築地先生「いや、きみか。」
アカギ「はい、いつも治験にご協力頂きまして、ありがとうございます。本日は、先日のカルテの件で2,3お聞きしたい点があるのですが。」
築地先生「うん、何?」
アカギ「はい。被験者識別コード003の山田花子さんのカルテを先日、閲覧させて頂きました。そこで分かったのですが、山田さんはプレマリンを服用されている患者さんでした。」
築地先生「うん。そうだったかな。」
アカギ「はい。プレマリンを服用されている患者さんには2週間のウォッシュアウトがプロトコルで規定されています。」
築地先生「そうだっけ?」
アカギ「はい。そうなのですが、山田さんのウォッシュアウト期間が1週間でした。」
築地先生「それで?」(ムッとしている。)
アカギ「そのウォッシュアウト期間に関しまして、実は、プロトコルからの逸脱となります。」
築地先生「え?それだけで?」
アカギ「はい、そうなんです・・・・・・。」
築地先生「あのさ、プレマリンなら1週間もウォッシュアウトすれば十分だよ。」
アカギ「はい、そうかもしれませんが、今回の治験では2週間とさせて頂いております。」
築地先生「それで?」(顔が赤くなる。けれど、挫けない。)
アカギ「それで、プロトコルからの逸脱の記録を残して頂きたいのですが。。。。。。」
築地先生「すぐ、それだ。だから治験っていやなんだよな。」(ほとんど怒っている。)
アカギ「申し訳ございません。」(耐える。)
築地先生「治験はそうかもしれないけれど、臨床の現場では、プレマリンは1週間も服用しなかったら、効果が切れるよ。」
アカギ「ええ、そうかもしれません。」(決して、否定の言葉を使わない。)
築地先生「プロトコル、プロトコル、とうるさいんだよ。」(頭から湯気が出ている。)
アカギ「申し訳ございません。ただ、治験は『試験』という側面もございます。その試験のデータの質を均一にしないといけません。」(粘りに粘る!)
築地先生「それで?」
アカギ「はい、それで、実際の臨床では1週間かもしれませんが、今回は色々と検討した結果、2週間とさせて頂いております。」
築地先生「それは分かったよ。」(目的に向かって、少しずつでも妥協点を詰めていく。)
アカギ「そこで、CRFの『ウォッシュアウト期間』の所に、『本件はプロトコルからの逸脱である』とだけ、ご記入頂けませんでしょうか?」
築地先生「それだけで、いいの?」
アカギ「はい。結構です。」
築地先生「分かった。CRFに書いておくよ。」
アカギ「ありがとうございます。それと先生、今回ウォッシュアウト期間を一覧表にしたポケット資料を作りましたので、こちらをご覧いただきまして、今後はこちらの期間のウォッシュアウトをお願い致します。」(必ず、プロトコルの逸脱の再発防止策を講じ、それをモニタリング報告書に記載しておくこと。)
築地先生「分かった。」
アカギ「それでは、そのCRFの作成ですが、いつ頃、可能でしょうか?」
築地先生「そうだな・・・・。」(1回のアポで1つの目的だけとせずに、常に症例エントリー、CRFの作成などの話題を必ず提示する。)
■来週へ続く
●メルマガの登録はこちら
↓
「モニターとCRCのためのGCPメルマガ」
↓
http://www.mag2.com/m/0000102664.html
●「医薬品ができるまで」(治験や臨床試験、新薬開発にまつわる話題)
↓
http://chiken-imod.seesaa.net/
●●●「ハードボイルド・ワンダーランド日記」半径5mから100億光年の出来事●●●
↓
「ハードボイルド・ワンダーランド日記」半径5mから100億光年の出来事