2011年06月16日

医薬品医療機器総合機構(PMDA)の実地調査方法・・・プロトコル逸脱の確認

当局の山田「●●病院のケースで■■組▲▲番はプロトコルから逸脱していますが、この情報は得ていますか?」

かずさ2号「はい。SDVを実施した場合に確認しました。」

当局の山田「それでは遅すぎませんか?」

かずさ2号「SDVを伴わないモニタリングの時には、口頭で治験責任医師に確認しました。その時にはプロトコルからの逸脱ではないと認識していました。」

当局の山田「その時のモニタリング報告書を見せてください。」

かずさ2号「これが、その時のモニタリング報告書です。」

(治験依頼者は事前にどこを当局に確認されるか、予想しているため、疑わしい記録はすぐに出せるようにしておく。)




当局の山田「確かに、モニターが治験責任医師に口頭で確認していますね・・・・・・では、プロトコル説明を実施した時の記録を見せてください。」

かずさ2号「こちらが、治験責任医師にプロトコルの説明を実施した時のモニタリング報告書です。」

当局の山田「分かりました。では、プロトコル逸脱を認識してから、再発防止策を講じていますか?その記録を見せてください。」

かずさ2号「こちらが、SDVを実施してプロトコル逸脱が判明し、その後、こちらが治験責任医師に対して注意喚起をした時のモニタリング報告書です。」




当局の山田「同意が適切に取られているかどうかはどのようにして確認していますか?」

かずさ2号「SDVで同意の説明日と同意の日付、さらに治験薬投与あるいは治験のための検査が同意日のあとになっているかを確認しています。」

当局の山田「◎◎病院ではプロトコル逸脱が2回、連続しておきていますが、これはモニタリング不足ではないですか?」

かずさ2号「その件につきましても、プロトコル逸脱が判明したのはSDVを実施した時でした。その後にはプロトコル逸脱は発生していないのですが・・・・・。」

当局の山田「では、この◎◎病院の治験責任医師の調査・選定記録を見せてください。調査は適切でしたか?」

かずさ2号「はい。こちらが◎◎病院の■■医師を調査した時の『調査・選定記録』です。SOPに従って適切に調査・選定されていると考えます。」




当局の山田「◎◎病院のIRBの会議の概要を確認していますか?」

かずさ2号「はい。こちらが◎◎病院のIRB会議の概要を確認した時のモニタリング報告書です。」

当局の山田「◎◎病院のIRB委員会のメンバーの『非専門家』になっているこの方ですが、実は看護師です。これは非専門家とは言えません。把握していましたか?」

かずさ2号「うっ!(言葉につまる)・・・・・・いいえ。」(治験依頼者が把握していない不適切な事項が、当局が実地調査した時に初めて判明する場合もある。よくないことだけど。)

当局の山田「では、どのようにIRB委員の妥当性について調査したのですか?」

かずさ2号「え〜〜と・・・・・・・これが◎◎病院の調査・選定記録です。これを見る限りではIRBのSOPを見て確認していました。」

当局の山田「◎◎病院のIRBのSOPにはメンバー構成の文言がGCPの文言そのままに記載されていたんですよね。それを見る限りにおいては、GCP上もOKなのですが、実際に審議したIRBメンバー一覧表を見ると、はじめて、非専門家の職業が看護師だと分かるんです。」

かずさ2号「そうでしたか・・・それは、迂闊(うかつ)でした。」

当局の山田「ということはモニターは審議したメンバー一覧表を確認していなかったということですね?」

かずさ2号「そうだと思います。」

当局の山田「この件は一旦、持ち帰ります。」

かずさ2号「分かりました。」


当局の山田「以上です。本日はお邪魔しました。」

かずさ2号「ありがとうございました。」(クタクタだ。)

お疲れさまでした!!



