と実施医療機関の双方に予定以上の業務が発生することになる。」

プリンセス・オーロラ「そこで,治験依頼者は対象となる患者が多いと推定される医療機関を訪問して,「医療機関の治験実施体制」,治験に対する「治験責任医師候補の意欲」や「医療機関のスタッフの熱意」を確認し,その上で症例数・費用・効率・品質などを考慮して医療機関を注意深く選定している。」



kaizer11「調査対象の医療機関を訪問する前に必要な情報をいま以上に得ることができれば,精度の高い医療機関選定ができるだけでなく,それに係る期間の短縮にも寄与できるだろう。」

プリンセス・オーロラ「治験依頼者にとって有益な発信情報はどんなものがあるの?」





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

●症例登録

・疾患別の治験実績(契約件数や実施症例数など)

・候補患者数の把握の可否

・被験者募集の取り組み

・患者紹介システムや被験者データベース



●実施体制

・治験に関する手順書

・治験薬管理

・CRC の配置状況(人数,外部CRC の受け入れ可否など)

・CRC の業務内容

・院内スタッフの治験に関する研修の実施など



●治験手続き

・治験事務局の連絡先

・打診から依頼,契約締結までに要する期間と手順

・様式類(手続き書類,契約書など)

・治験開始前の準備業務に関する情報



●治験審査委員会

・治験審査委員会に関する手順書

・治験審査委員会の委員名簿

・年間の治験審査委員会開催情報

・治験審査委員会の会議の記録の概要の公開方法



●費用・研究費,管理費,間接経費,人件費などの算定基準

・費用の納入方法(時期,前払い,出来高払い,返金等の情報)



●EDC ・EDC 環境


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



kaizer11「そうね。これだけの情報がアップデートされていれば助かる。」

プリンセス・オーロラ「それが難しいんだな。」

kaizer11「今後、日本医師会治験促進センターなどで試験的に行われるかもしれないから、これも注視していきましょう。」




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2011年07月11日

治験等の効率化・・・共同治験審査委員会等について及び治験ネットワーク

デーさん「複数の医療機関の長が共同で設置したIRB 及び他の医療機関の長が設置したIRB への審査依頼が可能になった。」

しまうま「ある特定の法人や学術団体によるIRB 設置についても可能となったことにより、さらに共同IRB 等の利用範囲が広がった。」

デーさん「共同IRB 等を利用することで、IRB の審査資料等の準備を含む審査の集約化が可能となり、治験依頼者及び各々の医療機関での業務の効率化が図れることから、特に治験依頼者からは更なる共同IRB 等の利用が求められている。」

しまうま「最近は、地域密着型の治験ネットワークも増えてきたので、その地域密着型治験ネットワークの中央IRBの利用も考えられるよね。」

デーさん「あるいは学会等で集中審議をして、治験責任医師等の適格性だけを個々の病院のIRBが審議する方法とかも考えられないわけではない。」




しまうま「ところでさ、治験の国際化の流れの中、日本の症例集積性が諸外国と比較して必ずしも高くないと言うか、はっきり言ってかなり低いことって問題なの?」

デーさん「1つの病院で症例がたくさん集積できれば、コスト的には安くなるからね。」

しまうま「現状は、1つの病院で少数なので、その代わりに病院を数を増やしている。」

デーさん「すると、人件費が高騰するわけだ。」

しまうま「どうして、日本では1つの病院で症例が集まらないの?」

デーさん「いろんな原因がある。一般の方にはまだまだ治験についての情報が不十分だし。」

しまうま「医師のモチベーションも低いしね。」

デーさん「じゃ、どうすればいい?」

しまうま「治験のやる気がある病院で症例が集められるようになればいいよね。」

デーさん「治験に関して関心が高い医師やモチベーションが高い医師のところで症例が集まるこも理想的だ。」




しまうま「治験の国際化及び大規模化が進む昨今、アジア諸国での治験実施医療機関は2000 床以上のいわゆるメガホスピタルが多く、1 医療機関において高い症例集積性をあげている。」