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2011年06月15日

医薬品医療機器総合機構の実地調査方法・・・実地調査に入った病院のフィードバック

当局の山田「今回、●●病院を実地調査したのですが、この病院では被験者が入院していますね。その情報は得られていますか?」

かずさ2号「はい。何年何月に入院されまして、その時に、治験責任医師から『重篤な有害事象報告書』を提出してもらっています。これがそうです。」


*** どの病院に実地調査が入るかは、事前に治験依頼者に報告があるので、該当病院の書類を準備しておくことができる。***



かずさ2号「はい。これが●●病院からの『重篤な有害事象報告書』になっています。」

当局の山田「この時、『社内安全性情報会議』は開催されていますか?議事録を見せてください。」

かずさ2号「この時は、明らかに治験薬との因果関係が否定されていましたので、『社内安全性情報会議』は開催されていません。ただし、情報は社内のファーマコビジュランス部に届いています。そこで、担当者が『社内安全性情報会議』を開催するかどうかは決めています。」

当局の山田「分かりました。今回の治験では他に重篤な有害事象はありましたか?」

かずさ2号「ほかの施設でも2名の患者さんが入院されていますが、いずれも治験薬との因果関係は否定されています。」

当局の山田「それはどちらも『社内安全性情報会議』は開催されていなかったということですか?」

かずさ2号「はい。そうです。因果関係が疑わしいと担当者が判断した場合のみの開催です。」

当局の山田「では、その担当者が判断した記録はありますか?」

かずさ2号「はい。こちらがそうです。この日に情報を入手し、治験責任医師の因果関係判定の結果とそれに基づく担当者の判断の記録です。」

当局の山田「この記録の写しをもらえますか?」

かずさ2号「はい。どうぞ。」



当局の山田「入手したケースカードからどのように統計解析まで進めていますか?」

かずさ2号「モニターがケースカードを入手すると、まずはモニターでの目視のチェックを行います。その後、チェックされたケースカードがデータマネジメント部に渡されます。そこでデータマネジメント部がデータを入力し、ロジカルチェックおよび目視検査をします。そこで問題があれば、DCF(Data Clarification Form)が発行され、モニターに届きます。」

かずさ2号「DCFが発行されるとモニターがその中身をチェックし、必要に応じて治験責任医師を訪問し、不整合等を解消する、という手順です。」

当局の山田「入力されたデータの正確さはどのように確認していますか?」

かずさ2号「当社ではデータのダブルエントリーを実施しています。」



*** データのダブルエントリーとは ***

臨床試験等の症例調査票に記載されたデータを、二人の入力者がそれぞれ別個に入力(ダブルエントリー)し、機械に自動照合(コンペア

チェック)させ、入力の人為的ミスを発見するシステム。

**********************



当局の山田「ケースカードの保管はどうなっていますか?」

かずさ2号「モニターが入手したケースカードは1枚をデータマネジメント部に提出し、残り1枚をモニタリング部門で保管しています。」(複写式のケースカードの場合)

当局の山田「実際に保管している場所を見せてください。」

かずさ2号「こちらがモニタリング部門が保管している書架です。全てカギで施錠しています。また、こちらがデータマネジメント部門で保管している部屋です。こちらも特殊なカードが無いと入室できません。」





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2011年06月14日

医薬品医療機器総合機構の実地調査方法・・・治験薬の保管管理の確認

当局の山田「分かりました。治験薬の保管はどのようになっていますか? 実際の場所を見せてください。」

かずさ2号「はい。こちらが治験薬の管理SOPです。保管管理はこの書式1を使って実施しています。実際の保管場所をご案内します。こちらです。」

(社内の治験薬保管庫(室)を実際に見せる。)

当局の山田「こちらの治験薬保管室の入退室記録はとっていますか?取っている場合は、その記録を見せてください。」

かずさ2号「ここはセキュリティーカードが無いと入室できません。そのログはパソコンで管理しています。それを見ると、いつ、誰が入室したかが分かります。」

当局の山田「冷蔵庫の温度管理はどうなっていますか?」

かずさ2号「これは自動記録で、やはりパソコンで管理しています。」

当局の山田「その記録用紙を見せてください。」

かずさ2号「はい。これが先月の記録です。」




当局の山田「治験薬のサンプルを見せてください。」

かずさ2号「これがそうです。」(見せサンプルを提示する)

当局の山田「ん?この『使用方法』の記載は『予定されている用法・用量』(治験薬への記載は禁止されている)に該当しませんか?」

かずさ2号「いえ。これはあくまでも患者さんが服用方法を間違わないようにするための使用方法の説明ですので、『予定されている用法・用量』には該当しないと考えています。」

当局の山田「わかりました。治験薬は治験薬GMPに則って製造されていますか?」

かずさ2号「はい。こちらがこの治験薬を製造した時の指図書と製造記録です。」

当局の山田「今回はダブルブラインド試験ですが、盲検性はどのように維持でしていましたか?」

かずさ2号「今回の治験ではキーの割り付けは、当社の統計解析部門が実施しました。これはSOPに則って行いました。」

当局の山田「そのキーが治験実施部門、特にモニタリング部門に漏れるということはありませんか?」

かずさ2号「はい。このキーは、こちらの専門のパソコンで管理しており、ここにログインするためにはIDとパスワードが必要です。」

当局の山田「モニターが解析担当者になりすましてログインする恐れはありませんか?」

かずさ2号「可能性としては無いとは言い切れませんが、そうならないように定期的にパスワードを変更し、専任の者しか分からないようにSOPで規程しています。また、この部屋に入るには特殊なカードが必要で、これは割り付け担当者しか持っていません。」

当局の山田「分かりました。」


当局の山田「ちなみに治験薬の廃棄はどうしていますか?」

かずさ2号「医薬品を専門に廃棄する業者に依頼しています。こちらが、別の治験薬の廃棄記録です。」

当局の山田「分かりました。では、●●病院の治験薬管理表を見せてください。」

かずさ2号「こちらがそうです。」

当局の山田「この保管台帳とケースカードに記載されている治験薬の使用状況について整合性を確認していますか?」

かずさ2号「はい。治験の終了後に整合性を確認しています。」

当局の山田「分かりました。では、治験関係の書類の保管はどうなっていますか? 実際の場所を見せてください。」(あと繰り返す)





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2011年06月13日

医薬品医療機器総合機構の実地調査方法・・・治験業務の流れの確認

■■■ 今日のストーリーの前にCMを■■■

下記のセミナーを実施予定です。
ご興味ある方、あるいは「生」ホーライをご覧になりたい方は是非、ご参加ください。

●●国際共同治験で活躍するCRA(モニター)教育研修セミナー●●

■■時代に即した!実践的な!モニター人材開発プログラムの作成・活用と評価方法■■

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■



当局の山田「プロトコルの作成はどういう手順で行われていますか?」

かずさ2号「プロトコル作成のSOPはこれです。作成のフローチャートがこちらです。」

当局の山田「治験を実施する上で、倫理的であるか、科学的であるかは、どこで検討されていますか?」

かずさ2号「こちらの『プロトコル検討委員会』プロトコル検討委員会で実施しています。」

当局の山田「では、この『プロトコル検討委員会』のメンバー構成とこのプロトコルを検討した時に記録を見せてください。」

かずさ2号「はい。こちらが当時のメンバーです。それと、これが今回のプロトコルの検討委員会の記録です。」(今の記録ではなく、その治験が行われていた当時のメンバーと検討記録について確認される。)

当局の山田「こちらでは『社内IRB』は無いのですか?」

かずさ2号「そういう名称ではありませんが、この『プロトコル検討委員会』が、倫理的かどうか、科学的かどうかを確認する役割を担っています。」

当局の山田「社外のメンバーや非専門家はいますか?」

かずさ2号「社外のメンバーはいませんが、医学専門家にプロトコル作成の段階から参加してもらっています。非専門家はいません。」





当局の山田「分かりました。では、監査部門はどうなっていますか?」

かずさ2号「こちらが臨床事業部の当時の組織図です。」

当局の山田「監査部門も臨床事業部長の下にあるのですね?これで監査部門はモニタリング部門等から独立していると言えますか?」

かずさ2号「はい。監査担当者とモニターを兼務しているものもいませんし、SOPできちんと業務を分離しているので、治験実施部門から独立していると考えています。」(正しいと思うことは卑屈にならずに堂々と主張する。)