デーさん「一方、我が国の治験実施医療機関は400〜500 床規模であることが多く、一つの医療機関でアジア諸国と同等の症例集積を行うことは困難である。」

しまうま「病床の数だけに比例しているわけではないけれどね。」

デーさん「でも、まぁ、いくらモチベーションが高い医師がいても、患者さんが少なければ、それだけ症例を集めるのが困難なのも事実だろう。」

しまうま「じゃ、どうすればいいと提言されているの?」

デーさん「以下のとおりだ。」



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


●我が国における症例集積性を向上させるべく、国内において複数の医療機関が連携し、「あたかも一つの医療機関のように機能すること」により、アジア諸国のメガホスピタルと同等の症例集積が可能となる治験ネットワーク体制を構築する必要がある。

●我が国の現在の治験環境において、「治験ネットワーク」と称する団体が多く存在し、様々な取組みが行われているが、治験依頼者のニーズに沿った活動が必ずしもなされておらず、その活動趣旨に関して不明確な部分もある。

●そこで本チームにおいては、症例集積性の向上の観点から、治験ネットワークを確実に運営していくために、求められる機能の明確化について検討を行った。

●我が国における治験ネットワークとして韓国の2000 床のメガホスピタルに対抗するためには、我が国の複数の医療機関が合わせて同程度の規模で連携することが必要であることが明らかになった。具体的には、「どの疾患領域においても、常に積極的に対応できる500 床程度の医療機関が、最低3 施設から5 施設が連携し、それらが一つの医療機関のように機能するのが望ましい


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


しまうま「なるほど。バーチャルな治験実施医療機関というわけね。」

デーさん「日本では総合医療大病院が少ないから。」

しまうま「それと、こういう事実もある。つまり・・・・


●対象患者数の多い生活習慣病に関する治験は、治験事務局機能を有する治験施設支援機関(以下、SMO という。)が主導して複数の診療所等を連携させた大規模治験ネットワークが構築され、相当数の症例が集積されている。また、これらの治験ネットワークにおいては、共同IRB 等による一括審査が実施されることが一般化し、本領域における臨床開発については大きな遅れが解消されつつある。


・・・・という事例ね。」


しまうま「確かに、そういう事例は多い。」

デーさん「一方で「がん」などの疾患や重篤だけど希少疾病等の場合は、1つの病院だけでは症例が集まらないので、横のつながりが必要だ。」



しまうま「で、その治験ネットワークはどういう機能があれば、いいの?」

デーさん「まずは、標準業務手順書の作成と各種様式等の統一。 これで治験依頼者は事務的手続きが簡便になる。」

しまうま「それから?」

デーさん「共同治験審査委員会の設置及びその活用で、効率的な治験審査が行えて、治験が速やかに立ち上がる。」

しまうま「治験ネットワーク事務局の積極的なマネジメント。今はまだ、このあたりが十分ではない。」

デーさん「強力なリーダーシップが要求されるところだ。」



しまうま「治験ネットワーク事務局は、当該治験ネットワーク内の各医療機関の被験者候補となり得る患者数を把握し、症例数等について治験依頼者等の外部からの可視化を図ると症例が集めやすい。」

デーさん「さらに、こんなことも期待されている。」




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


●治験ネットワーク事務局は、治験の契約締結時のみならず、治験の契約締結後も、依頼された治験の進捗状況を逐次把握し、治験ネットワーク全体における契約症例数の達成を果たすために、参加医療機関の症例組入れ・逸脱状況の把握などの積極的な対応を行う。これにより、治験のスピードアップにも寄与すると考えられる。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


しまうま「なんか、いいことづくめだけど、じゃ、今はどうして、こうなっていないの?」

デーさん「まだ、責任の所在が明確になっていない。」

しまうま「治験ネットワークの事務局を誰が掌握するのか、という問題が大きい。」

デーさん「煮え切らないな。」

しまうま「まったく。」


デーさん「効率化に寄与すると考えられる治験ネットワーク事務局機能についてはこれだけ?」

しまうま「治験ネットワークとして最低限有するべき機能」に加えて、治験ネットワークがより一層、一つの医療機関であるかのように機能するについては明日ね。」





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posted by ホーライ at 20:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 治験の効率化 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月09日

治験等の効率化・・・治験に係わる費用について

今回は下記の『治験等の効率化に関する報告書』を参考にしています。
     ↓
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001f1rr-att/2r9852000001f27x.pdf