当局の山田「監査計画は立てていますか?」

かずさ2号「毎年、年度末に、次の年度の監査計画を立てています。」

当局の山田「監査は治験の全てが終わってから実施するのですか?」

かずさ2号「いえ。大きく言って治験の開始前、治験中、治験終了時の3回のタイミングで実施しています。」

当局の山田「監査報告書は出していますか?」

かずさ2号「はい。監査が終わると、毎回臨床事業部長と該当するプロジェクトの責任者に提出しております。」

当局の山田「監査で指摘されたことを社内で共有していますか?」

かずさ2号「不定期ですが、プロジェクトの監査が終わると、監査実施報告会を開催し、社内のプロジェクトメンバー全員に共有してもらっています。ですので、同じ指摘を監査が行うことは減っています。」


当局の山田「分かりました。治験薬の保管はどのようになっていますか? 実際の場所を見せてください。」




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2011年06月11日

医薬品医療機器総合機構の実地調査方法・・・治験の組織・体制の確認

当局が実地調査にやって来た!(フィクションです。)



当局の山田「こんにちわ。当局の山田です。」

みっちーK「お待ちしておりました、ホーライ製薬の社員です。」


当局の山田「では、早速ですが、こちらの会社の治験体制を教えてください。」

かずさ2号「はい。パワーポイントのスライドをご覧ください。当社ではモニタリング部門があり、現在30名がモニターとして任命されています。」

当局の山田「モニターの要件はどうなっていますか?」

かずさ2号「モニターの要件は、こちらのSOPに記載されています。」



●●● ホーライ製薬のモニター要件 ●●●

1)薬学部出身者か、それと同等以上であること。

2)モニターとして経験が無い場合は当社の『モニター導入研修』(50時間)を受講すること

3)モニターは年間24時間以上の教育・研修を受講すること。

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●



当局の山田「モニターの指名書を見せて頂けますか?」

かずさ2号「これがモニターAの指名書です。」(チラッ)

当局の山田「なるほど。分かりました。では、この方の導入研修記録を見せてください。」

かずさ2号「こちらがAの導入研修受講記録です。」

当局の山田「わかりました。では、モニターの年間教育の記録を見せてください。」

かずさ2号「こちらがAの継続研修記録です。」

当局の山田「Aさんは昨年は50時間の研修を受講した、ということですか?」

かずさ2号「そうです。これが合計時間で、こちらがそれぞれの研修項目名となっています。」

当局の山田「参考までに、この研修記録書のコピーを頂けますか?」

かずさ2号「はい。分かりました。」(と言って、2部コピーする。1部は当局の担当者へ渡し、もう1部は何のコピーを当局へ渡したか、あとで分かるようにとっておく。)



当局の山田「SOPの研修記録はありますか?」

かずさ2号「こちらが、導入研修のSOP研修記録です。その後はSOPが改訂されるたびに研修を実施しています。」

当局の山田「モニターは出張が多いので、研修に参加できないこともあると思いますが、そんな時はどうしていますか?」

かずさ2号「SOP研修の欠席者用に研修をビデオ録画してありますので、それを見てもらっています。また、全員が改訂されたSOPに関するe-ラーニングを受講してもらっています。これが、その記録です。」

当局の山田「わかりました。」



当局の山田「今回申請された『ホーライエースA錠』は共同開発といことですが、共同開発先との安全性情報の交換はどうしていますか?」

かずさ2号「共同開発の場合の安全性情報の取り扱いに関するSOPがありますので、それに従って相手先の会社と情報交換しています。」

当局の山田「モニターが収集してきた副作用情報等は社内でどのように処理されるのですか?」

かずさ2号「それはこちらの安全性情報の取り扱いSOPに規程されています。フローチャートがこちらです。」

当局の山田「このフローチャートに記載されている『社内安全性情報会議』とは、どのような会議ですか?」

かずさ2号「重篤な有害事象が発生し、それがモニター等により情報を知った場合に、その重篤な有害事象が副作用に該当しないかを検討し、また、当局への報告と、医療機関の長、治験責任医師へ報告する必要があるかどうかを決定する会議です。」


当局の山田「どういう人がメンバーになっていますか?」

かずさ2号「医師免許を持っている者が2名と、臨床試験の経験が10年以上の者が3名となっており、必要に応じて『医学専門家』がメンバーとなっております。」

当局の山田「定期開催ですか?」

かずさ2号「いえ。該当する安全性情報を入手した場合に開催することとなっています。」

当局の山田「最も最近の検討記録を見せてください。」

かずさ2号「はい。こちらがそうです。」




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