ルパン三世「日本における治験に係る費用は海外と比較して高額であることが問題視されてきた。」
     ↓
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/03/dl/s0310-2g.pdf

ルーシー「さらに、日本では治験の費用を前納制にして、症例がゼロでもいったん払ったお金は返さない、という前近代的な施設もまだあるのよね。」

ルパン三世「だからね、「前納返還なし」を解消して「国際的商習慣」を踏まえた透明性の確保等による支払い方法の適正化が必要なんだよ。」

ルーシー「あたりまえと言えば、あまりにも当たり前だわ。」

ルパン三世「そのあたりがまだできていない。治験実施に係る費用については、実施状況(実施症例数や症例ごとの進捗度)に拘わらず発生する費用(以下、「固定費」という。)、実施状況に依存する費用(以下、「変動費」という。)及びその他の費用がある。」

ルーシー「たとえば?」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

@ 固定費


●治験事務局等の経費(治験審査委員会(以下、「IRB」という。)、事務局経費、委員謝金等を含む。)

●施設管理費(従来の「間接費」に該当する。)

●治験薬管理費

●臨床研究コーディネーター(以下、「CRC」という。)等の人件費(*)



A 変動費


●臨床試験研究費

●施設管理費(従来の「間接費」に該当する。)

●CRC 等の人件費(モニタリング対応経費等を含む。)


* 人件費についてはその性格上、実施例数の有無に依存しない固定的要素(同意説明文書の作成等)と、実施例数の有無に依存する変動的要素(被験者への対応、データ入力、モニタリング対応経費等)の両者があり、固定費又は変動費のどちらか一方に区分するのは困難であると考えるが、固定費に最低限の費用を入れ込む事ことを想定した。


B その他費用


●被験者負担軽減費

●保険外併用療養費支給対象外費

●当該治験に係る会議等の旅費


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


ルパン三世「これらのお金の払い方は、どうなるのが理想だろう?」

ルーシー「固定費は原則として費用項目ごとに費用発生の時期に支払うこととする、というのがいいわね。」

ルパン三世「と言うと?」

ルーシー「たとえば初回IRB 費用は契約締結時、治験薬管理費は初回治験薬設置時 等ね。」

ルパン三世「なるほど。それはうなずける。」

ルーシー「固定費は実施状況に依存せず、契約を締結した時点でその金額が確定することから、契約時に一括して支払う(前納する)ことも可能よね。」

ルパン三世「ただし、複数年にまたがる試験契約の場合には、年毎に案分して支払うことも可能。」



ルーシー「変動費は?」

ルパン三世「変動費は実施状況に依存し、実施症例数のみならず、個々の症例の進捗度(どの時点で中止・脱落したか)によっても異なることから、事前にその金額を確定することはできないよね。だから、変動費については、実績に基づいて支払う(後納する)ことが適切でしょう。」

ルーシー「その他の費用:原則、出来高払いとし、医療機関の立て替え払いとするのがとりあえずいいわ。」

ルパン三世「上述の内容を踏まえ、現行のポイント制による研究費算定方式の下での、治験実績に応じた支払方法の一例として、算定費用総額に対する割合を用いた方法を以下に提案する。」



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


@ 固定費

費用項目ごとに費用発生の時期に支払うこととする。

なお、算定された費用総額の一定割合(一例として15〜30%程度)を固定費とみなし、契約締結時に一括、又は年毎に案分して支払うことも可能である。




A 変動費

実施症例数及び症例ごとの進捗度に依る費用とみなし、契約症例数で除した金額を1 症例の単価とし、症例ごとに、進捗度に応じて費用を算定し、事務処理業務等を勘案して設定した適切な期間(一例として3〜6 カ月に1 度等)に集計し、速やかに支払う。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


ルーシー「まぁ、リーズナブルだわね。」

ルパン三世「で、肝心の治験費用の算定方法は?」

ルーシー「う〜〜ん、難しいわよね。ただ今やられている現状のポイント制に基づく費用算定方法では、長期間にわたる治験の費用が適切に算定されないことが指摘されているのよ。」

ルパン三世「これからは商取引の原点である、競争原理が働くのでは、と(ホーライは)思っているけれどね。前払い、返納無し、という施設は選択しないとか。」



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